キーワード:
アンモニア合成/水素化脱硫/自動車排ガス浄化/脱NOx/脱臭/VOC除去/エチレンオキシド/水蒸気改質/燃料電池電極/触媒毒/シンタリング/凝集/脱離/カーボン付着/金属析出/コーク/摩耗/粉砕/ゼオライト/固体酸触媒/錯体金属触媒/FCC触媒/脱硫触媒/水素化分解触媒/シフト触媒/MMA/MTO/MTP/均一系触媒
刊行にあたって
過去において実用触媒プロセスの開発は劣化との戦いであった。それは現在も変わらない。工業触媒は目的のための手段であり材料であることから前処理技術や長寿命触媒の調製技術、反応器の設計などの開発が必須である。欧米では、触媒の劣化対策に関して専門の研究会があり報告書が多く出版されているが、日本では従来、触媒の劣化対策に関してはプロセスや触媒開発のノウハウとして厳守されることが多く、開示されることが少なかった。しかし、触媒学会の工業触媒研究会と化学工学会の触媒反応工学分科会は既に10年以上、触媒劣化対策の必要性を認識し、工業触媒研究会は劣化対策事例のデータベース化、 触媒反応工学分科会は毎年触媒劣化セミナーを開催し、触媒劣化対策の研究を続けている。
本書の刊行に当たっては触媒学会の工業触媒研究会のメンバーと化学工学会の触媒反応工学分科会の先生方に執筆と多大なご協力をいただいた。
現在、我々は地球温暖化やエネルギー、人口増加など多くの問題に直面している。これらの問題を解決するためにメタンやバイオマスの利用、水素製造、二酸化炭素の利用、人工光合成などの再生可能エネルギーなどの分野において、AIによる開発手段を加えた触媒開発が望まれている。本書がこれらの課題の解決に何らかの示唆になることができれば幸いである。
(「巻頭言」より一部抜粋)
著者一覧
室井髙城 アイシーラボ 中村吉昭 日揮ユニバーサル㈱ 冨重圭一 東北大学 関根 泰 早稲田大学 堀 正雄 ユミコア日本触媒㈱ 久保田岳志 島根大学 関 浩幸 JXTGエネルギー㈱ 荒川誠治 日揮触媒化成㈱ 長井康貴 ㈱豊田中央研究所 中坂佑太 北海道大学 増田隆夫 北海道大学 岡部晃博 三井化学㈱ 藤川貴志 アルベマール日本㈱ 畠山 望 東北大学 三浦隆治 東北大学 鈴木 愛 東北大学 宮本 明 東北大学 角 茂 千代田化工建設㈱ 里川重夫 成蹊大学 霜田直宏 成蹊大学 菊地隆司 東京大学 江口浩一 京都大学 坂 祐司 コスモ石油㈱ 渡部光徳 日揮触媒化成㈱ 佐野庸治 広島大学 鈴木 賢 旭化成㈱ | 常木英昭 ㈱日本触媒 山本祥史 宇部興産㈱ 井伊宏文 宇部興産㈱ 佐藤智司 千葉大学 赤間 弘 日産自動車㈱ 薩摩 篤 名古屋大学 松田臣平 ㈲マツダリサーチコーポレーション 戸根直樹 日揮ユニバーサル㈱ 梨子田敏也 日揮ユニバーサル㈱ 難波哲哉 (国研)産業技術総合研究所 永長久寛 九州大学 濱田秀昭 (国研)産業技術総合研究所 志知 明 ㈱豊田中央研究所 井上朋也 (国研)産業技術総合研究所 多湖輝興 東京工業大学 中嶋直仁 クラリアント触媒㈱ 松下康一 JXTGエネルギー㈱ 今川健一 千代田化工建設㈱ 清水研一 北海道大学 今 喜裕 (国研)産業技術総合研究所 中村陽一 (国研)産業技術総合研究所 川原 潤 三井化学㈱ 二宮 航 三菱ケミカル㈱ 木村 学 広栄化学工業㈱ 米本哲郎 住友化学㈱ |
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第1章 工業プロセスにおける触媒劣化と対策
1 触媒劣化
1.1 はじめに
1.2 劣化現象
1.3 触媒毒と選択性付与剤
1.4 工業触媒の寿命
1.5 触媒劣化
1.6 触媒毒
1.7 シンターリング
1.8 触媒自体の変化
1.9 磨耗,粉化
1.10 劣化対策
1.11 おわりに
2 前処理
2.1 はじめに
2.2 微量S除去
2.3 一酸化炭素の除去
2.4 酸素除去
2.5 ハロゲンの除去
2.6 アセチレン,オレフィンの選択水素化除去
2.7 脱メタル触媒
2.8 ダミー触媒
2.9 使用済み触媒による前処理
2.10 おわりに
3 触媒調製法による劣化対策
3.1 はじめに
3.2 耐硫黄触媒
3.3 耐熱触媒(シンターリング防止触媒)
3.4 溶出防止触媒
3.5 カーボン析出防止触媒
3.6 担体の強度向上
3.7 脱硫触媒における重金属対策
3.8 ゼオライト触媒
4 反応器の最適設計による劣化対策
4.1 はじめに
4.2 反応器
4.3 反応流
4.4 発熱反応
4.5 カードベット反応器
4.6 連続再生装置
4.7 おわりに
5 反応装置の運転法による劣化対策-接触改質プロセスの進化を例に
5.1 初めに
5.2 接触改質プロセスの役割
5.3 接触改質プロセス発展の経緯
5.4 触媒の機能(反応メカニズム)
5.5 接触改質プロセスの進化
5.6 既設接触改質装置における運転可能期間と再生能力の改善
6 再生処理法
6.1 はじめに
6.2 洗浄再生
6.3 湿式還元再生
6.4 水素ストリッピング
6.5 カーボンバーン(デコーキング)
6.6 連続再生
6.7 金属の再分散
6.8 おわりに
第2章 触媒劣化現象
1 水蒸気改質におけるNi系触媒の活性劣化
2 シフト反応における貴金属系触媒のシンタリング
2.1 シフト反応における貴金属触媒の位置づけ
2.2 金を担持した触媒の劣化挙動
2.3 白金を担持した触媒の劣化挙動
2.4 考えられる劣化抑制対策
3 自動車排ガス浄化触媒の劣化と対策
3.1 自動車排ガス浄化触媒の概要
3.2 自動車触媒の劣化モード
3.3 各種劣化の実態と対策
4 水素化脱硫触媒とその劣化
4.1 緒言
4.2 Co-Mo系脱硫触媒とその活性構造
4.3 脱硫触媒の活性構造形成過程と高活性化
4.4 水素化精製触媒の劣化とその要因
4.5 おわりに
5 FCC触媒のコーク生成,金属堆積による劣化と対策
5.1 はじめに
5.2 FCC触媒の劣化要因
5.3 FCC触媒の劣化対策
5.4 まとめ
第3章 劣化触媒の解析
1 固体触媒のキャラクタリゼーション
1.1 はじめに
1.2 物性測定装置
1.3 粒度分布
1.4 機械的強度
1.5 表面積と細孔分布
1.6 金属表面積の測定
1.7 蛍光X線分析(XRF)
1.8 Electron Probe Microanalyzer(EPMA)
1.9 TG(示差熱天秤)
1.10 アンモニアTPD(昇温脱離,Temperature-Programmed Desorption)
1.11 AES(オージェ電子分光分析,Auger Electron Spectroscopy)
1.12 XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)
1.13 X線解析(XRD:X-Ray Diffraction)
1.14 電子顕微鏡
1.15 Cl,S,Pの化学分析
1.16 おわりに
2 自動車排気浄化用触媒における貴金属粒子と担体との相互作用,粒成長現象の解析
2.1 はじめに
2.2 セリア担体上でのPt粒成長抑制機構
2.3 Pt-各種担体との相互作用とPt粒成長
2.4 セリア担体上でのPt粒子の還元挙動
2.5 おわりに
3 炭素析出によるゼオライト触媒の劣化と再生
3.1 はじめに
3.2 炭化水素の拡散係数
3.3 ZSM-5に析出したコークの燃焼速度解析
3.4 おわりに
4 ゼオライト成形体触媒のコーク析出による劣化と対策
4.1 はじめに
5 軽油超深度脱硫触媒の劣化と寿命推定
5.1 はじめに
5.2 軽油脱硫触媒の劣化メカニズム
5.3 触媒上の堆積コークの特徴
5.4 触媒の長寿命化
5.5 触媒寿命推定
5.6 おわりに
6 シンタリングによる触媒劣化のシミュレーション
7 迅速寿命試験
7.1 はじめに
7.2 触媒の劣化現象の理解
7.3 実際の反応試験
7.4 触媒試験
7.5 触媒寿命の推定法
7.6 おわりに
第4章 触媒の長寿命化
1 合成ガス製造プロセスにおける触媒劣化要因と対策について
1.1 合成ガス製造プロセス
1.2 CO2リフォーミング(CT-CO2ARⓇ)技術
1.3 接触部分酸化(D-CPOX)技術
1.4 まとめ
2 水蒸気改質触媒の耐久性
2.1 水蒸気改質触媒の劣化機構
2.2 大型装置用触媒の劣化と対策
2.3 小型改質器用触媒の劣化と対策
2.4 貴金属触媒の劣化と対策
3 スピネル複合触媒によるジメチルエーテル水蒸気改質反応
3.1 ジメチルエーテル水蒸気改質反応と触媒
3.2 アルミナ複合Cu系スピネル触媒
3.3 触媒劣化と再生
3.4 触媒寿命の予測
3.5 触媒耐久性の向上
3.6 まとめ
4 流動接触分解装置における劣化要因およびその対応策
4.1 FCC装置の概要
4.2 FCC触媒の概要
4.3 FCC触媒の劣化要因
4.4 当社での取り組み
4.5 総括
5 直脱/RFCCのインテグレーション
5.1 諸言
5.2 直脱およびRFCCの概要
5.3 触媒劣化に対する原料油性状因子
5.4 直脱触媒の劣化対策
5.5 RFCC触媒の劣化対策
5.6 直脱-RFCCのインテグレーション
5.7 結言
6 高圧・超臨界流体反応場による炭素析出抑制
6.1 はじめに
6.2 重質油の軽質化反応
6.3 2-メチルナフタレンのメチル化反応
6.4 おわりに
7 高水熱安定性ゼオライト触媒の開発
7.1 はじめに
7.2 脱アルミニウム挙動
7.3 アルカリ土類金属修飾MFIゼオライト触媒の開発
7.4 ゼオライト水熱転換によるリン修飾CHAゼオライト触媒の開発
7.5 おわりに
8 メタクリル酸メチル製造用金-酸化ニッケルコアシェル型ナノ粒子触媒の開発
8.1 はじめに
8.2 金-酸化ニッケルナノ粒子触媒の開発
8.3 長期触媒寿命を保証する工業触媒の開発
8.4 本技術の実用化
8.5 おわりに
9 エチレンイミン製造用触媒の開発と長寿命化
9.1 緒言
9.2 触媒・反応プロセスの概要
9.3 触媒劣化と対策
10 亜硝酸メチルを用いた気相カルボニル化触媒の開発
10.1 緒言
10.2 MNによる気相カルボニル化
10.3 気相カルボニル化触媒の開発
10.4 まとめ
11 固体酸触媒プロセスにおける触媒活性劣化の抑制
12 自動車触媒の耐熱性向上による触媒の長寿命化
12.1 はじめに
12.2 高温暴露による触媒劣化;シンタリング現象
12.3 担持貴金属触媒の耐熱性向上技術
13 自動車排ガス浄化用Ag触媒の高活性化とシンタリング抑制
13.1 はじめに
13.2 NO還元活性の還元剤依存性と水素添加効果
13.3 NO還元活性の反応雰囲気および担体依存性
13.4 Ag種のシンタリング抑制の例-Ag/Al2O3
13.5 Ag種のシンタリング抑制の例-Ag/CeO2
13.6 Ag種のシンタリング抑制の例-Ag/SnO2
14 アンモニア脱硝触媒の開発と長寿命化
14.1 はじめに
14.2 窒素酸化物(NOX)除去プロセス
14.3 SCR用の脱硝触媒の開発
14.4 酸性硫安の析出による酸化チタン系触媒の活性低下
14.5 まとめ
15 環境浄化触媒の劣化要因と対策
15.1 はじめに
15.2 触媒燃焼法の特長
15.3 環境浄化触媒の種類
15.4 劣化要因と対策
15.5 おわりに
【第2編 劣化対策事例】
第5章 環境触媒
第6章 石油・エネルギー
第7章 石油化学・合成化学
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