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超電導現象,材料,線材など基礎技術からエネルギー・電力,医療・診断など各分野の応用技術までを幅広く収録/超伝導材料/超電導線材の開発/エネルギー・電力分野応用編/産業・輸送分野応用編/診断・医療分野応用編/情報・通信分野応用編
刊行にあたって
超電導技術は、国として重点的に推進すべき技術分野として選定されているエネルギー・電力分野、産業・輸送分野、診断・医療分野、通信・情報分野すべてに関わっており、重要基幹技術である。最近、わが国をはじめ世界各国で高温超電導線材技術および、超電導エレクトロニクス素子技術の著しい進歩があって、超電導技術の実用化の展望が見通せるようになってきた。このような背景の下、経済産業省は超電導技術の効率的な推進を容易にするために超電導分野の技術戦略マップを2007年に発表した。超電導技術は急速な進展が続いていることを考慮し、現在もマップの更新を続けている。世界的にもロードマップを作り超電導技術の開発を戦略的に進めて行こうとする動きが具体化してきている。
本レポートでは、まず、超電導応用技術の理解のために、超電導に関する基礎技術として、超電導現象の解説から、材料、線材、エレクトロニクス、さらに超電導応用の必須な周辺技術としての冷凍技術の解説がしてある。次に、応用技術に関して、上記重点4分野における各種機器開発の現状、動向を世界の状況も含め解説してある。
以上、本レポートは超電導応用技術全般を系統的に網羅してあって、各項目はそれぞれの分野の第一線の研究者、技術者により執筆されており、超電導技術の現状を的確に報告したものであると考えている。
(「はじめに」より抜粋)
2008年5月 塚本修巳
著者一覧
下山淳一 東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻 准教授
堀井 滋 東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻 助教
山田 穣 (財)国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 名古屋高温超電導線材開発センター センター長
戸叶一正 (独)物質・材料研究機構 超伝導材料センター 特別研究員
成木紳也 (財)国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 主任研究員;東京理科大学 客員教授
田辺圭一 (財)国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 デバイス研究開発部 部長
栗山 透 (株)東芝 電力・社会システム技術開発センター 電機応用システム開発部 部長
仁田旦三 (社)電力中央研究所 研究顧問;明星大学 理工学部 電気電子システム工学科 客員教授
林 秀美 九州電力(株) 総合研究所 電力貯蔵技術グループ グループ長
長屋重夫 中部電力(株) 電力技術研究所 超電導グループ長腰塚直己 (財)国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所・材料物性研究部(非常勤) 主管研究員
佐藤謙一 住友電気工業(株) 材料技術研究開発本部 支配人・フェロー
矢澤 孝 (株)東芝 電力・社会システム技術開発センター 計測・検査技術開発部 超電導応用技術開発担当 主査小泉徳潔 (独)日本原子力研究開発機構 ITER超伝導磁石開発グループ 研究主幹
和泉 充 東京海洋大学 海洋工学部 海洋科学技術研究科 教授
後藤康之 東海旅客鉄道(株) 東海道新幹線21世紀対策本部 担当課長
西嶋茂宏 大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻 教授
杉本 博 東芝メディカルシステムズ(株) MRI開発部 主幹
林 征治 ジャパン スーパーコンダクタテクノロジー(株) 取締役、CTO
土屋清澄 高エネルギー加速器研究機構 超伝導低温工学センター 教授
塚田啓二 岡山大学 大学院自然科学研究科 教授
田中三郎 豊橋技術科学大学 工学部 教授
東海林彰 (独)産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門 超伝導計測デバイスグループリーダー
野口 卓 自然科学研究機構 国立天文台 准教授
山中一典 (株)富士通研究所 新材料研究部 主任研究員;富士通(株) モバイルシステム事業本部 開発技術統括部長付
藤巻 朗 名古屋大学 大学院工学研究科 量子工学専攻 教授
日高睦夫 (財)国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 低温デバイス開発室 室長
蓮尾信也 (財)国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 特別研究員
編集協力
堀上 徹 (社)低温工学協会 副会長
蓮尾信也 (財)国際超電導産業技術研究センター 超電導工学研究所 特別研究員
目次 + クリックで目次を表示
第1章 総論
1. 序言
2. 応用のための基礎技術
2.1 超電導コイル技術
2.1.1 コイルの安定化
2.1.2 クエンチ保護
2.2 交流損失
3. 超電導技術戦略マップ
第2章 超電導現象
1. はじめに
2. 超電導現象の特徴(ゼロ抵抗、永久電流、完全反磁性、ジョセフソン効果)
3. 超電導を示す物質
4. 超電導発現機構
5. 第一種超電導、第二種超電導
6. 超電導状態の限界
6.1 熱力学視点から見た超電導状態
6.2 臨界温度
6.3 臨界磁場
7. 磁束ピンニング
8. 上部臨界磁場、不可逆磁場と磁気相図
9. ジョセフソン効果
10. 超電導材料特性に重要な性質
第3章 超伝導材料
1. はじめに
2. 金属系超伝導材料―単体元素から合金、金属間化合物へ
2.1 合金超伝導体
2.2 A15型金属間化合物超伝導体
2.3 MgB2超伝導体
3. 高温超伝導体
3.1 Y系超伝導体
3.2 Bi系超伝導体
4. おわりに
第4章 超電導線材の開発
1. はじめに
2. 金属系超電導線材
2.1 Nb-Ti線材
2.2 Nb3Sn線材
2.3 Nb3Al線材
2.4 MgB2線材
3. 酸化物系高温超電導線材
3.1 ビスマス系線材
3.1.1 Bi-2212
3.1.2 Bi-2223
3.2 イットリウム系線材
4. おわりに
第5章 バルク超電導材料の開発
1. はじめに
2. RE-Ba-Cu-O系バルク超電導材料の作製方法
3. バルク超電導材料におけるピンニングセンターと臨界電流密度
3.1 RE211等の非超電導相の導入と微細化
3.2 置換領域
4. バルク超電導材料の捕捉磁場
4.1 Y系およびDy系材料
4.2 軽希土類元素系材料
4.3 中性子照射材料
4.4 液体窒素温度以下の低温における捕捉磁場
5. バルク超電導材料の強化方法
5.1 Ag添加
5.2 金属リングによる外部補強
5.3 樹脂含浸
6. バルク超電導材料の着磁方法
7. おわりに
第6章 デバイス用超電導材の開発
1. はじめに
2. デバイス用薄膜作製技術
2.1 金属系低温超電導薄膜
2.2 酸化物系高温超電導薄膜
2.3 硼化マグネシウム(MgB2)薄膜
3. ジョセフソン接合作製技術
3.1 低温超電導接合
3.2 高温超電導接合
4. 集積回路作製技術
5. おわりに
第7章 クライオクーラ
1. はじめに
2. クライオクーラの効率
3. クライオクーラの種類
3.1 概要
3.2 クライオクーラとそのサイクル
3.2.1 スターリング冷凍機
3.2.2 Gifford-McMahon冷凍機(GM冷凍機)
3.2.3 パルスチューブ冷凍機
3.2.4 GM/JT冷凍機
4. クライオクーラの利用
【エネルギー・電力分野応用編】
第8章 超電導発電機
1. はじめに
2. 構造と特徴
2.1 単極直流発電機
2.1.1 構造
2.1.2 特徴
2.2 同期発電機
2.2.1 構造
2.2.2 特徴
2.3 バルク超電導体発電機
2.3.1 構造
2.3.2 特徴
3. 開発状況
3.1 直流単極発電機
3.2 同期発電機
3.3 バルク超電導体発電機
第9章 超電導変圧器
1. はじめに
2. Bi系変圧器技術の開発
3. Y系変圧器技術の開発
3.1 交流損失低減技術の開発
3.2 高耐電圧化技術の開発
3.3 Y系変圧器の設計検討
4. 鉄道車両用の超電導主変圧器
5. 海外の超電導変圧器
6. まとめ
第10章 電力貯蔵
1. SMES
1.1 SMESの基本構造
1.1.1 SMESについて
1.1.2 基本原理
1.1.3 基本構成
1.1.4 SMESにおける開発項目
1.2 開発の現状
1.2.1 国内外の開発の現状
1.2.2 系統制御用SMES
1.2.3 瞬低補償用SMES
1.2.4 酸化物超電導SMESの開発
2. フライホイール
2.1 はじめに
2.2 内外の開発状況
2.3 NEDOプロジェクト
2.3.1 超電導軸受要素技術開発
2.3.2 超電導軸受応用技術開発
2.3.3 今後の課題
2.4 おわりに
第11章 超電導ケーブル
1. はじめに
2. 超電導ケーブル用の高温超電導線材の現状
3. 高温超電導ケーブル要素技術の開発
3.1 フレキシブル導体
3.2 3相ケーブルの開発と評価結果
3.3 長尺導体と交流損失評価結果
3.4 30mケーブルプロトタイプと課通電特性
3.5 過負荷電流特性
4. 高温超電導ケーブルシステムの開発と実証試験
4.1 世界の開発状況
4.2 ALBANYプロジェクト
4.2.1 システム概要
4.2.2 超電導導体と超電導シールド
4.2.3 事故電流設計(短絡電流対応)
4.2.4 電気絶縁
4.2.5 熱絶縁と張力対策
4.2.6 ケーブル製造・出荷・布設
4.2.7 中間接続部(ジョイント)および端末組立
4.2.8 冷却システムとケーブル竣工試験結果
5. おわりに
第12章 限流器
1. はじめに
2. 限流器とは
2.1 限流器の機能
2.2 限流器の適用
2.3 限流器の原理
2.3.1 抵抗発生型
2.3.2 磁気遮蔽型
2.3.3 整流器型
2.3.4 可飽和リアクトル型
2.3.5 LC共振型
2.3.6 三巻線リアクトル型
3. 特性と課題
3.1 超電導限流器の特長
3.2 実用化に向けての課題
3.2.1 技術面の課題
3.2.2 規格について
4. 内外の開発例
5. まとめ
第13章 核融合
1. 核融合と超電導
2. ITER超電導コイルとモデル・コイル計画
3. 核融合炉用超電導導体
3.1 核融合炉用CICCの構造
3.2 パルス磁場性能
3.3 歪特性と臨界電流性能
3.4 ITER用導体
3.5 次世代核融合炉用導体
4. 核融合炉用超電導コイル
4.1 ITER超電導コイルの構造
4.2 モデル・コイル試験
4.3 TFコイル製作技術
5. まとめ
【産業・輸送分野応用編】
第14章 超電導モータ
1. はじめに
2. 電気推進船と超電導電動機
3. 超電導電動機を実用化させるための要素技術
4. おわりに
第15章 超電導リニアの開発動向
1. はじめに
2. 山梨リニア実験線での走行試験概要
2.1 平成9年度~平成11年度
2.1.1 基本走行試験
2.1.2 総合機能確認試験
2.2 平成12年度~平成16年度
2.2.1 信頼性確認試験
2.2.2 コスト低減の技術開発
2.2.3 車両の空力特性の改善
2.2.4 連続走行試験、最高速度向上試験、高速すれ違い試験
2.3 平成17年度~
2.3.1 更なる長期耐久性の検証
2.3.2 高温超電導磁石を搭載した走行試験
3. おわりに
第16章 磁気分離
1. はじめに
2. 粉体からの微粒子の分離
3. 製紙工場からの廃水処理
4. おわりに
【診断・医療分野応用編】
第17章 MRI
1. はじめに
2. MRIの原理
3. 3つの磁場から構成されるMRI
4. 静磁場と超電導磁石
4.1 超電導磁石開発の経緯
4.2 超電導磁石の構成と仕様
5. 傾斜磁場
6. 高周波磁場
7. 臨床応用技術
7.1 「形を見る」形態診断の適用範囲の拡大
7.2 「動きを見る」血流等の計測
7.3 「生理機能を見る」生化学情報の画像化
8. 今後の展開
第18章 NMR
1. はじめに
2. NMR分光計の構成
3. NMR用超電導マグネットの構造
4. NMR用超電導マグネットの性能要件
4.1 磁場均一度
4.2 磁場安定度
4.3 漏洩磁場
4.4 冷媒消費量
5. 技術動向、新たな試み
5.1 高磁場化
5.2 ゼロボイルオフ化・無冷媒化
6. まとめ
第19章 加速器
1. はじめに
2. LHC計画
2.1 LHC加速器用超伝導磁石
2.1.1 2極磁石
2.1.2 4極磁石
2.1.3 超伝導線材
2.1.4 LHCアップグレード用超伝導磁石の開発
2.2 検出器用超伝導磁石
2.2.1 ATLAS超伝導磁石
2.2.2 CMS超伝導磁石
3. 高エネルギー加速器研究機構(KEK)における超伝導磁石
3.1 KEKBの衝突点超伝導磁石
3.2 ニュートリノビームライン用超伝導磁石
4. ILCの概要
5. おわりに
第20章 SQUID応用
1. はじめに
2. 動作原理
3. LTS-SQUIDとHTS-SQUID
4. 感度、応用分野
5. 食品内異物検出の状況
6. 超伝導磁気センサ式異物検出装置の原理
7. 超伝導磁気センサ式異物検出装置の開発
8. 医療応用
9. おわりに
【情報・通信分野応用編】
第21章 電圧標準
1. はじめに
2. Nb/AlOx/Nb-JJアレーを用いた電圧標準
3. プログラマブル・ジョセフソン電圧標準
4. おわりに
第22章 電磁波検出器
1. はじめに
2. 低雑音受信機の必要性
3. SISミキサを用いた低雑音受信機
3.1 Nb/AlOx/Nb SIS接合
3.2 SISミキサ
3.3 同調回路
3.4 SIS受信機の性能
4. THz帯SISミキサ
5. おわりに
第23章 超伝導フィルタ
1. はじめに
2. HTSと高周波特性
3. HTSフィルタ
4. 応用と研究開発の動向
第24章 SFQ回路とその情報通信機器応用
1. SFQ回路とは
1.1 SFQ回路の原理と構成
1.2 SFQ回路の特長
2. 作製プロセス技術
3. 回路設計技術
4. SFQ情報通信機器の例
4.1 アナログ・デジタル変換回路
4.2 高性能計算機
4.3 ネットワークルータ用スイッチ
4.3.1 SFQスイッチを用いたルータ高性能化と低消費電力化
第25章 各国の開発動向
1. 電力機器開発の世界の動向
1.1 電力システムの課題と超電導機器への期待
1.2 超電導電力システム
1.3 各国における超電導電力機器開発の位置づけと研究開発プロジェクト
1.3.1 米国
1.3.2 ヨーロッパ
1.3.3 日本
1.3.4 韓国および中国
1.4 各超電導機器の開発動向
1.4.1 電力ケーブル
1.4.2 限流器
1.4.3 変圧器
1.4.4 SMES
1.4.5 超電導フライホイールエネルギー蓄積装置(SFES)
1.4.6 回転機
1.5 まとめ
2. エレクトロニクス
2.1 はじめに
2.2 超電導エレクトロニクス用デバイスの種類
2.2.1 受動デバイス
2.2.2 能動デバイス
2.3 各デバイスの開発動向
2.3.1 超電導フィルタ
2.3.2 SQUID
2.3.3 電磁波検出器
2.3.4 電圧標準
2.3.5 デジタル回路
2.4 おわりに
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