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月刊BIOINDUSTRY 2020年9月号

【特集】海洋プラスチック問題への対応策:環境流出を念頭としたLCAリスク・管理の考え方

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商品コード:
I2009
発行日:
2020年9月12日
体裁:
B5判
ISBNコード:
-
価格(税込):
4,950
ポイント: 45 Pt
関連カテゴリ:
雑誌・定期刊行物 > 月刊バイオインダストリー
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著者一覧

島村道代 (国研)海洋研究開発機構
中川慎太郎 東京大学
吉江尚子 東京大学
小関康雄 小関環境事務所
加茂 徹 (国研)産業技術総合研究所
内藤 航 (国研)産業技術総合研究所
大南英雄 花王株式会社
南部博美 花王株式会社
藤井健吉 花王株式会社
髙橋祐次 国立医薬品食品衛生研究所
赤渕芳宏 名古屋大学
椎葉 究 東京電機大学;日本バイオリファイナリー株式会社
平本 茂 日本バイオリファイナリー株式会社
大平辰朗 (国研)森林研究・整備機構 森林総合研究所
茂木精一郎 群馬大学
内田紀之 東京農工大学

目次 +   クリックで目次を表示

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【特集】海洋プラスチック問題への対応策:環境流出を念頭としたLCAリスク・管理の考え方

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海洋プラスチック問題への新たな視点:プラスチックの多角的評価の必要性
A New Perspective on Plastic Pollution Issues:The Need for Multifaceted-Viewpoints Evaluation of Plastics

 近年,環境中に流出した5 mm 以下のプラスチック,すなわち「マイクロプラスチック」の環境影響が注目されている。プラスチック自体は,毒性や危険性の低い,比較的安全な化学物質である。しかし,長期間にわたり安定で自然界の一般的分解プロセスを免れるプラスチックの特性のために,適切な廃棄物マネジメント・プロセスから外れ,大量に環境中へ漏れ出したプラスチックが環境中に留まり続け蓄積することによって新たな問題を引き起こしている。一方,海洋科学分野においてこの現象は,古くから認識されていたことだった。本稿では,海洋プラスチック問題を自然科学の観点から整理した上で,社会全体でこの問題とどのように付き合っていくべきなのか,考えてみたい。また本特集号全体を通じ,環境中へのプラスチック流出も想定した今後のライフサイクルアセスメント(LCA),リスク評価,リスク管理等について,各界の先生方に最新の知見をご提供いただき現状を俯瞰することで,新しいプラスチックとのつきあい方,代替マテリアル開発等の一助となることを期待する。

【目次】
1 海洋プラスチック問題
1.1 SDG14 と海洋汚染
1.2 海洋汚染物質としてのプラスチック:時間的・空間的汚染の広がり
1.3 海洋マイクロプラスチック問題
1.4 不適切なプラスチック廃棄物処理と未来予測
1.5 プラスチックの利用と深海ごみの関係
2 プラスチック環境問題と社会・経済・政策
2.1 欧州
2.2 日本
3 おわりに代えて
3.1 プラスチック問題は海洋だけに限られるのか? 明らかになり始めた地球規模環境汚染
3.2 社会としてこの問題といかに付き合うか? COVID-19による「コロナごみ」という新たな海洋MP源の出現とニュー・ノーマル

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動的結合に基づく力学機能性ポリマー材料の開発
Development of Mechanofunctional Polymeric Materials Based on Dynamic Bonds

 ポリマー材料の利用にともなう環境負荷を低減するためには,材料の信頼性を高め寿命を伸ばすことが重要である。共有結合よりも弱く可逆的な「動的結合」は,ポリマー材料に強靭性や自己修復性などの優れた力学機能を与える。本稿では,筆者らの最近の研究を中心に,動的結合を用いた力学機能性ポリマー材料開発の最近の動向を解説する。

【目次】
1 緒言
2 動的結合による高分子材料の強靭化
2.1 動的結合ユニットの疎密に基づく強靭なポリマー
2.2 動的結合ユニットの配置制御による熱可塑性エラストマーの強靭化
3 動的結合に基づく自己修復性材料の開発
3.1 水で自己修復性がトリガーされるボロン酸エステル架橋ポリマー
3.2 アルコールで自己修復性がトリガーされるヘミケタール架橋ポリマー
3.3 エントロピー駆動型水素結合により強靭性と自己修復性を両立したポリマー
4 まとめと展望

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バイオプラスチックのライフサイクルアセスメント(LCA)~石油由来プラスチックとバイオマス由来プラスチックの比較~
Life Cycle Assessment(LCA)of Bio-plastics-Comparison Between Petroleum-derived Plastics and Biomass-derived Plastics-

 近年,温暖化と資源枯渇の対策の観点からバイオプラスチックが注目されている,ライフサイクル全体の視点から環境負荷を評価するLCA 技法を用いて,バイオマスプラスチックのPE とPET 及び生分解性プラスチックのPLA を例に取り,石油系由来のプラスチック(PE, PET, ABS)と比較し,バイオプラスチックの特徴(利点・欠点)を明確にすると共に,今後のバイオプラスチックの普及のための開発ポイントと評価の考え方を提案した。

【目次】
1 はじめに
2 LCA とは
2.1 LCA の概要
2.2 ISO規格に基づくLCA実施手順
3 バイオプラスチックのLCA
3.1 LCA計算方法
3.2 LCA評価結果
4 LCAの観点からの今後のバイオプラスチックの普及のために
4.1 バイオマスプラスチック
4.2 生分解性プラスチック
4.3 両者共通
5 おわりに

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海洋プラスチック問題に対するリサイクルの役割
The Role of Plastic Recycling for the Marine Debris

 海洋プラスチック問題を解決するため,廃プラスチックのリサイクルの実用化が期待されている。多様な廃プラスチックに対応するためには,マテリアルリサイクル,ケミカルリサイクル,およびエネルギー回収の3 つの手法の特徴を活かして組あわせて利用する必要がある。また,ライフサイクル全体を通じて環境負荷を低減化させる社会システムの構築も重要である。

【目次】
1 はじめに
2 廃プラスチック問題とは
3 廃プラスチックのリサイクルの現状
4 なぜ廃プラスチックのリサイクルは難しいのか?
5 バイオプラスチックへの期待と課題
6 海洋プラスチック問題を解決するために

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海洋プラスチックの環境リスク評価の実施に向けてポイントと課題―マイクロプラスチックを中心に
―Challenges to Environmental Risk Assessment of Marine Plastics and Microplastics

 海洋プラスチック,特に最近では「マイクロプラスチック」と呼ばれる微細なプラスチックによる海洋生態系への悪影響が懸念されている。本稿では,海洋プラスチック,特にマイクロプラスチックに着目して,合理的なリスク管理・対策に資する環境リスク評価の枠組み,重要ポイント,今後の課題と評価事例について解説する。

【目次】
1 はじめに
2 マイクロプラスチックの環境リスク評価の枠組み
3 マイクロプラスチックの環境リスク評価のポイント・課題
3.1 評価の目的は何か? 何を評価の対象とするのか?
3.2 暴露と有害性の単位の整合化
3.3 モデルによる暴露評価の重要性
4 MPの環境リスク評価事例
5 おわりに

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海洋プラスチックごみ問題の排出源プロファイルから考える解決志向性リスク管理
Solution-Focused Risk Management on the Marine Plastic Waste Problem Based on the Emission Source Profile Analysis

 現在,海洋プラスチックごみ問題が地球規模で問題となっており,解決に向けた取組を世界全体で推進することが求められている。本論では海洋に排出されるプラスチックの排出源プロファイリング,環境影響の検証,海洋マイクロプラスチックの環境運命,定量的リスクアセスメントの考え方について概説したい。

【目次】
1 背景
2 海洋プラスチック排出源のプロファイリング
3 海洋プラスチックごみの海洋生物への影響評価
4 下水処理施設におけるMPの捕捉
5 海洋プラスチックごみ問題の解決志向性リスク管理の検討

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ナノサイズプラスチックの評価
Evaluation of Nano-sized Plastics

【目次】
1 はじめに
2 ナノ/ マイクロプラスチックの経口摂取影響
3 ナノ/マイクロプラスチックの吸入曝露影響
4 ナノ/マイクロプラスチックの評価
5 革新的な物質が引き起こした事故例
6 おわりに

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予防原則とリスク評価─若干の試論をかねて
A Sketch on Risk Assessment and the Precautionary Principle:From the Perspective of Environmental Jurisprudence

 環境法研究者からみれば,予防原則は,〈環境法の基本原則〉の1 つに位置づけられる,環境法上の概念であるが,それは科学的な不確実性を伴うリスクを対象とするものであり,〈不確実性〉あるいは〈リスク〉といった概念が窓口となり,さまざまな学問分野での議論に開かれてもいる。本稿は,環境法学の観点から,予防原則および同原則とリスク評価とのかかわりにつき,若干の試論を交えて,概説する。

【目次】
1 はじめに
2 予防原則について
2.1 予防原則と予防的アプローチ
2.2 予防原則の定式化とその多様性
2.3 予防原則を構成する4つの要素
2.4 〈半具体化〉された予防原則と,予防原則の定義
3 予防原則の適用要件である「科学的不確実性」とリスク評価
3.1 2つの不確実性──「科学的不確実性」と「慎重なアプローチ」との区別
3.2 予防原則の適用要件である「科学的不確実性」──環境法学における分類の試み
4 おわりに

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BIO R&D

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「竹バイオリファイナリー」孟宗竹中の健康に資する成分と孟宗竹の総合利用について
“Bio-refinery Technology on Moso-bamboo” An Application of Bamboo Constituents as Health Materials

 孟宗竹は,その堅固な細胞壁構造を崩壊することが難しかったために,その後の健康素材としての利用が困難となった経緯がある。ここでは,孟宗竹の竹稈から健康素材となりうるリグノヘミセルロース成分を抽出する方法,抽出した成分の組成と化学的な構造,生理活性と,竹成分の総合的な利用について解説する。

【目次】
1 はじめに
2 酸・塩基,有機溶媒を用いない健康に資する成分の抽出と分画方法
3 抽出した成分の組成と化学的な構造
4 抽出した成分の生理活性について
4.1 減圧マイクロ波処理により抽出した画分(BMW)の抗菌活性
4.2 蒸圧・酵素処理抽出成分(BOS)の抗酸化活性と局所光保護効果
4.3 BOSのコレステロール上昇抑制効果
4.4 免疫賦活活性
5 孟宗竹中の健康に資する成分と孟宗竹の総合利用について

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全身性強皮症に伴う末梢循環障害に対するボツリヌス毒素局所注入療法
Local Botulinum Toxin Injection Therapy for Peripheral Circulation Disorders Associated with Systemic Ssclerosis

 全身性強皮症に伴うレイノー現象や手指潰瘍は難治であり有効な治療法が確立されていない。本稿では,筆者らが世界に先駆けて臨床研究を進めてきた「ボツリヌス毒素局所注入療法」の高い有効性と安全性について解説する。

【目次】
1 はじめに
2 レイノー現象
3 末梢循環障害(レイノー現象,皮膚潰瘍)の治療
4 ボツリヌス毒素について
5 全身性強皮症に伴うレイノー現象や手指潰瘍に対するボツリヌス毒素局所注入療法について
6 ボツリヌス毒素局所注入療法のランダム化2重盲検試験(医師主導治験)
7 おわりに

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経皮浸透性リン脂質ナノシート
Skin Permeable Phospholipid Nanosheets

 市販のアニオン性リン脂質をある条件下で水に分散させると,ナノサイズの厚みをもつナノシートが形成されることを見出した。このリン脂質ナノシートは高い生体適合性,簡便なサイズ制御性に加え,ナノシートの形状効果により皮膚組織の狭い間隙を通過し,皮膚組織内部へと浸透することができる。

【目次】
1 緒言
2 リン脂質ナノシート(バイセル)
3 生体親和性リン脂質ナノシートの発見
4 経皮DDSへの応用
5 構造色の発現と色材化粧品の可能性
6 おわりに

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