キーワード:
ビフィズス菌/植物性食品由来乳酸菌/発酵食品/腸管免疫機構/整腸作用/抗アレルギー/アトピー性皮膚炎緩和/花粉症抑制/ヘリコバクターピロリ抑制/歯周病予防/抗菌ペプチド/組換えワクチン/カテキン吸収向上/γ-GTP 改善/化粧品素材/畜産/水産業
刊行にあたって
2007 年に前書『乳酸菌の保健機能と応用』が発行された。その後の乳酸菌の働きに関する研究や乳酸菌を利用した商品の進展はこの10
年めざましいものがある。腸内に生息しているプロバイオティクス乳酸菌の免疫系やその他、神経系など生体調節系へ作用機構の解明など
の研究も大いに進展している。
本書『新しい乳酸菌の機能と応用』は,有益な乳酸菌の働きについて第一線の研究者の方々にご執筆いただいた。乳酸菌の機能について
研究、技術開発に携われる多くの方々に本書をお勧めする次第である。(刊行のねらいより抜粋)
本書は2013年に『新しい乳酸菌の機能と応用』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。
著者一覧
竹友直生 ㈱明治 高野俊明 公益財団法人 ダノン健康栄養財団 西尾純子 東京大学 内田英明 ㈱明治 木村勝紀 ㈱明治 小田巻俊孝 森永乳業㈱ 菅原宏祐 森永乳業㈱ 清水金忠 森永乳業㈱ 矢嶋信浩 カゴメ㈱ 信田幸大 カゴメ㈱ 志田 寛 ㈱ヤクルト本社中央研究所 藤原大介 キリン㈱ 松本光晴 協同乳業㈱ 藤原 茂 カルピス㈱ 朝原 崇 ㈱ヤクルト本社中央研究所 野本康二 ㈱ヤクルト本社中央研究所 池上秀二 ㈱明治 松岡隆史 ㈱フレンテ・インターナショナル | 澤 稔彦 九州大学 善藤威史 九州大学 園元謙二 九州大学 梶川揚申 東京農業大学 五十君静信 国立医薬品食品衛生研究所 山本真悠子 ㈱ヤクルト本社中央研究所 松本 敏 ㈱ヤクルト本社中央研究所 林多恵子 丸善製薬㈱ 大竹孝明 旭川医科大学 脇田義久 サッポロホールディングス 瀬川修一 サッポロビール㈱ 高後 裕 旭川医科大学 竹田和則 ㈱カロッツェリアジャパン 太田富久 金沢大学 大学院医薬保健学総合研究科 特任教授 高木昌宏 北陸先端科学技術大学院大学 千葉勝由 ㈱ヤクルト本社中央研究所 丸橋敏弘 カルピス㈱ 星野貴行 筑波大学 |
執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。
目次 + クリックで目次を表示
第1章 発酵食品に利用される乳酸菌とその性質
1 発酵食品と乳酸発酵
2 発酵食品に利用される乳酸菌
3 発酵食品における乳酸菌の働き
3.1 発酵食品の保存性
3.2 発酵食品の嗜好性
3.3 発酵食品の栄養生理機能
3.4 健康効果と乳酸菌
第2章 プロバイオティクスとして利用される乳酸菌類の種類と性質
1 はじめに
2 FAO/WHOのプロバイオティクスのガイドライン
2.1 属/種/株の同定
2.2 In vitroスクリーニング試験
2.3 安全性
2.4 In vivo試験
2.5 健康表示
3 プロバイオティクスを巡る論点
3.1 プロバイオティクスの定義について
3.2 どの菌をプロバイオティクスと呼ぶか?
3.3 菌株の由来
4 プロバイオティクスとして利用されている乳酸菌類
5 おわりに
第3章 腸管免疫機構に関わる腸内細菌の役割
1 要約
2 はじめに
3 Segmented filamentous bacteriaによるTh17細胞の誘導
3.1 Segmented filamentous bacteria(SFB)
3.2 Segmented filamentous bacteriaによるTh17細胞の誘導
3.3 Th17細胞
3.4 消化管におけるIL-17産生細胞の機能
4 Clostridium属によるTreg細胞の誘導
4.1 Treg細胞とは
4.2 ClostridiumによるTreg細胞の誘導
5 Bacteroides Fragilis
6 乳酸菌が消化管免疫細胞に及ぼす影響
7 腸管以外の部位で起こる免疫反応や疾患に対する腸管常在菌の影響について
8 おわりに
【応用編】
<整腸作用>
第4章 乳酸菌と整腸作用
1 はじめに
2 腸運動の調節
3 腸内菌叢の改善
4 有害物質の生成抑制
5 有害物質の吸着
6 栄養素の消化吸収の向上
6.1 乳糖の吸収性向上(乳糖不耐症の軽減)
6.2 タンパク質の吸収性向上
6.3 カルシウム吸収促進
7 おわりに
第5章 ビフィズス菌と整腸作用
1 従来からの整腸作用
2 腸内細菌叢を介したビフィズス菌の生理作用
3 腸内環境の全貌解明に向けて
4 おわりに
第6章 植物性食品由来乳酸菌と整腸作用
1 はじめに
2 植物性食品由来乳酸菌L.brevis KB290のヒト試験における整腸効果
2.1 方法
2.2 結果と考察
3 植物性食品由来乳酸菌L.brevis KB290のIBSに対する効果
3.1 方法
3.2 結果と考察
4 おわりに
<抗アレルギー作用>
第7章 プロバイオティクスのアレルギー抑制機構
1 はじめに
2 アレルギー発症機構
3 衛生仮説
4 アレルギーと腸内フローラ異常
5 プロバイオティクスの利用
6 プロバイオティクスのアレルギー抑制機構
6.1 Th1/Th2バランスの制御
6.2 Treg細胞の誘導
6.3 腸管バリア機構の制御
6.4 その他
7 おわりに
第8章 乳酸菌の抗アレルギー作用
1 アレルギー疾患の増加
2 衛生仮説について
3 アレルギーの発症機構について
4 L. paracasei KW3110株の選抜
5 アレルギーモデルマウスにおけるKW3110株経口投与の効果
6 アトピー性皮膚炎モデルマウスにおけるKW3110株の効果
7 おわりに
第9章 プロバイオティクスによる成人型アトピー性皮膚炎緩和効果
1 はじめに
2 Bifidobacterium animalis subsp.lactis LKM512
3 ポリアミン
4 アトピー性皮膚炎患者の腸内菌叢と腸内ポリアミン濃度
5 臨床試験(10名、二重盲検クロスオーバー試験)
6 臨床試験(44名、二重盲検並行群間比較試験)
7 メタボロミクスを用いた未知の有効性成分の探索
8 おわりに
第10章 乳酸菌の花粉症抑制作用
1 花粉症の現状
2 環境因子と花粉症
3 乳酸菌による花粉症の発症抑制および症状の改善
4 乳酸菌と花粉症―Pros and Cons―
5 まとめ
<抗感染・抗がん・その他の作用>
第11章 プロバイオティクス・シンバイオティクスによる腸管感染防御
1 はじめに
2 ヒトにおけるプロバイオティクス・シンバイオティクスの効果
2.1 感染性腸炎、下痢症に対する作用
2.2 医学領域への応用
2.2.1 新生児および小児・小児外科領域における効果
2.2.2 消化器外科領域における効果
2.2.3 救命救急領域における効果
3 動物実験モデルを用いたプロバイオティクス・シンバイオティクスの感染防御メカニズムの検討研究
3.1 食中毒菌に対する作用
3.2 日和見感染薬剤耐性菌に対する作用
4 まとめ
第12章 Helicobacter pylori抑制作用
1 はじめに
2 H. pyloriとは
3 H. pylori感染症とプロバイオティクス
4 プロバイオティクスのH. pylori抑制作用
4.1 in vitroにおけるH. pylori抑制作用
4.2 in vivoにおけるH. pylori抑制作用
4.2.1 動物実験
4.2.2 ヒト試験
5 おわりに
第13章 乳酸菌がつくるEPS(多糖体)の免疫賦活作用
1 はじめに
2 1073R-1乳酸菌が産生するEPS、1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトの免疫賦活作用
2.1 In vitroにおけるEPSのIFN-γ産生誘導活性
2.2 マウスへの経口投与によるNK活性増強効果
3 1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトの健常高齢者における風邪症候群への罹患リスク低減効果
3.1 山形県舟形町での試験
3.2 佐賀県有田町での試験
3.3 2つの試験結果のメタ解析
4 1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルト、EPSの抗インフルエンザウイルス活性
5 おわりに
第14章 歯周病予防
1 歯周病
2 歯周病原細菌
3 乳酸菌による歯周病原細菌抑制効果
3.1 in vitro試験と歯周病原細菌数抑制の作用機序
3.2 乳酸菌服用による唾液への影響
3.3 乳酸菌服用による歯肉縁下プラークへの影響
3.4 口臭予防効果
4 その他の機能性乳酸菌
5 おわりに
第15章 乳酸菌が産生する抗菌ペプチド
1 バイオプリザベーション
2 バクテリオシンと抗生物質の違い
3 乳酸菌バクテリオシンの分類
4 バクテリオシンの生合成機構
5 バクテリオシンの作用機構
6 バクテリオシン産生乳酸菌の探索とその分離源
7 バクテリオシンの多様性の活用
8 今後の展望
第16章 乳酸菌組換えワクチン
1 はじめに
2 経口抗原運搬体としての乳酸菌
3 乳酸菌によるワクチンデリバリーのデザイン
4 組換え乳酸菌の経粘膜投与による防御免疫の誘導
5 乳酸菌組換えワクチンのこれから
第17章 慢性炎症と発がん―プロバイオティクスを用いた病態制御の可能性
1 はじめに
2 発がんと生活習慣
3 慢性炎症と発がん
4 腸内細菌と発がん
5 炎症を母体とした大腸発がんにおけるIL-6/Stat3経路の重要性
6 IL-6トランスシグナリングの生成と粘膜マクロファージ/樹状細胞系細胞の関与
7 食事によるがんの予防
8 プロバイオティクスのがん予防
9 おわりに
第18章 緑茶カテキンの吸収性を高めるタンナーゼ産生Lactobacillus plantarumの研究
1 はじめに
2 タンナーゼ産生乳酸菌のスクリーニング
3 複合体を形成したEGCgをEGCに変換するLp22A-3
4 緑茶カテキンEGCgとLp22A-3株併用における肥満マウスの抗肥満効果
5 おわりに
第19章 プロバイオティクスのγ-GTP改善効果
1 はじめに
2 プロバイオティクスの肥満・メタボリック症候群に対する効果
3 アルコール性肝障害とプロバイオティクス
4 代謝反応を介したアルコール性肝障害への効果―動物モデルでの実証
5 γ-GTP改善効果―ヒト試験での実証
6 まとめ
<化粧品への応用>
第20章 新種乳酸菌を含む複合培養産物の化粧品・農産物への応用
1 はじめに
2 抗酸化作用に関して
3 メラニン生成抑制効果に関して
4 抗炎症・抗アレルギー作用に関して
5 抗加齢に関する知見
6 植物成長促進効果に関して
第21章 乳酸菌・ビフィズス菌発酵を利用した化粧品素材の開発
1 はじめに
2 乳酸菌・ビフィズス菌を利用した化粧品素材開発の現況
3 開発事例
3.1 乳酸菌培養液
3.2 乳酸桿菌/アロエベラ発酵液
3.3 大豆ビフィズス菌発酵液
3.4 乳酸菌発酵を利用したヒアルロン酸の製造
4 おわりに
<農水畜産への応用>
第22章 プロバイオティクスとしての乳酸菌の畜産への応用
1 畜産用生菌剤の必要性
2 肉用鶏向け乳酸菌生菌剤
2.1 肉用鶏の飼育形態
2.2 応用の方法と求められる効果
3 採卵鶏用乳酸菌生菌剤
3.1 飼育形態
3.2 求められる効果と考えられる応用例
4 豚用乳酸菌生菌剤
4.1 飼育形態
4.2 求められる効果と考えられる応用例
5 生菌剤の畜産での使用菌種例
6 動物の健やかな生活のための菌叢を目指して
第23章 プロバイオティクスの水産業への応用
1 はじめに~水産業のプロバイオティクスの特殊性~
2 霞ヶ浦コイの優占乳酸菌叢の季節変化
3 コイ用プロバイオティクス候補株の選択と投与試験
4 腸管付着性を指標にした新たなプロバイオティクス候補株の分離
5 コイヘルペスウィルス症対策へのプロバイオティクス乳酸菌の利用の可能性
6 フィールドレベルでのプロバイオティクス実用試験の現状
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