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月刊機能材料 2014年6月号

【特集】材料の劣化解析・評価技術の最新動向

商品コード:
M1406
発行日:
2014年6月5日
体裁:
B5判
ISBNコード:
0286-4835
価格(税込):
4,400
ポイント: 40 Pt
関連カテゴリ:
雑誌・定期刊行物 > 月刊機能材料

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【特集】材料の劣化解析・評価技術の最新動向

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構造材料の劣化機構解明へ向けた3次元アトムプローブの応用
Applications of Three‒dimensional Atom Probe for Understanding Degradation Mechanisms
in Structural Materials

外山健 (東北大学)
井上耕治 (東北大学)
永井康介 (東北大学)

 実空間の元素分布をほぼ原子レベルの空間分解能で3次元マッピングできる3次元アトムプローブを用いて、原子炉で用いられる鉄鋼材料を例に、構造材料の劣化の原因となるナノスケールの析出、粒界偏析、溶質原子の濃度揺らぎなどを観察した例を紹介する。

1. はじめに
2.3 D‒AP 法
2.1 測定原理
2.2 試料作製
3. 原子炉圧力容器鋼の照射脆化機構
4. 中性子照射したステンレス鋼の硬化機構
5. 熱時効したオーバーレイクラッドの硬化機構
6. おわりに

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高分子材料の熱・光・酸化劣化の新奇な迅速評価技術
A New Technique for Rapid Evaluation of Photo, Thermal, and Oxidative Degradation of Polymeric Materials

大谷肇 (名古屋工業大学)

 加熱炉型熱分解装置を用いる熱分解GC/MSシステムをベースに、Xeランプを光源とするマイクロ紫外線照射装置を組み合わせた、新しいポリマーの促進劣化試験法を開発した。この手法により、従来の試験法とよく相関した結果が得られるのみならず、劣化評価時間の大幅な短縮と、従来困難であった揮発性劣化生成物の分析を可能にした。

1. はじめに
2. オンラインUV/Py‒GC/MS のシステム構成
3. 耐衝撃性ポリスチレンの劣化評価
3.1 オンラインUV/Py‒GC/MS 法によるHIPSの劣化評価
3.2 オンラインUV/Py‒GC/MS と従来法による劣化評価の相関
4. 光触媒によるポリ塩化ビニルの光分解機構の解析
5. 総括

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車載用リチウムイオン二次電池の寿命評価技術と劣化機構解明
Life Evaluation Methods and Elucidation of Degradation Mechanisms
of Lithium‒Ion Rechargeable Batteries for Electric Vehicles

小林弘典 ((独)産業技術総合研究所)

 最近、普及が目覚ましいxEVの駆動電源としてリチウムイオン二次電池(LIB)が用いられてきている。車載用LIBでは10年以上の寿命が要求されていることから、近年、寿命を精度良く推定する手法についての研究が活発に行われるようになってきている。また、短期間での寿命予測を可能にするための加速試験条件の選定や長寿命を実現するための特性改善の指針を得るための電池性能の劣化機構解明の重要性がより増してきている。本稿では、車載用LIB の寿命評価技術と劣化機構解明の最近の動向について解説する。

1. はじめに
2. LIBの基本原理
3. 寿命評価技術
4. 劣化機構解明
5. (独)産業技術総合研究所(産総研)での取り組み
6. まとめ

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コンクリート構造物の劣化とその評価
Deterioration of Reinforced Concrete Structure and its Evaluation

湯浅昇 (日本大学)

 一昨年12月に発生した笹子トンネル天井板崩落事故を契機に数多いコンクリート構造物の維持管理に関心が高まっている。本稿は、コンクリート構造物の劣化機構と劣化の評価方法を解説したものである。試験方法に選択においては、調査・診断の目的に対して必要な精度、破壊の許容度、許容できる費用のバランスの中で考えるべきである。

1. はじめに
2. コンクリート構造物に負荷する外的劣化因子とそれらによる劣化現象
2.1 中性化による鉄筋腐食とコンクリートの剥落
2.2 塩害による鉄筋腐食とコンクリートの剥落
2.3 凍結融解作用による劣化(凍害)
2.4 アルカリ骨材反応による劣化
2.5 化学的侵食・溶脱
2.6 火害
3. 劣化度評価試験方法
3.1 中性化深さ
3.2 塩化物イオン量
3.3 鉄筋腐食評価方法
4.おわりに

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デバイスの熱特性評価と信頼性向上技術
Thermal Characteristics Evaluation and Reliability Improvement Technology for Electronic Devices

今井康雄 (沖エンジニアリング(株))

 電子部品/モジュールは、より微細に、より高速に、そしてよりハイパワーに進化を続ける。この進化に伴って、避けて通ることができない課題が発熱とノイズである。本稿では特に熱に注目し熱抵抗測定の測定方法を紹介し、次に沖エンジニアリング(以下略 OEG)の熱過渡解析を加えた熱解析法を説明する。続いて熱特性の評価、解析の適用例をいくつか紹介し、OEGが取り組んできた新しい測定事例の紹介も行う。

1. はじめに
2. デバイスの熱特性評価方法
2.1 熱抵抗測定方法
2.2 熱電対を利用した測定法
2.3 熱過渡解析による測定法
3. 熱解析の信頼性評価への適用
3.1 部品の発熱に関する熱過渡解析の適用
3.2 熱過渡解析の電子部品・デバイスへの展開
4. 今後の熱解析への期待

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Material Report -R&D-

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廃棄物由来動物タンパク質を用いた環境調和型シルクおよび羊毛樹脂
Keratin and Fibroin Resins for Environmental Friendly Materials Using Animal Proteins Derived from Industrial Wastes

平井伸治 (室蘭工業大学)

 羊毛廃棄物や衣料品廃棄物のリサイクルの必要性について概説すると共に、衣料品廃棄物からのシルクの分離・回収プロセス、さらにシルク廃棄物の再生用途として有望な高いガラス転移温度、低熱膨張率、高熱伝導率の他に低誘電・低誘電正接を有するシルク樹脂について紹介する。さらに、羊毛廃棄物を原料に用いた、シルク樹脂よりも高いガラス転移温度、低い熱膨張率を有する羊毛樹脂について紹介する。

1. はじめに
2. 樹脂の原料となる動物繊維
3. 衣料品廃棄物から動物繊維の分離・回収
4. シルクの樹脂化
5. シルク樹脂の優れた特性
6. 羽毛や羊毛の樹脂化に関するこれまでの研究
7. 羊毛の樹脂化
8. おわりに

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診断薬用蛍光ナノシリカ粒子Quartz Dot(R)の開発
R&D of Fluorescent Silica Nanoparticles for Diagnostic Testing

大久保典雄 (古河電気工業(株))

 粒子中に蛍光色素を固定化したナノサイズの蛍光シリカ粒子は、シリカ粒子の高機能化の有効な手段ではあるが、本稿では、蛍光ナノシリカ粒子の合成法や特徴を詳述する。またその応用例として、迅速診断薬への適用の可能性についても紹介する。

1. はじめに
2. QUARTZ DOT(R)
2.1 シリカ粒子合成法
2.2 有機色素の固定化方法
2.3 粒径制御
3. 表面修飾技術
3.1 表面修飾の目的
3.2 交互吸着法
3.3 交互吸着法による蛍光シリカナノ粒子の表面修飾
3.4 分散安定性の評価
4. 診断試薬用標識材料への応用
4.1 イムノクロマト法
4.2 抗体結合特性とその安定性
4.3 蛍光シリカ粒子を用いたイムノクロマト診断薬
5.おわりに

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自己発熱機能をもつ固体型CO2吸収材の構造, 作製方法とその応用分野
Structure and Preparing Method of Solid CO2 Absorbent with Self‒heating Functions,
and its Application Field

大石克嘉 (中央大学)
小林亮太 (東京都市大学)
古藤大輝 (中央大学)
金川護 (金川技術士事務所)

 リチウム複合酸化物は、自身1gあたりのCO2吸収体積が大きく、固体であるが故のコンパクト性を持ち、高温領域でCO2を吸収可能であるが、逆に常温でのCO2吸収能はかなり小さく、またCO2吸収後再利用するためには高温での熱処理が必須という問題点も存在する。本稿では、これら酸化物の問題点を解消するために自己発熱機能を持たせた新規CO2吸収材の構造に関するアイデア、作製法とその応用分野について述べる。

1. はじめに
2. Li複合酸化物系CO2吸収材
3. これまでの問題点を解決可能な固体型CO2吸収材の新規構造
4. 通電による金属銅線の発熱とその表面温度の測定
5. 棒状の金属銅線上に酸化物層を形成後さらにCO2吸収材層を形成させた
 固体型CO2吸収材の作製とさらに複雑な形状をした固体型CO2 吸収材の作製方法
6. 本固体型CO2吸収材の適用・応用分野
7. まとめ

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異分野探訪コラム セレンディピティの種 ―第1回―

抗ウイルス素材の開発 ―ネットワークはふとした出会いから始まる―

坂上宏 (明海大学)


 セレンディピティは、掘り出し物を見つける才能とか、運よく見つけたものと訳されているが、身近なところに潜んでいる偶然は勇気を出して掘り起こさないと気づかない。研究者は、ふとした出会いからアイデアやテーマをもらい、やがて研究のネットワークが形成されてゆく。今回、私を含む7人の現役の研究者が、それぞれの分野において、どのようなきっかけで現在の研究テーマを育んできたのか、また、今後の研究の方向性について12月号までの全7回で語ることになった。「セレンディピティの種」として読者の皆様の土壌に何らかの「芽」となれば幸いである。

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