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特集:ナノファイバーの評価法
Formation and Characterization of Nanofibers
●特集号によせて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
谷岡明彦
Akihiko Tanioka 東京工業大学大学院 理工学研究科 有機・高分子物質専攻 教授
--------------------------------------------------------------------------------
散乱法によるナノファイバーの解析・・・・・・・・・・・・7
Analysis of Nanofibers by means of Scattering Methods
梶 慶輔
Keisuke Kaji 京都大学 名誉教授
ナノファイバーの形状(太さと長さ)とその分率,および内部構造の散乱法による解析を説明す
る。散乱法としては,小角X 線散乱(SAXS),小角中性子散乱(SANS,広角X線回折(WAXD),レ
ーザーラマン散乱などを取り上げた。これらの散乱実験結果の解釈には信頼できるモデルが不可欠
であることを強調した。
~目次~
1.はじめに
2.ナノファイバーの構造と散乱法
3.小角散乱によるナノファイバーの形状の測定
3.1 棒状粒子の散乱理論
3.2 小角X線散乱によるミクロフィブリルの太さの決定
3.3 小角中性子散乱によるシシの太さの決定
4.広角X線回析による結晶サイズの決定
4.1 シェラー(Scherrer)の方法
4.2 ホーゼマン(Hosemann)の方法
4.3 実験法と実際例
5.ラマン散乱による結晶サイズの決定
5.1 ポリエチレン(PE)
5.2 その他のポリマー
6.シシの分率の決定
7.おわりに
--------------------------------------------------------------------------------
複屈折近接場光学顕微鏡の開発と応力イメージングへの応用・・・・17
Development of Birefringence Scanning Near-field Optical Microscope and its
Application to Stress Imaging
梅田倫弘
Norihiro Umeda 東京農工大学大学院 共生科学技術研究部 教授
ナノテクノロジーによる構造・機能材料分野の進展に伴い,応力や異方性分布を非接触・高分解
能に観測評価できる分析手法として,複屈折を高速に評価できる計測法を近接場光学顕微鏡に導入
した新規な計測システムを開発した。開発装置の構成および光磁気ディスクやナノインデンテーシ
ョン圧痕の応力分布の観測結果について紹介する。
~目次~
1.はじめに
2.複屈折近接場測定の条件
3.複屈折近接場の顕微鏡の装置と計測特性
3.1 装置構成
3.2 計測特性
4.光ディスク基板の観測
5.ナノインデント圧痕の応力分布
6.おわりに
--------------------------------------------------------------------------------
AFMによる高分子一本鎖のナノ力学測定・・・・・・・・・・24
Nano-mechanical Measurement of a Single Polymer Chain by AFM
中嶋 健 *1 酒井康博 *2 伊藤耕三 *3 西 敏夫 *4
*1 Ken Nakajima 東京工業大学大学院 理工学研究科 有機・高分子物質専攻 助手
*2 Yasuhiro Sakai 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻 博士課程3年
*3 Kohzo Ito 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻 教授
*4 Toshio Nishi 東京工業大学大学院 理工学研究科 有機・高分子物質専攻 教授
通常表面の凹凸情報を取得するための「顕微鏡」として利用されるAFMを高分子表面のナノ力学
物性を測定するための手段と位置づけ,高分子に特化した形で筆者らが開発してきた測定法・評価
法について述べる。高分子表面のナノスケールでの力学物性測定に始まり,ナノブリッジ,高分子
一本鎖とその研究の道筋をたどっていく中でナノレオロジーAFMと名づけたこの方法がいかに有効
であるかを示す。
~目次~
1.はじめに
(1)ナノレオロジーAFM
(2)ナノトライボロジーAFM
2.高分子表面のナノレオロジー
3.ナノブリッジ
4.ナノフィッシング(単一高分子鎖伸張)
5.高分子一本鎖のナノレオロジー
6.おわりに
--------------------------------------------------------------------------------
3次元電子顕微鏡の概要と高分子ナノ構造の観察・・・・・・・・・・・33
Introduction of Three-dimensional TEM and Application for Polymeric Materials
古河弘光 *1 陣内浩司 *2 清水美代子 *3
*1 Hiromitsu Furukawa 日本電子システムテクノロジー(株) 第5技術部 部長
*2 Hiroshi Jinnai 京都工芸繊維大学 繊維学部 助教授
*3 Miyoko Shimizu 日本電子システムテクノロジー(株) 第5技術部
ナノテクノロジーをキーワードに,微細領域の研究が盛んである。これを背景に,ナノレベルの3
次元構造を観察したいという要求が高まってきた。現在,この要求に応えられる唯一の装置が3次元
電子顕微鏡である。本稿では3次元電子顕微鏡の原理および概要と,高分子ナノ構造の観察事例を紹
介する。
~目次~
1.はじめに
2.透過型電子顕微鏡
3.3次元再構成の原理
4.3次元電子顕微鏡
5.高分子分野への応用
6.おわりに
--------------------------------------------------------------------------------
陽電子消滅試験および微小領域応力測定による材料評価技術・・・・43
Material Evaluation Technology by Positron Annihilation Measurement and Micro/
Nano-scopic Stress Measurement
藤城泰文 *1 溝尾 律 *2
*1 Yasufumi Fujishiro 住友金属テクノロジー(株) 関西事業部 試験・調査部 部長
*2 Osamu Mizoo 住友金属テクノロジー(株) 関西事業部 試験・調査部
半導体素子のようなナノテクノロジーを活用した微細構造物の品質評価技術は,従来の評価方法
では難しく,新しい評価技術およびその適用が研究されている。陽電子消滅試験は各種材質の微細
構造変化(析出現象,疲労破壊ほか)を定量的に評価することが可能であり,また光や電子線を用
いた微小領域応力測定技術は,0.1μm程度の微小部の残留応力や作用応力を測定することができる。
本稿ではこれらの技術と適用例について紹介する。
~目次~
1.はじめに
2.陽電子消滅試験
2.1 陽電子消滅法
2.2 ナノ構造を陽電子で探る
2.3 陽電子消滅寿命の測定例
2.4 陽電子消滅寿命の今後
3.微小領域応力測定
3.1 微小領域応力測定の原理
3.2 微小領域応力測定の測定例
3.3 微小領域応力測定の今後
4.おわりに
--------------------------------------------------------------------------------
ナノテク材料評価における振動分光法の活用・・・・・・・・54
Application of Vibrational Spectroscopy to Materials in Nano-technology
幾田信生 *1 西尾悦雄 *2
*1 Nobuo Ikuta 湘南工科大学 工学部 マテリアル工学科 教授
*2 Etsuo Nishio (株)パーキンエルマージャパン 代表取締役社長
赤外吸収とラマン発光による振動分光法は一般的な分析であるが,ナノテクノロジー分野でも構
造解析法として用いられている。ここでは,ナノ構築表面あるいは局所空間の評価技法として振動
分光を紹介するとともに,ナノカーボンチューブの特性解析として用いられる共鳴ラマン分析を取
り上げる。末尾には振動分光法を用いた当該分野の最近の研究動向を記した。
~目次~
1.はじめに
2.赤外分光による表面状態分析
2.1 各種反射法によるLB膜評価
2.2 誘起電磁波による高感度赤外分析
3.最近の表面界面分析:和周波発生(SFG)
4.顕微赤外分光法
5.カーボンナノチューブの共鳴ラマン
6.最近の研究動向と今後の展望
Material Report
R&D
フェノキシイミン錯体触媒の開発と応用・・・・・・・・・・・・60
Development of Highly-Active Olefin Polymerization Catalysts "FI Catalysts"
and their Applications to New Polymers
中山 康 *1 三谷 誠 *2 藤田照典 *3
*1 Yasushi Nakayama 三井化学(株) 触媒科学研究所 研究員
*2 Makoto Mitani 三井化学(株) 触媒科学研究所 主任研究員
*3 Terunori Fujita 三井化学(株) 触媒科学研究所 研究主幹
FI触媒の大きな特徴は,配位子構造の変換により,従来のオレフィン重合触媒では合成困難であっ
たユニークなポリオレフィンが合成できることにある。本稿では,FI触媒を用いた分子量制御ポリマ
ー(極低~超高分子量)の合成や,リビング重合技術を利用したブロックポリマーの合成について紹
介する。また,工業プロセス上重要な担持型FI触媒の開発についても述べる。
~目次~
1.はじめに
2.オレフィン重合触媒発展の歴史
2.1 Ziegler触媒の発見と高活性Mg系担持型チタン触媒
2.2 ポストメタロセン触媒の研究の進展
3.FI触媒の現状と機能性ポリオレフィンへの展開
3.1 分子量制御ポリマー
3.2 ブロックポリマーへの展開
3.3 塩化マグネシウム助触媒系への展開
4.おわりに
--------------------------------------------------------------------------------
音力発電の現状とこれから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
An Overview of Research and Development of Sound-generated Electricity
速水浩平 *1 武藤佳恭 *2
*1 Kohei Hayamizu 慶應義塾大学 環境情報学部
*2 Yoshiyasu Takefuji 慶應義塾大学 環境情報学部 教授;政策メディア研究科委員
「音力発電」とは,音のエネルギーを電気エネルギーに変換する発電方法である。この発電では特
に騒音や雑音・振動などこれまで捨てられていた音を有効に使う(再利用する)ことを目的としてい
る。音力発電の研究領域は,「波動や振動のエネルギー」を使って発電する「振動力発電」の研究領
域と重なる。その意味で,音力発電は振動力発電の技術の一部を応用したものともいえる。音と振動
の2つの発電方法を組み合わせた「音力・振動力発電」は,新しいエネルギーとして将来さまざまな
分野において利用することが可能である。
~目次~
1.はじめに
2.音力発電の紹介
2.1 音力発電とは
2.2 振動力発電とは
2.3 目的
3.技術的特徴
3.1 2種類の発電方法の比較
3.2 音力発電の技術的特徴
4.長所と課題
5.他技術との比較
6.音力・振動力発電が可能にすること
7.共同研究について
7.1 注目される音力・振動力発電
7.2 JR東日本との共同研究
7.3 音力発電のMOT-ジュールプロダクト
8.音力・振動力発電の普及
9.応用展開
(1)ユビキタス発電とは
10.音力・振動力発電を生かすべき
10.1 音や振動で駆動する低消費電力機器
10.2 複合リソースとして
11.おわりに
機能材料連載講座:因果化学からみる材料の機能性(8)
材料展開を複眼視する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
Multiple Viewpoints of Materials
市村國宏
Kunihiro Ichimura 東邦大学 理学部 特任教授
材料は科学と産業技術の接点で深化しているが,材料の研究開発が進めば進むほど専門以外の材料
分野を理解することが難しくなっている。実際には,多種多様な素材を組み合わせて実用的な性能や
機能を創造しているので,異種の材料技術間での横断的な見方が重要となっている。
~目次~
1.はじめに
2.材料技術の展開
3.相互作用と相互依存
4.超分子系と分子協調系
5.分子協調系における因果化学的な機能発現
6.材料技術を複眼視する
7.おわりに
連載:高分子材料の実用性(4)
医療機器への応用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87
鴨川昭夫
Akio Kamogawa 元・理化学研究所 研究員/元・工学院大学 電子工学科;化学工学科
プラスチックを使用して,コンピューター制御で頭部模型を塑性変形で作り,それを用いた医学の
発達のための研究が始まっている。また,プラスチックは加工されると弱電を帯びるために,これを
防ぐためにスプレーでアンモニアを吹き付けるが,時計バンドのような帯状のプラスチックでは静電
気除去用のプラスチックが開発されている。
~目次~
-感光性樹脂製の実物大頭部模型
-ポリエステル製抗菌白衣
-人工筋力で人間並みの反応速度を達成
Formation and Characterization of Nanofibers
●特集号によせて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
谷岡明彦
Akihiko Tanioka 東京工業大学大学院 理工学研究科 有機・高分子物質専攻 教授
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散乱法によるナノファイバーの解析・・・・・・・・・・・・7
Analysis of Nanofibers by means of Scattering Methods
梶 慶輔
Keisuke Kaji 京都大学 名誉教授
ナノファイバーの形状(太さと長さ)とその分率,および内部構造の散乱法による解析を説明す
る。散乱法としては,小角X 線散乱(SAXS),小角中性子散乱(SANS,広角X線回折(WAXD),レ
ーザーラマン散乱などを取り上げた。これらの散乱実験結果の解釈には信頼できるモデルが不可欠
であることを強調した。
~目次~
1.はじめに
2.ナノファイバーの構造と散乱法
3.小角散乱によるナノファイバーの形状の測定
3.1 棒状粒子の散乱理論
3.2 小角X線散乱によるミクロフィブリルの太さの決定
3.3 小角中性子散乱によるシシの太さの決定
4.広角X線回析による結晶サイズの決定
4.1 シェラー(Scherrer)の方法
4.2 ホーゼマン(Hosemann)の方法
4.3 実験法と実際例
5.ラマン散乱による結晶サイズの決定
5.1 ポリエチレン(PE)
5.2 その他のポリマー
6.シシの分率の決定
7.おわりに
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複屈折近接場光学顕微鏡の開発と応力イメージングへの応用・・・・17
Development of Birefringence Scanning Near-field Optical Microscope and its
Application to Stress Imaging
梅田倫弘
Norihiro Umeda 東京農工大学大学院 共生科学技術研究部 教授
ナノテクノロジーによる構造・機能材料分野の進展に伴い,応力や異方性分布を非接触・高分解
能に観測評価できる分析手法として,複屈折を高速に評価できる計測法を近接場光学顕微鏡に導入
した新規な計測システムを開発した。開発装置の構成および光磁気ディスクやナノインデンテーシ
ョン圧痕の応力分布の観測結果について紹介する。
~目次~
1.はじめに
2.複屈折近接場測定の条件
3.複屈折近接場の顕微鏡の装置と計測特性
3.1 装置構成
3.2 計測特性
4.光ディスク基板の観測
5.ナノインデント圧痕の応力分布
6.おわりに
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AFMによる高分子一本鎖のナノ力学測定・・・・・・・・・・24
Nano-mechanical Measurement of a Single Polymer Chain by AFM
中嶋 健 *1 酒井康博 *2 伊藤耕三 *3 西 敏夫 *4
*1 Ken Nakajima 東京工業大学大学院 理工学研究科 有機・高分子物質専攻 助手
*2 Yasuhiro Sakai 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻 博士課程3年
*3 Kohzo Ito 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻 教授
*4 Toshio Nishi 東京工業大学大学院 理工学研究科 有機・高分子物質専攻 教授
通常表面の凹凸情報を取得するための「顕微鏡」として利用されるAFMを高分子表面のナノ力学
物性を測定するための手段と位置づけ,高分子に特化した形で筆者らが開発してきた測定法・評価
法について述べる。高分子表面のナノスケールでの力学物性測定に始まり,ナノブリッジ,高分子
一本鎖とその研究の道筋をたどっていく中でナノレオロジーAFMと名づけたこの方法がいかに有効
であるかを示す。
~目次~
1.はじめに
(1)ナノレオロジーAFM
(2)ナノトライボロジーAFM
2.高分子表面のナノレオロジー
3.ナノブリッジ
4.ナノフィッシング(単一高分子鎖伸張)
5.高分子一本鎖のナノレオロジー
6.おわりに
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3次元電子顕微鏡の概要と高分子ナノ構造の観察・・・・・・・・・・・33
Introduction of Three-dimensional TEM and Application for Polymeric Materials
古河弘光 *1 陣内浩司 *2 清水美代子 *3
*1 Hiromitsu Furukawa 日本電子システムテクノロジー(株) 第5技術部 部長
*2 Hiroshi Jinnai 京都工芸繊維大学 繊維学部 助教授
*3 Miyoko Shimizu 日本電子システムテクノロジー(株) 第5技術部
ナノテクノロジーをキーワードに,微細領域の研究が盛んである。これを背景に,ナノレベルの3
次元構造を観察したいという要求が高まってきた。現在,この要求に応えられる唯一の装置が3次元
電子顕微鏡である。本稿では3次元電子顕微鏡の原理および概要と,高分子ナノ構造の観察事例を紹
介する。
~目次~
1.はじめに
2.透過型電子顕微鏡
3.3次元再構成の原理
4.3次元電子顕微鏡
5.高分子分野への応用
6.おわりに
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陽電子消滅試験および微小領域応力測定による材料評価技術・・・・43
Material Evaluation Technology by Positron Annihilation Measurement and Micro/
Nano-scopic Stress Measurement
藤城泰文 *1 溝尾 律 *2
*1 Yasufumi Fujishiro 住友金属テクノロジー(株) 関西事業部 試験・調査部 部長
*2 Osamu Mizoo 住友金属テクノロジー(株) 関西事業部 試験・調査部
半導体素子のようなナノテクノロジーを活用した微細構造物の品質評価技術は,従来の評価方法
では難しく,新しい評価技術およびその適用が研究されている。陽電子消滅試験は各種材質の微細
構造変化(析出現象,疲労破壊ほか)を定量的に評価することが可能であり,また光や電子線を用
いた微小領域応力測定技術は,0.1μm程度の微小部の残留応力や作用応力を測定することができる。
本稿ではこれらの技術と適用例について紹介する。
~目次~
1.はじめに
2.陽電子消滅試験
2.1 陽電子消滅法
2.2 ナノ構造を陽電子で探る
2.3 陽電子消滅寿命の測定例
2.4 陽電子消滅寿命の今後
3.微小領域応力測定
3.1 微小領域応力測定の原理
3.2 微小領域応力測定の測定例
3.3 微小領域応力測定の今後
4.おわりに
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ナノテク材料評価における振動分光法の活用・・・・・・・・54
Application of Vibrational Spectroscopy to Materials in Nano-technology
幾田信生 *1 西尾悦雄 *2
*1 Nobuo Ikuta 湘南工科大学 工学部 マテリアル工学科 教授
*2 Etsuo Nishio (株)パーキンエルマージャパン 代表取締役社長
赤外吸収とラマン発光による振動分光法は一般的な分析であるが,ナノテクノロジー分野でも構
造解析法として用いられている。ここでは,ナノ構築表面あるいは局所空間の評価技法として振動
分光を紹介するとともに,ナノカーボンチューブの特性解析として用いられる共鳴ラマン分析を取
り上げる。末尾には振動分光法を用いた当該分野の最近の研究動向を記した。
~目次~
1.はじめに
2.赤外分光による表面状態分析
2.1 各種反射法によるLB膜評価
2.2 誘起電磁波による高感度赤外分析
3.最近の表面界面分析:和周波発生(SFG)
4.顕微赤外分光法
5.カーボンナノチューブの共鳴ラマン
6.最近の研究動向と今後の展望
Material Report
R&D
フェノキシイミン錯体触媒の開発と応用・・・・・・・・・・・・60
Development of Highly-Active Olefin Polymerization Catalysts "FI Catalysts"
and their Applications to New Polymers
中山 康 *1 三谷 誠 *2 藤田照典 *3
*1 Yasushi Nakayama 三井化学(株) 触媒科学研究所 研究員
*2 Makoto Mitani 三井化学(株) 触媒科学研究所 主任研究員
*3 Terunori Fujita 三井化学(株) 触媒科学研究所 研究主幹
FI触媒の大きな特徴は,配位子構造の変換により,従来のオレフィン重合触媒では合成困難であっ
たユニークなポリオレフィンが合成できることにある。本稿では,FI触媒を用いた分子量制御ポリマ
ー(極低~超高分子量)の合成や,リビング重合技術を利用したブロックポリマーの合成について紹
介する。また,工業プロセス上重要な担持型FI触媒の開発についても述べる。
~目次~
1.はじめに
2.オレフィン重合触媒発展の歴史
2.1 Ziegler触媒の発見と高活性Mg系担持型チタン触媒
2.2 ポストメタロセン触媒の研究の進展
3.FI触媒の現状と機能性ポリオレフィンへの展開
3.1 分子量制御ポリマー
3.2 ブロックポリマーへの展開
3.3 塩化マグネシウム助触媒系への展開
4.おわりに
--------------------------------------------------------------------------------
音力発電の現状とこれから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
An Overview of Research and Development of Sound-generated Electricity
速水浩平 *1 武藤佳恭 *2
*1 Kohei Hayamizu 慶應義塾大学 環境情報学部
*2 Yoshiyasu Takefuji 慶應義塾大学 環境情報学部 教授;政策メディア研究科委員
「音力発電」とは,音のエネルギーを電気エネルギーに変換する発電方法である。この発電では特
に騒音や雑音・振動などこれまで捨てられていた音を有効に使う(再利用する)ことを目的としてい
る。音力発電の研究領域は,「波動や振動のエネルギー」を使って発電する「振動力発電」の研究領
域と重なる。その意味で,音力発電は振動力発電の技術の一部を応用したものともいえる。音と振動
の2つの発電方法を組み合わせた「音力・振動力発電」は,新しいエネルギーとして将来さまざまな
分野において利用することが可能である。
~目次~
1.はじめに
2.音力発電の紹介
2.1 音力発電とは
2.2 振動力発電とは
2.3 目的
3.技術的特徴
3.1 2種類の発電方法の比較
3.2 音力発電の技術的特徴
4.長所と課題
5.他技術との比較
6.音力・振動力発電が可能にすること
7.共同研究について
7.1 注目される音力・振動力発電
7.2 JR東日本との共同研究
7.3 音力発電のMOT-ジュールプロダクト
8.音力・振動力発電の普及
9.応用展開
(1)ユビキタス発電とは
10.音力・振動力発電を生かすべき
10.1 音や振動で駆動する低消費電力機器
10.2 複合リソースとして
11.おわりに
機能材料連載講座:因果化学からみる材料の機能性(8)
材料展開を複眼視する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
Multiple Viewpoints of Materials
市村國宏
Kunihiro Ichimura 東邦大学 理学部 特任教授
材料は科学と産業技術の接点で深化しているが,材料の研究開発が進めば進むほど専門以外の材料
分野を理解することが難しくなっている。実際には,多種多様な素材を組み合わせて実用的な性能や
機能を創造しているので,異種の材料技術間での横断的な見方が重要となっている。
~目次~
1.はじめに
2.材料技術の展開
3.相互作用と相互依存
4.超分子系と分子協調系
5.分子協調系における因果化学的な機能発現
6.材料技術を複眼視する
7.おわりに
連載:高分子材料の実用性(4)
医療機器への応用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87
鴨川昭夫
Akio Kamogawa 元・理化学研究所 研究員/元・工学院大学 電子工学科;化学工学科
プラスチックを使用して,コンピューター制御で頭部模型を塑性変形で作り,それを用いた医学の
発達のための研究が始まっている。また,プラスチックは加工されると弱電を帯びるために,これを
防ぐためにスプレーでアンモニアを吹き付けるが,時計バンドのような帯状のプラスチックでは静電
気除去用のプラスチックが開発されている。
~目次~
-感光性樹脂製の実物大頭部模型
-ポリエステル製抗菌白衣
-人工筋力で人間並みの反応速度を達成