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次世代パワー半導体の高性能化とその産業展開

Technological Advance of the Next-generation Power Semiconductors and their Industrial Applications

★省エネルギー対策の決定打!電力を制御し、電力消費量を削減できる“パワーエレクトロニクス”の現状と課題、産業展望をまとめた一冊!
★次世代パワー半導体材料に代表される炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド(C)などの新材料をクローズアップ!パワー半導体材料の主流であるシリコン(Si)に比べ高効率化・小型化を目指せる新材料のメリットを最大限に活かした事業展開へ!
★2020年にはパワー半導体の世界市場3兆円超えの予測!日本におけるパワー半導体産業の土台づくりのために、材料技術・製造プロセス・市場動向、全てを網羅した本書のご活用を!

商品コード:
T0977
監修:
岩室憲幸
発行日:
2015年6月10日
体裁:
B5判・251頁
ISBNコード:
978-4-7813-1076-3
価格(税込):
72,600
ポイント: 660 Pt
関連カテゴリ:
エレクトロニクス
エレクトロニクス > 半導体・電子材料
エレクトロニクス > 自動車

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キーワード:

SiC/GaN/酸化ガリウム/ダイヤモンド/MOSFET/HFET/IGBT/SBD/インバーター/モジュール製造/結晶成長/デバイス設計/回路技術/実装技術/装置/ウェハ欠陥評価/信頼性試験/国際標準化/小型化/大口径化/自動車/鉄道車両/クリーンエネルギー

刊行にあたって

 私たちが社会生活を営む上で、エネルギーは必要不可欠なものである。現在、私たちが利用しているエネルギーは、熱、化学、そして電気の3種類であるが、このなかでも電気エネルギーは輸送性、利便性が特に高いことから、電力系統という広域ネットワークを形成し、広く社会に浸透している。しかしながら、2011年3月11日に発生した東日本大震災は、人的・物的被害の大きさとともに、日本全体の電力系統・供給に深い影響を与え、甚大な社会的インパクトを与える結果となってしまった。そしてそこからの復興には新しい社会の創造が必要と言われており、これは単純な復旧とは異なり、再生可能エネルギーを活用し、かつ環境にやさしい安全・安心な社会の構築へ向かうことを意味している。エネルギー創造の分野では、低環境負荷化や石油・石炭に代表される化石燃料への依存度の低減に向けて、太陽光、風力の利用に関する検討が進んできており、またエネルギー消費の分野においても、例えばガソリン車から燃料電池車・電気自動車へなど、従来は電気エネルギーが使われていなかった領域で、電気エネルギーの利用がますます増えてきている。つまり、今後も電気エネルギーすなわち電力への依存度は堅調に上昇し、将来的にも電力がエネルギーの中核をなすものと考えられる。われわれの明日の社会が持続可能な発展を遂げるためには、この電力エネルギーを効率よく利用することが必須であり、それを支える最も大きな技術のひとつがパワーエレクトロニクスである。
 パワーエレクトロニクスとは、エレクトロニクスで電力を制御する技術のことであり、具体的にはパワー半導体を用いて電力を制御し電力をより使いやすい形に変換する技術である。パワーエレクトロニクスによる電力制御は、パワー半導体による低抵抗・高速スイッチング技術によって成り立っており、パワー半導体の性能が電力制御の性能を左右すると言っても過言ではない。現在のパワーエレクトロニクスはシリコンパワー半導体がその中心であるが、近年ではシリコンの物性値で決まる限界に近づいてきたと言われており、今後のパワーエレクトロニクス装置の高性能化に必ずしも対応しないのではないか、との懸念も示されている。
 この状況を打破する新材料として、SiCやGaNさらにはダイヤモンドに代表されるワイドバンドギャップ半導体材料が次世代パワー半導体として期待されている。これは最大電界強度がシリコンに比べ一桁以上高いという物理的な特徴を有し、その結果、特に高耐圧領域での低オン抵抗化が可能となり、パワーエレクトロニクス機器の高効率化に非常に有効となる。
 本書『次世代パワー半導体の高性能化とその産業展開』では、次世代パワーエレクトロニクスの中心となるワイドバンドギャップ材料による最新パワー半導体を軸に編集された。デバイス設計、プロセス、実装・回路技術や素子適用技術だけでなく、半導体製造装置や評価・標準化についても詳細に紹介している。さらに、今後のパワー半導体の市場動向や企業の産業展開まで詳しく解説しており幅広い内容を網羅することができた。高効率電力利用社会の本格的な実現に向けて、次世代パワー半導体の浸透を加速する様々な応用をいかに開拓していくかに、本書が役立つことを期待したい。

筑波大学 数理物質系 教授
岩室 憲幸

著者一覧


岩室憲幸   筑波大学
佐藤克己   三菱電機㈱
山﨑智幸   富士電機㈱
山本秀和   千葉工業大学
土田秀一   (一財)電力中央研究所
江川孝志   名古屋工業大学
東脇正高   国立研究開発法人 情報通信研究機構
鹿田真一   関西学院大学
中村 孝   ローム㈱
米澤喜幸   国立研究開発法人 産業技術総合研究所
木下明将   富士電機㈱
石田昌宏   パナソニック㈱
磯部高範   筑波大学

鈴木英夫   ㈱アルバック
古川幸弘   ㈱アルバック
矢野裕司   筑波大学
谷本 智   ㈱日産アーク
山口 浩   国立研究開発法人 産業技術総合研究所
酒井達郎   オリジン電気㈱
松本 功   大陽日酸㈱
山崎嘉文   ㈱アルバック
樋口剛史   レーザーテック㈱
山口浩二   富士電機㈱
只野 博   筑波大学
嶋田隆一   筑波大学;東京工業大学名誉教授
小笠正道   (公財)鉄道総合技術研究所

目次 +   クリックで目次を表示

[第1編 総論]
第1章 パワー半導体とは
1 パワーエレクトロニクスとパワー半導体の関係
2 パワー半導体の種類と特長
3 パワー半導体の歴史
4 パワー半導体の目指すべき方向

第2章 パワー半導体の現状と展望

第3章 次世代パワー半導体の課題
1 はじめに
2 SiC/GaNパワー半導体の現状
3 ワイドギャップ半導体結晶製造における課題
4 パワー半導体チップ製造における課題
5 パワー半導体チップ特性における課題
6 パワー半導体モジュールにおける課題
7 周辺部品における課題
8 おわりに

[第2編 材料開発]
第4章 SiC半導体
1 SiC単結晶の性質
2 SiC単結晶のバルク成長の進展
 2.1 昇華法によるバルク成長技術
 2.2 新しいバルク成長技術の開発
3 SiC単結晶膜のエピタキシャル成長の進展
 3.1 エピタキシャル成長の高速化,大面積化技術
 3.2 エピタキシャル膜中の欠陥の低減技術

第5章 GaN半導体
1 はじめに
2 ワイドバンドギャップ半導体と性能指数
3 GaNの現状と課題
4 Si基板上へのGaN層ヘテロエピタキシャル成長
5 Si基板上のAlGaN/GaN HEMTの静特性
6 まとめ

第6章 酸化ガリウム:材料,デバイス開発
1 はじめに
2 物性値から検討したGa2O3パワーデバイス特性
3 Ga2O3単結晶バルク・基板
4 Ga2O3エピタキシャル薄膜成長
5 デバイス開発例:ディプレッションモードGa2O3 MOSFET
6 まとめ

第7章 ダイヤモンド半導体
1 はじめに
2 材料特性
3 ウェハ
 3.1 大面積化
 3.2 低欠陥ウェハ
 3.3 低抵抗ウェハ
4 デバイス関連材料物性

[第3編 デバイス技術・回路技術]
第8章 シリコンパワー半導体
1 はじめに
2 MOSFET
3 IGBT
4 今後の展望

第9章 SiC-MOSFETとモジュール
1 はじめに
2 SiCデバイスの特徴(低オン抵抗,高温動作,高速動作)
3 SiC-MOSFET
4 SiC-MOSFETとSi-IGBTのスイッチング特性比較
5 SiCトレンチMOSFET
6 SiCモジュール

第10章 SiC-IGBT
1 はじめに
2 nチャネルIE-IGBTデバイス構造とフリップタイプ基板の作成方法
3 試作したSiC IE-IGBTのデバイス特性
4 結論と今後の展望

第11章 1200VクラスSiC-SBD
1 はじめに
2 素子構造
3 静特性
4 動特性
5 インバータ回路としての損失改善効果
6 アバランシェ耐量
7 長期信頼性
8 おわりに

第12章 GaN HFETデバイス
1 はじめに
2 GaN HFETへの期待
3 GaN HFETのノーマリオフ化
 3.1 ノーマリオフ化のアプローチ
 3.2 GITの動作原理
 3.3 GITのデバイス特性
4 GaN HFETの大電流化
5 今後の展望

第13章 次世代半導体回路技術
1 主回路設計技術
2 マルチレベル化技術
3 ゲートドライブ技術

[第4編 製造プロセス・実装技術]
第14章 イオン注入
1 はじめに
2 活性化アニールによる電気的活性化
3 活性化アニールプロセスにおけるSiC表面荒れ
4 残留欠陥とデバイス特性

第15章 ゲート酸化膜
1 はじめに
2 MOSデバイス作製プロセス
3 POCl3アニールによるMOS界面特性の改善
4 POCl3アニールによるnチャネルMOSFET特性の改善
 4.1 チャネル移動度の向上
 4.2 しきい値電圧変動の低減
  4.2.1 しきい値電圧シフトの正ゲートバイアス依存性
  4.2.2 しきい値電圧シフトの負ゲートバイアス依存性
5 ゲート酸化膜/SiC界面のトラップ分布
6 まとめ

第16章 電極形成
1 はじめに
2 SiCコンタクトの形成
 2.1 基本構造
 2.2 形成プロセス
 2.3 実用的なコンタクトの作製
 2.4 n型領域へのコンタクト
 2.5 同一材料n型,p型領域同時コンタクト
3 コンタクトの信頼性
 3.1 プロセス耐熱性
 3.2 耐久性
4 コンタクト抵抗の計測法
5 まとめ

第17章 パッケージング
1 はじめに
2 パワー半導体素子の高性能化への期待
3 次世代パワー半導体の特長を活かすパッケージング
 3.1 低損失性能を活用するためのパッケージング技術
 3.2 高速動作性能を活用するためのパッケージング技術
 3.3 高温動作性能を活用するパッケージング技術
4 パッケージング技術の高度化に向けた対応
 4.1 大電流容量化に向けた対応
 4.2 高電圧化に向けた対応
 4.3 機能集積化への対応
5 おわりに

[第5編 製造装置]
第18章 真空ソルダリングシステム装置
1 はじめに
2 パワー半導体モジュールの構造
3 はんだ付けにおけるボイドレス化
4 真空ソルダリングに用いるはんだ形状
5 還元による酸化膜除去
6 ボイドレス化のための真空利用プロセス
7 真空ソルダリングシステムの製品例
8 真空ソルダリングシステムのさらなる応用展開

第19章 GaNエピ成長・装置
1 はじめに
2 GaNヘテロエピ成長のコストダウンロードマップ
3 シリコン基板上へのGaNヘテロエピタキシャル成長と高速成長の試み
4 バルクGaN基板上のパワーデバイスからの要求
5 まとめ

第20章 イオン注入装置
1 はじめに
2 SiC用イオン注入装置
3 Si-IGBT用イオン注入装置
 3.1 Si-IGBT用新プロセス装置
4 その他のパワーデバイス用イオン注入装置
 4.1 非質量分離イオン注入装置
5 GaNデバイス用イオン注入装置

[第6編 評価・標準化]
第21章 SiCウェーハ欠陥評価技術
1 はじめに
2 SiCパワー半導体の2つの大きな課題
3 SiCウェーハ製造プロセスにおける各種欠陥例
4 SICAによるSiCウエーハ欠陥評価技術
 4.1 SICAによる高感度欠陥検出の画像例
 4.2 SICAによる検査解析例
5 まとめ

第22章 パワー半導体の信頼性試験技術と国際標準化の取り組み
1 はじめに
2 パワー半導体に求められる信頼性水準
3 パワー半導体の信頼性試験
4 パワー半導体の信頼性試験規格
5 パワー半導体信頼性認定ガイドラインの策定および国際標準化
6 まとめ

[第7編 応用展開]
第23章 自動車
1 自動車への半導体の搭載
2 ハイブリッド自動車,電気自動車,燃料電池自動車
3 パワー半導体デバイスの役割
4 自動車に使われるパワー半導体デバイス
5 パワー半導体デバイスの進化
6 新材料パワー半導体デバイスの期待される効果
7 SiCパワー半導体デバイスの展開
8 自動車用非接触給電技術

第24章 クリーンエネルギーシステム
1 クリーンエネルギーにおけるSiC半導体の期待
2 電力の発生,輸送,貯蔵,そして電力の熱,機械,化学変換における次世代半導体への期待
 2.1 太陽光発電へのSiC半導体への期待
 2.2 洋上風力発電群連系へのSiC半導体による直流電流型Mini-HVDC
 2.3 GELNET(Global ELectric NETwork:地球規模の送電網)
 2.4 HVDC-Oneway,簡単にして効果的な直流送電の提案
 2.5 高電圧のSiC半導体による変換器,遮断器への期待

第25章 鉄道車両 ― SiCパワー半導体の鉄道車両への適用展開
1 まえがき
2 電車の主回路構成とパワー半導体
 2.1 電動機駆動主回路
 2.2 電気鉄道用パワー半導体素子の定格
3 電車へのSiCパワー半導体を適用した駆動インバーター搭載の現況
 3.1 SiCパワー半導体の鉄道への適用現況
4 車載電機品小型化・軽量化の要求
5 SiCパワー半導体の特長を活かす適用対象
6 おわりに

[第8編 企業・市場動向]
第26章 パワー半導体の市場ならびに企業動向
1 はじめに
2 パワー半導体市場の変化
3 IGBTの市場動向
4 パワーMOSFETの市場動向
5 次世代パワー半導体の市場動向

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