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高熱伝導樹脂の設計・開発

The Design and Development of High Thermal Conductivity Materials

★小型軽量化する電子機器、次世代自動車、照明等で大きな課題となっている放熱問題!
★放熱のボトルネックである熱伝導率の小さい絶縁材料に、高熱伝導性を付与する!
★高分子の熱伝導現象、熱伝導率の測定方法、高分子/フィラー/コンポジット材料それぞれの高熱伝導化、応用分野での放熱設計について解説!

商品コード:
T1035
監修:
伊藤雄三
発行日:
2016年12月22日
体裁:
B5判・212頁
ISBNコード:
978-4-7813-1231-6
価格(税込):
79,200
ポイント: 720 Pt
関連カテゴリ:
エレクトロニクス
エレクトロニクス > 半導体・電子材料
新材料・新素材 > 高分子・プラスチック

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キーワード:

放熱設計/小型軽量化/パワー半導体/パワーモジュール/次世代自動車/照明/LED/絶縁材料/エポキシ樹脂/液晶ポリマー/セルロースナノファイバー/フィラー/AIN/h-BN/カーボンナノチューブ/炭素繊維/コンポジット材料/熱伝導性予測/熱伝導率測定

刊行にあたって

 放熱のボトルネックになっているのは、熱伝導率の小さい絶縁材料であり、その主材料である高分子の熱伝導率の低さが最重要課題である。絶縁材料の熱伝導率を上げるためには、高分子に熱伝導率の比較的大きい無機フィラーを混ぜることがよく行われているが、高分子そのものの熱伝導率が小さいため、所望の熱伝導率を得るには、大量のフィラーを添加しなければならず、往々にして絶縁材料としての熱伝導率以外の優れた特徴を犠牲にしなければならない。高分子そのものの熱伝導率を上げることができれば、より少量のフィラーを添加することで高性能の絶縁材料を作製することができるが、高分子は非晶構造を含み、その熱伝導率を上げることは非常に難しい。
 本書は、これら非常にチャレンジングな課題に対する最新の状況を第一線の研究者、技術者にご執筆いただいたものである。

(本書「はじめに」より一部抜粋)

著者一覧


伊藤雄三   工学院大学
上利泰幸   (地独)大阪市立工業研究所
池内賢朗   アドバンス理工㈱
鴇崎晋也   三菱電機㈱
原田美由紀  関西大学
長谷川匡俊  東邦大学
上谷幸治郎  立教大学
大山秀子   立教大学
田中慎吾   ㈱日立製作所
北條房郎   ㈱日立製作所
竹澤由高   日立化成㈱
武藤兼紀   古河電子㈱
橋詰良樹   東洋アルミニウム㈱
中村将志   神島化学工業㈱
坂本健尚   神島化学工業㈱
冨永雄一   産業技術総合研究所

堀田裕司   産業技術総合研究所
内田哲也   岡山大学
正鋳夕哉   ユニチカ㈱
横井敦史   豊橋技術科学大学
小田進也   豊橋技術科学大学
武藤浩行   豊橋技術科学大学
林 蓮貞   ㈱KRI
林 裕之   ㈱KRI
阿多誠介   産業技術総合研究所
福森健三   ㈱豊田中央研究所
近藤 徹   阿波製紙㈱
藤田哲也   ㈱ジィーサス
門田健次   デンカ㈱
安田丈夫   東芝ライテック㈱
蒲倉貴耶   東芝ライテック㈱

目次 +   クリックで目次を表示

【第Ⅰ編 熱伝導理論と熱分析法】
第1章 高分子材料の熱伝導現象の基礎
1 緒言
2 熱伝導の基礎
 2.1 熱伝導率の定義(Fourierの法則)
  2.1.1 1次元
  2.1.2 3次元
 2.2 熱伝導率と物質定数との関係(Debyeの式)
 2.3 電子による熱伝導とフォノンによる熱伝導
  2.3.1 電子による熱伝導
  2.3.2 ヴィーデマン―フランツの法則(Wiedemann-Franz law)
  2.3.3 様々な物質の熱伝導率
 2.4 熱伝導率を決める因子,定圧体積比熱,フォノンの速度,平均自由行程
 2.5 平均自由行程を決める因子,静的散乱と動的散乱
  2.5.1 フォノンの静的散乱
  2.5.2 フォノンの動的散乱
 2.6 Boltzmannの輸送方程式によるフォノンフォノン散乱を考慮した熱伝導率の定量的解析
3 高分子の熱伝導
 3.1 高分子の熱伝導の特徴
 3.2 高分子の高次構造と熱伝導率
  3.2.1 結晶性と熱伝導率
  3.2.2 分子配向と熱伝導率
4 高熱伝導高分子
 4.1 高分子の高熱伝導化のメカニズム
  4.1.1 絶縁性と高熱伝導の両立
  4.1.2 高分子の熱伝導率の理論限界―ポリエチレン結晶の熱伝導率の理論解析―

第2章 高分子材料の高熱伝導化技術と最近のトレンド
 1 高放熱性高分子材料への期待
 2 高分子自身の高熱伝導化
 3 高分子材料の複合化による熱伝導率の向上
 3.1 複合材料の熱伝導率に与える影響因子とそれを踏まえた高熱伝導化方法
 3.2 従来から行われている改善方法
  3.2.1 ファイバー状および板状の充填材の使用
  3.2.2 充填材の粒度分布の工夫
  3.2.3 充填材の連続体形成量の増大
 3.3 最近開発された改善方法
  3.3.1 充填材の連続体形成量をさらに増大するために充填材を連続相に
  3.3.2 充填材の接触面を増大し,完全な連続相に
  3.3.3 ダブルパーコレーションの利用
  3.3.4 多種の粒子の利用
  3.3.5 複合液晶性高分子材料の熱伝導率
  3.3.6 カーボン系フィラーの利用
4 応用分野と将来性

第3章 熱伝導率・熱拡散率測定装置の使用法と応用事例
1 はじめに
2 バルク材料の測定方法
 2.1 各測定方法の説明
 2.2 測定事例
3 基板上の薄膜材料の測定方法
4 おわりに

第4章 高分子材料の熱伝導率の分子シミュレーション技術
1 はじめに
2 各種材料の熱伝導性
3 結晶のデバイ理論
4 熱伝導率の分子シミュレーション技術
5 解析事例
6 おわりに

【第Ⅱ編 高分子の高熱伝導化】
第1章 エポキシ樹脂の異方配向制御による高熱伝導化
1 はじめに
2 メソゲン骨格エポキシ樹脂の特徴と局所配列構造を持つエポキシ樹脂の熱伝導性
3 巨視的な異方配列構造を持つエポキシ樹脂の熱伝導性
4 低融点型液晶性エポキシ樹脂の熱伝導性
5 配列構造形成を利用した高熱伝導コンポジットの調製

第2章 ベンゾオキサゾール基含有サーモトロピック液晶性ポリマー
1 電気絶縁性・高熱伝導性樹脂材料の必要性
2 ポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維の熱伝導性と放熱フィルムへの適用の可能性
3 ベンゾオキサゾール(BO)基を含む高分子系
 3.1 長鎖アルキレン基含有PBO
 3.2 BO基をペンダントしたポリメタクリレート(側鎖型PBO)
 3.3 BO基含有ジアミンとビスエポキシドの熱硬化物
4 液晶性エポキシ樹脂に残された問題と課題

第3章 断熱材から伝熱材へ〜ナノセルロースの挑戦〜
1 はじめに
2 ナノセルロースと紙
3 セルロースの伝熱特性
4 ナノセルロースの調製
5 NCシートと繊維構造
6 NCシートの熱伝導特性
7 NCシートを骨格とする透明熱伝導フィルム
8 おわりに

【第Ⅲ編 フィラーの高熱伝導化】
第1章 高熱伝導性と高耐水性を両立するAlNフィラー皮膜の設計
1 はじめに
2 AlN表面へのα-Al2O3皮膜層の形成
3 AlN表面へのα-Al2O3/有機ハイブリッド皮膜層の形成
4 ハイブリッド皮膜AlNフィラーの熱伝導率の予測
5 おわりに

第2章 高熱伝導AlNフィラーFAN-fシリーズ
1 はじめに
2 古河電子フィラーについて
 2.1 FAN-fシリーズ
 2.2 製法概略
 2.3 各グレード概略
  2.3.1 FAN-f80-A1(以下f80)
  2.3.2 FAN-f30-A1(以下f30)
  2.3.3 FAN-f50-A1(以下f50)
  2.3.4 FAN-f05-A1(以下f05)
3 AlNの課題
 3.1 耐水性
 3.2 古河電子での水和対策
 3.3 表面処理
4 古河電子でのフィラー用途開発取組み
5 おわりに

第3章 Al/AlNフィラー(TOYAL TecFiller®)
1 TOYAL TecFillerⓇについて
2 アルミニウムフィラー
 2.1 金属の熱伝導
 2.2 アルミニウム熱伝導フィラー
 2.3 TOYAL TecFiller TFHシリーズ
3 窒化アルミニウムフィラー
 3.1 窒化アルミニウムの熱伝導
 3.2 窒化アルミニウムの製造方法
 3.3 窒化アルミニウム熱伝導フィラー
 3.4 TOYAL TecFiller TFZシリーズ

第4章 熱伝導フィラー用マグネシウム化合物
1 はじめに
2 熱伝導フィラー用酸化マグネシウム
 2.1 酸化マグネシウムの一般特性
 2.2 耐水性・耐酸性の改善
 2.3 応用特性例
3 熱伝導フィラー用無水炭酸マグネシウムについて
 3.1 炭酸マグネシウムの一般特性
 3.2 合成マグネサイト
 3.3 応用特性例
4 最後に

第5章 高熱伝導性コンポジット用h-BN剥離フィラー
1 はじめに
2 低充填量でのコンポジットの高熱伝導化を可能とするフィラーの形状
3 機械的プロセスを利用した高アスペクト比のh-BN剥離フィラーの開発
4 剥離h-BNフィラーがおよぼすコンポジットの熱伝導率,機械特性および成形性への影響
5 おわりに

第6章 単層カーボンナノチューブの凝集構造制御と複合体への応用
1 はじめに
2 SWNTナノフィラー
3 SWNTナノフィラーを用いたPVAとの複合体フィルムの作製とその構造評価
4 複合体フィルムの物性評価
 4.1 力学物性
 4.2 熱物性
5 延伸フィルムの物性評価
 5.1 力学物性
 5.2 熱物性
6 延伸複合体フィルム中のSWNTナノフィラーの配向
7 まとめ

【第Ⅳ編 コンポジット材料の高熱伝導化】
第1章 高放熱ナイロン6樹脂
1 はじめに
2 高熱伝導率フィラー
3 高放熱ナイロン6樹脂の概要
 3.1 高放熱ナイロン6樹脂の特性
 3.2 高放熱ナイロン6樹脂の成形加工性
 3.3 耐衝撃グレードの開発
4 高放熱ナイロン6樹脂の放熱性
 4.1 ヒートシンクでの放熱性評価
 4.2 金属との一体成形
5 採用事例
6 おわりに

第2章 高熱伝導高分子複合材料設計のための微構造制御
1 はじめに
2 複合粒子作製と微構造設計
 2.1 複合粒子作製
 2.2 微構造設計
 2.3 静電吸着複合法の利点
3 複合材料の設計指針
 3.1 h-BN-PMMA複合粒子設計
 3.2 h-BN-PMMA複合材料の作製
 3.3 パーコレーション構造および配向構造
4 おわりに

第3章 セルロースナノファイバー/h-BN複合絶縁性放熱材
1 はじめに
2 CNFの製造およびその特性について
3 表面エステル化修飾CNFの一段階調製法について
4 アセチル化修飾CNFをマトリックスとした複合化放熱材
 4.1 複合化放熱材のマトリックスとするCNFのメリット
 4.2 Acetyl-CNFをマトリックスとした複合化放熱材の作製と評価
5 おわりに

第4章 単層カーボンナノチューブの複合化によるゴムの熱伝導性向上
1 緒言
2 CNTを用いた柔らく熱伝導性の高い材料開発
 2.1 CNTの熱伝導率
 2.2 CNT/CFハイブリッド材料
 2.3 熱伝導材料としてのCNTの分散処理
3 まとめ

第5章 CNT分散構造制御による絶縁樹脂の高熱伝導化技術
1 はじめに
2 樹脂の高熱伝導化技術
 2.1 従来手法-無機系熱伝導性フィラーの配合-
 2.2 新規手法-マトリックス樹脂の高熱伝導化-
  2.2.1 樹脂の分子構造制御技術-液晶性分子骨格の導入-
  2.2.2 高熱伝導性と高絶縁性を両立する新規CNT分散構造モデルと材料創製
  2.2.3 CNT分散構造制御PPS系複合体の熱伝導性と絶縁性
  2.2.4 新規手法の応用
3 おわりに

第6章 CARMIX熱拡散シート
1 はじめに
2 「CARMIX熱拡散シート」各グレードの特徴
 2.1 グレードと基本物性
 2.2 各グレードの特長
 2.3 構造
 2.4 表面加工
 2.5 性能比較
  2.5.1 ヒーターを用いた放熱テスト
  2.5.2 ヒートシンクとして比較
3 まとめと今後の展開

【第Ⅴ編 応用別放熱設計】
第1章 パワーエレクトロニクス機器の放熱設計と樹脂材料
1 パワーエレクトロニクス機器とその動向
 1.1 パワーエレクトロニクスの課題
2 製品の熱設計の考え方と放熱部材としての樹脂
 2.1 製品の熱設計の考え方
 2.2 熱設計の原理
  2.2.1 消費電力(発熱量)の把握
  2.2.2 目標熱抵抗の算出
  2.2.3 エレクトロニクス製品の熱回路
 2.3 樹脂材料に求められる絶縁性と熱伝導の両立性
3 パワーエレクトロニクス装置の熱設計例とその課題
 3.1 太陽光発電システムとその熱設計例
 3.2 パワーコンディショナーの構成
 3.3 熱設計の例
 3.4 実装構造上の課題
 3.5 製品設計に必要な高熱伝導性材料の性能と樹脂の可能性

第2章 次世代自動車のパワーモジュールにおける放熱設計と求められる樹脂材料
1 はじめに
2 HEV/PHEVに用いられるインバータ
3 インバータの放熱設計
4 求められる樹脂材料
5 おわりに

第3章 LED照明の放熱設計と求められる樹脂材料
1 白色LED照明と放熱技術
2 LED照明に用いられる樹脂材料

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