キーワード:
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刊行にあたって
匂いセンサに関しては香りに関係の深い業界を中心にニーズがあり、多くの研究者が研究開発を試みてきた。本著書は、「匂いのセンシング技術」と題し、匂いセンシングの最新の研究の成果を企業、大学、国公立研究機関における第一線の研究者に執筆していただいたものである。
本著書では、まず総論として人間の嗅覚の仕組み及び匂いセンサの概論を紹介している。匂いセンサの基本原理は、生物の嗅覚の仕組みにならい特性の異なる複数センサの出力をパターン認識するものである。匂いセンサにはまずセンサデバイス部があり、そのデバイスに関連する研究事例を中心に第Ⅱ編匂いセンサで紹介している。また、第Ⅲ編システム化では、デバイスだけでなくシステム化して匂いセンサの応用を検討した事例を紹介している。
(本書「はじめに」より抜粋)
著者一覧
加藤麦彦 東京大学
東原和成 東京大学
南戸秀仁 金沢工業大学
大松 繁 広島大学
北村雅季 神戸大学
菅原 徹 大阪大学
橋本紅良 ㈱島津製作所
林 健司 九州大学
吉川元起 物質・材料研究機構
都甲 潔 九州大学
髙橋一浩 豊橋技術科学大学
松口正信 愛媛大学
小野寺武 九州大学
井上高教 大分大学
祐川侑司 東京工業大学
荒川貴博 東京医科歯科大学
當麻浩司 東京医科歯科大学
三林浩二 東京医科歯科大学
光野秀文 東京大学
櫻井健志 東京農業大学
神崎亮平 東京大学
立松健司 大阪大学
黒田俊一 大阪大学;㈱香味醗酵
杉浦広峻 神奈川県立産業技術総合研究所
大崎寿久 神奈川県立産業技術総合研究所
山田哲也 神奈川県立産業技術総合研究所
竹内昌治 東京大学大学院
藤岡宏樹 農業・食品産業技術総合研究機構
岸本憲人 小豆島ヘルシーランド㈱
源治万裕心 小林製薬㈱
李丞祐 北九州市立大学
関根嘉香 東海大学
柳谷順子 NISSHAエフアイエス㈱
松倉 悠 大阪大学
石田 寛 東京農工大学
目次 + クリックで目次を表示
第1章 ヒトにおける嗅覚メカニズム
1 嗅覚受容体による匂い分子の受容
2 嗅細胞から脳へ
3 嗅覚知覚の個人差
4 後天的な匂い知覚
5 順応・馴化
6 まとめ
第2章 「におい」センシングシステム構築のためのケモセンサおよびその周辺技術
1 はじめに
2 「におい」のモニタリング
3 e-Noseシステムを構築するためのキーテクノロジー
3.1 「におい」物質のハンドリングとデリバリー技術
3.2 ケモセンサ技術
3.3 ケモセンサ信号処理・プロセシング技術
3.4 ケモセンサ出力のパターン認識技術
3.5 センサ情報の伝送技術
4 e-Noseシステムの応用例
5 おわりに
【第Ⅱ編 匂いセンサ】
第1章 水晶振動子式匂いセンサ
1 はじめに
2 水晶振動子とは
3 水晶振動子の発振の仕組み
4 水晶振動子を用いた匂い計測の原理
5 FPGAを用いた水晶振動子の周波数測定
6 ニオイ計測機構と実験装置
7 匂い計測結果
8 ニューラルネットワークによる匂い識別法
9 混合匂いに対する新たな特徴量
第2章 酸化物半導体ガスセンサ
1 はじめに
2 酸化物半導体ガスセンサの種類
3 酸化物半導体ガスセンサの基礎
4 市販の半導体ガスセンサ
5 半導体ガスセンサの研究動向
5.1 ガスセンサに用いられる半導体材料
5.2 ガスの識別可能性
5.3 InGaZnOのガスセンサ応用
6 おわりに
第3章 セラミックスナノ構造を活用した半導体式ガスセンサ
1 酸化モリブデン系
1.1 酸化モリブデンナノ構造の基板成長
1.2 酸化モリブデンナノロッドガスセンサ素子の作製とセンサ特性
2 酸化チタン(チタニア)系とナノ構造の基板成長
2.1 酸化チタンナノ構造の基板成長
2.2 酸化チタンナノ構造センサ素子の作製とセンサ特性
第4章 におい識別装置FF-2020
1 においの評価
2 におい識別装置とは
3 におい識別装置によるにおいの表現方法
4 におい識別装置によるにおいの評価例
4.1 かつおだしの香りの質と強さの比較
4.2 産地の異なる日本茶の比較
4.3 コンスターチの異臭品識別
4.4 牛乳の保存条件によるにおいの変化
4.5 劣化防止剤の効果
4.6 包装内部の臭気評価
4.7 ゴムパッキンの着香性評価
4.8 ゴム手袋の臭気評価
4.9 市販食品用ラップの臭気評価
4.10 柔軟剤処理済タオルの香りの評価
4.11 車室内装化成品のにおい評価
4.12 脱臭装置の脱臭効果の評価
第5章 匂い可視化センサ
1 はじめに
2 匂いの質の予測と可視化
3 匂いのセンシング技術
3.1 ケミレジスタ
3.2 LSPRガスセンサ
3.3 匂いイメージセンサ
4 匂いセンシングの定義
5 匂い空間の可視化
6 おわりに
第6章 膜型表面応力センサ(MSS)
1 はじめに
2 ナノメカニカルセンサMSSの構造と動作原理
3 感応膜の開発
4 データ解析
5 おわりに
第7章 ケモレジセンサを用いた匂い識別
1 はじめに
2 嗅覚
3 ケモレジセンサの開発方針と研究開発体制
4 AIを用いたケモレジセンサの測定原理
5 匂いの識別と定量
6 将来展望
第8章 グラフェン共振器を用いた分子質量センサ
1 はじめに
2 グラフェン共振器の製作方法
2.1 共振センサの構造
2.2 作製プロセス
3 グラフェン共振器を用いた分子質量測定
3.1 光励起振動測定
3.2 光干渉測定
3.3 分子修飾法
3.4 固有振動数計測
4 まとめ
第9章 高分子材料を用いたガスセンサ
1 はじめに
2 ガスセンサの検知原理
3 高分子検知材料の成膜
4 悪臭ガスの検知
4.1 アンモニアガス
4.2 トルエンおよびキシレン
4.3 トリメチルアミン
5 複雑な匂いを識別
5.1 検知材料の選択
5.2 水晶振動子型センサアレイ
5.3 電気抵抗変化型センサアレイ(ウェアラブル化)
6 おわりに
第10章 表面プラズモン共鳴(SPR)センサを用いた匂い物質の高感度検出
1 はじめに
2 表面プラズモン共鳴センサ
3 センサ表面
4 匂い分子を認識する抗体およびペプチドの獲得
5 測定方法と検出
6 まとめ
第11章 色素分子の色変化を利用したファイバ型においセンサ
1 においセンサの概要
2 色素について
3 光ファイバセンサ素子の作製
4 反射スペクトルから吸光度変化量スペクトル
5 応答原理
6 濃度依存と応答性
7 主成分分析
8 まとめ
第12章 細胞画像処理を用いた匂いバイオセンサ
1 はじめに
2 画像による細胞センサアレイ
3 測定系と匂い応答データの取得
4 匂いの識別問題
5 匂い濃度の定量問題
6 おわりに
第13章 生化学式ガスセンサ(バイオスニファ)と生体ガス計測
1 はじめに
2 実験方法
2.1 エタノール用バイオスニファの構築
2.2 エタノール用バイオスニファの生体ガス計測応用
3 実験結果
3.1 ADHを用いたエタノール用バイオスニファ
3.2 エタノール用バイオスニファの生体ガス計測応用
4 結論
第14章 昆虫の嗅覚受容体を利用したセンサ細胞およびセンサ昆虫
1 センサ細胞
1.1 センサ細胞の開発と匂い検出原理
1.2 性フェロモンを検出するセンサ細胞とその検出性能
1.3 カビ臭成分を検出するセンサ細胞
1.4 蛍光パターンで匂いを識別するセンサアレイの開発
2 センサ昆虫
2.1 カイコガの嗅覚のしくみ
2.2 センサ昆虫の作出
第15章 嗅覚受容体群の単離法およびヒト嗅覚受容体発現細胞アレイ
1 全自動1細胞解析単離装置による嗅覚受容体のスクリーニング法の開発
1.1 従来の嗅覚受容体スクリーニング法
1.2 タイムラプス解析機能を搭載した全自動1細胞解析単離装置の開発
1.3 1細胞単離ロボットによるがんマーカー分子応答嗅覚受容体のスクリーニング
2 任意の匂いに応答するヒト嗅覚受容体の網羅的な解析
第16章 人工細胞膜を用いた匂いセンサ
1 緒言
2 液滴接触法を用いた脂質二重膜デバイス
2.1 脂質二重膜と液滴接触法
2.2 液滴接触法を用いたセンサデバイスの構築
3 脂質二重膜デバイスの匂いセンサ応用
3.1 ナノポアのブロッキング現象を利用した化学量センサ
3.2 リガンド依存性イオンチャネルを利用した人工細胞膜型匂いセンサ
4 おわりに
【第Ⅲ編 システム化】
第1章 人の嗅覚・GC-MS・匂いセンサによる,匂いの定性・定量法
1 匂い表現の特性
2 人の嗅覚による匂いの定性・定量方法
2.1 QDA(Quantitative Descriptive Analysis:定量的記述分析)法
2.2 臭気濃度表示法
2.3 臭気強度表示法
3 GC-MSによる匂いの定性・定量方法
3.1 AEDA(Aroma Extract Dilution Analysis)法
3.2 SIDA(Stable Isotope Dilution Assay)法
4 匂いセンサによる匂いの定性・定量方法
5 人の嗅覚,GC-MS,及び匂いセンサを使った研究例
第2章 電子嗅覚システムによるオリーブオイルの評価
1 はじめに
2 オリーブ果実の状態識別
2.1 オリーブ果実を乳酸発酵させた場合
2.2 オリーブ果実が病害虫に感染した場合
3 フレーバーオリーブオイル中の香気成分の定量
4 加熱調理におけるオリーブオイルの品質変化の評価
4.1 揚げ物調理
4.2 炒め物調理と電子レンジ調理
5 オリーブオイルの保存方法の評価
5.1 オリーブオイルの濾過処理の評価
5.2 オリーブオイルの保存容器の評価
6 おわりに
第3章 芳香効果の新しい計測手法
1 はじめに
2 従来の芳香効果の測定方法
2.1 「6段階臭気強度表示法」を用いた芳香効果の測定方法
2.2 「6段階臭気強度表示法」を用いた芳香効果の測定方法の課題
3 新しい芳香効果の測定方法
3.1 香り指数法の仕組み
3.2 香り指数法による芳香製品の芳香効果測定の実例
4 香り指数法を応用した芳香製品の開発事例
4.1 芳香効果に差があると判断できる基準の設定
4.2 一般消費者におけるホームユーステストによる製品満足度の検証
5 おわりに
第4章 呼気中アンモニアの検出と病気診断応用
1 緒言
2 水晶発振子の原理および検知膜の製膜過程の追跡
3 湿度およびアンモニアに対する応答特性の評価
4 呼気中のアンモニアガス検知
5 おわりに
第5章 皮膚ガス計測と健康診断応用
1 はじめに
2 皮膚ガス計測
2.1 皮膚ガスとは
2.2 計測方法
3 臨床研究例
3.1 肝障害患者の皮膚ガス測定
3.2 重度熱傷患者の創部揮発性ガスの測定
3.3 がんの早期発見
3.4 PATMの解明
4 おわりに
第6章 半導体ガスセンサとその応用
1 はじめに
2 半導体ガスセンサの検知原理
3 半導体ガスセンサの構成
4 半導体ガスセンサ―の特性
4.1 感度・選択性
4.2 ガス応答性
4.3 温湿度依存性
4.4 経時特性
4.5 耐久性
5 センサ特性の制御方法
5.1 金属酸化物種と材料調製方法
5.2 触媒添加
5.3 動作温度の最適化
6 半導体式ガスセンサ応用製品
6.1 冷媒漏れ検知
6.2 オゾン検知
6.3 口臭チェッカー
6.4 アルコール検知器
6.5 ガスクロマトグラフ
6.6 口臭測定器
7 今後の展開
第7章 匂い源の方向・位置探知システム
1 はじめに
2 匂い・ガスの空間分布
3 匂い・ガスの分布をたどるロボット
4 長距離の探索例
5 ガスセンサネットワークを用いた匂い・ガス源位置推定
6 まとめ
第8章 要素臭を用いた香りの再現
1 はじめに
2 方法
3 結果
4 まとめと今後の展望
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