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潜熱蓄熱・化学蓄熱・潜熱輸送の最前線 ―未利用熱利用に向けたサーマルギャップソリューション―

Novel Techniques of Latent Heat Thermal Storage, Chemical Thermal Storage and Latent Heat Transportation―Thermal Gap Solution Technology for the Utilization of Unused Thermal Energy

★CO2削減のキーテクノロジーとして注目を集める蓄熱技術・熱輸送技術!
★工場排熱・太陽熱・地熱などの未利用熱を有効活用し、従来の熱消費エネルギーを低減!
★潜熱蓄熱・化学蓄熱・潜熱輸送の理論、材料・技術開発、応用事例を解説!

商品コード:
T1028
監修:
鈴木 洋
発行日:
2016年11月18日
体裁:
B5判・251頁
ISBNコード:
978-4-7813-1188-3
価格(税込):
81,400
ポイント: 740 Pt
関連カテゴリ:
新材料・新素材
地球環境
地球環境 > 省エネルギー・クリーンエネルギー
地球環境 > 未利用資源活用・リサイクル

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キーワード:

蓄熱材/潜熱畜熱/包接型水和物/合金/金属繊維/過冷却/相変化/化学蓄熱/塩化カルシウム/ハロゲン化アルカリ金属/ケミカルヒートポンプ/水酸化マグネシウム/潜熱輸送/不凍タンパク質/スラリー/TBAB/無機系水和物/エマルション/マイクロカプセル/CO2削減/温暖化対策/未利用熱/工場排熱/自動車排熱/建築/冷暖房/給湯

刊行にあたって

 パリ協定が採択される状況下で、CO2のゼロエミッションを実現するためには、多くの課題がある。我が国のエネルギー消費は近年やや減少傾向にあるが、その消費減少は産業部門および運輸部門に負うところが大きく、民生部門のエネルギー消費の減少はわずかである。そのため現在民生部門の消費エネルギーは全体の消費エネルギーの3分の1を超過している。したがって民生部門の消費エネルギーを抑制することが急務である。

 本書では産業部門から排出される熱(未利用熱)を民生の熱消費に転換する基礎技術について議論する。未利用熱利用を実現するためには3つの熱ギャップが存在する。すなわち、需要と供給の時間ギャップ、温度ギャップおよび空間ギャップである。これらを我々は“サーマルギャップ”と呼び、これらを解決することを“サーマルギャップソリューション”と呼んでいる。具体的には時間ギャップを解決する潜熱蓄熱、温度ギャップを解決する化学蓄熱、空間ギャップを解決する潜熱輸送に注目する。これらの技術は平成24年度に設立された日本潜熱工学研究会が主催する潜熱工学シンポジウムで毎年議論されており、近年目覚ましく進展しつつある。前述のように、ここでは未利用熱の民生熱消費への展開を中心に紹介するが、温度制御が困難な工業プロセスや、産産連携のピンチシステム、建築・構造物や車両の熱マネージメントなどにも応用可能な技術であるので、産業部門においても十分活用が可能である。是非手にとっていただきたいと考えている。 鈴木洋
(本書「はじめに」より)

著者一覧


鈴木 洋   神戸大学
加藤之貴   東京工業大学
島田 亙   富山大学
田中明美   東京大学
富重道雄   東京大学
能村貴宏   北海道大学
大河誠司   東京工業大学
春木直人   岡山大学
大宮司啓文  東京大学
竹林英樹   神戸大学
窪田光宏   名古屋大学
藤岡惠子   ㈱ファンクショナル・フルイッド
劉 醇一   千葉大学

小倉裕直   千葉大学
小林敬幸   名古屋大学
大久保英敏  玉川大学
萩原良道   京都工芸繊維大学
稲田孝明   産業技術総合研究所
熊野寛之   青山学院大学
麓 耕二   弘前大学
富樫憲一   青山学院大学
堀部明彦   岡山大学
日出間るり  神戸大学
川南 剛   神戸大学
熊野智之   神戸市立工業高等専門学校

目次 +   クリックで目次を表示

【第I編 基礎理論】
第1章 概論
1 未利用熱
2 潜熱蓄熱
3 化学蓄熱
4 潜熱輸送

第2章 潜熱蓄熱の基礎
1 潜熱と顕熱
2 潜熱蓄熱材料
3 過冷却
4 伝熱特性
5 相分離
6 まとめ

第3章 化学蓄熱の基礎論
1 化学蓄熱の必要性
2 化学蓄熱の原理と構成
3 回分型
 3.1 反応系の条件と選択
 3.2 化学蓄熱材料の開発事例
4 循環型
5 まとめ

第4章 潜熱輸送の基礎
1 潜熱輸送とは
2 潜熱輸送材料
3 結晶成長と凝集
4 流動特性
5 伝熱特性

【第II編 潜熱蓄熱】
第1章 包接型水和物
1 はじめに
2 相図(状態図)
3 比熱・潜熱
4 結晶構造
5 核生成・結晶成長
6 ガス種分離などへの応用

第2章 生体脂質の相変化
1 はじめに
2 皮膚組織の生体脂質
3 皮膚組織の構造
4 生体脂質の構造変化の測定方法
 4.1 示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:DSC)
 4.2 比熱容量測定
5 細胞間脂質の相変化
 5.1 細胞間脂質の融解
 5.2 体温近傍での細胞間脂質、皮下脂肪の相変化
6 おわりに

第3章 高温熱源回収に向けた金属/合金系潜熱蓄熱材料の開発
1 はじめに
2 金属/合金PCMの概説
 2.1 金属/合金PCMの種類
 2.2 金属/合金PCMの特徴と利点
 2.3 合金PCMにおける問題点
3 金属/合金系PCMの材料開発事例(Al-Si合金を例として)
 3.1 Al-Si合金系PCMに適したセラミックス材料の探索
 3.2 Al-Si合金系PCMのカプセル化
  3.2.1 カプセル化の意義
  3.2.2 マクロカプセル化の事例
  3.2.3 マイクロカプセル化の事例
4 おわりに

第4章 過冷却解消
1 過冷却とは
 1.1 均質核生成と不均質核生成
 1.2 電解水の例
 1.3 酢酸ナトリウム3水和物の例
2 解消確率の話
 2.1 定義
 2.2 凝固確率の算出方法
 2.3 凝固開始予測方法
3 能動制御の話
 3.1 電場
 3.2 固体の衝突、摩擦
 3.3 衝撃
 3.4 超音波
 3.5 膜付きカプセル

第5章 金属繊維材を用いた蓄放熱促進技術
1 はじめに
2 潜熱蓄熱材料の熱伝導率促進
3 金属繊維材
4 金属繊維材混合が潜熱蓄熱材料の熱物性値に与える影響
 4.1 熱伝導率
 4.2 その他の熱物性
5 金属繊維材混合による潜熱蓄熱材料の蓄放熱促進
 5.1 放熱(凝固)特性
 5.2 蓄熱(融解)特性
6 まとめ

第6章 微細領域の相変化
1 諸言
2 エリスリトールとメソポーラスシリカ
3 ナノ細孔内部におけるエリスリトールの相変化過程
4 ナノ細孔内部におけるエリスリトールの相変化と熱履歴
5 結言

第7章 建築材における蓄熱技術
1 はじめに
2 住宅における潜熱蓄熱利用技術の紹介
 2.1 潜熱蓄熱空調システム
 2.2 戸建住宅の太陽熱潜熱蓄熱給湯暖房システム
 2.3 集合住宅の太陽熱潜熱蓄熱暖房システム
3 まとめ

【第III編 化学蓄熱】
第1章 無機水和物系反応材料
1 はじめに
2 低温化学蓄熱用反応系の探索
3 LiOH/LiOH・H2O系の化学蓄熱・ヒートポンプ特性
4 LiOH/LiOH・H2O系化学蓄熱の実現に向けた課題と課題解決に向けた取り組み
5 LiOHとMPCの複合化によるLiOHの水和速度の向上
 5.1 LiOH・MPC複合材料の調製および水和特性評価
 5.2 LiOH・MPC複合材料の水和速度の向上効果
6 おわりに

第2章 塩化カルシウム系反応材
1 はじめに
2 反応系と熱力学特性、作動サイクル
3 多孔性粒子層の構造と熱物性値の変化
4 体積と空隙率
5 熱容量
6 熱伝導度
 6.1 有効熱伝導度と気相条件
 6.2 反応気体の付加・脱離による有効熱伝導度の変化
7 塩化カルシウム/水系の反応特性
8 作動特性
9 おわりに

第3章 水酸化マグネシウム系材料
1 緒言
2 化学蓄熱の作動原理
3 化学蓄熱材の化学修飾
4 蓄熱密度の比較と今後の開発課題

第4章 カルシウム系ケミカルヒートポンプによる熱リサイクルシステム開発
1 はじめに
2 化学蓄熱技術
3 ケミカルヒートポンプ技術
 3.1 熱機関とヒートポンプ
 3.2 ケミカルヒートポンプの操作例
4 各種ケミカルヒートポンプシステムの開発状況
 4.1 ケミカルヒートポンプ用反応材料
 4.2 100℃レベル熱源駆動‐冷・温熱生成:硫酸カルシウム系ケミカルヒートポンプシステム
  4.2.1 冷凍車両用エンジン廃熱蓄熱型冷熱生成ケミカルヒートポンプシステム
  4.2.2 地域エネルギーリサイクル有効利用ケミカルヒートポンプコンテナシステム
  4.2.3 小型電子デバイスの自己排熱駆動冷却システム
 4.3 400℃レベル熱源駆動‐冷・温熱生成:酸化カルシウム系ケミカルヒートポンプシステム
  4.3.1 工場排熱リサイクル型ケミカルヒートポンプドライヤーシステム
  4.3.2 自動車廃熱再生利用ケミカルヒートポンプシステム
5 おわりに

第5章 化学蓄熱の伝熱促進
1 はじめに
2 化学蓄熱材料の高熱伝導度化
3 高熱伝導度化材料を用いた化学蓄熱充填層試験
4 まとめ

第6章 ハロゲン化アルカリ金属系蓄熱剤を用いる長期蓄放熱サイクル
1 はじめに
2 臭化カルシウム(CaBr2)水和反応を用いる化学蓄
3 塩化カルシウム(CaCl2)水和反応を用いる化学蓄熱
4 おわりに

【第IV編 潜熱輸送】
第1章 流動性のある潜熱蓄冷材
1 はじめに
2 相平衡状態図(融点図)
3 固液共存相における結晶成長
4 流動性のある潜熱蓄冷材
5 おわりに

第2章 型不凍タンパク質とそれを基にした不凍ポリペプチドの利用
1 はじめに
2 溶質の添加
3 不凍タンパク質
4 型不凍タンパク質
5 一方向凝固
6 氷スラリー流
7 不凍ポリペプチド
8 短時間予熱効果
9 おわりに

第3章 不凍タンパク質の代替物質
1 不凍タンパク質の氷スラリーへの応用技術
2 不凍タンパク質の代替物質
 2.1 ポリビニルアルコール
 2.2 ブロック共重合体
 2.3 その他の高分子
 2.4 ポリペプチド、タンパク質
 2.5 糖類
 2.6 酢酸ジルコニウム
 2.7 界面活性剤
3 おわりに

第4章 TBAB水和物スラリー
1 TBAB水和物
2 TBAB水和物の特徴
3 TBAB水和物スラリーの生成特性
4 TBAB水和物スラリーの流動特性と熱伝達特性
5 まとめ

第5章 無機水和物スラリー
1 はじめに
2 無機水和物スラリー
3 リン酸水素2ナトリウム12水和物スラリー
4 アンモニウムミョウバンスラリー
5 流動と伝熱
6 抵抗低減技術
7 まとめ

第6章 エマルション蓄熱の現状と可能性
1 はじめに
2 エマルションの種類
3 ナノエマルションの生成方法と安定性
 3.1 生成方法
 3.2 安定性
4 ナノエマルションの諸特性
 4.1 ナノエマルションの平均粒径
 4.2 密度
 4.3 粘度
 4.4 熱伝導率
 4.5 ナノエマルションの相変化特性

第7章 D相乳化法により生成された相変化エマルションの諸特性
1 はじめに
2 D相乳化法による相変化エマルションの生成方法
3 相変化エマルションの粒径分布
4 長期分散安定性および繰り返し使用に対する耐久性試験
 4.1 目視による長期分散安定性の評価
 4.2 DSC曲線
 4.3 供試エマルションの粘性係数
5 まとめ

第8章 マイクロカプセルスラリーの流動・熱伝達特性
1 マイクロカプセルスラリー概説
2 マイクロカプセルスラリーの熱物性
3 マイクロカプセルスラリーの圧力損失
4 直管内流動時の熱伝達挙動
5 搬送動力と熱交換量の関係
6 曲管内流動時の熱伝達挙動
7 まとめ

第9章 潜熱輸送スラリーの凝集沈降抑制技術
1 はじめに
2 低温系スラリーの流動特性、および、凝集抑制技術
3 高温系スラリーの流動特性、および、凝集抑制技術に関する現状
4 アンモニウムミョウバン水和物スラリー、および、物性
5 アンモニウムミョウバン水和物スラリー中での粒子の沈降防止技術
6 アンモニウムミョウバン水和物の結晶成長
7 まとめ

第10章 固体冷媒による冷凍・ヒートポンプ技術
1 固体冷媒による熱量効果
2 固体冷媒によるエントロピー制御のメカニズム
3 固体冷媒のエントロピー変化
 3.1 磁気熱量効果
 3.2 電気熱量効果
 3.3 弾性熱量効果
 3.4 断熱温度変化の見積もり
4 固体冷媒材料の種類
5 固体冷媒冷凍・ヒートポンプの能力と成績係数
6 まとめ

第11章 輻射冷暖房への応用
1 序論
2 人体の輻射による放熱量
3 生活に関わる輻射輸送
4 輻射冷暖房システムの概要
5 放射パネルの高性能化
 5.1 放射パネル表面の材質
 5.2 放射パネルにおける潜熱輸送スラリーの利用
6 躯体蓄熱の発展に向けた潜熱輸送技術の応用
7 まとめ