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リチウム二次電池の技術展開

Lithium Secondary Battery Technology

★第一線の研究者によるリチウム二次電池の最新技術動向!!
★将来のリチウム二次電池の開発動向も網羅!!
★リチウム二次電池に何ができるのか、将来の用途予測も!!

商品コード:
B0803
編集:
金村 聖志
発行日:
2007年2月
体裁:
A5判、215ページ
ISBNコード:
978-4-88231-910-8
価格(税込):
3,300
ポイント: 30 Pt
関連カテゴリ:
エレクトロニクス
エレクトロニクス > 二次電池・キャパシタ

Review

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刊行にあたって

リチウム電池は,開発以来20年近い年月が経過している。この間,一次電池としていろいろな小型携帯機器に搭載され,我々の生活に役立ってきた。
そして,10年ほど前にリチウム一次電池が二次電池化され,それまで他の二次電池が使用されてきたいろいろな機器に搭載されるようになり始めた。ちょうどその時,コンピューターを代表例とするいろいろな情報産業が立ち上がり,特にインターネットを使用した情報通信システムの発達が目立つようになってきた。そして,次第に携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの個人情報携帯機器に対する要求が高まり,またそれらの機器の開発が活発化した。この情報携帯機器の発達は,もちろん半導体技術の発達によるところが大きいのではあるが,それ以上に重要なのが二次電池の発達である。
 特に携帯電話用およびノート型パソコン用電池は,最も典型的な例である。これまでに用いられてきた一次電池や二次電池では,これらの機器を作動させるのには,かなり大きな容積と重量が必要であった。従来のものは,車に搭載し持ち運ぶのなら問題はないが,スーツのポケットやビジネス鞄に入れて運ぶには少し大きすぎた。これが,この10年間にあっという間に非常に小さなものになったのである。その最大の原因が,リチウムイオン電池(リチウム二次電池)の登場である。もちろん,電子回路の省電力化も貢献している。このように,リチウムイオン電池なしに携帯機器を語ることはできない。
 ではなぜリチウム二次電池がこのように期待される電池なのであろうか。それは,この電池が従来の電池に比較して少なくとも2倍程度の電気エネルギーを蓄積することができ,また充放電も可逆的に行え,自己放電も小さいためである。このような特性を生み出しているのが,この電池を構成している様々な材料である。
 さて,材料化学の立場からリチウム電池を眺めてみると,非常に多くの材料が使用できる可能性があり,また材料の特性が直接的に電池の性能に影響を及ぼすという特徴を有する電池であると言える。その意味で,いろいろな研究開発が盛んに行われている電池であり,それだけに多くの研究者がこの電池の研究に従事してきたものと思われる。したがって,このようなリチウム二次電池が,21世紀において果たす役割も大きい。
 本書では,新しい世紀を迎え,今後この電池がどのような方向に進むのかについて最新の情報を提供することを目的として,それぞれの分野の第一線の先生方に執筆して頂いた。特に既存の技術にこだわらずどのような夢がリチウム二次電池のそれぞれの材料・部材において考えられるのか,あるいはどのような新規技術が将来開発されないといけないのかについて,格専門分野における先端研究を基礎にした,今後の技術的展望を執筆して頂いた。本書の内容が少しでもリチウム二次電池の開発への刺激になり,今後さらにこの電池の市場拡大のための一助になればと願っている。
  2001年12月
                                         金村 聖志

著者一覧

金金村 聖志     東京都立大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 助教授
脇原 將孝     東京工業大学大学院 理工学研究科 応用化学専攻 教授
直井 勝彦     東京農工大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 教授
萩原 信宏    (現)東京農工大学大学院 共生科学技術研究院 助手
高村  勉       (株)ペトカマテリアルズ 技術顧問
石川 正司     山口大学 工学部 応用化学工学科 助教授
森田 昌行     山口大学 工学部 応用化学工学科 教授
吉野  彰      旭化成(株) エレクトロニクスカンパニー 電池材料事業開発室 室長
渡邉 正義      横浜国立大学大学院 工学研究院 機能の創生部門 教授
高田 和典     (独)物質・材料研究機構 物質研究所 コンビナトリアルプロジェクト 特別研究員
近藤 繁雄     (独)物質・材料研究機構 物質研究所 コンビナトリアルプロジェクト 特別研究員
渡辺  遵      (独)物質・材料研究機構 物質研究所 所長
境  哲男      (独)産業技術総合研究所 関西センター 産学官連携部門 電池システム連携研究体 研究体長・神戸大学併任教授
                         執筆者の所属は、注記以外は2002年当時のものです。

目次 +   クリックで目次を表示

第1章 総論:21世紀のリチウム二次電池技術             
 1 概要  
 2 リチウム電池開発の流れ 
 3 リチウムイオン電池開発の現状 
 4 リチウム電池の未来 
  4.1 太陽電池とリチウム二次電池
  4.2 大型リチウムイオン電池
  4.3 固体系電池
 5 今後の展開 

第2章リチウム二次電池の最新材料技術
 1 無機系正極材料 
  1.1 はじめに
  1.2 正極活物質の特徴
    1.2.1 α-NaFeO2構造を有する活物質
    1.2.2 ジグザグ層状構造を有する Lix(Mn1-yCoy)O2
    1.2.3 LiMn2O4およびLiMyMn2-yO4スピネル系酸化物
  1.3 その他の酸化物正極
 2 有機イオウ系正極材料 
  2.1 はじめに
  2.2 有機硫黄系化合物の種類とエネルギー貯蔵への展開
    2.2.1有機ジスルフィド化合物
    2.2.2 カーボンスルフィド化合物
      (1) 導電性高分子との複合化
       (2) 共役カーボンポリスルフィド化合物
       (3) 集電体の選択
    2.2.3 活性硫黄
       (1) 電気活性な遷移金属酸化物との複合化
       (2) カチオン性ポリマーとの複合化
       (3) カーボンナノファイバーとの複合化
      (4) 高吸着性微粒子との複合化
  2.3 有機硫黄系化合物の現状と問題点
  2.4 複素環をベースとした新物質の探索(筆者らの新しいアプローチ)
    2.4.1 充放電速度の向上に向けたアプローチ
    2.4.2 高容量密度化に向けたアプローチ
    2.4.3 高作動電圧に向けた分子設計
    2.4.4 サイクル特性の向上
       (1) ポリマーマトリックス内への固定化
       (2) 主鎖に導電性高分子を有する有機ジスルフィド化合物
       (3) 超分子構造を有する有機ジスルフィド化合物
  2.5 今後期待される材料・技術
   2.5.1 リチウム電池への可能性
   2.5.2水系キャパシタへの展開
 3 負極材料 
  3.1 はじめに
  3.2 二次電池に要求される大切な性質
  3.3 特性に大きい影響を及ぼす電極体デザイン
  3.4 実用炭素材料の種類
  3.5 天然黒鉛材料
  3.6合成黒鉛材料
   3.6.1 繊維状黒鉛化炭素
    3.6.2 メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)
   3.6.3 黒鉛材料特性向上のための表面修飾
  3.7 難黒鉛化炭素材料
   3.7.1 ポリアセン
   3.7.2シリコン入り難黒鉛化炭素
  3.8 低温焼成メソフェーズ系炭素材料
  3.9 ナノチューブ
  3.10 超高容量負極材料
  3.11 金属・合金材料
  3..12 金属酸化物・硫化物
  3.13 金属窒化物・リン化物
  3.14 おわりに
 4 電解質      
  4.1はじめに
  4.2 電解液
    4.2.1 電解液の化学
   4.2.2 電解液の伝導度
   4.2.3 電池特性に及ぼす影響
      (1) 安定電位領域(電位窓)
      (2) リチウム負極の充放電反応
      (3) 電解液中の微量成分の効果
   4.2.4興味深い研究例
     (1) リチウムイオン電池の電解液
     (2) リチウム金属系負極二次電池の電解液
  4.3 ポリマー電解質とゲル電解質
   4.3.1 ポリマー電解質のメリット
   4.3.2 ポリマーの種類と伝導度向上策
   4.3.3 電解質塩の影響
   4.3.4 リチウムイオンの輪率
   4.3.5 フィラーの影響
   4.3.6 ゲル電解質系
  4.4 常温溶融塩
   4.4.1 常温溶融塩とは
   4.4.2 常温溶融塩の長所・短所
   4.4.3 塩化アルミニウム混合系
   4.4.4 アニオン交換型オニウム塩系
   4.4.5 実用的な電解質への改良
  4.5 無機系固体電解質
   4.5.1 無機系固体電解質の特徴
   4.5.2 結晶性固体電解質
      (1) NASIKON型化合物
      (2) ペロブスカイト型化合物
      (3) ベータ硫酸鉄型イオン伝導体
   4.5.3アモルファス固体電解質
      (1) アモルファス酸化物系
      (2) アモルファス硫化物系
  4.6 電解質の将来展望
 5 その他の電池用周辺部材 
  5.1 セパレーター
   5.1.1 既存のセパレーター
   5.1.2 セパレーターの濡れ性
   5.1.3 セパレーターの機械的性質
   5.1.4 セパレーターと電池の安全性
   5.1.5 リチウム金属とセパレーター
   5.1.6 セパレーター表面の処理
   5.1.7 セパレーターの難燃性
   5.1.8 セパレーターとゲルあるいは高分子固体電解質
   5.1.9 まとめ
  5.2 導電剤
   5.2.1 炭素微粉末
   5.2.2 電極作製と炭素微粉末
   5.2.3 炭素と濡れ性
   5.2.4 炭素粉末の改良
  5.3 粘結剤
   5.3.1 電極作製と粘結剤
   5.3.2 電極作製塗布工程と粘結剤
   5.3.3 粘結剤と界面反応
  5.4 集電体
   5.4.1 集電体と電極
   5.4.2 負極集電体
   5.4.3 正極集電体
  5.5 電池のケース
 6 用途開発の到達点と今後の展開 
  6.1 リチウムイオン二次電池登場までの研究方向と期待されてきた点
  6.2 見えてきた容量の限界
  6.3 容量の次に目指すもの
   6.3.1 高エネルギー効率
   6.3.2 低自己放電率
   6.3.3 高温下での充放電特性
   6.3.4 使い易さ
   6.3.5 その他
  6.4 機器メーカーと電池メーカー
  6.5 おわりに
   6.5.1 現在の電池技術でどこまで用途拡大を図れるか
   6.5.2 他電池、他デバイスとの競合は

第3章 次世代リチウム二次電池の開発動向
 1 リチウムポリマー二次電池 
    高分子固体電解質とその電気化学界面を中心として           
  1.1 なぜ高分子固体電解質が必要か
  1.2 高分子中のイオン拡散・泳動現象の特徴
  1.3 ポリエーテル系高分子固体電解質の分子設計
  1.4 高分子固体電解質の電気化学界面
  1.5 リチウムポリマー二次電池の到達点
  1.6 リチウムポリマー二次電池の今後の展開
 2  リチウムセラミック二次電池 
  2.1 はじめに
  2.2 なぜセラミック電解質か
   2.2.1 不燃性
   2.2.2 副反応の抑制
   2.2.3 その他の特長
  2.3 リチウムイオン伝導性固体電解質
   2.3.1 結晶質固体電解質
   2.3.2 ヨウ化リチウムと窒化リチウム
   2.3.3 酸化物
   2.3.4 硫化物
   2.3.5 非晶質固体電解質
  2.4 リチウムセラミック電池
   2.4.1 リチウム/ヨウ素電池
   2.4.2 薄膜電池
   2.4.3 硫化物ガラスを固体電解質として用いたリチウムセラミック電池
  2.5 セラミック固体電解質が拓く新し い電池の可能性
  2.6 リチウムセラミック二次電池を実 用化するための技術
  2.7 おわりに

第4章 リチウム二次電池におけるこれからの用途開発              
 1  はじめに  
 2  ネットワーク技術 
  2.1 ライフスタイルの変革
  2.2 モバイル型情報通信機器の普及
  2.3 娯楽機器のモバイル化
  2.4 モバイル機器用電池の市場拡大
  2.5 ウェアラブル化による人間能力の拡大
 3 人間支援技術 
  3.1 高齢化社会におけるユニバーサルデザイン
  3.2 高齢者を支援する福祉介助機器
 4 ゼロ・エミッション技術 
  4.1 人間と環境が調和した社会
  4.2 自然エネルギーの利用技術
  4.3 安心で快適な次世代省エネルギー 住宅
  4.4 クリーンエネルギー自動車の導入
 5 おわりに 

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