刊行にあたって
○調査対象の核酸医薬品○
アンチセンス、siRNA、ヘテロ2本鎖核酸、アプタマー、miRNA補充、その他(デコイ核酸など)
本書は2010年以降、約2年間隔で継続的に発刊してきたシリーズです。2016年版の発刊直後にEXONDYS 51 (eteplirsen)とSPINRAZA(nusinersen)が上市され、業界の雰囲気は一気に過熱したと感じております。特にSPINRAZAが2年弱でブロックバスターとなり商業的な大成功を果たしましたが、その背景にはバブル的な期待感ではなく、臨床医も規制当局も絶賛する有効性の明確さがあります。
また、これまで核酸医薬品の商業化で先行してきたIonis Pharmaceuticals社の対抗馬であるAlnylam Pharmaceuticals社が世界初のsiRNA医薬品ONPATTRO(patisiran)を上市して、いよいよ収穫期に到達したことも大きな変化と言えます。核酸医薬品全体での臨床試験フェーズ3の品目数の増分だけを見ると一見控えめな変化とも言えますが、その内訳を見るとsiRNAの存在感が倍増しており、2006年のノーベル賞の対象となったRNAi技術の医薬品としての実用化の波が近づいています。
さらに本書2019年版では、前作で取り上げることができなかった核酸医薬品のDDS(Drug Delivery System)の章を新たに設けましたが、特にsiRNA医薬品のDDS技術の動向にも変化の兆しが見られます。
核酸医薬品の市場が産業と呼べる規模に向かって飛躍を始めたこの時期に、是非、様々な業種の方々に本書を手にしていただき、核酸医薬品の現状と将来像を吟味して、意思決定の一助としていただければ幸甚に存じます。
著者一覧
目次 + クリックで目次を表示
Ⅰ.核酸医薬品の課題と展望
Ⅱ.世界市場規模の予測
Ⅲ.国内の核酸医薬関連企業の動向
図.次世代医薬品開発への道のり
第2章 核酸医薬品の種類・特徴と歴史
Ⅰ.核酸医薬品とは
Ⅱ.従来型の医薬品との関係性
Ⅲ.核酸医薬品の歴史と化学修飾の進歩
Ⅳ.核酸医薬品の種類ごとの強み・弱み
Ⅴ.核酸医薬品の種類
1. アンチセンス(ASO)(miRNA 阻害を含む)
2. siRNA
3. ヘテロ2 本鎖核酸(HDO)
4. アプタマー
5. miRNA 補充
6. デコイオリゴヌクレオチド
7. TLR を介した免疫賦活または免疫抑制
8. 注目すべき独自技術
第3章 核酸医薬品市場と開発状況の現状分析
Ⅰ.承認済みの核酸医薬品の市場環境等
1. 現在までに承認済みの核酸医薬品
(1)VITRAVENE(Fomivirsen)
(2)MACUGEN(Pegaptanib)
(3)KYNAMRO(Mipomersen)
(4)EXONDYS 51(Eteplirsen)
(5)SPINRAZA(Nusinersen)
(6)HEPLISAV-B
(7)ONPATTRO(Patisiran)
(8)TEGSEDI(Inotersen)
2. 承認済み8 品目における開発の課題
Ⅱ.前回調査時点からの変化
1. 前回調査時点以降の後期開発品の進捗・中止の状況
(1)概括
(2)2016 年後半以降に上市された5 品目
(3)P3 での開発を継続中の12 品目
(4)P2 以前のフェーズからP3 へ進捗した12 品目
(5)P3 以降の続報が途絶えた6 品目
(6)P3 で中止された4 品目
Ⅲ.モダリティ別の開発状況(適応疾患領域と、開発段階別の品目数)
1. 核酸医薬品全体
2. アンチセンス
3. siRNA
4. アプタマー
5. miRNA 補充
6. デコイオリゴヌクレオチド
7. TLR を介した免疫賦活または免疫抑制
8. その他
Ⅳ.疾患別の開発状況
1. がん
2. 遺伝性・希少疾患
3. 眼科疾患
4. 感染症
5. 自己免疫・炎症性疾患
6. 循環器疾患
7. 内分泌代謝系疾患
8. 神経変性疾患
9. 呼吸器系疾患
10. 創傷
11. 疼痛
12. その他
Ⅴ.フェーズ3 の開発品リストと解説
1. アンチセンス
(1)Aganirsen(血管新生に伴う角膜移植後拒絶反応)
(2)Aganirsen(虚血性の網膜静脈塞栓症(iCRVO))
(3)CAMLIGO / Alicaforsen(回腸嚢炎)
(4)WAYLIVRA / Volanesorsen(家族性カイロミクロン血症:FCS)
(5)WAYLIVRA / Volanesorsen(家族性部分型リポジストロフィー:FPL)
(6)IONIS-HTTRx(ハンチントン病)
(7)Nexagon(眼の損傷)
(8)Trabedersen(進行性膵がん)115
(9)Trabedersen(再発性または難治性多形神経膠芽腫)
(10)Trabedersen(悪性メラノーマ)
(11)Golodirsen / SRP-4053(デュシェンヌ型筋ジストロフィー exon 53)
(12)Casimersen / SRP-4045(デュシェンヌ型筋ジストロフィー exon 45)
2. siRNA
(1)Fitusiran(血友病A, B、および希少な出血性疾患(RBD))
(2)Givosiran(急性肝性ポルフィリン症)
(3)Inclisiran(高脂血症)
(4)Lumasiran(1 型原発性高シュウ酸尿症)
(5)Vutrisiran(ATTR アミロイドーシス)
(6)Vigil(ユーイング肉腫)
(7)QPI-1002(臓器移植後臓器機能障害(DGF))
(8)QPI-1002(心臓手術後の腎障害予防)
(9)QPI-1007(非動脈炎性虚血性視神経症(NAION))
(10)Tivanisiran(ドライアイ、シェーグレン症候群)
3. TLR アゴニスト
(1)Lefitolimod(結腸直腸がん)
4. その他
(1)Imetelstat(骨髄異形成症候群)
Ⅵ.国別の開発品目数、および主な開発企業一覧
1. 国別の開発品目数
2. フェーズ2 以上の開発品を有する企業
Ⅶ.開発品の進展状況
第4章 核酸医薬品のDDS (ドラッグ・デリバリー・システム)
Ⅰ.DDS 概論
Ⅱ.核酸医薬用DDS におけるアプローチの種類
1. キャリア型
2. コンジュゲート型
3. 複合体型
Ⅲ.核酸DDS 技術領域のプレイヤー
1.海外企業
2.国内企業
Ⅳ.核酸DDS 技術の歩み
Ⅴ.核酸医薬DDS の業界動向
1.概要
2.キャリア型からコンジュゲート型のDDS に移行したsiRNA 開発企業
Ⅵ.中枢神経系へのDDS
Ⅶ.がん組織へのDDS
Ⅷ.肺へのDDS
第5章 核酸医薬品を開発している企業の個別情報(個票)
Ⅰ.アンチセンス(miRNA 阻害含む)
・Antisense Therapeutics
・Bio-Path Holdings
・Gene Signal International
・Idera Pharmaceuticals
・Ionis Pharmaceuticals
・miRagen Therapeutics(miRNA 阻害)
・nLife Therapeutics
・OcuNexus
・Oncotelic
・Regulus Therapeutics(miRNA 阻害)
・Sarepta Therapeutics
・Wave Life Sciences
・第一三共
・日本新薬
Ⅱ.siRNA
・Alnylam Pharmaceuticals
・Arbutus Biopharma(旧Tekmira)
・Arrowhead Pharmaceuticals
・Celsion Corporation
・Dicerna Pharmaceuticals
・Genevant Sciences
・Gradalis
・Quark Pharmaceuticals
・Silence Therapeutics
・Sylentis
・日東電工
Ⅲ.ヘテロ2 本鎖核酸(HDO)
・レナセラピューティクス
Ⅳ.アプタマー
・Advanced Cancer Therapeutics
・Noxxon Pharma
・Ophthotech Corp
・リボミック
Ⅴ.miRNA 補充
・miRagen Therapeutics
・miReven
Ⅵ.デコイオリゴヌクレオチド
・Adynxx
・アンジェス
Ⅶ.TLR を介した免疫賦活または免疫抑制
・Arbutus Biopharma(旧Tekmira)
・Checkmate Pharmaceuticals
・Dynavax Technologies
・Idera Pharmaceuticals
・Mologen AG
Ⅷ.その他
・Advanced Cancer Therapeutics
・Benitec Biopharma
・Geron Corporation
・MiNA Therapeutics
・ONXEO
・ボナック
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