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太陽電池の耐久性向上と材料評価

Characterization and Materials for Improved Durability of Solar Cells

★震災や計画停電の影響で,注目を集める自家発電。デバイスの耐久性と評価にスポット!
★特性評価や認証試験の方法や注意点,規格の策定動向,実際の評価に必要な装置について徹底解説!
★太陽電池評価を担当されている技術者の方々、これからそのような技術を身につけようと考えている方々に!

商品コード:
T0723
監修:
近藤道雄
発行日:
2011年6月
体裁:
B5判・243頁
ISBNコード:
978-4-7813-0199-0
価格(税込):
70,400
ポイント: 640 Pt
関連カテゴリ:
エレクトロニクス
エレクトロニクス > 発電機器・燃料電池
地球環境 > 省エネルギー・クリーンエネルギー

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キーワード:

シリコンの結晶性評価 / スペクトル / 分光放射照度 / CIGS太陽電池 / 色素増感太陽電池 / 有機太陽電池 / 保護フィルム / 封止材 / EVAフィルム / モジュール認証 / 出力特性評価 / ライフサイクル評価 / エネルギー・ペイバック・タイム

刊行にあたって

 太陽電池は系統連系というネットワークの中で利用される。ネットワークというのは人間で言えば社会である。太陽電池という細胞がシステムという人間になり,それがさらに系統という社会を構築する。それぞれのレベルで必要とされる評価技術は多岐にわたってきている。従来は太陽電池の評価といえば,たとえば変換効率の計測であったり,材料物性の評価が中心であった。しかし,太陽電池技術はさまざまな技術が組み合わされた総合的な技術になってきた。半導体材料,高分子材料,金属材料などのさまざまな材料が半導体デバイスや構造部材,電子部品となってシステムとして統合される。最終的に得られるものは電力であり,それをより多く,安定的に供給することが求められる。

 デバイスをそのマクロなパラメータから評価し,何がデバイスの中で起こっているかを見出すことは容易ではない。それはデバイスがシステムとして複雑化すればするほどその評価は容易ではない。しかしながら,システムとしての出力からミクロな現象を解明することは今後ますます重要になってくるのである。それは医療診断に似ているかもしれない。人体という複雑なシステムのなかで,細胞レベルで起こっていることを見出すことが最新の医療診断技術であることからも,その困難さと重要性が理解されるであろう。

 デバイスの性能やコストを決める主要な因子は材料である。素材が悪ければどんなに優れた技術をもってしても安価で高性能なデバイスを実現することは困難である。材料の高品質化はたとえば結晶シリコンのキャリア再結合速度,薄膜の欠陥密度などがその指標となるが,時にはデバイス性能がどの物性値と相関しているかが不明な場合もある。その相関関係を明確化することで材料開発を飛躍的に進展させることが可能となる。

 このように太陽電池の評価と技術開発は車の両輪のように互いに必要不可欠な関係にあるといってよい。正しい評価なしに技術開発を方向付けることは困難であるし,技術開発の成果は正しく評価されなければならない。新しいあるいは正確な評価技術によって新たな問題が抽出され,それを解決するために新しい技術が開発されるという好循環が理想であるといえよう。本書が太陽電池評価技術を学ぼうとしている人たちにとって有益であり,それが新たな技術開発のブレイクスルーのきっかけを与えてくれることを願ってやまない。

2011 年6 月 (独)産業技術総合研究所 近藤道雄

著者一覧

近藤道雄   (独)産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター 研究センター長
菱川善博   (独)産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター 評価・標準チーム 研究チーム長
猪狩真一   (独)産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター 評価・標準チーム 主任研究員
河本桂一   みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー部 主任研究員
飯田 豊   (株)東レリサーチセンター 無機分析化学研究部 部長
杉江隆一   (株)東レリサーチセンター 構造化学研究部 構造化学第一研究室 室長
阪本貞夫   岐阜大学 未来型太陽光発電システム研究センター 特別協力研究員
櫛屋勝巳   昭和シェル石油(株) ソーラー事業本部 担当副部長
根上卓之   パナソニック(株) 先行デバイス開発センター 主幹技師
荒川裕則   東京理科大学 工学部 工業化学科 教授
内田聡一   JX日鉱日石エネルギー(株) 研究開発本部 中央技術研究所 水素・新エネルギー研究所 エネルギーデバイスグループ
朝野 剛   JX日鉱日石エネルギー(株) 研究開発本部 中央技術研究所 水素・新エネルギー研究所 エネルギーデバイスグループ
宇佐美章   (財)電力中央研究所 材料科学研究所 エネルギー変換・貯蔵材料領域 主任研究員
杉本榮一   (株)デンギケン(電技研) 本社 代表取締役
望月三也   (株)ケミトックス 山梨試験センター PV 評価事業部 技術営業部長
瀬川正志   サンビック(株) 開発部 常務取締役 開発部長
水上誠志郎  電気安全環境研究所 研究事業センター
守田賢吾   テュフ ラインランド ジャパン(株) 製品部 太陽光発電課 シニアスペシャリスト
橋本 徹   (株)エヌ・ピー・シー 元専務取締役
杉本克雄   大日本スクリーン製造(株) PV 商品開発部 ビジネスリーダー
下斗米光博  日清紡メカトロニクス(株) 技術・品質保証部長付担当課長

目次 +   クリックで目次を表示

【第1編 太陽電池システムの性能評価およびシステム全般】
第1章 太陽光スペクトルと太陽電池性能評価
1 はじめに
2 分光放射照度
3 基準太陽光スペクトルの概要
4 基準太陽光スペクトルの変化が性能評価に及ぼす影響
5 各種ソーラシミュレータの分光スペクトル例
6 まとめ
第2章 太陽電池評価用光源と出力特性評価
1 はじめに
2 基準太陽電池デバイス
3 主要な校正方法と国際ラウンドロビン校正
4 AISTにおける基準太陽電池デバイスの校正組織
5 太陽電池の性能評価に係わる国際・国内規格の制定・審議状況
6 おわりに
第3章 太陽光発電システムのライフサイクル評価
1 ライフサイクル評価の意義と指標
2 太陽光発電システムのライフサイクル評価例
2.1 前提条件
2.1.1 評価範囲
2.1.2 対象システム
2.1.3 使用後処理の考え方
2.2 評価結果
2.2.1 太陽電池モジュール製造に伴うエネルギー消費量とCO2排出量
2.2.2 太陽光発電システムのエネルギー・ペイバック・タイムとCO2排出
2.2.3 リサイクルによる効果
3 耐久性の向上と材料開発,新たな太陽電池への期待

【第2編 シリコン系太陽電池】
第1章 シリコン系太陽電池の高効率化と材料評価
1 はじめに
2 結晶シリコン系太陽電池の高効率化と評価
3 薄膜シリコン太陽電池の材料と評価
3.1 アモルファスシリコン
3.2 微結晶シリコン系材料
4 おわりに
第2章 シリコンの結晶性評価方法 ― 欠陥,応力,不純物 ―
1 はじめに
2 シリコンの不純物分析
2.1 シリコン中のドーパントのバルク分析
2.2 シリコン中の金属のバルク分析
2.3 シリコン中の金属の分布分析
2.4 SIMS法による不純物分析
3 シリコンの欠陥,応力の評価
3.1 カソードルミネッセンス(CL)法を用いた結晶欠陥評価
3.2 ラマン分光法を用いた応力・結晶性評価
3.3 電子スピン共鳴(ESR)法を用いたSiのダングリングボンドの評価
第3章 結晶系シリコン太陽電池モジュールの信頼性(阪本貞夫)
1 はじめに
2 太陽電池モジュール寿命評価の現状
2.1 温度加速寿命試験
2.2 加速劣化試験としての認証試験JIS C8990 (IEC 61215)
3 寿命評価の具体的方法:10年間稼働モジュールの出力低下を測定
3.1 調査対象モジュール
3.2 最大出力低下率の分布と初期出力低下の補正
3.3 直線近似の妥当性について
4 劣化モードと劣化メカニズム
4.1 外観不良・ 剥離モード
4.2 外観に現れない劣化モードの抽出・相関解析
4.3 FFモードとI・Vモードの劣化メカニズム
5 まとめ
6 おわりに

【第3編 CIS太陽電池】
第1章 CIGS太陽電池の性能評価技術
  1 はじめに
  2 太陽電池性能評価技術の概要
  3 測定結果に影響する主な要素
   3.1 ソーラシミュレータ光の調整
   3.2 基準太陽電池の選定
   3.3 照度ムラ・サンプル形状
   3.4 温度調節と温度測定
   3.5 光照射効果
   3.6 温度・照度依存性
   3.7 I-V測定
   3.8 分光感度測定
   3.9 太陽電池測定に関する標準化の現状
  4 まとめと今後の課題
第2章 CIS系薄膜太陽電池の光照射効果
  1 CIS系薄膜太陽電池のデバイス構造
  2 CIS系薄膜太陽電池の光照射効果
  3 光照射効果によって引き起こされる現象を包括的に説明するためのモデルの提案(水酸化物とUV光による光化学反応モデル)
  4 国際規格であるIEC61646 Ed.2(翻訳JIS C8991)での光照射の定義
  5 まとめ
第3章 CIGS太陽電池の材料の評価
  1 はじめに
  2 組成比と変換効率
  3 PL寿命評価
  4 おわりに

【第4編 色素増感太陽電池・有機太陽電池】
第1章 色素増感太陽電池の耐久性評価
  1 はじめに
  2 ヨーロッパの動向
  3 オーストラリアDyesol社の動向
  4 国内の動向
  5 おわりに
第2章 有機薄膜太陽電池の耐久性評価
  1 はじめに
  2 有機薄膜太陽電池の発電機構と劣化
  3 外部要因による劣化に対する対策
  4 おわりに
第3章 色素増感太陽電池の屋外出力特性評価
  1 屋内と屋外の違い
  2 色素増感太陽電池屋外特性評価
   2.1 色素増感太陽電池特性の概要
   2.2 色素増感太陽電池の屋外特性評価
    2.2.1 屋外評価の概要
    2.2.2 開放電圧
    2.2.3 発電出力
    2.2.4 発電量の概算評価
  3 おわりに

【第5編 その他の周辺材】
第1章 PVシリコンモジュールの構成材料
  1 はじめに
  2 PVシリコンモジュールの構成材料
   2.1 太陽光発電の原理
   2.2 シリコンモジュールの代表的構成
  3 保護フィルム(バックシート)
   3.1 概要
   3.2 保護フィルム(バックシート)に要求される機能と特性
   3.3 構成材料の品質特性
  4 バックシート(BS)用接着剤の特性評価
   4.1 基本的特性評価
   4.2 評価方法
  5 バックシート(BS)と封止樹脂(EVAフィルム)との適合性
   5.1 適合性評価
    5.1.1 試験試料の明細
    5.2.1 試験結果
  6 バックシート(BS)の耐紫外線(UV光)特性
  7 太陽光発電(PV)システムモジュールの電気絶縁設計
  8 まとめ(課題と展望)
第2章 太陽光発電モジュールに使用されるバックシートの試験・評価
  1 はじめに
  2 太陽光発電モジュールの規格
   2.1 規格の要求
   2.2 材料に対する要求
   2.3 モジュールの外表面の材料に要求される試験の項目
  3 試験の概要
   3.1 長期間熱劣化試験
   3.2 火炎伝播試験(ラジアントパネル試験)
   3.3 紫外線暴露試験
   3.4 部分放電試験
   3.5 部分放電計算式
  4 おわりに
第3章 太陽電池セル封止材としてのEVA樹脂
  1 太陽電池モジュールの構造
  2 EVA樹脂に関して
   2.1 EVA樹脂の生産量
   2.2 EVA樹脂の分類
  3 結晶系シリコンセルの封止向けEVA封止材について
   3.1 EVA封止材の組成と架橋・接着の原理
   3.2 結晶系シリコン太陽電池モジュールの製造方法
   3.3 太陽電池ラミネーターの条件設定に関して
  4 EVA封止材の耐久性に関して
  5 まとめ

【第6編 太陽電池のモジュール製造と耐久性試験】
第1章 太陽電池モジュールの認証試験
  1 はじめに
  2 モジュール認証(JETPVm認証)
  3 性能認証試験
  4 安全性認証試験
  5 電気的試験とシステム電圧
  6 工場調査
  7 おわりに
第2章 太陽電池モジュールの型式認証試験規格
  1 はじめに
  2 屋外暴露試験
  3 ホットスポット耐久性試験
  4 紫外線前処理試験
  5 温度サイクル試験
  6 結露凍結試験
  7 高温高湿試験
  8 端子強度試験
  9 機械的荷重試験
  10 降雹試験
  11 バイパスダイオード温度試験
  12 光照射
  13 おわりに
第3章 太陽電池モジュール製造装置
  1 はじめに
  2 太陽電池モジュール生産工程
   2.1 太陽電池の全体生産工程
   2.2 モジュール化プロセスの概要
  3 工程別装置(主要4装置)
   3.1 セル特性検査分類工程
   3.2 自動配線工程
   3.3 ラミネーション工程
   3.4 モジュールテスター(モジュールシミュレーター)
  4 まとめ
第4章 薄膜太陽電池パネル用装置
  1 はじめに
  2 薄膜シリコン太陽電池
  3 パネル製造の課題
  4 分光エリプソ式膜厚計 RE-8000
  5 測定事例
  6 ターンキー導入後の問題
  7 パネルメーカーの動向
  8 まとめ
第5章 太陽電池製造用検査装置の動向
  1 はじめに
  2 太陽電池の特性
  3 太陽電池の出力測定方法
  4 ソーラシミュレータの分類
  5 IVカーブと照度の場所むらの影響について
  6 太陽電池の応答性について
  7 多接合太陽電池の測定用2光源ソーラシミュレータについて
  8 結晶系太陽電池におけるEL(Electro Luminescence)検査について
  9 まとめ

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