キーワード:
化粧品/パラベン/防腐剤/微生物/防腐剤フリー/特許情報/シリコーン/ノンシリコーン/高分子材料/天然物/植物由来成分/精油/化粧品市場
刊行にあたって
パラベンやシリコーンは,これまでの製品開発においても長年有用な成分として使われてきており,他の同等成分と比較しても安全性をはじめとした各点には問題はないという意見も多い。私もそう感じている。同時に新原料を紹介することで,安全安心で効果的な処方設計の選択肢を広げることも必要であると感じていた。
消費者の選択を優先する時代の波の中で,今は暗中模索かもしれない。合成由来や天然由来という原料の狭間の中で,化粧品技術者として成功も幸せも変化に向かって,躊躇せず前へ進み新しい一歩を踏み出すしかないように思う。そして進むための正しい情報が必要になるであろう。監修者にとって,読者諸氏の実用的・実践的な情報書籍として,本書が一つの答えを出すというよりも活用の一助となれば幸甚である。(本書「はじめに」より抜粋)
著者一覧
島田邦男 東京農業大学客員教授 水野 誠 和歌山県立医科大学;㈱コーセー 古川福実 和歌山県立医科大学 中山秀夫 中山皮膚科クリニック 杉山真理子 ㈱資生堂リサーチセンター 矢野嘉宏 知財問題研究家 松田行成 上野製薬㈱ 鈴木淳子 東京都健康安全研究センター 土屋 禎 (一財)日本食品分析センター 松田 潤 化粧品微生物コンサルタント;元P&G 近藤秀俊 東レ・ダウコーニング㈱ 菅沼紀之 東レ・ダウコーニング㈱ | 遠井慎吾 ㈱カネボウ化粧品 柏井利之 ライオン㈱ 堀江 豊 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社 楊建中 ㈱Beauty & Health Innovation 坪井 誠 一丸ファルコス㈱ 宮本敬子 ニッコールグループ ㈱コスモステクニカルセンター 勝間田祐貴 日本精化㈱ 柴田雅史 東京工科大学 野村正人 近畿大学 太田伸二 広島大学 菅原詩帆 広島大学 岡崎 渉 東洋大学 |
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第1章 化粧品の安全性評価
1 はじめに
2 化粧品の安全性に関する規制の変遷
3 化粧品の安全性評価の手順
4 化粧品原料の安全性評価
5 化粧品製品の安全性評価
5.1 ヒトパッチテスト
5.2 Human Repeated Insult Patch Test(RIPT)
5.3 Repeated Open Application Test(ROAT)
5.4 刺激感試験(Stinging Test)
5.5 使用試験
6 製造販売後安全管理
6.1 安全管理情報の収集と検討
6.2 安全確保措置の立案と実施
7 おわりに
第2章 化粧品による皮膚炎
1 化粧品で皮膚炎が起きたら,どちらが悪い?化粧品か,それとも使用者のほうか
2 障害の極致は顔の黒くなる病変であった(色素沈着型化粧品皮膚炎,女子顔面黒皮症)
3 化粧品からくるアレルゲンの探索
4 香粧品を治したら顔面黒皮症が治り,予防もできた
5 21世紀の化粧品皮膚炎
6 今後の予防法
第3章 低刺激性製剤の開発
1 はじめに
2 原料を厳選するための刺激性評価
2.1 刺激性の評価
2.1.1 刺激性による皮膚障害とは
2.1.2 刺激性のハザードの把握とリスクアセスメント
2.1.3 原料の厳選方法
2.1.4 単回適用法
2.1.5 連続適用による刺激性評価
2.2 感覚刺激性の評価
2.2.1 感覚刺激評価法(スティンギングテスト)の感度を向上させる試み
2.2.2 感性工学的手法を用いた試み
2.3 敏感肌用製剤の開発における各種評価法の有用性
2.3.1 低刺激性洗浄剤開発における臨床パッチテストと相関するスクリーニング法の検討
3 製剤レベルによる低刺激化
3.1 原料の組み合わせによる刺激低減化
3.2 感覚刺激の抑制
4 おわりに
【第II編 化粧品と防腐剤】
第4章 日本の化粧品防腐剤の現状
1 はじめに
2 パラベン配合濃度
3 防腐剤の環境汚染
4 おわりに
第5章 特許からみた最新の化粧品防腐剤
1 はじめに
2 従来の防腐剤
3 パラベン問題
4 防腐剤特許出願動向
5 2013年の公開・公表公報にみる防腐剤関連技術
6 おわりに
第6章 化粧品におけるパラベンの効果と安全性について
1 はじめに
2 パラベンの効果
3 パラベンの安全性
4 おわりに
第7章 化粧品におけるパラベンの表示および濃度の実態について
1 はじめに
2 調査方法
3 調査結果および考察
3.1 パラベンの表示割合
3.2 パラベンの検出数
3.3 パラベンの検出濃度と濃度分布
3.4 欧州委員会の規制
4 おわりに
第8章 化粧品の保存効力試験
1 はじめに
2 保存効力試験の概要
3 試験法および試験実施上の留意点
3.1 微生物株の入手・保存・継代培養
3.1.1 使用菌株
3.1.2 菌株の保存および継代培養
3.2 試料の調製
3.3 接種菌液の調製
3.4 菌液の接種
3.5 菌液接種後の試料の保存
3.6 不活化剤の効果確認
3.6.1 ISO 11930における不活化剤の効果確認
3.7 所定期間保存後の生菌数測定
3.7.1 混釈平板培養法における培養条件
3.7.2 集落数の計測
4 結果の判定
5 おわりに
第9章 防腐力試験と防腐剤フリー処方に向けての課題
1 はじめに
2 防腐力・防腐剤の意義
2.1 法律上の防腐力の位置づけ
2.2 微生物汚染の例
2.3 防腐系の科学的な意味
3 防腐力試験の意義と試験法
3.1 サンプルについて
3.1.1 サンプル中の原料、包材の材料
3.1.2 バッチサイズ
3.1.3 スタビリティーサンプル(安定性試験サンプル)
3.1.4 好ましいスケジュールの例
3.2 接種菌種について
3.3 接種菌数について
3.4 接種回数について
3.5 培養期間について
3.6 接種,回収(生菌数試験)が困難なもの
3.6.1 疎水性のクリーム・乳液等
3.6.2 ワックス状の製品
3.6.3 パウダー製品
3.6.4 シート状製品
3.6.5 風呂場等で用いるもの
4 チャレンジテストに代わる方法
5 防腐力試験以外で考慮すること
5.1 水分活性
5.2 pH
5.3 アルコール含量
5.4 製造工程
5.5 容器
5.6 保管法・使用法など
6 防腐剤フリー化粧品に向けて考慮すること
6.1 防腐剤の定義
6.1.1 科学的な意味での防腐剤
6.1.2 薬事法上での防腐剤の位置づけ
6.1.3 消費者が考える防腐剤
6.1.4 製造販売会社が言う防腐剤
6.2 防腐剤フリー(少量)に向けて
6.2.1 防腐剤以外に頼る
6.2.2 原料の性質をよく知る
6.3 その他考慮すべきこと
6.3.1 薬事法
6.3.2 特許
7 おわりに
第10章 化粧品と微生物
1 はじめに
2 微生物の迅速診断
2.1 電場を用いた分離技術
2.2 質量分析法を用いた同定および分類法の開発
2.3 生死判別色素による生菌数測定の開発
3 ガンマ線滅菌
4 開封後の期限表示
5 おわりに
【第III編 化粧品・ヘアケア剤とシリコーン】
第11章 シリコーンの歴史と安全性
1 はじめに
2 シリコーンとその化学について
2.1 シリコーンの誕生
2.2 シリコーンの製造方法
2.3 シリコーンの特性
3 シリコーンの産業利用について
3.1 シリコーンの市場展開
3.2 化粧品への応用の歴史
3.3 薬事法とシリコーン
3.4 化粧品用シリコーンについて
4 シリコーンの安全性について
4.1 シリコーン工業会
4.2 ポリジメチルシロキサンの安全性
4.3 低分子ジメチルシロキサンの安全性
4.4 その他のシリコーン化合物の安全性
5 おわりに
第12章 シリコーンによる顔料表面処理技術
1 はじめに;顔料の表面処理技術とは
2 シリコーン表面処理技術の誕生
3 シリコーン処理顔料と処方設計
4 メチルハイドロジェンポリシロキサンによる表面処理
5 その他のシリコーン処理
6 おわりに
第13章 髪を美しくするためにシリコーンが果たす役割
1 はじめに
2 毛髪の構造
2.1 キューティクルの構造
2.2 細胞膜複合体(CMC)の構造
2.3 コルテックスの構造
2.4 メデュラの構造
3 毛髪のダメージ
3.1 ブラッシング
3.2 スタイリング時の熱
3.3 日光の影響
3.4 カラーリングの影響
3.5 パーマの影響
3.6 複合要因の影響
4 毛髪の評価法
5 ヘアケアにおけるシリコーンの役割
6 シリコーンの毛髪への吸着挙動
6.1 ヘアケア行動の変化とシリコーンの吸着状態
6.2 カチオン性会合体による再疎水化とシリコーンの吸着制御
7 おわりに
第14章 シリコーンヘアコンディショニング剤
1 はじめに
2 ヘアケア用シリコーンの種類
3 各種ヘアケア用シリコーン
3.1 ジメチルシリコーン
3.1.1 ジメチコン
3.1.2 ジメチコノール
3.2 アミノ変性シリコーン
3.2.1 アモジメチコン
3.2.2 アミノプロピルジメチコン
3.2.3 ビスアミノプロピルジメチコン
3.2.4 ビスセテアリルアモジメチコン
3.3 ポリエーテル変性シリコーン
3.3.1 ジメチコンコポリオール,PEG/PPG-○/○ジメチコン
3.3.2 シリコーン・ポリエーテルブロック共重合体
3.4 フェニル変性シリコーン
3.4.1 フェニルトリメチコン
3.4.2 ジフェニルジメチコン
3.5 シリコーンブレンド
3.5.1 デカメチルシクロペンタシロキサン
3.5.2 イソパラフィン
3.5.3 低・中粘度ジメチコン
3.6 シリコーンエマルション
4 おわりに
第15章 新しいヘアケア剤の開発に向けて
1 はじめに
2 ノンシリコーンヘアケア製品の現状と特徴
3 ノンシリコーンヘアケア製品の技術的問題点および開発方向
4 おわりに
【第IV編 化粧品・ヘアケア剤新原料開発】
第16章 自然由来の化粧品原料開発における課題と展望
1 はじめに
2 天然化粧品素材の開発
3 機能性
4 保湿
5 安全性
6 何を求めるか
6.1 肌老化を改善するシナロピクリン
6.2 美肌成分プロテオグリカン
6.3 植物セラミド
6.4 肌を壊す原因酵素とその阻害
6.5 育毛素材
6.6 美白素材
7 植物エキス
8 低刺激を求める
9 食品
10 おわりに
第17章 ジメチロールプロピオン酸ヘキシルを用いた防腐剤フリー処方設計
1 はじめに
2 NIKKOL ニコガード6の溶解性
3 NIKKOL ニコガード6の油中分配
4 NIKKOL ニコガード6の乳化系処方における抗菌作用
4.1 添加量による影響
4.2 油相の極性による影響
4.3 pHによる影響
5 NIKKOL ニコガード6の水系処方における防腐作用
6 NIKKOL ニコガード6のスティンギング刺激
7 おわりに
第18章 全植物性シリコーン代替素材の開発とその応用
1 はじめに
2 全植物性シリコーン代替素材について
2.1 全植物性高分子シリコーン代替素材LUSPLAN™ SR-DM4
2.2 LUSPLAN™ SR-DM4の物理化学的性質
3 ヘアケア化粧品への応用
3.1 ヘアトリートメントへの応用,官能評価
3.2 毛髪ダメージ改善効果
3.2.1 表面疎水性改善効果
3.2.2 枝毛の抑制効果
3.3 非ビルドアップ性の確認
3.4 つるつる感の改善方法
3.5 低粘度シリコーン併用によるつるつる感の改善
3.6 ヘアスタイリング剤への応用
4 メイクアップ,スキンケア化粧料への応用
4.1 メイクアップ化粧料への応用
4.2 スキンケア化粧料への応用
5 おわりに
第19章 有機無機複合化による天然色素の安定性向上
1 はじめに
2 化粧品で用いられる天然色素とその課題
3 有機無機複合化の目的と機構
4 層状粘土鉱物を用いた複合色材
4.1 カチオン性色素との複合化
4.2 アニオン性色素との複合化
5 メソポーラスシリカを用いた複合色材
5.1 色素のホストとしてのメソポーラスシリカ
5.2 アニオン性色素との複合化
5.3 カチオン性色素との複合化
6 おわりに
第20章 植物由来成分の化粧品原料への応用
1 はじめに
2 フィトンチッド液の主な成分分析と調製
3 フィトンチッド液の殺菌・抗菌効果について
4 フィトンチッド液の安全性について
5 おわりに
第21章 昆虫および海洋生物由来の老化予防物質
1 はじめに
2 海洋生物由来の抗老化物質
3 昆虫由来の抗酸化物質
3.1 熱帯タサール蚕(ヤママユガ科)の抗酸化物質
3.2 ケブカクロバエに含まれる抗酸化物質
3.3 カブトムシ幼虫に含まれるラジカル消去物質
3.4 カイコ幼虫等の抗酸化グリセロリン脂質プラズマローゲン
3.5 サイカチマメゾウムシ幼虫の新規抗酸化脂質ドルサミンA
3.6 ドルサミンA類のフリーラジカル消去活性
4 おわりに
第22章 精油の持つ抗菌性と化粧品等への応用
1 はじめに
2 微生物および精油等
2.1 供試微生物
2.2 精油および化学物質
3 抗菌性評価法
3.1 揮発成分の抗菌性試験法(蒸気法:微少空間)
3.2 セパラブルフラスコを用いる方法(小空間)
4 精油およびその構成成分の抗菌力
4.1 Lavender oilおよびEucalyptus oil
4.2 Clove bud oil,Clove leaf oilおよびTea tree oil
4.3 Coriander oilおよびHo oil
4.4 微生物種による抗菌性の差異
5 化粧品等への応用
5.1 精油等の製品中での挙動
5.2 化粧品類への配合
5.3 小空間における微生物生育抑制
5.4 住空間における微生物生育抑制
6 まとめ
第23章 化粧品の未来材料の展望
1 はじめに
2 バロプラスチック
3 アクチュエータ
4 コラーゲンデンドリマーの三重へリックス構造
5 コラーゲンデンドリマーの温度応答性
6 おわりに
【第V編 市場動向】
第24章 化粧品工業の市場と業界動向
1 はじめに
2 需給動向
3 輸出入動向
4 薬事法への対応
4.1 化粧品受託製造の市場拡大
4.2 医薬部外品の安全性
4.3 UVA防止効果表示の変更
5 メーカー動向
6 業界の課題と展望
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