キーワード:
3Dプリンター/金属3Dプリンター/付加製造/AM(Additive Manufacturing)/光硬化性樹脂/熱可塑性樹脂/金属粉末/セラミックス/国際標準化/材料別動向/方式別動向/金型/建築/医療/航空/自動車/用途別需要動向/国内・海外メーカー動向/市場動向
刊行にあたって
2013年にブームが到来した3Dプリンターはその後一旦ブームが落ち着き停滞期を迎えたが、近年、再びブームの兆しが見え始めている。
3Dプリンターの正式な呼称は、Additive Manufacturing(付加製造、略称:AM)装置であるが、AM装置全体を表す用語として「3Dプリンター」を用いられることが多く、この呼称が世間一般に浸透している。また本書は、AM装置のなかでも主に産業用途について採り上げていることから、『産業用3Dプリンターの最新技術と市場』と銘打って企画するに至った。
2018 年の国内における3D プリンター全体の市場規模は330 億円(前年比18.4%増)、3Dプリンター材料の市場規模は89億円(前年比12.7%増)とされ、今後も拡大する見込みである。その背景としては、これまで3Dプリンターの活用先は試作品製造が主流であったが、現在は完成品製造にも拡がりを見せていることや、造形方法の技術革新、材料の多様化・高機能化に伴い産業分野でも3Dプリンターの導入が進んだことにあると言える。さらに、在庫削減や生産時間の短縮などが期待でき、産業界のモノづくりに変革をもたらそうとしている。
そこで本書では、産業用3Dプリンターをあらゆる視点から迫り、現状と今後の展開を把握できる一冊となっている。
【技術編】では、最新技術動向、材料(樹脂・金属)開発、各種プリンター開発、国際標準化動向を第一線でご活躍の専門家の方々に執筆していただいた。
【市場編】では、国内および海外の需要、メーカー、材料、造形方法、用途別の各動向を収載している。
本書が、産業用3Dプリンターによるモノづくり革新の一助になれば幸いである。
2020年2月
シーエムシー出版 編集部
著者一覧
萩原恒夫 横浜国立大学
稲田幸輔 大塚化学㈱
石神直哉 ダウ・東レ㈱
當間隆司 武藤工業㈱
藤本辰雄 (国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構
橋詰良樹 東洋アルミニウム㈱
木村禎一 (一財)ファインセラミックスセンター
末廣 智 (一財)ファインセラミックスセンター
岩尾翔太 ㈱松浦機械製作所
法貴哲夫 ㈱エスケーファイン
芦田 極 (国研)産業技術総合研究所
目次 + クリックで目次を表示
第1章 産業用3Dプリンター関連分野の技術動向概論
1 はじめに
2 3Dプリンターの各造形方式における技術動向
2.1 材料押出法
2.2 液槽光重合法
2.3 シート積層法
2.4 結合剤噴射法
2.5 材料噴射法
2.6 粉末床溶融結合法
2.7 指向性エネルギー堆積法
2.8 3Dプリンター全体の技術動向
3 後処理装置や技術についての動向
3.1 造形物表面の平滑化
3.2 サポート材の除去
4 造形サービスについての動向
5 環境や人体に配慮した粉末の取り扱いに関する技術進展
6 おわりに
第2章 材料から見た3Dプリンティング
1 はじめに
2 3Dプリンティングとその分類
3 3Dプリンティング方式の各方式について
3.1 液槽光重合法(VPP)
3.2 粉末床溶融結合法(PBF法)
3.3 材料押出法(MEX法)
3.4 結合剤噴射法(BJT法)
3.5 材料噴射法(MJT法)
3.6 シート積層法(SHL法)
3.7 Direct Energy Deposition(DED;指向性エネルギー堆積)法
4 3Dプリンティング材料市場
5 3Dプリンティングの用途
5.1 プロトタイピング(試作)
5.2 ツーリング(型応用)
5.3 最終製品
5.4 その他
6 まとめと今後の展望
第3章 フィラー入り3Dプリンタ材料の特徴と応用
1 諸言
2 チタン酸カリウム繊維:ティスモ,樹脂複合材料:ポチコンに関して
3 MEX方式3Dプリンタ用チタン酸カリウム繊維入り材料の作成
4 MEX方式3Dプリンタでの造形
5 結果と考察
5.1 造形安定性評価
5.2 物性評価
5.3 摩擦摩耗特性
6 今後の展開
7 まとめ
第4章 3Dプリンター用液状シリコーンゴム材料の開発
1 はじめに
2 シリコーンゴムとは?
3 液体積層法(Liquid Additive manufacturing:LAM)の開発
4 3Dプリンター用液状シリコーンゴム材料の開発
5 3Dプリンター用液状シリコーンゴム材料の特性
5.1 金型成形との比較
5.2 異方性について
6 3Dプリンター用液状シリコーンゴム材料の可能性
7 おわりに
第5章 樹脂溶融型3DプリンターMR–5000の開発
1 はじめに
2 樹脂複合化技術とMR–5000開発方針
3 MR–5000用加熱ヘッド
3.1 ヘッドブロックの材料
3.2 加熱ヒーター
3.3 ヘッド内形状の最適化
4 造形テーブル
4.1 造形物の固定力
4.2 平面性
5 造形精度10•μmのメカの実現
6 Bi–Matrixスライサー
6.1 井桁構造の組合せ
6.2 積層構造のパターン制御
6.3 折れ線のパターン制御
7 最後に
第6章 金属積層造形技術の開発動向
1 はじめに
2 金属積層造形技術の市場規模
3 金属積層造形技術
3.1 装置技術の概要,および装置メーカー動向
3.2 材料技術の概要,および材料メーカー動向
3.3 造形技術,および金属部品を取り扱う企業の動向
4 金属積層造形技術の技術課題
4.1 研究開発政策の状況
4.2 金属積層造形プロセス分野の技術課題
4.2.1 装置技術
4.2.2 材料技術
4.2.3 造形技術
5 おわりに
第7章 3Dプリンター用アルミニウム合金粉末
1 金属粉末を用いた3D積層造形について
2 金属積層造形用粉末の要求特性
2.1 アルミニウム合金粉末の製造技術
2.2 球状アルミニウム合金粉末の特性
2.3 アルミニウム合金の積層造形における課題
3 積層造形に適したアルミニウム合金の開発
3.1 Al–Mg–Sc合金
3.2 Al–Si–Mg–Mn合金
3.3 耐熱高強度合金(AC8A+遷移元素)
4 金属粉末の安全な取扱い
5 今後の展開
第8章 セラミックス3Dプリンタ用レーザー焼結技術の開発
1 はじめに
2 レーザー造形のための要素技術開発
2.1 高密度粒子充填層の形成技術
2.2 アルミナ粒子充填層のレーザー焼結
3 アルミナバルク体のレーザー焼結の可能性
4 おわりに
第9章 ハイブリッド金属3Dプリンタの特徴と実用例
1 はじめに
2 ハイブリッド金属3Dプリンタ
2.1 ハイブリッド金属3Dプリンタとは
2.2 ハイブリッド化における特長
2.2.1 深いリブ加工
2.2.2 高精度な位置決め
2.2.3 造形物の上面切削機能
2.2.4 段ずらし加工における面粗度向上
2.3 CAMシステム
2.3.1 サポート生成機能
2.3.2 造形モデルの最適姿勢機能
2.3.3 ラティス生成機能
2.3.4 アンダーカット部の切削加工
2.3.5 形状認識による造形条件変更
3 ハイブリッド金属3Dプリンタによる金型製作事例
3.1 プラスチック射出成形用の金型作製
3.1.1 射出成型用金型製作工程の削減
3.1.2 射出成形サイクルの短縮効果
3.1.3 造形物の寸法精度
3.2 ラティス構造を取り入れた金型製作
4 ハイブリッド金属3Dプリンタによる部品製作事例
4.1 ハイブリッド金属3Dプリンタの大型化
4.2 自動車部品への応用
4.3 航空部品への応用
4.4 医療部品への応用
5 まとめ
第10章 高精細・高品質のセラミックス3次元造形技術の開発
1 はじめに
2 各種3次元造形法の特徴
3 セラミックス3次元造形の各種造形法
4 光造形法(自由液面法)の原理
5 光造形法を用いたセラミックス3次元造形
5.1 大阪大学接合科学研究所での造形プロセスの開発
5.2 ㈱エスケーファインの設立
5.3 セラミックス造形装置に用いられている露光光学系
5.4 セラミックス造形装置の構成と動作の概要
5.5 セラミックス粉末をフィラー分散したスラリーの造形評価
5.6 セラミックス造形品の脱脂・焼結処理
6 高精細セラミックス造形事例
6.1 高精細格子構造
6.2 セラミックスプレート連結体
6.3 比較的大きなセラミックス格子構造体
7 セラミックス造形の品質評価
7.1 焼結体の収縮率
7.2 焼結密度
7.3 抗折強度
7.4 焼結体のSEM観察
8 セラミックス造形の展開
第11章 付加製造の国際標準化動向
1 はじめに
2 Additive Manufacturing国際標準化活動の始まり
3 ISO/ASTM連名規格文書の策定状況
3.1 ISOとASTMの違い
3.2 ASTM F42とISO/TC261の共同作業
3.3 ASTMとISOそれぞれの取り組み
4 付加製造の標準化に関係する多数の団体
5 付加製造の標準化ロードマップの概要
6 付加製造の国際標準化の今後の取り組み
【市場編】
第1章 産業用3Dプリンターの市場動向
1 概要
2 需要動向
3 メーカー動向
第2章 世界の動向
1 国内動向
2 海外動向
2.1 アメリカ
2.2 ドイツ
2.3 中国
2.4 韓国
2.5 イギリス
2.6 フランス
2.7 シンガポール
2.8 オランダ
2.9 その他の国々(最近のトピックス)
第3章 3Dプリンター材料動向
1 市場動向
2 材料別動向
2.1 ABS樹脂
2.1.1 主なABSフィラメントメーカー
2.2 PLA樹脂
2.2.1 主なPLAフィラメントメーカー
2.3 ポリカーボネート
2.4 青銅
2.5 セラミック
2.6 炭素繊維
2.6.1 主な炭素繊維強化プラスチック材料メーカー
2.7 チタン
2.7.1 チタン材料の主なメーカー
2.8 グラフェン
2.9 アルミニウム
2.9.1 主なアルミニウム材料メーカー
2.10 熱可塑性エラストマー
2.10.1 主な熱可塑性エラストマー材料メーカー
2.11 ゲル
2.12 エポキシ樹脂
2.13 その他
2.13.1 PP(ポリプロピレン)ライク樹脂
2.13.2 ABSライク樹脂
2.13.3 ナイロン樹脂
2.13.4 ゴムライク樹脂
2.13.5 ASA樹脂
2.13.6 PC–ABS樹脂
2.13.7 ULTEM(PEI)樹脂
2.13.8 ポリプロピレン(PP)
2.13.9 樹脂ワックス
2.13.10 ゴールド
2.13.11 シルバー
2.13.12 プラチナ
2.13.13 真鍮
2.13.14 ステンレス
2.13.15 ベリリウム銅
2.13.16 石膏パウダー
第4章 方式別動向
1 材料押出方式
1.1 概要
1.2 特徴
1.3 主な素材
1.4 代表的な装置メーカー
1.5 市場動向
1.6 メーカー動向
2 液槽光重合方式
2.1 概要
2.2 特徴
2.3 主な素材
2.4 代表的な装置メーカー
2.5 市場動向
2.6 メーカー動向
3 シート積層方式
3.1 概要
3.2 特徴
3.3 主な素材
3.4 代表的な装置メーカー
3.5 市場動向
3.6 メーカー動向
4 結合剤噴射方式
4.1 概要
4.2 特徴
4.3 主な素材
4.4 代表的な装置メーカー
4.5 市場動向
4.6 メーカー動向
5 材料噴射方式
5.1 概要
5.2 特徴
5.3 主な素材
5.4 代表的な装置メーカー
5.5 市場動向
5.6 メーカー動向
6 粉末床溶融結合方式
6.1 概要
6.2 特徴
6.3 主な素材
6.4 代表的な装置メーカー
6.5 市場動向
6.6 メーカー動向
7 指向性エネルギー堆積方式
7.1 概要
7.2 特徴
7.3 主な素材
7.4 代表的な装置メーカー
7.5 市場動向
7.6 メーカー動向
第5章 用途別需要動向
1 金型分野
2 建築・土木分野
3 医療分野
4 医療機器分野
5 電子機器分野
6 航空宇宙分野
7 自動車部品
8 プリントサービス分野
9 その他
第6章 国内メーカー動向
1 アスペクト
2 アズマ工機
3 伊福精密
4 エス.ラボ
5 オークマ
6 OPMラボラトリー
7 キーエンス
8 シーメット
9 写真化学/エスケーファイン
10 ソディック
11 大成建設
12 多田電機
13 DMG森精機
14 ディーメック
15 デザインココ
16 東芝機械
17 ニコン
18 松浦機械製作所
19 三菱電機
20 ミッツ
21 ミマキエンジニアリング
22 武藤工業
23 ヤマザキマザック
24 リコー
25 ローランド ディー.ジー.
第7章 海外メーカー動向
1 3D SYSTEMS
2 Arcam
3 Carbon
4 Concept Laser
5 Desktop Metal
6 DWS
6.1 DWS光造形機の8つの特徴
7 EnvisionTEC
8 EOS
9 Formlabs
10 Fraunhofer ILT
11 HP
12 Lithoz
13 Markforged
14 Massivit 3D Printing Technologies
15 Mcor Technologies
16 Optomec
17 S.A.S 3D Ceram–Sinto
18 Sciaky
19 Sentrol
20 Sinterit
21 SLM Solutions
22 Solidscape
23 Stratasys
24 ExOne
25 Xjet
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