キーワード:
二酸化炭素回収貯留/石油増進回収/天然ガス精製/石炭液化/水素製造/水素ステーション/燃料電池/高分子膜/無機膜/金属膜/イオン液体膜/促進輸送膜/分子ゲート膜/膜反応器
刊行にあたって
膜による気体分離は1970年代後半の水素分離膜の実用化以来、有機高分子膜が主に用いられてきたが、近年は高選択かつ高透過性の気体分離膜を得るための新しい膜材料の設計指針の探索が続けられ、オングストロームサイズの細孔による分子ふるい能を膜に導入した無機多孔体のシリカ、ゼオライト、分子ふるい炭素や金属有機構造体(MOF)などの新規な分離膜の研究開発が活発化している。膜の実用化には、膜素材の研究開発はもとより、製膜技術、モジュール化技術、分離システムの構築の各要素技術が確立されなければならない。本書にはこれらに関する重要な高分子膜と無機膜の最近の研究成果が多数盛り込まれており、あわせて、それらの実用化例についても紹介していただいている。今後、ますます重要性を増す、地球持続のための膜分離技術のレビューとして活用していただければ幸いである。さらに、これから研究開発を展開しようとする研究者にとっても多くのヒントが得られるものと確信している。
(本書「はじめに」より抜粋)
本書は2018年に『二酸化炭素・水素分離膜の開発と応用』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。
著者一覧
中尾真一 工学院大学 喜多英敏 山口大学 田中一宏 山口大学 川上浩良 首都大学東京 田中俊輔 関西大学 長澤寛規 広島大学 金指正言 広島大学 都留稔了 広島大学 甲斐照彦 地球環境産業技術研究機構 神尾英治 神戸大学 松山秀人 神戸大学 上宮成之 岐阜大学 原 重樹 産業技術総合研究所 熊切 泉 山口大学 谷原 望 宇部興産㈱ 須川浩充 ダイセル・エボニック㈱ 森里 敦 Cameron, A Schlumberger Company | 岡田 治 ㈱ルネッサンス・エナジー・リサーチ 武脇隆彦 三菱ケミカル㈱ 矢野和宏 日立造船㈱ 余語克則 地球環境産業技術研究機構;奈良先端科学技術大学院大学 藤村 靖 日揮㈱ 甲斐慎二 田中貴金属工業㈱ 吉宗美紀 産業技術総合研究所 原谷賢治 産業技術総合研究所 山本浩和 NOK㈱ 川瀬広樹 日本特殊陶業㈱ 高木保宏 日本特殊陶業㈱ 伊藤正也 日本特殊陶業㈱ 井上隆治 日本特殊陶業㈱ 西田亮一 地球環境産業技術研究機構 伊藤直次 宇都宮大学 古澤 毅 宇都宮大学 |
執筆者の所属表記は、2018年当時のものを使用しております。
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第1章 二酸化炭素・水素分離膜総論
1 はじめに
2 膜による気体分離
3 高分子膜
4 無機膜
5 おわりに
第2章 二酸化炭素分離膜
1 高分子膜
1.1 セルロース膜
1.2 ポリスルホン膜
1.3 ポリイミド膜
1.4 Thermally Rearranged(TR)Polymer膜
1.5 Polymer of Intrinsic Microporosity(PIM)膜
1.6 Mixed-Matrix Membrane(MMM)
2 無機膜
2.1 ゼオライト
2.1.1 はじめに
2.1.2 ゼオライト膜の製膜
2.1.3 CO2分離性能
2.1.4 おわりに
2.2 多孔性金属錯体(MOF)の分離膜への展開
2.2.1 はじめに
2.2.2 MOFの特性
2.2.3 MOFの製膜
2.2.4 おわりに
2.3 炭素膜
2.3.1 はじめに
2.3.2 炭素膜の製膜
2.3.3 CO2分離性能
2.3.4 おわりに
2.4 シリカ系多孔膜によるCO2分離
2.4.1 はじめに
2.4.2 アモルファスシリカ膜
2.4.3 ゾル-ゲル法によるシリカ系多孔膜の細孔径制御とCO2分離性能
2.4.4 親和性付与によるCO2分離性能の向上:アミノシリカ膜
2.4.5 大気圧プラズマCVDシリカ膜
2.4.6 おわりに
2.5 その他の無機膜
2.5.1 はじめに
2.5.2 多孔質ガラス膜
2.5.3 Dual-Phase膜
3 促進輸送膜
3.1 はじめに
3.2 促進輸送膜の研究開発動向
3.3 おわりに
4 イオン液体膜
4.1 イオン液体膜のCO2選択透過性能
4.2 イオン液体の設計
4.3 イオン液体膜の構造設計
第3章 水素分離膜
1 高分子膜
1.1 ポリイミド膜
1.2 その他の高分子膜
1.2.1 はじめに
1.2.2 高分子の1次構造と気体の透過選択性との関係
1.2.3 水素分離膜
1.2.4 おわりに
2 無機膜
2.1 シリカ膜
2.1.1 ゾル-ゲル法によるシリカ系膜の水素透過特性
2.1.2 CVD膜
2.2 金属
2.2.1 パラジウム膜
2.2.2 非パラジウム系金属膜
2.3 炭素膜
2.3.1 はじめに
2.3.2 炭素膜の構造
2.3.3 水素分離
2.3.4 おわりに
2.4 ゼオライト膜
2.4.1 はじめに
2.4.2 ゼオライト細孔構造と,ゼオライト膜による水素選択性の発現
2.4.3 水素分離用のゼオライト膜合成への異なるアプローチ
2.4.4 ゼオライト膜の水素透過性
2.4.5 膜構造の影響
2.4.6 共存する分子の吸着阻害
2.4.7 おわりに
【第Ⅱ編 二酸化炭素・水素分離膜の実用プロセス】
第1章 二酸化炭素分離膜の実用プロセス
1 ポリイミド膜を用いるプロセス
1.1 BPDA系ポリイミド中空糸膜による二酸化炭素分離
1.1.1 はじめに
1.1.2 ポリイミド中空糸膜および膜モジュール
1.1.3 二酸化炭素分離
1.1.4 おわりに
1.2 エボニック製ガス分離膜「SEPURAN®」を用いた効率的なバイオガス精製技術および他の展開事例について
1.2.1 バイオガスの分離
1.2.2 稀有ガスの分離
2 酢酸セルロース膜を用いるプロセス―CO2原油強制回収施設における膜分離法によるCO2分離技術
2.1 はじめに
2.2 高分子膜による天然ガスCO2分離の歴史
2.3 天然ガス精製プラントにおけるCO2膜分離プロセス
2.3.1 前処理(Pre-Treatment)
2.3.2 SACROC EOR CO2膜分離プラント
2.3.3 Denbury CO2膜分離プラント
2.3.4 浮体式生産貯蔵積出設備(Floating Production, Storage and Offloading:FPSO)におけるCO2膜分離
3 CO2選択透過膜(促進輸送膜)の各種CO2脱分離・回収プロセスへの応用
3.1 水素製造プロセスへの応用
3.1.1 CO2選択透過膜(促進輸送膜)の原理と水素製造プロセスへの適用効果
3.1.2 CO2選択透過膜の開発
3.2 おわりに
4 CO2分離・回収(Pre-combustion)のための分子ゲート膜モジュールの開発
4.1 はじめに
4.2 分子ゲート膜
4.3 次世代型膜モジュール技術研究組合による分子ゲート膜モジュールの開発
4.4 おわりに
5 ゼオライト膜を用いるプロセス
5.1 ゼオライト膜による二酸化炭素分離
5.1.1 高シリカCHA型ゼオライト膜の特徴と浸透気化特性
5.1.2 高シリカCHA型ゼオライト膜のCO2分離特性
5.2 オールセラミック型膜エレメントによるゼオライト分離膜のガス分離応用
5.2.1 緒言
5.2.2 オールセラミック型膜エレメント
5.2.3 ガス分離プロセスに向けた適用
5.2.4 結言
5.3 CO2分離回収コストの大幅低減を実現可能な革新的ピュアシリカゼオライト膜の開発
5.3.1 はじめに
5.3.2 CO2分離材料としてのピュアシリカゼオライト
5.3.3 ピュアシリカCHA型ゼオライト膜の開発とCO2分離性能
5.3.4 実用化のイメージ・インパクト
5.4 DDR型ゼオライト膜を用いた天然ガス精製プロセス
5.4.1 DDR型ゼオライト膜の構造と特徴
5.4.2 大面積分離膜エレメントの製造とプロセス化
5.4.3 DDR型ゼオライト膜の天然ガス精製プロセスへの適用
5.4.4 DDR型ゼオライト膜の天然ガス精製プロセスへの適用検討例
5.4.5 DDR型ゼオライト膜分離プロセスの開発状況
第2章 水素分離膜の実用プロセス
1 水素分離プロセスにおけるパラジウム基水素分離膜
1.1 はじめに
1.2 パラジウム基水素分離膜を用いた水素高純度化技術
1.3 水素分離膜に使用されるパラジウム基合金
1.4 実用プロセスへの応用
1.5 まとめ
2 ゼオライト膜を用いるプロセス
2.1 はじめに
2.2 水素精製システムへのゼオライト膜の適用
2.3 ピュアシリカゼオライト膜による水素精製
2.4 まとめと今後の展望
3 水素精製用カーボン膜モジュールとその応用プロセス
3.1 はじめに
3.2 有機ハイドライド型水素ステーション構想
3.3 中空糸カーボン膜の開発
3.4 カーボン膜モジュールの製造検討概要
3.5 モジュール性能評価
3.6 プロセス設計検討
3.7 おわりに
【第Ⅲ編 二酸化炭素・水素分離膜を用いる膜反応器】
第1章 膜反応器総論
1 はじめに
2 膜反応器の機能による分類
3 膜反応器で用いられる分離膜
4 膜反応器の分類
5 膜反応器システムの構築
6 膜反応器の産業応用
7 おわりに
第2章 二酸化炭素透過膜を用いる膜反応器
1 はじめに
2 炭化水素を原料とした水素製造への膜反応器の適用
3 水素選択透過膜,または,二酸化炭素選択透過膜を適用したプロセスの違い
4 水性ガスシフト反応への二酸化炭素分離技術の適用
5 高温二酸化炭素分離技術の適用
6 おわりに
第3章 水素透過膜を用いる膜反応器
1 メタン水蒸気改質膜反応器
1.1 多孔質膜
1.1.1 はじめに
1.1.2 シリカ膜の耐水蒸気性および水素選択性の向上
1.1.3 触媒膜の開発と膜反応器への応用
1.1.4 まとめ
1.2 触媒一体化モジュール
1.2.1 はじめに
1.2.2 開発背景
1.2.3 MOCの構造・動作原理
1.2.4 MOCの耐久性
1.2.5 MOCの耐久性を支える3つの対策
1.2.6 さらなる耐久性の向上のために
1.2.7 おわりに
2 MCH脱水素膜反応器
2.1 はじめに
2.2 水素社会構築とエネルギーキャリアとしてのメチルシクロヘキサン(MCH)
2.3 MCH脱水素用膜反応器の開発
2.3.1 水素分離膜の長尺化
2.3.2 脱水素プロセスの低コスト化
2.3.3 その他課題への対応
2.4 おわりに
3 アンモニア分解-脱水素膜反応器
3.1 水素貯蔵輸送材料としてのアンモニア
3.2 アンモニア分解による水素製造の課題
3.3 低温分解に活性な触媒の探索
3.3.1 アンモニア分解触媒の現状
3.3.2 低温活性触媒の調製
3.4 低温下で耐久性のあるパラジウム複合膜の開発
3.4.1 Pd/Pt/Al2O3複合膜
3.4.2 Pd/Ti/Al2O3複合膜試験
3.5 膜反応器によるアンモニア分解の促進
3.5.1 CVD法による管状パラジウム膜の作製
3.5.2 メンブレンリアクターによるアンモニア分解
4 シリカ膜を用いる硫化水素の熱分解膜反応器
4.1 水素化脱硫と硫化水素の熱分解反応
4.2 シリカ膜の製膜と膜反応器
4.3 膜反応器の性能
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