カテゴリ

  • 近日発売の新刊情報
  • CMCeBOOK

医薬品添加剤の処方設計と物性評価

Formulation Design and Physicochemical Characterization for Pharmaceutical Excipients

★主薬の有効性、安定性を決める医薬品添加剤の処方設計技術を詳述!
★医薬品添加剤の各種材料特性、メカニズム、物性評価の理解により製剤開発における課題のブレークスルーへ!
★医薬品産業の国際化に向け国際標準品質が求められる中、医薬品添加剤の取扱いがますます重要に!

商品コード:
T0995
監修:
寺田勝英
発行日:
2016年1月29日
体裁:
B5判・234頁
ISBNコード:
978-4-7813-1142-5
価格(税込):
70,400
ポイント: 640 Pt
関連カテゴリ:
ファインケミカル
ファインケミカル > 医薬
ファインケミカル > 添加剤・高分子素材

Review

この商品に対するご感想をぜひお寄せください。

キーワード:

口腔内崩壊錠/苦味マスキング/DDS/難水溶性薬物/錠剤/カプセル剤/皮膚適用製剤/注射剤/吸入剤/表面物性/物性改質/結晶多形/結晶性/崩壊性/溶解性/流動性/表面自由エネルギー/X線回折/熱分析/各種コーティング/品質管理/GMP/ガイドライン

刊行にあたって

 医薬品を製剤として投与する時には、必ず医薬品添加剤が使用されており、この添加剤の選択、すなわち処方設計が主薬の有効性や安定性に大きく影響する。日本薬局方においては、製剤総則の製剤通則に「製剤には別に規定するもののほか、その保存中の性状および品質の基準を確保し、またはその有用性を高めるため、賦形剤、安定剤、保存剤、緩衝剤などの適当な添加剤を加えることができる。ただし、その物質はその製剤の投与量において無害でなければならない。また製剤の治療効果を障害し、または試験に支障をきたすものであってはならない。」と規定されている。医薬品添加剤には、実に多くの種類と使用用途があり、医薬品の機能を十分に発揮するためにはなくてはならない。
 難溶性医薬品の溶解性改善が工夫された製剤、新しい発想で創製される口腔内崩壊錠、使用性を考慮した新規剤形、患者にやさしい剤形など次々と活発な研究・開発が行われている。それと同時に医薬品産業の国際化にともない国際標準となる製剤、高品質の製剤が求められている。これらの製剤の開発には、新たな医薬品製造技術やデバイスの開発なども重要なことは勿論であるが、医薬品添加剤の役割はとても大きい。
 これまでに「医薬品添加剤ハンドブック」のような立派に体系化された書物はあるが、身近に処方設計を行ったり物性評価に活用できるようにまとめられた書物はあまり見受けられない。本書は医薬品添加剤を中心に国内でご活躍のそれぞれご専門の先生方に添加剤の役割、物性評価、処方設計、製品化技術、製造技術、品質管理などとしてまとめていただいた。貴重な原稿をいただいた各位に深謝したい。また、編集にご尽力いただいた出版社の池田朋美氏に紙面を借りて感謝する。
 どうか、本書を処方設計や製剤設計に十分にご活用いただきたいと願っている。
 なお、本書に関する読者各位の忌憚のないご意見を賜るようお願いする次第である。

2016年1月
東邦大学薬学部薬剤学教室
寺田勝英

著者一覧


寺田勝英   東邦大学
宮嶋勝春   武州製薬㈱
内田一江   武州製薬㈱
髙橋沙弥香  武州製薬㈱
山内仁史   ニプロパッチ㈱
澤田 崇   沢井製薬㈱
山下親正   東京理科大学
大生和博   旭化成ケミカルズ㈱
上田 廣   塩野義製薬㈱
小川法子   愛知学院大学
山本浩充   愛知学院大学
菅野清彦   東邦大学
市川秀喜   神戸学院大学

安藤 徹   神戸学院大学
福森義信   神戸学院大学
奥田 豊   東和薬品㈱
岩田基数   シミックCMO㈱
岡田弘晃   ㈱岡田DDS研究所;東京薬科大学名誉教授
川上亘作   (国研)物質・材料研究機構
小野寺理沙子  岐阜薬科大学
田原耕平   岐阜薬科大学
竹内洋文   岐阜薬科大学
岸潤一郎   BASFジャパン㈱
保地毅彦   アステラス製薬㈱
武井成通   フロイント産業㈱
植西祐子   大日本住友製薬㈱

目次 +   クリックで目次を表示

【第1編 各種材料開発】
第1章 錠剤・カプセル剤に使用される添加剤
1 はじめに
2 錠剤・カプセル剤に配合される添加剤の用途
 2.1 賦形剤(diluents,fillers)
 2.2 結合剤(binder)
 2.3 崩壊剤(disintegrant)
 2.4 滑沢剤(lubricant)
 2.5 流動化剤(glidant)
 2.6 着色剤(coloring agent,colorants)
 2.7 カプセル被膜(capsule film)
 2.8 コーティング剤(coating material)
 2.9 可塑剤(plasticizer)
 2.10 湿潤剤(humectant,moistening agent,wetting agent)
 2.11 その他
  2.11.1 矯味剤(correctives,corrigents)
  2.11.2 香料(flavor)
  2.11.3 発泡剤(vesicant,foaming agent)
3 QbDと添加剤
4 添加剤に係わる課題
 4.1 国際調和の動き
 4.2 品質管理とGMP
 4.3 製造者管理

第2章 皮膚に適用する製剤及び直腸に適用する製剤における添加剤
1 皮膚に適用する製剤
 1.1 界面活性剤
  1.1.1 医薬品添加剤としての界面活性剤
  1.1.2 界面活性剤の吸収促進剤としての応用
  1.1.3 軟膏剤への応用
 1.2 粘着剤
  1.2.1 経皮吸収型製剤の開発における粘着剤の選択
  1.2.2 薬物放出性及び皮膚透過性への粘着剤の影響
2 直腸に適用する製剤
 2.1 坐剤の有用性
 2.2 坐剤の特徴
 2.3 その他の直腸に投与する製剤

第3章 注射剤
1 注射用水
2 pH調節剤
3 等張化剤
4 賦形剤

第4章 吸入剤の製剤設計における添加剤の役割
1 はじめに
2 吸入エアゾール剤
3 吸入液剤
4 吸入粉末剤(粉末吸入剤)
5 おわりに

【第2編 メカニズム・構造解析】
第1章 添加剤による医薬品の物性改質
1 はじめに
2 水溶性添加剤とのコクリスタル化による溶解性改善
 2.1 コクリスタルの調製と物性ならびに溶解性評価
 2.2 コクリスタル・非晶質のスクリーニングとキャラクタリゼーション
 2.3 コクリスタルの溶出試験及び非晶質複合体のin vitro皮膚透過性試験
 2.4 まとめ
3 メカノフュージョン処理による粒子の表面状態
 3.1 メカノフュージョン処理による錠剤成形性への影響
 3.2 メカノフュージョン処理した粒子で成形した錠剤の崩壊性及び溶出性
 3.3 メカノフュージョン処理による粒子表面の改質と表面自由エネルギーから見た表面状態
 3.4 核粒子とコーティング剤との粒子表面の相互作用の検討
 3.5 まとめ

第2章 添加剤の表面自由エネルギー
1 はじめに
2 タルクの粉砕による表面物性の変化と製剤特性への影響
 2.1 粉砕タルクの調製と物性評価
 2.2 粉砕タルクを添加したアセトアミノフェン錠の崩壊性と溶解性
 2.3 粉砕によるタルクの物性変化
 2.4 タルクの表面物性と錠剤の崩壊性,溶解性との関係
3 糖アルコール類の結晶性と製剤特性との関係
 3.1 糖類の製剤特性と表面物性との関係
 3.2 糖アルコールの結晶性,表面自由エネルギーと崩壊性との関係

第3章 高機能結晶セルロースの特性と医薬品添加剤としての用途
1 はじめに
2 MCCの成形性発現因子
3 KGグレードの特長
4 KGグレードの応用例
 4.1 動的流動性
 4.2 用途
  4.2.1 高主薬錠剤への応用例
  4.2.2 少量添加の応用例
  4.2.3 打圧低減の応用例
5 MCCの成形性と流動性
6 UFグレードの応用例
 6.1 滑沢剤混合方法と硬度
 6.2 崩壊性の改善
 6.3 微量薬物の偏析防止
 6.4 直打での生産性改善(打錠回転数アップ)
7 おわりに

第4章 製剤中における原薬の結晶多形混在比率評価法
1 はじめに
2 原薬ならびに添加剤の評価
 2.1 PXRD法による評価
 2.2 FT-IR法による評価
 2.3 固体NMR法による評価
3 製剤に含まれる原薬中の結晶多形混在比率の評価
 3.1 PXRD法による結晶多形混在比率の定量
 3.2 FT-IR法による結晶多形混在比率の定量
 3.3 固体NMR法による結晶多形混在比率の定量
4 おわりに

【第3編 分析・物性評価】
第1章 粉末X線回折
1 はじめに
2 結晶の構造と格子面
3 X線の性質と測定原理
4 結晶化度の評価
5 評価事例
 5.1 結晶多形の粉末X線回折パターンと多形転移
 5.2 医薬品添加剤の結晶化度
 5.3 非晶質の安定性と粉末X線回折パターン
 5.4 製剤の安定性と安定評価
6 おわりに

第2章 熱分析
1 はじめに
2 示差熱分析法と示差走査熱量測定法
3 熱質量測定法
4 評価事例
 4.1 結晶多形と結晶化度
 4.2 溶媒和
 4.3 ガラス転移温度
 4.4 エンタルピー緩和/非晶質の緩和
5 おわりに

第3章 経口吸収分類システム(FaCS)に基づく生物学的同等性およびIVIVCの理論的考察
1 はじめに
2 Biopharmaceutics classification systemを利用したBiowaiver schemeの問題点
3 Fa式
4 Fa classification system
5 FaCSとBCSおよび他の分類法の違い
6 生物学的同等性を考察するための数学的な定式化
7 IVIVC
8 即放性経口製剤の生物学的同等性
9 まとめ

【第4編 処方設計・改善効果】
第1章 微粒子コーティングのための製剤添加物・処方設計
1 はじめに
2 材料面から見た微粒子コーティングの課題
3 コーティング用材料
 3.1 コーティング剤
  3.1.1 溶液系
  3.1.2 分散系
  3.1.3 核粒子
4 製剤添加物・処方設計の事例
 4.1 微小核粒子への薬物レイヤリング用結合剤
 4.2 高水溶性薬物の徐放性懸濁剤用コーティング微粒子
5 おわりに

第2章 口腔内崩壊錠
1 はじめに
2 ODTの課題とODT化技術の推移
3 ODTに適した添加剤の高機能化とODTの性能評価
4 ODTの吸水特性評価
5 まとめ

第3章 医薬品の官能評価と苦味マスキング
1 はじめに
2 標準物質による苦味強度の数値化
3 閾値濃度による薬物の苦味強度評価
4 製剤の苦味強度の評価とマスキング
 4.1 溶液製剤
 4.2 固形製剤
5 おわりに

第4章 DDS(放出制御コーティング)
1 はじめに
2 コーティング方法
 2.1 水系コーティング
 2.2 有機溶剤コーティング
 2.3 アンモニア中和法
 2.4 乾式コーティング法
3 コーティング基剤各論
 3.1 水溶性コーティング基剤
  3.1.1 HPC
  3.1.2 HPMC
  3.1.3 PVAコポリマー(POVACOATⓇ)
  3.1.4 PVAコポリマー(KollicoatⓇ IR)
 3.2 水不溶性コーティング基剤
  3.2.1 エチルセルロース
  3.2.2 メタアクリル酸コポリマーRS及びRL
  3.2.3 メタアクリル酸コポリマーNE及びNM
 3.3 pH依存性フィルムコーティング基剤
  3.3.1 胃溶性ポリマー
  3.3.2 腸溶性ポリマー
4 あとがき

第5章 難水溶性薬物
1 はじめに
2 可溶化製剤
3 固体分散体
4 ナノ結晶製剤
5 おわりに

【第5編 製品化技術】
第1章 医薬品添加剤を活用した粒子設計・製剤設計
1 はじめに
2 錠剤設計と医薬品添加剤
 2.1 口腔内崩壊錠
 2.2 錠剤処方における滑沢剤
3 溶解性改善と医薬品添加剤
 3.1 噴霧乾燥法による固体分散体粒子の設計
 3.2 固体分散体キャリアーとしての新しい添加剤
4 微粒子設計と医薬品添加剤
 4.1 高圧晶析による薬物微粒子の調製
 4.2 高圧晶析による微粒化のための添加剤
5 おわりに

第2章 固体分散体技術の概要とその応用
1 緒言
2 固体分散体とは
3 固体分散体の調製方法
 3.1 噴霧乾燥法(Spray-Drying method:SD法)
 3.2 加熱溶融押出法(Hot-Melt Extrusion method:HME法)
4 担体ポリマーの選択
5 固体分散体の利用例
 5.1 カレトラ®ソフトカプセルとカレトラ®配合錠の違い
6 まとめ

【第6編 造粒・コーティング装置】
第1章 噴霧乾燥法による添加剤の物性制御
1 はじめに(噴霧乾燥法とは)
2 噴霧乾燥法による物性制御の例:可溶化
3 噴霧乾燥法の機能性添加剤調製例:圧縮成形性改善
4 おわりに

第2章 流動層造粒コーティング
1 はじめに
2 装置の概要
 2.1 流動層造粒コーティング装置
  2.1.1 流動層装置
  2.1.2 側方噴霧法
  2.1.3 高速造粒装置
 2.2 転動流動層造粒コーティング装置
  2.2.1 転動造粒装置
  2.2.2 転動流動層造粒コーティング装置
3 応用例
 3.1 流動層造粒の応用例
 3.2 転動層コーティング(レイヤリング)の応用例
 3.3 微粒子を含有した口腔内崩壊錠の調製
4 おわりに

【第7編 規格・製造管理・品質管理】
第1章 医薬品中の残留溶媒及び元素不純物の品質管理に関する課題と取り組み
1 はじめに
2 残留溶媒への取り組み
 2.1 規制動向
 2.2 ガイドライン及び通知の概要
  2.2.1 適用範囲
  2.2.2 溶媒の分類
  2.2.3 クラス2の溶媒の限度値設定のためのオプション
  2.2.4 残留溶媒の管理
  2.2.5 分析方法
 2.3 添加剤に関する留意事項
3 元素不純物への取り組み
 3.1 規制動向
 3.2 ICH Q3Dガイドライン(ステップ4)の概要
  3.2.1 適用範囲
  3.2.2 元素不純物の安全性評価
  3.2.3 元素の分類
  3.2.4 リスクアセスメント
  3.2.5 PDE値と濃度限度値との間の換算
  3.2.6 分析方法
  3.2.7 ライフサイクルマネジメント
 3.3 添加剤に関する留意事項
4 最後に