著者一覧
山内祥弘 (国研)物質・材料研究機構
内藤昌信 (国研)物質・材料研究機構
平井悠司 公立千歳科学技術大学
植村駿 公立千歳科学技術大学
菊地竜也 北海道大学
中島大希 北海道大学
近藤竜之介 北海道大学
鈴木亮輔 北海道大学
夏井俊悟 東北大学
佐藤知哉 (国研)産業技術総合研究所
井須紀文 (株)LIXIL
金子宗平 日本ペイント・サーフケミカルズ(株)
中谷達行 岡山理科大学
山本健太郎 京都大学
内本喜晴 京都大学
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【特集】高撥水・高親水性材料の開発動向
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特集にあたって
Preface
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ハリセンボンに発想を得た高耐久超撥水材料の開発
Development of a Highly Durable Superhydrophobic Material Inspired by Porcupinefish
硬い棘と柔軟な皮膚から構成されるハリセンボンのような構造を持つ,柔軟で高耐久性のある超撥水性材料の作成に成功した。この材料は,テトラポッド型酸化亜鉛とシリコーンゴムのコンポジットとして有機溶媒下混合・乾燥することにより簡単に作成できる。柔軟かつ多孔性であるこの超撥水性材料は,摩耗,引っ掻き,切断,曲げ,捻れに対して優れた耐性を示した。
【目次】
1 超撥水性を実現するには?
2 超撥水性材料の弱点と解決法とは?
3 高耐久な超撥水性材料:我々の戦略
3.1 序論
3.2 本材料の着眼点と作成方法
3.3 テトラポッド構造を超撥水材料に使う理論的裏付け
3.4 超撥水性材料の最適化
3.5 超撥水性の磨耗・切断耐性の評価
3.6 超撥水性の曲げ・捻れ耐性の評価
3.7 まとめ
4 超撥水性材料の今後の展望
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加硫ゴムの微細加工と濡れ制御
Fabrication of the Vulcanized Rubber Microstructures and its Wettability Control
材料表面の濡れ性は表面の微細構造によって増強されるため, 超撥水性材料を作るためには一般的に微細構造の導入が必要となる。しかし微細構造は脆く壊れやすいことが多いため,一般応用することは未だ困難である。そこで本稿では耐久性を有し柔軟な加硫ゴムを用いた微細構造超撥水性材料の作製と,延伸による濡れ制御について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 加硫ゴム表面への微細構造転写
3 加硫ゴム微細突起構造と表面濡れ性
4 微細突起構造の延伸による再配列と濡れ性の制御
5 加硫ゴム微細構造の形状記憶効果
6 まとめ
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陽極酸化によるアルミニウム表面のナノ構造制御と超親水性・超撥水性の発現
Nanostructure Control of Aluminum Surface via Anodizing and Emergence of Superhydrophilicity/Superhydrophobicity
ピロリン酸を用いたアルミニウムの陽極酸化によってアルミナナノファイバーを大量形成し,接触角10°以下の超親水アルミニウムや,接触角150°以上の超撥水アルミニウムを作製した。さらに,ナノファイバーの構造を精緻に制御することにより,水がよく滑落する超撥水から,水がよく吸着する超撥水まで,表面の滑落性を高度に制御した。
【目次】
1 はじめに
2 ピロリン酸を用いたアルミニウムの陽極酸化
3 ナノファイバー形成アルミニウム表面の超親水性
4 自己組織化単分子膜の修飾による超撥水性の発現
5 超撥水アルミニウム表面における水滴の滑落性
6 おわりに
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親水性ポリマーを用いた多機能バイオミメティック表面の開発
Development of Multifunctional Biomimetic Surfaces Using Hydrophilic Polymers
ハスの葉やウツボカズラの内壁といった生物体表の特異なぬれ性を模倣したバイオミメティック(生物模倣)材料/表面の開発が世界中で活況を呈している。生物は安価で環境負荷の低い汎用元素を利用し,常温・常圧という極めて温和な環境下,一つの表面構造を構築すると同時に,その表面のぬれ性を制御することで,複数の機能を効率よく発現させている。本稿では,著者らが魚類体表からヒントを得て開発した親水性ポリマー(ポリマーブラシとヒドロゲル皮膜)による多機能バイオミメティック表面について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 ポリマーブラシを用いたぬれ性制御技術
2.1 ポリマーブラシ
2.2 ポリマーブラシの合成法
2.3 ポリマーブラシの大面積合成を可能にする新規重合開始層
2.4 ポリマーブラシによるぬれ性制御
3 生物の多機能性に学んだ自己修復型バイオミメティック皮膜
3.1 超親水性ヒドロゲル皮膜
3.2 超親水性ヒドロゲル皮膜の多機能性
4 おわりに
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住宅用セラミックスの防汚・抗菌表面処理技術
Anti-Fouling and Antibacterial Surface Treatments Technology on Housing Ceramics
住宅の水まわりに使われる材料や設備に防汚・抗菌性能を付与することで,洗浄水や洗剤などの削減などによる環境負荷低減,および,手入れが簡単というユーザーメリットを同時に実現できる。住宅に用いられる代表的なセラミックスとして,タイルの防汚表面処理技術,トイレの防汚処理および銀を含む抗菌釉薬について述べる。
【目次】
1 はじめに
2 水使用量と防汚技術による環境負荷低減
3 タイルの防汚技術
4 トイレの防汚技術
5 トイレの抗菌技術
5.1 抗菌の概念と抗菌性能試験法
5.2 抗菌剤としての銀
5.3 銀を用いた抗菌釉薬
5.4 抗菌釉薬中の銀の存在状態
6 おわりに
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滑水性に優れる親水化処理剤の開発
Development of Hydrophilic Coating Agent Showing Excellent Water Sliding Properties
“親水性であるにも関わらず水がよく滑落する表面”,この一見矛盾した表面機能の実現を可能にする,日本ペイント・サーフケミカルズが開発したエアコン熱交換器向け表面処理剤,サーフアルコート9340,の優れた特性と機能発現メカニズムについて概説するとともに,著者らが最近開発した,滑水性に優れた親水性透明ゾル―ゲル皮膜について紹介する。
【目次】
1 はじめに
2 エアコン熱交換器向け親水化処理剤の開発動向
2.1 熱交換器向け親水化処理
2.2 暖房運転時の熱交換器への着霜問題
2.3 親水滑水化処理
3 親水滑水化処理剤サーフアルコート9340の親水滑水性
4 親水性材料と疎水性材料の分散性を向上させたSAT9340皮膜の親水滑水性
5 表面官能基の動きに着目した親水滑水性皮膜
6 おわりに
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DLC 被覆人工血管チューブ内壁の親水化処理技術
Hydrophilic Functionalization on an Inner-Wall of Artificial Vascular Grafts Using Diamond-Like Carbon Coating Technology
医療用材料は生体にとって異物と認識されるため,生体適合の点で問題がある。本稿では,新たに開発した交流高電圧バーストプラズマCVD法によるDLC成膜技術とバイオミメティックDLC創成技術の医療分野への応用について,人工血管を例にとり,医学・工学融合領域における最先端の実用化技術について概説する。
【目次】
1 はじめに
2 医用チューブ内腔面へのDLC成膜法
3 DLCコーティングの物性評価
4 DLC表面の平滑性および親水性評価
5 DLC人工血管の生体内評価(in vivo)
6 バイオミメティックスDLCの創成技術
7 表面電位を持つDLCの血液適合性
8 おわりに
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[連載 革新型蓄電池の開発に向けた取り組み 第2回]
フッ化物イオン全固体電池
All-Solid-State Fluoride Batteries
1価のアニオンであるフッ化物イオンをキャリアとして用いるフッ化物全固体電池は,固体内拡散の観点で不利な多価のイオンの移動を用いることなく,多価金属/金属フッ化物を用いた多電子反応を利用することができるため,高入出力かつ高エネルギー密度の二次電池が期待される。ここでは,最近の開発動向について解説する。
【目次】
1 全固体フッ化物イオン二次電池の特徴と課題
2 金属/金属フッ化物正極材料の反応機構の解明と高出力化
3 固固界面反応の速度論解析
4 フッ化物イオン伝導性固体電解質の開発
5 おわりに
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