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フレキシブル有機ELディスプレイ/逆構造有機ELデバイス/プラズマCVD装置/Cat-CVD法/ALD法/粘土膜/透明蒸着バリアフィルム/乾燥剤/常温接合/フレキシブルガラス/R2Rバリア膜/バリア性測定/API-MS/差圧法DELTAPERM/カルシウム法/質量分析器
刊行にあたって
SF映画で見た、柔らかいディスプレイ。ありそうで実際にはない、そういう製品であった。それがついに現実のものとなりそうだ。これまでに柔らかいディスプレイに必須である有機EL材料、フレキシブルTFT、フレキシブル透明導電膜などの開発があった。しかし、実際には柔らかいディスプレイの実現を阻んでいたのは、酸素や湿度に弱い有機ELを封止する技術が未達だったことである。
ディスプレイ前面・背面のシート材への要求バリア性は、水蒸気透過度で1×10-6 g/m2 day以下と言われてきた。このレベルのバリア性を必要とするフレキシブル製品は存在しなかった。ディスプレイをフレキシブル化するために、史上初めて、シート材などで、高い水蒸気・酸素バリア性を実現することが求められることになった。ハイバリアプラスチックフィルムを作ることは容易ではないため、ガラスを薄く製造したフレキシブルガラスを用いる取り組みも行われている。さらに、前面、背面のほか、側面からの酸素・水侵入も止めなければならないため、封止材料・端面封止材料も必要となる。
本書は3編に分かれており、第1編では、デバイスの側からの封止・バリア技術への要求事項などがわかるようになっている。第2編では、非常に高いレベルでの封止・バリア技術についての理論と最新技術、関連材料が詳解されている。第3編では、第2編で述べられた材料を評価するための技術と取り組みについて解説されている。
最後に、本書はフレキシブル有機エレクトロニクスのエンジニアの参考になる内容を目指したが、この本をご覧になった方が、本書から新しいデバイスや製品のアイディアを得て、夢のような製品を生み出すきっかけづくりができたとすれば、望外の喜びである。
(「はじめに」より一部抜粋)
著者一覧
蛯名武雄 (国研)産業技術総合研究所 占部哲夫 ソニー㈱ 清水貴央 NHK放送技術研究所 吉田 学 (国研)産業技術総合研究所 沖本忠雄 ㈱神戸製鋼所 松村英樹 北陸先端科学技術大学院大学 座間秀昭 ㈱アルバック 樫尾幹広 リンテック㈱ 大橋健寛 リンテック㈱ 西嶋健太 リンテック㈱ 塩田 聡 大日本印刷㈱ 米沢禎久 双葉電子工業㈱ 稗田 茂 双葉電子工業㈱ 中野雅司 ランテクニカルサービス㈱ | Sue C. Lewis Corning Incorporated 若林明伸 ㈱MORESCO 田中秀康 旭化成㈱ 小森常範 東レエンジニアリング㈱ 友松弘行 リケンテクノス㈱ 野口幸紀 ㈱イチネンケミカルズ 平田雄一 信州大学 高萩 寿 ㈱住化分析センター 井口恵進 ㈱テクノ・アイ 馬路 哲 住ベリサーチ㈱ 今村貴浩 ㈱MORESCO 吉田 肇 (国研)産業技術総合研究所 鈴木 晃 次世代化学材料評価技術研究組合 |
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第1章 フレキシブル有機ELディスプレイの開発とバリア技術
1 有機ELディスプレイ進化の経緯
2 フレキシブル有機ELディスプレイの生産方法
3 有機ELディスプレイ素子の劣化
4 有機ELの封止(バリア)技術
第2章 大気安定な逆構造有機ELデバイス
1 はじめに
2 大気安定な逆構構造有機ELデバイスの開発
2.1 フィルム基板に求められる性能
2.2 大気安定な有機ELの開発目的
2.3 大気安定な逆構造有機デバイスの特徴
2.4 発光特性と大気安定性評価
3 逆構造有機ELを用いたディスプレイ試作
4 おわりに
第3章 プリンテッドエレクトロニクスと封止技術
1 はじめに
2 有機半導体に対する外気の影響
3 有機半導体デバイスに対する封止効果
4 有機半導体用封止膜
5 まとめ
【第2編 バリア・封止材料】
第4章 プラズマCVD装置とガスバリア膜
1 はじめに
2 フレキシブルバリア膜形成の課題
3 ロールツーロールプラズマCVD装置
3.1 装置の特長
3.2 プロセスの特長
4 樹脂フィルム向けハイバリア膜成膜
4.1 皮膜の特長
4.2 バリア性に対する基板の平滑性の影響
4.3 バリア性に対するダストの影響
4.4 SiNx膜の形成
5 バリア膜形成用CVD装置
5.1 研究開発用CVDスパッタ両用ロールコータW35シリーズ
5.2 生産用SiOxハイバリア膜ロールコータW60シリーズ
6 まとめ
第5章 Cat-CVD法による有機EL用ガスバリヤ膜作製
1 はじめに
2 Cat-CVD法と作製される膜の特長
3 Cat-CVD膜の有機EL用ガスバリヤ膜としての応用例
4 安全な原料を用いたSiNx系膜作製,および,有機膜作製とその積層ガスバリヤ膜応用
5 まとめ
第6章 ALD法による水蒸気バリア膜
1 はじめに
2 単層膜の特性
3 積層膜の開発と評価
4 量産技術への取り組み
5 おわりに
第7章 粘土膜クレーストと耐熱水蒸気バリア膜の開発
1 粘土を主成分とする耐熱フィルム
2 耐熱ガスバリアフィルムの設計指針-ナノコンポジット化と多積層化
3 粘土を主成分とする耐熱フィルムへの柔軟性付与・透明性向上・ガスバリア性付与
4 粘土を主成分とするフィルムの開発事例
4.1 粘土を主成分とするフィルム
4.2 水熱処理による粘土のアスペクト比の増大とガスバリア性の向上
4.3 耐熱性高分子をバインダーとした粘土フィルム
4.4 耐熱有機カチオン粘土フィルム
4.5 粘土フィルムのその他の特性
5 粘土と改質リグニンからなるハイブリッド膜
6 水蒸気バリア膜
7 耐熱性とガスバリア性の両立に向けて
第8章 フレキシブル有機ELディスプレイ用透明封止シート
1 はじめに
2 封止方法
3 ガスバリアフィルム
3.1 低水蒸気透過性(ハイガスバリア性)
3.2 光学特性
3.3 耐久性
3.4 屈曲性
4 封止剤
4.1 水蒸気透過性
4.2 粘着剤の封止性能
5 封止シートを用いた封止性能評価
6 おわりに
第9章 透明蒸着バリアフィルムの開発
1 ガスバリアフィルムに要求される機能
2 蒸着手法
2.1 CVD方式
2.2 PVD方式
3 ガスバリア性能評価
3.1 IB-PET-PUB
3.2 IB-PET-PXB
3.3 超バリアフィルム
4 まとめ
第10章 有機EL向け乾燥剤
1 はじめに
2 OLEDパネル構造について
3 乾燥剤の捕水メカニズム
4 乾燥剤OleDryのラインナップ
5 充填用乾燥剤(OleDry-F)の特長
5.1 充填剤による有機層のダメージについて
5.2 OleDry-Fの光学特性について
5.3 OleDry-Fの捕水性能について
5.4 充填乾燥剤プロセスフロー
6 パネル構造に対する水分の拡散経路の違い
7 充填用無機乾燥剤の開発
第11章 常温接合によるフレキシブル有機EL封止
1 表面活性化常温接合
2 薄膜を中間層とした常温接合技術
3 Feナノ密着層を用いた常温接合技術
4 有機EL封止工程への常温接合技術の応用
5 フレキシブル有機EL製造工程への常温接合技術の応用
第12章 超薄板フレキシブルガラス
1 はじめに
2 フレキシブルガラスの物理特性
3 機械的信頼性
4 連続加工-R2Rプロセス
5 電子デバイスへのフレキシブルガラスの応用
6 まとめ
第13章 フレキシブル有機EL用封止材
1 フレキシブル有機ELの封止方式について
2 ダム&フィル封止について
3 液状材料を用いた全面封止について
4 PSAフィルムを用いた封止について
5 薄膜封止(TFE:Thin Film Encapsulation)について
6 まとめ
第14章 新しい粘土分散技術を用いたガスバリア膜
1 はじめに
2 目標とするガスバリア膜の設計指針
3 技術的課題
4 技術その1:液晶性粘土の利用
5 技術その2:分散を保持したイオン交換
6 技術その3:有機溶媒置換とアミン添加
7 実際に作成されたガスバリア膜の構造と物性
8 総括および謝辞
第15章 R2Rバリア膜成膜装置の開発
1 はじめに
2 内挿型ICP電極を用いたプラズマCVD法によるバリア膜の形成
3 R2Rバリア膜成膜装置(RTCシリーズ)
3.1 R2R量産対応装置(RTC-V1400)
3.2 研究開発向け小型装置RTC-SV300
4 まとめ
第16章 カバーガラス代替新規プラスチックフィルム
1 はじめに
2 REPTY®DC100の基本特性
3 REPTY®DC100の製品グレードと特徴
4 進化するREPTY®DC100の機能
5 車載用途への展開について
5.1 車内内装部材としての応用
5.2 ウィンドウへの適用
6 おわりに
第17章 ステンレスの電気絶縁/表面平たん化技術
1 はじめに
2 粘土鉱物とは
3 粘土コーティング剤
4 粘土皮膜の利点
【第3編 バリア・封止材料評価技術】
第18章 フィルムのバリア性測定
1 はじめに
2 膜のバリア性能の指標
3 透過装置の測定原理
4 測定結果へのリークの影響
5 測定手順とリークの取り扱いについて
第19章 API-MSを用いた水蒸気バリア測定
1 はじめに
2 API-MS検出器の特徴および原理
3 API-MS法によるフレキシブルバリアフィルム基板のWVTR測定
4 API-MS法などの高感度装置を活用した接着部評価法
5 おわりに
第20章 差圧法DELTAPERMによる水蒸気透過率測定
1 差圧法の歴史的位置づけとDELTAPERM(デルタパーム)
2 ハイバリアフィルム用標準機としてのDELTAPERM
3 DELTAPERMの測定原理
4 差圧法の主な特徴
5 差圧法の顕著な改良
6 高機能向けハイバリアフィルムの生産現場の業界標準器としての推進
第21章 カルシウム法による水蒸気バリア測定
1 カルシウム法の概要
2 光学測定法
3 電気測定法
4 面積測定法
5 カルシウム法の課題と最近の取り組み
6 その他の測定法
7 まとめ
第22章 質量分析器を用いた水蒸気バリア測定
1 はじめに
2 ガス・水蒸気透過率測定装置
3 高速・高感度のガス・水蒸気透過率測定装置(スーパーディテクト)の測定原理
4 まとめ
第23章 水蒸気バリア性測定におけるトレーサビリティの確保
1 トレーサビリティとは
2 不確かさとは
3 国家標準と国際標準
4 水蒸気バリア性測定のトレーサビリティとは
4.1 キャリアガスの流量と水蒸気濃度とから水蒸気透過度を求める方法
4.2 ガスクロマトグラフ法
4.3 差圧法
4.4 質量分析法
5 水蒸気バリア性測定に関連する国家標準
5.1 標準ガス
5.2 湿度標準
5.3 圧力真空標準と標準コンダクタンスエレメント(SCE)
6 標準ガスバリアフィルムの開発状況
7 まとめ
第24章 有機EL素子における水蒸気バリア性評価手法の信頼性検討
1 はじめに
2 バリア性能の評価指標と測定装置
3 有機EL素子用封止材の水蒸気バリア性能評価
3.1 バリアフィルムの水蒸気バリア性評価
3.2 接着材の水蒸気バリア性評価技術
4 おわりに
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