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ベンゾオキサジン樹脂の新しい設計と応用展開

Novel Molecular Design and Development of Benzoxazine Resin

★国内初となるベンゾオキサジン樹脂の本格技術専門書!!
★基礎、分子設計、機能化、複合化、応用と様々な面からベンゾオキサジン樹脂の性能を解説!!
★国内だけでなく海外の著名研究者にも寄稿頂き、最新研究動向を網羅!!

商品コード:
T1089
監修:
竹市 力,古川信之,遠藤 剛
発行日:
2018年9月28日
体裁:
B5判・285頁
ISBNコード:
978-4-7813-1346-7
価格(税込):
88,000
ポイント: 800 Pt
関連カテゴリ:
新材料・新素材
エレクトロニクス > 半導体・電子材料
新材料・新素材 > 高分子・プラスチック

Review

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キーワード:

開環重合/マンニッヒ反応/フェノール類/アミン類/ホルムアルデヒド/ビスフェノール/アニリン/ビスマレイミド/シアネート/酸無水物/ポリマーアロイ/クリック反応/共重合反応/in situ重合/分子配向/トライボロジー/自己修復性/耐熱性/難燃性/低吸水率/低誘電率/寸法安定性等

刊行にあたって

 ベンゾオキサジン樹脂は、その歴史は短いが、従来の高分子の常識ではありえない多くの特性を発揮することから、研究者に驚きを与え続けてくれている極めて興味深い最新の樹脂である。フェノール、アミンおよびホルムアルデヒドから6員環モノマーであるベンゾオキサジンを簡単に合成でき、この安定な環状モノマーを加熱するだけで開環重合によって熱硬化性樹脂ポリベンゾオキサジンが得られるというものである。硬化物が、従来型のフェノール樹脂と類似の構造を有することから、新規なフェノール樹脂とも呼ばれている。熱硬化物は耐熱性、難燃性、電気絶縁性などに優れた特性を有するばかりか、硬化収縮が小さく、線熱膨張係数が小さいことから寸法安定性に優れ、極性官能基が多いにもかかわらず誘電率や吸水率が低く、さらに表面自由エネルギーがテフロンよりも低いなど、想定を超える物性を示す。これらの稀有な特性は、主に、分子内および分子間の水素結合に起因することが明らかになっている。ベンゾオキサジンの原料であるフェノールやアミンの種類が多いことから分子設計の自由度が極めて高く、用途に適した物性を有するベンゾオキサジンの合成が可能であるのも大きな魅力である。

 ベンゾオキサジン樹脂が公開されて以降、その魅力から、多くの研究開発が開始されたと思われるが、低分子モノマー単独での開環重合時に生じる揮発物による発泡に悩まされたり、ジアミンを用いる環状モノマーの合成でゲル化等によって苦労されたりした経験をお持ちの方もあると思われる。30年近い歴史を経て、環状モノマーの合成、開環重合、硬化物の物性や応用展開に向けた研究開発などの知見が集積され、基礎研究はかなり熟成され、それらの問題の原因が解明され、対策が可能になっている。

 ベンゾオキサジンに関する日本語での総説や解説記事は多くあったが、成書はなかった。今回、シーエムシー出版からお話をいただき、佐世保工業高等専門学校の古川信之先生と近畿大学分子工学研究所の遠藤 剛先生に共同監修者になっていただき、発刊に向けて協議した。幅広い分野をカバーするため、できる限り多くの研究者の方々に協力をお願いした。外国からも、米国の石田先生を始め、親日家でもあるトルコのYusuf Yagci先生とタイのSarawut Rimdusit先生のグループにご協力いただいた。

 本書が新たなきっかけとなって、次世代ネットワークポリマーとしての実用化が大きく展開することを願っている。

竹市 力(「はじめに」より一部抜粋)

著者一覧


竹市 力   豊橋技術科学大学
石田初男   Case Western Reserve University
遠藤 剛   近畿大学
須藤 篤   近畿大学
Sini Nalakathu Kolanadiyil  近畿大学
河内岳大   龍谷大学
後藤誠英   関西大学
三田文雄   関西大学
有田和郎   DIC㈱
下野智弘   DIC㈱
大津理人   DIC㈱
山口純司   DIC㈱
鈴木悦子   DIC㈱
小林美佐江  DIC㈱
古川信之   佐世保工業高等専門学校
里見暢子   佐世保工業高等専門学校
市瀬英明   長崎県工業技術センター
Baris Kiskan  Istanbul Technical University
Yusuf Yagci  Istanbul Technical University
木村 肇   大阪産業技術研究所
Manunya Okhawilai  Chulalongkorn University

Sarawut Rimdusit  Chulalongkorn University
Phattarin Mora  Chulalongkorn University
大山俊幸   横浜国立大学
斎藤礼子   東京工業大学
高橋勤子   あいち産業科学技術総合センター
宮城 雄   関西大学
Sunan Tiptipakorn  Kasetsart University
Chanchira Jubsilp  Srinakharinwirot University
Mustafa Arslan  Kirklareli University
大塚章仁   四国化成工業㈱
高橋昭雄   横浜国立大学
大橋誠司   住友ベークライト㈱
永谷裕介   ㈱髙木化学研究所
渡邊大輔   ㈱髙木化学研究所
清水健太   ㈱髙木化学研究所
松山一夫   ㈱髙木化学研究所
高木優州   ㈱髙木化学研究所
高木紀彰   ㈱髙木化学研究所
中村泰輔   ㈱ノリタケカンパニーリミテド
黒江元紀   ㈱曙ブレーキ中央技術研究所
松本明彦   豊橋技術科学大学

目次 +   クリックで目次を表示

【第1編 ベンゾオキサジン樹脂の基礎】
第1章 新規高性能樹脂ベンゾオキサジンの研究開発展開

第2章 新しいベンゾオキサジン類の分子設計と重合プロセス
1 概要
2 1,3-ベンゾオキサジン類の重合機構
 2.1 双性イオン中間体の想定
 2.2 ポリベンゾオキサジンの主鎖転移反応
3 重合促進剤の開発
4 高反応性ベンゾオキサジンの開発
 4.1 分子内に求核性部位をもつ高反応性ベンゾオキサジン
 4.2 スルフィド基をもつ高反応性ベンゾオキサジン
5 低温で進行する反応の開発
6 総括

【第2編 ベンゾオキサジン樹脂の分子設計】
第3章 耐熱性ベンゾオキサジンの分子設計
1 はじめに
2 分子設計による耐熱性の向上
 2.1 架橋性官能基または剛直構造を有するベンゾオキサジン
 2.2 骨格中に多数のオキサジン環を有するベンゾオキサジン
 2.3 主鎖上のオキサジン環の追加連結および連結位置の重要性
 2.4 連結位置の影響

第4章 架橋密度制御による高耐熱ポリベンゾオキサジンの開発
1 はじめに
2 架橋密度の向上によるポリベンゾオキサジンの高耐熱化
 2.1 架橋性官能基を導入したベンゾオキサジン
 2.2 多官能ベンゾオキサジン
 2.3 極性官能基を導入したベンゾオキサジン
3 架橋密度の低下による強靭化
4 ポリベンゾオキサジンを一成分とするポリマーアロイ
 4.1 ビスマレイミドとの複合化
 4.2 シアネートとの複合化
 4.3 酸二無水物との複合化
5 おわりに

第5章 ベンゾオキサジン環含有ポリアセチレンの合成と架橋反応
1 緒言
2 実験
3 考察
4 結論

第6章 架橋性官能基の導入による高耐熱性ベンゾオキサジンの開発
1 緒言
2 実験
 2.1 原料
 2.2 測定
 2.3 合成
 2.4 硬化物試験片の作製
 2.5 硬化物の熱分解ガスの分析
3 結果と考察
 3.1 各種ジプロパルギルオキシモノベンゾオキサジンの合成
 3.2 反応挙動の調査
 3.3 硬化物の物理的耐熱性
 3.4 硬化物の化学的耐熱性
 3.5 硬化物の熱分解ガスの分析
4 結論

第7章 ベンゾオキサジン環形成による高分子量化
1 はじめに
2 ベンゾオキサジン樹脂の基礎
 2.1 ベンゾオキサジンの合成反応
 2.2 ベンゾオキサジン樹脂の熱硬化反応
 2.3 ベンゾオキサジン樹脂の熱的特性
 2.4 ジアミン骨格からのベンゾオキサジン
3 高分子量オリゴマー系ベンゾオキサジン
 3.1 オリゴマー系ベンゾオキサジンの合成
 3.2 オリゴマー系ベンゾオキサジンの熱的特性
4 オリゴマー系ベンゾオキサジンのポリマーアロイ
 4.1 pBXZ/エポキシ樹脂系ポリマーアロイ
 4.2 pBXZ/ビスマレイミド樹脂系ポリマーアロイ
5 おわりに

第8章 主鎖型ポリベンゾオキサジン前駆体
1 緒言
2 マンニッヒ経路による主鎖型前駆体
3 他の方法による主鎖型重縮合高分子量前駆体
4 結論

【第3編 ベンゾオキサジン樹脂の複合化】
第9章 エポキシ,オキサゾリン,シアネートエステル樹脂との共重合による高性能材料
1 はじめに
2 ベンゾオキサジン樹脂とエポキシ樹脂の共重合
 2.1 ビスフェノールA型ベンゾオキサジン(B-a)の合成
 2.2 B-aとDGEBAとの硬化反応
 2.3 B-aとDGEBAとの硬化挙動
 2.4 B-aとDGEBAを反応させて得られる硬化物の諸物性
 2.5 結論
3 ベンゾオキサジン樹脂とオキサゾリン化合物の共重合
 3.1 B-aと1,3-フェニレンビスオキサゾリン(1,3-PBO)との硬化反応
 3.2 B-aと1,3-PBOとの硬化挙動
 3.3 B-aと1,3-PBOを反応させて得られる硬化物の諸物性
 3.4 結論
4 ベンゾオキサジン樹脂とシアネートエステル樹脂の共重合
 4.1 B-aとBADCyとの硬化反応
 4.2 B-aとBADCyとの硬化挙動
 4.3 B-aとBADCyを反応させて得られる硬化物の諸物性
 4.4 結論
5 おわりに

第10章 ベンゾオキサジン,エポキシおよびフェノール樹脂の三元系ポリマーアロイ
1 はじめに
2 ベンゾオキサジン,エポキシ,フェノール三元系の特徴
3 ベンゾオキサジン,エポキシおよびフェノール三元系複合材料の特性
4 結論

第11章 ベンゾオキサジンと酸無水物の共重合体
1 緒言
2 ビフェニルテトラカルボン酸二無水物異性体で変性したポリベンゾオキサジン共重合体の特性
3 一無水物および二無水物で変性したポリベンゾオキサジン共重合体の熱的および機械的性質の向上
4 炭素繊維で強化した二無水物変性ポリベンゾオキサジン共重合体の燃焼挙動
5 含フッ素酸二無水物変性ポリベンゾオキサジン共重合体の熱安定性と誘電率の向上
6 結論

第12章 ベンゾオキサジン系ポリマーアロイ(ポリイミド,ポリウレタン)
1 はじめに
2 ベンゾオキサジンとポリイミドのアロイ
3 ベンゾオキサジンとポリウレタンのアロイ
4 おわりに

第13章 ポリシロキサン,液状ゴム,イオン液体との複合化
1 はじめに
2 ポリシロキサンとの複合化
 2.1 in-situ法による複合化
 2.2 ポリ(イミド-シロキサン)とのin-situ法による複合化
 2.3 アルコキシシラン含有ベンゾオキサジン
 2.4 シロキサンを主鎖骨格に有する高分子量ベンゾオキサジン
3 液状ゴムとの複合化
4 イオン液体との複合化
5 おわりに

第14章 In situ生成改質剤ポリマーを用いたベンゾオキサジン樹脂の強靭化
1 はじめに
2 N-フェニルマレイミド/スチレンのin situ共重合による改質の検討
3 メタクリル酸n-ブチルおよびスチレンを用いたin situ重合法によるベンゾオキサジン樹脂の強靭化
4 In situ重合法によるシアナート/ベンゾオキサジン混合樹脂の強靭化
5 おわりに

第15章 ポリシラザンとのハイブリッド
1 はじめに
2 複合化における反応
3 硬化温度による反応制御
4 硬化温度による複合領域の生成量と特性制御
5 最後に

第16章 木粉との複合化
1 はじめに
2 実験
 2.1 供試材料
 2.2 成形体の調製
 2.3 物性評価
3 結果と考察
 3.1 ベンゾオキサジンの開環重合に及ぼす木粉の蒸気処理の影響
 3.2 ベンゾオキサジンの開環重合に及ぼすリグニン添加の影響
 3.3 物性試験の結果
 3.4 耐熱性
 3.5 既往の研究との比較
4 まとめ

【第4編 ベンゾオキサジン樹脂の機能化】
第17章 液晶ベンゾオキサジン
1 はじめに
2 モノトロピック液晶ベンゾオキサジン
3 エナンチオトロピック液晶ベンゾオキサジン
4 液晶エポキシとの複合化
5 おわりに

第18章 光学活性ベンゾオキサジンポリマー
1 緒言
2 実験
3 考察
4 結論

第19章 ポリベンゾオキサジンアロイからの形状記憶ポリマー
1 概要
2 はじめに
3 ポリベンゾオキサジン系の形状記憶ポリマー
 3.1 ポリ(ベンゾオキサジン-ウレタン)アロイベースのSMP
 3.2 ポリ(ベンゾオキサジン-エポキシ)アロイベースのSMP
4 ベンゾオキサジン系SMPの潜在的用途
5 結論

第20章 摩擦と自己潤滑用途のためのポリベンゾオキサジン複合材料
1 概要
2 はじめに
3 ポリベンゾオキサジン複合材料をベースにした自動車用摩擦材料
3.1 天然黒鉛(NG)充填ポリベンゾオキサジン摩擦複合材料:NG粒径の影響
3.2 ポリベンゾオキサジンをベースにした銅無添加ブレーキパッド
4 マルチフィラー強化ポリベンゾオキサジン複合材料の自己潤滑性材料
5 結論

第21章 ベンゾオキサジンベースのスマートマテリアル
1 緒言
2 自己修復性ポリベンゾオキサジン
3 形状記憶ポリベンゾオキサジン
4 ポリベンゾオキサジンに基づくエレクトロクロミック材料
5 低表面エネルギーコーティング材料としてのポリベンゾオキサジン
6 結論

【第5編 ベンゾオキサジン樹脂の応用】
第22章 ジアミン型モノマーの開発とベンゾオキサジンの市場動向
1 はじめに
2 ジアミン型モノマー(P-d型ベンゾオキサジン)の開発
3 ベンゾオキサジンの市場動向
4 最後に

第23章 次世代パワーモジュール用ベンゾオキサジン変性ビスマレイミド耐熱樹脂
1 はじめに
2 基本コンセプト
3 モデル反応による確認
4 ビスマレイミド-P-d型ベンゾオキサジン系硬化物の特性
5 高耐熱性封止材

第24章 ベンゾオキサジン樹脂の封止材への適用性

第25章 ベンゾオキサジン含有エポキシ樹脂の高熱伝導性フィラー分散液およびその応用
1 はじめに
2 ベンゾオキサジン含有エポキシ樹脂分散媒の硬化特性および粘度
3 絶縁性および導電性・高熱伝導性ベンゾオキサジン含有エポキシ樹脂分散液
 3.1 絶縁性・高熱伝導性ベンゾオキサジン含有エポキシ樹脂分散液
 3.2 導電性・高熱伝導性ベンゾオキサジン含有エポキシ樹脂分散液
 3.3 高熱伝導性ベンゾオキサジン含有エポキシ樹脂分散液の粘度特性および分離安定性
4 絶縁性および導電性・高熱伝導性ベンゾオキサジン含有エポキシ樹脂分散液成形品
 4.1 高熱伝導性ベンゾオキサジン含有エポキシ樹脂分散液の単独成形品の特性値
 4.2 絶縁性・高熱伝導性ベンゾオキサジン含有エポキシ樹脂分散液および導電性・高熱伝導性熱可塑性樹脂からなる二色成形品の特性値
 4.3 高熱伝導性ベンゾオキサジン含有エポキシ樹脂分散液成形品のモルフォロジー解析
5 モーター用の樹脂モールドステータへの応用
6 まとめ

第26章 有機無機複合材料へのポリベンゾオキサジンの応用
1 有機無機複合材料への応用可能性
2 ポリベンゾオキサジン系複合材料の検討
 2.1 小型成形品の検討
 2.2 大型成型品の検討
3 まとめ

第27章 ベンゾオキサジン樹脂のブレーキ用摩擦材への応用
1 はじめに
2 ブレーキ用摩擦材
3 ベンゾオキサジン樹脂の有機・無機ハイブリッド
4 PA-B/PPSQの構造観察
5 PA-B/PPSQの耐熱性
6 PA-B/PPSQを結合剤に用いた摩擦材
7 ブレーキ用摩擦材の耐摩耗性
8 摩耗メカニズムの考察
9 おわりに

第28章 ベンゾオキサジン樹脂の炭素化
1 はじめに
2 炭素の結晶構造
3 高分子の炭化で得られる炭素の構造
4 ポリベンゾオキサジンの炭素化
5 ポリベンゾオキサジン炭化物の多孔性