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次世代パワートレイン開発と燃料技術《普及版》

Development of Next Generation Powertrain and Fuel Technologies(Popular Edition)

2013年刊「次世代パワートレイン開発と燃料技術」の普及版。
電気、ハイブリッド、燃料電池、天然ガス自動車などの動向とバイオディーゼル、バイオエタノール、水素、シェールガス、微細藻類由来燃料などの自動車燃料開発を紹介している。

商品コード:
B1340
監修:
山根浩二
発行日:
2020年10月8日
体裁:
B5判・254頁
ISBNコード:
978-4-7813-1470-9
価格(税込):
5,060
ポイント: 46 Pt
関連カテゴリ:
エレクトロニクス
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)
エレクトロニクス > 二次電池・キャパシタ
エレクトロニクス > 自動車
地球環境 > 省エネルギー・クリーンエネルギー

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キーワード:

次世代自動車/パワートレイン/EV/PHV/HEV/リチウムイオン二次電池/燃料電池/充電インフラ/ガソリンエンジン/ディーゼルエンジン/DME自動車/天然ガス自動車/水素エンジン自動車/バイオディーゼル/バイオエタノール/シェールガス

刊行にあたって

 自動車用パワートレインの主流は、火花点火機関とディーゼル機関に代表される内燃機関である。これらには、ガソリンと軽油がそれぞれ用いられている。現在、ガソリンや軽油の販売価格は、リーマンショック後、急騰し、その後さらに、中国やインドなどの需要の著しい増大によって高止まりしている。加えて、現在の円安によって値上がり傾向にある。このような状況を反映して、最近の新車では、走行性や静粛性などよりも、燃費性能を「売り文句」とする傾向にあり、走行燃費の良い小型のハイブリッドガソリン車が爆発的に売れている。また、軽自動車を含め従来のガソリン車においても、アイドリングストップ機能などの付加による燃費の良さやエコカー減税措置によって、販売台数が増加している。
 エネルギーに関しては、2011年3月11日の東日本大震災以降、福島第一原子力発電所の事故による電力供給体制の見直しに迫られ、新規の原子力発電所の建設がほとんど不可能となり、震災前の原子力発電に頼った電気自動車のあり方が見直されることとなった。たとえば、電気自動車を非常用電源あるいは太陽光などの自然エネルギーの蓄電媒体と捉える考え方に移りつつある。一方、自動車用燃料に関しても、震災後の東北地方では、ガソリンの給油スタンド前に長蛇の車列ができるなど、ガソリンに偏った車社会のもろさが露呈した。 現在、中東依存度が9割近い在来型原油由来のガソリンや軽油は、将来、天然ガスや非在来型のシェールガスやシェールオイル、メタンハイドレート、バイオマスを資源としたガソリンや軽油などに徐々に代替されてゆくとみられる。さらに、これらを使用するパワートレインについては、ハイブリッドおよびプラグイン・ハイブリッドが火花点火機関とディーゼル機関の内燃機関と同等のシェアとなり、それらで全体の9割近くを占めると予測されている。
 本書では、まず、第1編で「電動車両」を取り上げ、現在の電動ユニット技術や電池、充電インフラについて述べている。第2編では「内燃機関自動車」に関して、最近のエンジン高効率化技術やDME、天然ガス、水素を燃料とした各自動車の技術を紹介している。第3編で「次世代資源・燃料の利用技術」として、シェールガスなどの非在来型資源や微細藻類、BTL、GTL、バイオ水素、油脂分解による炭化水素などの生産技術を取り上げている。
 なお、執筆にあたっては、それぞれ第一線で活躍されている方々にお願いすることができた。ここに深く謝意を表す。本書は、多くの自動車および石油産業関係者・研究者のみならず、一般の方々の参考となることをねらいとしており、これらの方々に数多くご購読頂ければ幸いである。

本書は2013年に『次世代パワートレイン開発と燃料技術』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

著者一覧


山根浩二   滋賀県立大学
紙屋雄史   早稲田大学
廣田寿男   早稲田大学
坂本俊之   東海大学
内藤治夫   岐阜大学
堀江英明   東京大学
飯尾雅俊   日産自動車㈱
中根雄大   ㈱ピューズ
山本恵一   ㈱本田技術研究所
森吉泰生   千葉大学
小川英之   北海道大学
小熊光晴   (独)産業技術総合研究所
平瀬裕介   (一社)日本ガス協会

首藤登志夫  首都大学東京
藤元 薫   北九州市立大学
谷 春樹   北九州市立大学
村田和久   (独)産業技術総合研究所
蓮沼誠久   神戸大学
近藤昭彦   神戸大学
岡田行夫   サッポロビール㈱
三谷 優   サッポロビール㈱
畠岡 勲   ㈱タカキベーカリー
岡田英二   三菱ガス化学㈱
片倉和人   (独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構
伊原 賢   (独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構
藏野憲秀   ㈱デンソー

執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

総論
1 世界のエネルギー情勢
2 次世代自動車用パワートレインとは
3 次世代自動車用パワートレインのエネルギー源とは

【第1編 電動車両】
第1章 ユニット技術
1 電動車両の現状と展望
 1.1 まえがき
 1.2 電動車両の現状
  1.2.1 電動車両の市場導入
  1.2.2 EV技術
  1.2.3 PHV技術
  1.2.4 商用車
  1.2.5 超小型モビリティ
  1.2.6 バス
 1.3 将来展望
 1.4 まとめ
2 EV/HEV用駆動システムとモータ制御技術
 2.1 EV/HEV用駆動システム
 2.2 EV/HEV用モータ制御技術
  2.2.1 インダクションモータの制御技術を知る
  2.2.2 DCブラシレスモータの制御技術を知る
3 EV/HEVドライブ用パワーエレクトロニクス技術
 3.1 EV/HEV用のモータ
 3.2 IPMモータの基本制御法
  3.2.1 ベクトル制御の要点
  3.2.2 IPMモータの構造に由来するリラクタンストルク
  3.2.3 最大トルク制御
 3.3 HEV用モータに必要な付加制御
  3.3.1 HEV用モータドライブ特性
  3.3.2 インバータのPWM制御による対策
  3.3.3 直流電源側での対策
  3.3.4 自動車のトルク―速度特性を考慮したモータ電圧制御
 3.4 各種制御法の組合せ制御
 3.5 まとめ

第2章 電池およびインフラ開発
1 電気自動車用リチウムイオン二次電池
 1.1 高性能環境車両用電池システム
 1.2 電池に求められる特性
  1.2.1 性能要件の概論:出力と容量
  1.2.2 電池の出力特性とエネルギー効率
  1.2.3 熱的課題と設計
  1.2.4 システムとしての組電池制御
2 自動車用燃料電池および燃料電池システム
 2.1 はじめに
 2.2 自動車用パワートレインとしての燃料電池
 2.3 実用化課題
  2.3.1 小型化
  2.3.2 耐久性
  2.3.3 零下起動
  2.3.4 コスト
 2.4 今後の開発
3 汎用電池パックの開発
 3.1 はじめに
 3.2 開発の経緯
 3.3 電池パックの開発
 3.4 電池管理システム BSUおよびBMUの役割
  3.4.1 電圧監視機能
  3.4.2 放電電流監視機能
  3.4.3 回生充電電流監視機能
  3.4.4 外部充電電流監視機能
  3.4.5 電池充電状態算出および電池劣化状態推定のための電流監視機能
  3.4.6 温度監視機能
  3.4.7 残存容量推定機能
  3.4.8 劣化状態推定機能
  3.4.9 充放電可能電力推定機能
  3.4.10 電池セル電圧均等化機能
  3.4.11 メンテナンス機能
 3.5 絶縁抵抗劣化検出機能
 3.6 電池保護機能
 3.7 評価
 3.8 おわりに
4 EV/PHV用充電インフラ
 4.1 はじめに
 4.2 充電システムの標準化動向
  4.2.1 充電システムの分類
  4.2.2 充電システムの国際規格の構成
 4.3 日本国内における充電器の普及
  4.3.1 導入助成制度
  4.3.2 充電器認証制度
 4.4 充電インフラに求められる特性・機能
  4.4.1 電力網・屋内配線への要求と影響
  4.4.2 AC普通充電器設置にあたっての配電回路の対応
  4.4.3 DC充電器設置にあたっての配電回路の対応
 4.5 おわりに

【第2編 内燃機関自動車】
第3章 燃費改善/低公害化
1 ガソリン機関の高効率化技術
 1.1 はじめに
 1.2 ノッキングの回避
  1.2.1 圧縮比14の実現
  1.2.2 急速膨張急速燃焼の実現
  1.2.3 混合気温度分布制御による時間差多点自着火の実現
  1.2.4 可変圧縮比機構
 1.3 予混合圧縮着火(HCCI)による高効率低公害化
 1.4 希薄・希釈限界の拡大による熱効率改善
 1.5 ダウンサイジングによる熱効率改善
 1.6 冷却損失低減や廃熱回収による熱効率の改善
 1.7 その他の技術
2 ディーゼルエンジンの高効率化
 2.1 まえがき
 2.2 ディーゼルエンジン性能向上の歴史
 2.3 熱力学的に考えた熱効率向上の可能性
 2.4 圧縮比の最適化と排気損失の低減による熱効率向上
 2.5 冷却損失の低減による熱効率向上
 2.6 今後の熱効率向上の可能性
 2.7 あとがき

第4章 応用展開
1 DME自動車の開発と展望
 1.1 はじめに
 1.2 DME自動車の開発動向
  1.2.1 諸外国におけるDME自動車の開発動向
  1.2.2 日本国内におけるDME自動車の開発動向
 1.3 DME燃料の市場導入に向けた国内外標準化動向
  1.3.1 ISOにおけるDME燃料の標準化
  1.3.2 国内標準化(JIS)
 1.4 まとめ
2 天然ガス自動車の開発と展望
 2.1 はじめに
 2.2 天然ガス自動車の種類
  2.2.1 圧縮天然ガス自動車(CNG:Compressed Natural Gas自動車)
  2.2.2 液化天然ガス自動車(LNG:Liquefied Natural Gas自動車)
  2.2.3 吸着天然ガス自動車(ANG:Adsorbed Natural Gas自動車)
 2.3 天然ガス自動車普及の経緯
 2.4 世界での普及状況
 2.5 米国の「シェールガス革命」と天然ガス自動車への影響
  2.5.1 米国の「シェールガス革命」
  2.5.2 「シェールガス革命」の天然ガス自動車への影響
 2.6 注目される技術開発
  2.6.1 Westport社(カナダ)の天然ガスエンジン技術
  2.6.2 ヒュンダイモーター(韓国)の天然ガスハイブリッドバス
 2.7 日本における取り組み状況
3 水素エンジン自動車の意義と展望
 3.1 自動車において水素を燃料とすることの意義
  3.1.1 水素による電気エネルギーの貯蔵
  3.1.2 自動車における水素利用と排出ガス
  3.1.3 自然エネルギー利用における車両システムと水素
 3.2 水素エンジン自動車の特徴と技術的課題
  3.2.1 燃料電池自動車と比較した水素エンジン自動車の利点と課題
  3.2.2 水素エンジンの出力と熱効率
  3.2.3 水素エンジンの冷却損失低減
  3.2.4 水素エンジンにおける窒素酸化物の生成とその低減策
 3.3 水素の車両搭載方法とエネルギー密度
  3.3.1 水素と二次電池のエネルギー密度
  3.3.2 水素キャリアとしてのメタノール
  3.3.3 水素による低温酸化抑制効果を利用した廃熱回収式メタノール改質HCCIエンジンシステム
 3.4 まとめ

【第3編 次世代資源・燃料の利用技術】
第5章 次世代バイオマス燃料製造技術
1 高品位バイオディーゼル燃料の製造技術―HiBDプロセスの開発
 1.1 はじめに
 1.2 反応方式
 1.3 接触分解反応と生成物
  1.3.1 固体触媒上でのパーム油の分解挙動
  1.3.2 炭化水素の分布
 1.4 生成油の物性とディーゼルエンジン適合性
 1.5 おわりに
2 バイオマス原料液化技術(BTL)
 2.1 緒言
 2.2 想定されるBTL技術の比較
 2.3 FT合成および周辺技術
  2.3.1 バイオ合成ガスの改質
  2.3.2 FT反応における硫黄,CO2の影響
  2.3.3 BTLにおけるスラリー床と固定床の比較
  2.3.4 Ru-Mn/γ-Al2O3触媒によるスラリー系のFT反応
  2.3.5 固定床1MPaでの検討
  2.3.6 水素化分解
  2.3.7 灯軽油およびガソリン相当分の燃料性状
 2.4 おわりに
3 次世代バイオエタノール製造技術
 3.1 はじめに
 3.2 リグノセルロース系バイオマスからのエタノール生産
 3.3 リグノセルロース系バイオマスをエタノールに変換する微生物の開発
 3.4 酵母の発酵阻害物耐性の強化
 3.5 第三世代バイオエタノール生産プロセスの開発
 3.6 おわりに
4 食品廃棄物を利用したオンサイト水素生産
 4.1 再生可能エネルギーと水素
 4.2 エネルギーバイオマスとしての食品廃棄物とエネルギー変換法
 4.3 生物的変換法による食品廃棄物からの水素生産の意義
 4.4 水素生産フローラの構築
 4.5 水素・メタン二段発酵法とメタン発酵単独法のエネルギー収支比較
 4.6 製パン廃棄物を用いた水素発酵実証試験
 4.7 今後の課題
5 ジメチルエーテル燃料の製造技術と展望
 5.1 はじめに
 5.2 DMEの製造方法
  5.2.1 合成ガスの製造技術
  5.2.2 合成ガスからのDME製造技術
  5.2.3 燃料用DMEの規格
 5.3 今後の展望
  5.3.1 LCA評価
  5.3.2 普及活動
 5.4 おわりに

第6章 次世代資源・技術と将来展望
1 天然ガス液化技術(GTL)
 1.1 はじめに
 1.2 天然ガスの有効利用
 1.3 GTLの概要
  1.3.1 GTLについて
  1.3.2 GTLの特徴
  1.3.3 GTL適用が検討されるケース
  1.3.4 世界のGTLプロジェクトの状況
 1.4 JAPAN-GTLプロセス
  1.4.1 概要
  1.4.2 特徴
  1.4.3 CO2排出量
  1.4.4 LNGプラントからの余剰CO2の有効利用
  1.4.5 プラント建設費
 1.5 実証研究
  1.5.1 JAPAN-GTLプロセスの実証研究の開始
  1.5.2 実証研究スケジュール
  1.5.3 実証研究の概要および成果
 1.6 今後の事業化に向けて
  1.6.1 JAPAN-GTLコンソーシアム
  1.6.2 事業化への取り組み
 1.7 まとめ
2 シェールガス・シェールオイル採掘技術と展望
 2.1 はじめに
 2.2 非在来型天然ガスとは何か,その可能性は?賦存環境
 2.3 どういった経緯で登場したのか?
 2.4 技術的回収可能資源量の増加
 2.5 環境への影響
 2.6 非在来型が天然ガスの主役になるか?
 2.7 シェールオイル開発で生み出される価値
3 微細藻類による燃料製造技術と展望
 3.1 微細藻類とは
 3.2 何故微細藻類を使って燃料を作るのか
 3.3 微細藻類由来燃料の種類
  3.3.1 FAME
  3.3.2 炭化水素
  3.3.3 水素化燃料
  3.3.4 ワックスエステル
  3.3.5 バイオエタノール
 3.4 藻類燃料製造の課題
  3.4.1 培養
  3.4.2 水の供給
  3.4.3 栄養源の供給
  3.4.4 排熱・CO2の供給
  3.4.5 他の生物の混入(コンタミ)
 3.5 藻類燃料の展望