キーワード:
水電解/水素製造/アルカリ水電解/固体高分子型水電解/固体酸化物型水電解/アルカリ水電解/水素/規制/市場動向/反応器/触媒/電解質膜
刊行にあたって
脱炭素化に向けた動きが世界各国で進む中、化石燃料に代わるCO2を排出しないエネルギー資源として水素が注目を浴びている。
水素をエネルギーとして利用する際にはCO2を排出しないが、水素の製造プロセスではCO2が排出されており、再生可能エネルギーを利用することでCO2を排出しない“グリーン水素”を製造することができる水電解水素製造技術の実用化が期待されている。
水電解による水素製造技術は工業的に確立した技術であり、当初は水力発電を利用してアルカリ水電解装置で水素を製造していた。近年では、脱炭素化に向け、大量かつ低コストなグリーン製造技術として、水電解装置の高効率化・低コスト化にむけた技術開発が行われており、日本国内でも福島や山梨などで水電解装置と再生可能エネルギーを利用したグリーン水素の大規模製造技術の実証試験が行われている。
世界のグリーン水素の市場規模は、2030年までに720億米ドルに達すると予測されており、2022~2030年中の年平均成長率(CAGR)は55%に達すると予測されている。
上記のように今後の市場拡大や更なる技術開発が見込まれる水電解水素製造の技術動向および市場動向をまとめたいとの考えから、本書を企画した。
【技術編】では、アルカリ水電解,固体高分子型水電解,固体酸化物型水電解などの各種水電解装置や触媒・電解質膜など開発動向について、企業や大学など第一線でご活躍の方々にご執筆いただいた。
【市場編】では、国内外における水素関連の政策や規制、水電解をはじめとした各種水素製造技術や企業の動向について調べあげた。
本書がグリーン水素の製造に関する技術開発や製品販売をされている方々の一助となれば幸いである。
シーエムシー出版 編集部
著者一覧
辻 悦司 鳥取大学
村山凡子 ティッセンクルップ・ニューセラ㈱
チュルンバートル ビルグーン ティッセンクルップ・ニューセラ㈱
森田敬愛 敬愛技術士事務所
吉野正人 東芝エネルギーシステムズ㈱
坪ノ内優太 新潟大学
ザキ ザハラン 新潟大学
八木政行 新潟大学
轟 直人 東北大学
田代啓悟 静岡大学
里川重夫 成蹊大学
橋本 勝 東レ㈱
出原大輔 東レ㈱
佐藤剛史 宇都宮大学
シーエムシー出版編集部
目次 + クリックで目次を表示
第1章 グリーン水素製造に向けた水電解および触媒の開発動向
1 はじめに
2 水電解の歴史と基礎
3 アルカリ水電解の概要と触媒について
4 固体高分子形水電解の概要と触媒について
5 高温水蒸気電解(固体酸化物形電解セル; SOEC)の概要
6 おわりに
第2章 アルカリ水電解の特徴・課題とアノード触媒の開発
1 はじめに
2 アルカリ水電解の歴史と現状
3 アルカリ水電解の特徴と課題
3.1 特徴
3.2 課題
4 アノード触媒の開発
5 おわりに
第3章 アルカリ水電解による水素製造技術の開発と今後の展望
1 会社概要
2 沿革
3 企業理念
4 グローバル拠点および実績
5 ティッセンクルップ・ニューセラの事業を支えるソリューション
6 グリーントランスフォーメーションを可能にするアルカリ水電解技術
7 アフターサービスおよびデジタルソリューション
8 最先端技術を提供するための研究開発
9 今後のサービスの開発や最適化の計画
10 最後に
第4章 固体高分子形水電解の現状と課題~貴金属材料の視点より
1 はじめに
2 プロトン交換膜形水電解セルの構成材料
3 カソード触媒
4 アノード触媒
5 拡散層
6 高圧運転時の課題
7 イリジウム(Ir)供給量の課題
8 まとめ
第5章 固体酸化物形電解セルを用いた高温水蒸気電解による水素製造
1 はじめに
2 高温水蒸気電解による水素製造
2.1 高温水蒸気電解による水素製造原理
2.2 高温水蒸気電解による水素製造システム
3 固体酸化物形電解セルの材料および構造
3.1 固体酸化物形電解セルの材料
3.2 固体酸化物形電解セルの構造
4 SOECを用いた高温水蒸気電解の特徴
4.1 吸発熱と熱中立点
4.2 高効率水素製造
5 実用化に向けた課題
6 おわりに
第6章 高効率水電解セルと太陽電池を用いた太陽光水分解システムの開発と今後の展望
1 はじめに
2 太陽光水分解水素製造システムの設計指針
3 水電解セルの種類と特性
4 太陽光水分解水素製造システムの開発の最前線
5 おわりに
第7章 表面処理によるステンレス鋼電極へのナノ構造酸素発生触媒層の形成
1 アルカリ水電解用アノード材料
2 ステンレス鋼アノード上に生成する触媒層の酸素発生反応活性の起源
3 ステンレス鋼上への触媒層形成のための表面処理法
4 再生可能エネルギー由来の変動電力がステンレス鋼電極に及ぼす影響
5 まとめと今後の展望
第8章 ゼオライト電解質膜を用いた電解セルによる水素製造技術
1 はじめに
2 ゼオライト
3 ゼオライトの脱アルミニウム処理によるプロトン伝導度の向上とプロトン伝導機構
4 ゼオライトを含む電解セルによる水電解
5 おわりに
第9章 PEM型水電解装置とそれを用いたP2Gシステム
1 はじめに
2 東レ炭化水素系電解質膜
3 Power to Gasシステム実証研究
4 実証試験成果の発展
4.1 やまなしハイドロジェンカンパニー
4.2 グリーンイノベーション基金事業
4.3 地域モデル事業
5 シーメンス・エナジー社との連携
6 おわりに
第10章 パラジウム膜反応器による水電解水素製造装置
1 パラジウム膜反応器による水電解水素製造の概要
1.1 パラジウム膜の水素透過膜としての性質
1.2 パラジウム膜反応器による水電解水素製造の概要
2 パラジウム膜反応器による水電解水素製造の開発状況
2.1 水電解水素製造装置の構造
2.2 パラジウム膜反応器による水電解水素製造装置の水素透過能
2.3 水電解における温度および圧力の影響
3 パラジウム膜反応器による水電解水素製造の展望
3.1 今後の展望
【市場編】
第1章 水素エネルギー概論
1 水素エネルギーとは
2 水素の製造技術
(1)改質法
(2)電解法
(3)工業プロセスからの副生物として生成(副生水素)
(4)バイオマス資源から発生したメタノールやメタンガスの改質
(5)その他開発中の技術
3 水素の輸送技術
(1)液化水素
(2)液化アンモニア
(3)メチルシクロヘキサン(MCH)
4 水素の貯蔵技術
4.1 圧縮水素
4.2 液化水素
4.3 水素貯蔵材料
4.3.1 水素吸蔵合金
4.3.2 水素化マグネシウム(MgH2)
4.3.3 錯体水素化物
4.3.4 アンモニア(NH3)
4.3.5 メチルシクロヘキサン(MCH)
5 水素の利用分野
5.1 エネルギー分野
5.2 産業分野
5.2.1 製油所
5.2.2 製鉄業
5.2.3 エレクトロニクス産業
5.2.4 その他産業
第2章 国内外における水素関連規制・政策動向
1 日本国内における水素関連規制と政策
1.1 規制の現状
1.2 政策の方向性
1.2.1 水素供給(水素製造)
1.2.2 水素サプライチェーンの構築
1.2.3 脱炭素型発電
1.2.4 燃料電池
1.2.5 水素の直接利用
(1)脱炭素型鉄鋼
(2)脱炭素型化学製品
(3)水素燃料船
(4)水素化合物
1.3 水素バリューチェーン推進協議会
2 海外主要国における水素規制・政策の動向
2.1 水素関連規制
2.1.1 欧州
2.1.2 米国
2.1.3 中国
2.2 政策動向
2.2.1 欧州
(1)EU
(2)ドイツ
(3)フランス
(4)イタリア
(5)英国
2.2.2 米国
2.2.3 中国
第3章 国内外における水素市場の展望
1 燃料自動車市場
1.1 市場概要
1.2 企業/製品開発動向
1.2.1 日本
1.2.2 韓国
1.2.3 欧米
2 発電用途
2.1 市場概要
2.2 主要企業・プロジェクトの動向
3 その他の市場
3.1 水素還元製鉄
3.2 水素エンジン
3.3 定置型燃料電池
第4章 水電解による水素製造に向けた取り組みと動向
1 水電解による水素製造の主な方式
1.1 アルカリ水電解型
1.2 プロトン交換膜型
1.3 固体酸化物型
1.4 アニオン交換膜型
2 主な要素技術の動向
2.1 電解セル
2.1.1 アルカリ水電解セル
2.1.2 プロトン交換膜型水電解セル
2.1.3 アニオン交換膜型水電解セル
2.1.4 固体酸化物型電解セル
2.2 電解液・電解質
2.3 電極・触媒
2.4 水電解装置による水素製造の取り組み状況
2.4.1 日本国内の水素製造の取り組み状況
2.4.2 海外における水素製造の取り組み状況
第5章 その他の水素製造技術
1 副生水素
1.1 ソーダ電解
1.2 製鉄所からの副生水素
2 改質技術
2.1 水蒸気改質法
2.2 部分酸化改質法
2.3 オートサーマル改質法
3 バイオマス熱分解
4 水の熱分解
5 光触媒
6 微生物による水素製造
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