キーワード:
樹脂/UV重合開始剤/充填材および添加剤<機能性>伝導特性/熱―機械特性/粘着性/剥離・解体性/光学特性<電子部品用粘着・接着剤の実際>フラットパネルディスプレイ用接着剤/液晶パネル用シール
刊行にあたって
電子部品の製造に粘着剤や接着剤が広く用いられていることはよく知られたことである。はんだの代替としての導電性接着剤、ダイシングテープやウェハ保護テープなどの他、最近では、LSIチップの多層化における層間接着剤や液晶・有機ELディスプレイのシール剤やタッチパネル用機能シートなど電子部品・光学部品の製造に欠かせないキーマテリアルとなっている。
しかも、この分野の技術革新のスピードは驚くほど速い。現在の最新技術も、半年後には新しい技術に置き換えられているかもしれない。このような激しい技術革新の中で、電子部品製造におけるキーマテリアルとしての粘着剤や接着剤の最新技術をまとめることは、今後の電子部品用材料の発展に、またこの分野で使われる粘着剤や接着剤、その関連資材の開発に大きく貢献するであろうことが期待される。
本書では、多岐にわたる接着・粘着剤に要求される機能を整理する目的で、第1編にはこの分野の粘着・接着剤に用いられる主材と副資材をまとめ、第2編では粘着・接着剤に要求される機能について機能発現の機構や最新の技術や情報を解説した。また、第3編では実際の用途ごとに粘着・接着剤の最新技術とそこでの要求性能についてまとめた。本書が、電子部品用材料としての粘着剤や接着剤、その関連資材の開発や発展に貢献することができれば幸いである。
「刊行にあたって」より抜粋
本書は2013年に『電子部品用 機能性接着・粘着剤』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんのでご了承ください。
著者一覧
岡崎栄一 東亞合成㈱ 越智光一 関西大学 佐々木裕 東亞合成㈱ 高梨正則 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(同) 飯田 勲 モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(同) 岡村晴之 大阪府立大学 有光晃二 東京理科大学 白井正充 大阪府立大学 永田員也 旭化成ケミカルズ㈱ 米村直己 電気化学工業㈱ 藤野秀之 日本アエロジル㈱ 菅沼克昭 大阪大学 今井隆浩 ㈱東芝 原田美由紀 関西大学 岸 肇 兵庫県立大学 中村吉伸 大阪工業大学 須藤 篤 近畿大学 | 浦濱圭彬 兵庫県立大学 佐藤千明 東京工業大学 杉田大平 積水化学工業㈱ 工藤宏人 関西大学 林宏三郎 デクセリアルズ㈱ 米川雄也 綜研化学㈱ 伊澤弘行 日立化成㈱ 山下忠弘 協立化学産業㈱ 山田成志 東亞合成㈱ 本間洋希 ナミックス㈱ 下邊安雄 住友ベークライト㈱ 杉崎俊夫 リンテック㈱ 上山幸嗣 三菱電機㈱ 飛田圭之 サンスター技研㈱ 瀬川正志 サンビック㈱ 中田稔樹 東レ・ダウコーニング㈱ |
執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。
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第1章 樹脂
1 アクリル樹脂
1.1 はじめに
1.2 アクリルモノマー・オリゴマー
1.2.1 光硬化型接着剤の構成
1.2.2 アクリルモノマー
1.2.3 アクリルオリゴマー
1.3 アクリルポリマー
1.3.1 アクリル系粘着剤の構成
1.3.2 ベースポリマーおよび各種添加剤
1.4 おわりに
2 エポキシ樹脂
2.1 はじめに
2.2.1 イオン性不純物含有量を低減したエポキシ樹脂
2.2.2 網目鎖の規則的な配列を可能としたエポキシ樹脂
2.2.3 硬化物の表面に濃度傾斜を持つエポキシ樹脂
3 オキセタン樹脂
3.1 はじめに
3.2 オキセタン樹脂の合成
3.2.1 オキセタン環の生成
3.2.2 オキセタンモノマー類
3.3 オキセタン環のカチオン開環重合
3.3.1 環状エーテルのカチオン開環重合
3.3.2 オキセタン環の開環重合性
3.4 オキセタン樹脂の光カチオン硬化型材料への応用
3.4.1 光カチオン硬化型材料
3.4.2 オキセタン環の光カチオン重合特性
3.4.3 計算科学による反応性の検討
3.4.4 オキセタン樹脂の特徴
3.5 おわりに
4 シリコーン接着剤
4.1 はじめに
4.2 シリコーンの化学
4.3 液状シリコーンゴムの硬化反応
4.3.1 縮合反応型
4.3.2 付加反応型
4.3.3 紫外線硬化型
4.3.4 複合硬化型
4.4 エレクトロニクス・オプトエレクトロニクス用シリコーンに要求される機能
4.5 シリコーン製品
4.5.1 接着剤
4.5.2 放熱性接着剤
4.5.3 ポッティング剤
4.6 あとがき
第2章 UV重合開始剤
1 カチオン系開始剤
1.1 はじめに
1.2 非オニウム塩型光酸発生剤
1.3 オニウム塩型光酸発生剤
1.4 おわりに
2 アニオン系開始剤
2.1 はじめに
2.2 新規光塩基発生剤の開発とアニオンUV硬化への応用
2.2.1 非イオン性光塩基発生剤の系
2.2.2 イオン性光塩基発生剤の系
2.3 塩基増殖反応による高感度化
2.3.1 塩基増殖剤
2.3.2 アニオンUV硬化への応用
2.4 おわりに
3 ラジカル系開始剤
3.1 はじめに
3.2 アセトフェノン系開始剤
3.3 O-アシルオキシム系開始剤
3.4 アシルフォスフィンオキシド系開始剤
3.5 チタノセン系開始剤
3.6 トリクロロメチルトリアジン系
3.7 ビスイミダゾール系
3.8 2分子反応系
3.9 増感系
3.10 環境を意識した開始系
3.11 おわりに
第3章 充塡剤および添加剤
1 汎用および耐火性充塡材
1.1 はじめに
1.2 フィラーの種類と使いこなすためのポイント
1.3 代表的なフィラーの使用例
1.4 フィラー表面の構造と表面処理
2 高熱伝導用充塡材(無機フィラー)
2.1 はじめに
2.2 複合材料における高熱伝導化手法
2.2.1 無機フィラーの熱伝導率向上化
2.2.2 無機フィラーの高充塡による高熱伝導化
2.3 各種高熱伝導充塡材
2.3.1 窒化ほう素
2.3.2 窒化けい素および窒化アルミニウム
2.3.3 球状アルミナ
2.4 まとめ
3 無機増粘剤・チキソトロピー剤
3.1 はじめに
3.2 機能発現の原理
3.3 適切なフィラーの選定
3.4 電子部品用途においての特性
【第2編 機能性】
第4章 伝導特性
1 導電性接着剤技術
1.1 はじめに
1.2 導電性接着剤の主な用途
1.3 導電性接着剤の電気特性
1.4 熱伝導
1.5 信頼性
1.6 おわりに
2 高絶縁性
2.1 はじめに
2.2 固体材料の電気絶縁性
2.3 無機フィラーの充填が電気絶縁性に与える影響
2.4 無機フィラー充填材料における電気絶縁性の改善
2.4.1 絶縁破壊電圧の向上
2.4.2 耐トリーイング性の向上
2.4.3 耐部分放電性の向上
2.4.4 エレクトロケミカルマイグレーションの抑制
2.5 まとめ
3 エポキシ樹脂の構造制御やフィラー充填による熱伝導性付与
3.1 はじめに
3.2 メソゲン骨格エポキシ樹脂を用いた高分子の配列構造制御による熱伝導性付与
3.3 高熱伝導フィラーを充填したコンポジット材料
3.4 おわりに
第5章 熱―機械特性
1 強靭性
1.1 はじめに
1.2 改質剤相の存在がマトリックス樹脂の塑性変形を増大させる強靱化機構
1.3 改質剤ポリマー相自体がエネルギー吸収の担い手となる強靭化機構
1.4 エポキシ/ブロック共重合体ブレンドの相構造形成と強靭化
1.5 おわりに
2 低内部応力化
2.1 はじめに
2.2 内部応力とは
2.3 内部応力の低減
2.4 エポキシ樹脂骨格の改良
2.5 ゴム変性による低弾性率化
2.6 無機充てん材の添加による低収縮化
2.7 無機充てん材の添加とゴム変性の併用の効果
2.8 おわりに
3 耐熱性
3.1 はじめに
3.2 高分子の耐熱性について
3.3 耐熱性向上のための分子設計:線状高分子の場合
3.3.1 水素結合を用いたΔHの増大
3.3.2 極性官能基の導入によるΔHの増大
3.3.3 剛直な官能基の導入によるΔSの減少
3.3.4 対称性の高い構造の導入によるΔSの減少
3.4 耐熱性向上のための分子設計:架橋高分子の場合
3.5 おわりに
第6章 粘着性
1 粘着剤
1.1 粘着と接着
1.2 天然ゴム系粘着剤
1.3 ブロックポリマー系粘着剤
1.4 粘着付与剤(タッキファイヤ)
1.4.1 タッキファイヤの種類
1.4.2 タッキファイヤの効果
1.5 アクリル系粘着剤
1.5.1 モノマー
1.5.2 ポリマー
1.5.3 UV硬化シロップ型粘着剤
1.6 シリコーン系粘着剤
2 粘着テープの特性
2.1 粘着テープの接着発現機構
2.1.1 界面からのアプローチ
2.1.2 バルクからのアプローチ
2.1.3 表面自由エネルギーと粘着特性
2.1.4 S―S曲線
2.2 粘着三要素の測定法
2.2.1 粘着三要素
2.2.2 粘着力
2.2.3 タック
2.2.4 保持力
2.3 実用性能の向上
2.3.1 実用特性と代用特性
2.3.2 高性能化と多機能化
2.3.3 接着の系
3 電子機器用粘着テープ
3.1 はじめに
3.2 光学機器用粘着テープ
3.2.1 偏光モジュール用粘着テープ
3.2.2 保護フィルム
3.3 半導体用ダイシングテープ
3.3.1 半導体製造と粘着テープの関わり
3.3.2 UVキュアタイプダイシングテープ
3.3.3 発ガスタイプダイシングテープ
3.3.4 加熱発泡タイプダイシングテープ
第7章 剥離・解体性
1 接着物の再剥離―解体性接着剤の技術動向―
1.1 はじめに
1.2 現行の解体性接着剤とその種類
1.3 発泡剤の種類と特徴・特性
1.4 最近の進歩
1.5 その他の最近の動向
1.6 おわりに
2 UV自己剥離型粘着テープとその応用
2.1 開発背景
2.2 自己剥離粘着テープ「SELFA」
2.2.1 UV自己剥離技術の特徴
2.2.2 自己剥離粘着テープとGWSS
2.2.3 自己剥離のメカニズム
2.2.4 耐熱性の向上
2.3 おわりに
第8章 光学特性
1 高分子の屈折率制御
1.1 はじめに
1.2 高屈折率高分子の合成法
1.3 低屈折率高分子の合成法
1.4 光反応による屈折率の制御
1.5 加熱による屈折率の制御
1.6 おわりに
【第3編 電子部品用粘着・接着剤の実際】
第9章 フラットパネルディスプレイ貼合用光学弾性樹脂
1 はじめに
2 原理
3 課題
4 Hybrid SVRのプロセス概要
5 表示ムラ改善のアプローチと接着強度
6 樹脂はみ出し制御
7 塗布時の樹脂平坦性と気泡の関係
8 光学的信頼性試験
9 リペアについて
10 まとめ
第10章 フラットパネルディスプレイ用粘着剤
1 はじめに
2 アクリル系粘着剤
3 液晶ディスプレイ(LCD)用粘着剤
3.1 耐久信頼性と粘着剤の設計
3.2 光学特性と粘着剤の設計
3.2.1 ソフト型
3.2.2 ハード型
3.2.3 光学補償型
3.3 帯電防止機能と粘着剤の設計
4 タッチパネル用粘着剤
4.1 透明性と粘着剤の設計
4.2 耐久信頼性と粘着剤の設計
4.3 耐白化性と粘着剤の設計
4.4 ITO非腐食性と粘着剤の設計
4.5 比誘電率適正と粘着剤の設計
5 おわりに
第11章 異方導電フィルムの技術動向
1 はじめに
2 異方導電フィルムの製品形態と接続プロセス
2.1 異方導電フィルムの製品形態
2.2 異方導電フィルムの接続プロセス
3 異方導電フィルムの低温接続化
4 二層構成異方導電フィルム
5 ディスプレイ以外の用途への展開
5 まとめ
第12章 液晶パネル用シール剤
1 はじめに
2 液晶シール剤の役割
3 液晶シール剤の種類
3.1 従来工法用シール剤の構成
3.2 滴下工法用シール剤の構成
4 従来工法と滴下工法の違い
5 液晶シール剤への要求特性
5.1 熱シール剤のプロセス別要求特性
5.2 滴下シール剤のプロセス別要求特性
6 今後のシール剤開発動向
第13章 フレキシブルプリント基板(FPC)用接着剤
1 はじめに
2 CCLおよびCL用接着剤
2.1 CCL用接着剤
2.2 CL用接着剤
2.3 CCLおよびCL用接着剤の開発動向
3 接着シート
4 おわりに
第14章 電子部品用接着剤
1 はじめに
2 ナミックスのカメラモジュール向け接着剤
2.1 アンダーフィル
2.2 赤外線カットフィルタ接着剤
2.3 アクティブアライメント工法向けホルダー接着剤
3 低温硬化型接着剤
3.1 低温硬化型導電接着材
3.2 高熱伝導接着剤
4 今後の展開
第15章 半導体パッケージ用接着剤
1 はじめに
2 ダイアタッチペーストに求められる特性
3 従来の高熱伝導性ダイアタッチペーストの問題点
4 測定方法の改善
5 測定結果
6 新規測定法での熱伝導性発現メカニズム
7 今後の高熱伝導性ダイアタッチペーストの開発について
第16章 ダイシングテープ
1 はじめに
2 ダイシングテープの組成・設計
3 ダイシング方法
4 ダイシングテープの残渣と微量成分
5 ダイシング・ダイボンディングテープ
6 おわりに
第17章 電子部品,およびモーター接着の事例
1 はじめに
2 ハードディスクのボイスコールモータ
3 産業用モーター
3.1 表面磁石型モーター
3.2 モーター磁石用に使用する接着剤
4 永久磁石モーターにおける接着構造の耐久性
4.1 熱応力による劣化
4.2 熱応力以外の劣化要因
第18章 電気・電子部品用放熱材
1 はじめに
2 放熱材の種類
3 放熱フィラーの選定
3.1 フィラーの充填方法
3.2 フィラーの粒子径
4 電気・電子用部品用放熱材に求められる性能
5 光学部品用放熱材に求められる性能
6 まとめ
第19章 結晶シリコン系太陽電池セル封止材
1 太陽電池モジュールの構造
2 EVA樹脂に関して
2.1 EVA樹脂の生産量
2.2 EVA樹脂の分類
3 結晶系シリコンセルの封止向けEVA封止材について
4 トピックス
4.1 PID試験方法
4.2 PIDへの対応
5 まとめ
第20章 LED封止材
1 はじめに
2 LED封止用シリコーン材料
3 LED封止材の分類と使用方法
4 おわりに
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