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臓器チップの技術と開発動向《普及版》

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Technology and Development Trends of Organ(s)-on-a-Chip(Popular Edition)

2018年刊「臓器チップの技術と開発動向」の普及版。
創薬、疾患発症機序解明、食品栄養・機能性研究、化学物質毒性試験など、さまざまな応用が期待される「臓器チップ」の開発技術を詳述した1冊。

商品コード:
B1448
監修:
酒井康行,金森敏幸
発行日:
2024年12月5日
体裁:
B5判・293頁
ISBNコード:
978-4-7813-1784-7
価格(税込):
4,840
ポイント: 44 Pt
関連カテゴリ:
バイオテクノロジー
新刊・近刊
刊行予定
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)
バイオテクノロジー > 先端医療(再生医療・細胞治療等)
バイオテクノロジー > 診断技術・バイオセンサ

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キーワード:

創薬/薬物動態/薬効試験/動物実験代替/マイクロ流体チップ/ES細胞/iPS細胞/3次元組織化/血管/血液脳関門/心臓/肺/腸/腎臓/肝臓/筋肉/骨髄/網膜/疾患モデル/糖尿病/がん/腫瘍/生理機能モデル/マイクロ人体モデル

刊行にあたって

 主に幹細胞を利用した再生医療や細胞治療の研究により、ヒト細胞に関する理解が飛躍的に高まり、さらにはヒト細胞を取り扱うため様々な周辺技術が開発されてきているが、昨今はその成果を様々な分野・用途へ応用しようという試みが盛んになってきている。言わば再生医療技術の水平展開であり、その有力候補の一つに創薬プロセスへの応用が挙げられる。
 わが国は伝統的に発酵工学が強く、その延長線上の生物工学に強固な基盤があること、MEMSなどの精緻な「物作り」に関する技術に長けていることなどから、マイクロプロセスを用いてチップ上で細胞を培養し、高い臓器機能を引き出す「臓器チップ」の研究分野においても、沢山の優れた研究者が欧米と比肩した研究開発を展開している。この発展として、一つでも多くの我が国発の「臓器チップ」が産業化され、ひいては我が国の医薬品メーカーの新たなる飛躍へと寄与することを高く期待したい。また、このような「臓器チップ」は、動物実験代替の世界的潮流にも沿ったもので、当面期待される医薬品の効率化ばかりでなく、ありとあらゆるヒト個体の外部刺激への応答や、成長・成熟・疾患発症・老化といったヒトのダイナミックな一生のより良い理解のための新たなin vitroシステムとしても、中長期的に利用が期待される。
(本書「はじめに」より抜粋・改変)

本書は2018年に『臓器チップの技術と開発動向』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

著者一覧


酒井康行   東京大学
金森敏幸   (国研)産業技術総合研究所
小島肇夫   国立医薬品食品衛生研究所
安西尚彦   千葉大学
田端健司   アステラス製薬㈱
木村啓志   東海大学
藤井輝夫   東京大学
田中 陽   (国研)理化学研究所
今任景一   早稲田大学
武田直也   早稲田大学
石田誠一   国立医薬品食品衛生研究所
伊藤弓弦   (国研)産業技術総合研究所
松崎典弥   大阪大学
福田淳二   横浜国立大学
森 宣仁   東京大学
竹内昌治   東京大学
梨本裕司   京都大学
横川隆司   京都大学
民谷栄一   大阪大学
二井信行   芝浦工業大学
楠原洋之   東京大学
前田和哉   東京大学
佐藤 薫   国立医薬品食品衛生研究所
髙山祐三   (国研)産業技術総合研究所
木田泰之   (国研)産業技術総合研究所

小森喜久夫  東京大学
岩尾岳洋   名古屋市立大学
松永民秀   名古屋市立大学
田川陽一   東京工業大学
玉井美保   東京工業大学
藤山陽一   ㈱島津製作所
須藤 亮   慶應義塾大学
西澤松彦   東北大学
長峯邦明   東北大学
鳥澤勇介   京都大学
伊藤 竣   東北大学
Li-Jiun Chen 東北大学
梶 弘和   東北大学
加納ふみ   東京工業大学
野口誉之   東京大学
村田昌之   東京大学授
薄葉 亮   東京大学
松永行子   東京大学
佐々木直樹  東洋大学
中澤浩二   北九州市立大学
篠原満利恵  東京大学
杉浦慎治   (国研)産業技術総合研究所
佐藤記一   群馬大学
亀井謙一郎  京都大学

執筆者の所属表記は、2018年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

【第I編 総論】
第1章 臓器チップの国内外の研究開発動向と展望
1 はじめに
2 Human-on-a-chip
3 MPSへのシフト
4 今後の方向性

第2章 動物実験代替法としての臓器チップへの期待
1 序論
2 動物実験代替法に関する国際動向
3 公定化された試験法の有用性と限界
4 全身毒性試験の代替開発への取り組み
 4.1 欧州の動向
 4.2 米国の動向
 4.3 OECDの動向
 4.4 日本の動向
 4.5 Microphysiologicalsystemでの現状と課題
5 終わりに

第3章 Physiological modelとしての臓器チップへの期待
1 はじめに
2 生物学と生理学
3 多臓器円環の概念
4 多臓器円環の課題と臓器チップの有用性
5 臓器チップによる「自律臓器学」の確立へ
6 まとめ

第4章 製薬企業から見た臓器チップへの期待
1 医薬品研究開発における不確実性
2 Microphysiological systemと臓器チップ
3 薬物動態試験としての臓器チップ
 3.1 小腸
 3.2 肝臓
 3.3 腎臓
 3.4 血液脳関門
4 製薬企業で用いる細胞培養システム
5 生理学的速度論とmicrophysiological systems
6 将来への期待
7 モダリティの多様化とMPSへの期待
8 産官学での取り組みの期待

【第II編 要素技術】
第1章 臓器チップ開発のための微細加工技術
1 はじめに
2 ポリジメチルシロキサン(PDMS)の特徴
3 製作プロセス
4 臓器チップのための機能集積化技術
5 細胞培養のための表面処理技術
6 おわりに

第2章 超薄板ガラスのマイクロ流体チップ
1 緒言
2 超薄板ガラスハンドリング・加工技術開発
3 ガラスバルブ
4 ガラスポンプ
5 ガラスセンサー
6 ガラスフィルター
7 超薄板ガラスチップ
8 結言

第3章 基材の表面形状および性状が細胞に与える影響
1 はじめに
2 細胞の基材への接着
3 基材表面の性質が細胞に与える影響
 3.1 化学的性質
 3.2 機械的性質
 3.3 形状
4 おわりに

第4章 Microphysiological systems用細胞とその標準化
1 はじめに
2 開発の歴史から見るMPSの変遷
3 MPS用細胞に求められる性能基準
4 細胞の規格化
5 測定法の規格化
6 おわりに

第5章 高分子化学に基づく3次元組織構築
1 生体組織モデルの重要性
2 化学的細胞操作
3 組織構築の2つのアプローチ
4 細胞積層法
5 細胞集積法
6 肝組織チップによる薬物毒性評価
7 おわりに

第6章 電気化学的手法による3次元組織の構築
1 はじめに
2 電気化学的な細胞脱離を利用した血管構造の作製
3 静水圧を利用したシーソー型送液システムの開発
4 おわりに

第7章 血管内包型3次元組織の構築
1 はじめに
2 血管内包型3次元組織の構築方法
 2.1 ワイヤ抜去法
 2.2 コラーゲン・ソフトリソグラフィ法
 2.3 犠牲構造除去法
 2.4 血管新生法
 2.5 各方式の比較
3 血管内包型皮膚チップ
 3.1 皮膚チップについて
 3.2 血管内包型皮膚チップの開発
 3.3 皮膚モデルの評価
 3.4 経皮吸収試験への応用
4 おわりに

第8章 微小流体デバイス内における生体組織と血管網の融合
1 はじめに
2 血管内皮細胞を用いた血管網形成技術
3 オンチップにおけるhLFによるHUVECの血管新生
4 自己組織化によるスフェロイド内部への管腔構造の形成
5 おわりに

第9章 On-chip細胞デバイス
1 はじめに-オンチップテクノロジーから細胞デバイスへ-
2 細胞チップを用いたアレルゲンの測定
3 ペプチドライブラリーアレイチップを用いた神経成長因子のスクリーニング
4 局在表面プラズモン共鳴ナノデバイスを用いた細胞シグナルモニタリング
5 シングル細胞解析デジタルデバイス
6 マイクロ流体デバイスを用いたシングル細胞機能解析
7 ラマンイメージング解析を用いた細胞分化プロセスの非侵襲解析

第10章 細胞培養マイクロ流体デバイスの凍結保存
1 はじめに
2 細胞の凍結保存とマイクロ流体
 2.1 細胞の凍結保存に求められる条件
 2.2 細胞凍結保存のためのマイクロ流体チップ
3 可搬性のある細胞凍結保存用マイクロ流体チップの開発
 3.1 細胞凍結用マイクロ流体チップに求められる条件
 3.2 デバイスの構造
 3.3 マイクロ流れの生成
 3.4 細胞の凍結保存
4 おわりに

第11章 Body-on-a-chipを用いた薬物動態解析と個体レベルへの外挿の重要性
1 はじめに
2 BOCにおけるコンパートメント中の薬物濃度に関する考察
3 BOCにおいて想定される薬物動態に関する考察
4 BOCから得られたデータに基づくヒト個体レベルの薬物動態への外挿の
ストラテジー
5 体内動態における非線形性の取り扱い
6 PKモデルとPDモデルとの統合による薬効予測
7 終わりに

【第III編 臓器チップ】
第1章 創薬のためのin vitro血液脳関門モデルの開発─現状と展望
1 新薬開発と血液脳関門(blood brain barrier:BBB)
2 BBBの構造と機能
3 非細胞系モデル
4 細胞系モデルの登場
5 齧歯類細胞モデル
6 ウシ(bovine),ブタ(porcine)細胞モデル
7 株化細胞モデル
8 ヒト細胞モデル
9 In vitro BBBモデルへの工学的アプローチ
10 BBB on a chipへ
11 終わりに

第2章 心毒性評価の臓器チップ開発に資するヒト自律神経系の生体外再構築
1 はじめに
2 ヒト多能性幹細胞からの自律神経系誘導法開発
3 自律神経を接続した培養ヒト心筋組織の作製
4 おわりに

第3章 In vitro培養肺胞モデルとチップ化検討
1 はじめに
2 肺胞の構造
3 ヒト細胞株を用いた肺胞上皮モデル
4 ラット初代細胞を用いた肺胞上皮モデル
5 今後の課題
6 おわりに

第4章 経口投与薬物の吸収・代謝過程を模倣した小腸-肝臓連結デバイスの開発
1 はじめに
2 既存の腸管チップ
3 小腸とデバイスに利用可能な細胞
4 ヒトiPS細胞から小腸上皮細胞への分化誘導
5 小腸-肝臓2臓器連結デバイス開発
 5.1 デバイスに対する開発コンセプト
 5.2 現在開発中のデバイス
6 おわりに

第5章 腎機能を再現するKidney-on-a-chip
1 はじめに
2 腎臓の機能と構造
3 Glomerulus-on-a-chip:糸球体モデルデバイス
4 Tubule-on-a-chip:尿細管モデルデバイス
5 腎機能を集積化した多臓器モデルデバイス
6 おわりに

第6章 流体デバイスを用いたES/iPS細胞由来肝臓モデル
1 序論
2 これまでのマイクロ流体デバイスを用いた細胞培養
3 肝臓の構造
4 肝組織培養モデルと流体デバイス
5 最後に

第7章 マイクロ流体システムによる血管形成モデルと肝細胞3次元培養モデルの融合
1 血管形成の培養モデル
2 肝細胞3次元培養モデル
3 血管形成モデルと肝細胞3次元培養モデルの融合

第8章 筋肉細胞チップ
1 はじめに
2 収縮能を有する骨格筋細胞の培養と評価
3 骨格筋細胞の3次元培養
4 骨格筋と異種細胞の共培養
5 おわりに

第9章 骨髄機能の再現に向けたOrgan-on-a-chip
1 はじめに
2 骨髄を模倣したin vitro培養システム
3 生体内での骨髄の作製
4 生体外での骨髄機能の維持
5 薬剤評価への応用
6 おわりに

第10章 網膜疾患を模倣するOrgan-on-a-chip
1 はじめに
2 網膜の恒常性
3 inner BRBを模倣するOrgan-on-a-chip
4 outer BRBを模倣するOrgan-on-a-chip
5 動物から採取した網膜組織を搭載するOrgan-on-a-chip
6 おわりに

第11章 セミインタクト細胞リシール技術を用いた糖尿病モデル細胞アレイとその解析法
1 はじめに
2 セミインタクト細胞リシール技術について
3 リシール細胞技術を用いた「糖尿病態モデル肝細胞」作製
4 イメージング技術を用いた糖尿病態細胞のフェノタイピング
5 糖尿病モデル細胞アレイとFIQAS顕微鏡・画像解析システムを用いた糖尿病改善薬の可視化スクリーニング
6 将来展開

第12章 3次元微小血管チップによる血管新生と血管透過性の評価手法の構築
1 はじめに
2 従来の血管新生および透過性アッセイ手法
3 ボトムアップ組織工学に基づく血管チップの作製
4 血管チップを用いた新生血管の経時変化の追跡
5 血管チップを用いた血管透過性の評価
6 おわりに

第13章 無細胞マイクロ腫瘍血管モデルの開発とナノ薬剤評価への応用
1 はじめに
2 ナノ薬剤を用いる薬物送達(ナノDDS)
3 ナノDDSの評価系
4 無細胞マイクロ腫瘍血管モデル
5 多孔膜垂直配置型デバイスの開発
6 おわりに

第14章 スフェロイドアレイ化デバイス
1 はじめに
2 スフェロイドの特徴
3 スフェロイド形成の原理と汎用的技術
4 スフェロイドアレイ化デバイス
5 肝細胞スフェロイドのアレイ化培養
6 おわりに

第15章 酸素透過プレートと肝モデル応用
1 はじめに
2 酸素透過性プレートの開発
3 酸素透過プレートを用いた階層的重層化培養
4 凝集体培養
5 肝チップの開発動向と肝モデルへの応用
6 おわりに

第16章 臓器由来細胞を集積化したBody-on-a-chip
1 はじめに
2 バルクスケールの複数臓器由来細胞共培養装置
3 マイクロスケールの複数臓器由来細胞共培養デバイス:Body-on-a-chip
4 実用化に向けたBody-on-a-chip
5 おわりに

第17章 マルチスループットMicrophysiological systems
1 背景
2 圧力駆動型の循環培養デバイス
3 マルチスループットMultiorgans-on-a-chip
4 プラットフォームとしてのマルチスループットMicropysiological systems
5 マルチスループットMultiorgans-on-a-chipを用いた抗癌剤プロドラッグの評価
6 今後の展望

第18章 薬物動態解析のためのマイクロ人体モデル
1 はじめに
2 消化,吸収,代謝を考慮に入れたバイオアッセイチップ
 2.1 胃・十二指腸モデル
 2.2 腸管吸収モデル
 2.3 肝臓モデル
 2.4 消化吸収代謝の複合モデル
3 腎排泄マイクロモデル
4 おわりに

第19章 抗がん剤の副作用を再現するBody-on-a-chipの開発
1 背景
2 実験方法
 2.1 生体外抗がん剤副作用モデル
 2.2 iHCCのデザイン
 2.3iHCC製造プロセス
 2.4 デバイス制御
 2.5 細胞培養
 2.6 iHCCにおける細胞培養
 2.7 iHCCにおける抗がん剤細胞試験
 2.8 96ウェルプレートでの抗がん剤細胞試験
 2.9 死細胞染色
 2.10 顕微鏡観察と画像解析
3 結果と考察
 3.1 iHCCにおける細胞培養
 3.2 iHCCにおける薬物検査
4 結論