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キラルテクノロジーの進展

Development of Chiral Technology

★重要性がます"キラルテクノロジー"の最新の進歩を,「合成技術」「バイオ技術」の両面から,第一線研究者により纏めた!!
★環境に優しい化学,"グリーンケミストリー"推進でも重要となる,"キラルテクノロジー"の現状と展望!!

商品コード:
B0798
著者:
大橋武久
発行日:
2006年12月
体裁:
A5判・292頁
ISBNコード:
978-4-88231-905-4
価格(税込):
4,400
ポイント: 40 Pt
関連カテゴリ:
ファインケミカル

Review

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刊行にあたって

光学活性体(キラル化合物)は,医薬品を中心に年々その重要性を増している。
 1980年代末,米国FDA(食品医薬品局)は医薬品開発において,キラルな構造をもつものについては,光学活性体双方の異性体の薬理活性・副作用などの知見を義務付けた。わが国でも同様の指針がしめされ,それ以降は創薬の上でも光学活性医薬品が主流となっている。
 最近4年間(1996~1999年)に世界で承認されたキラルな構造をもつ合成医薬品の70%が光学活性体となっており,ラセミ体での承認は30%にすぎない。また,従来ラセミ体として使われていた医薬品を光学活性体として上市するいわゆるラセミスイッチも登場している。
 光学活性体の合成法としては,?@光学活性な原料(キラルプール)の使用,?Aラセミ体を合成して光学分割する(これには化学的な分割法と生物化学的方法,クロマトグラフによる分割がある),?B不斉合成(化学的方法,生物化学的方法がある)の3つがあり,それぞれの特長を生かして,使い分けられている。
 弊社では,前書『キラルテクノロジーの工業化』(1998年1月発行)を初め,キラルテクノロジー関連のセミナーをここ数年実施してきており,ファインケミカル,医薬関連業界関係者の好評をいただいてきた。
 本書は,前書発行以降のキラルテクノロジーの進歩を,各界第一線の方々にご執筆していただいたものである。前書同様関係者の方々にお薦めしたい。
 なお,本書は新規書き下ろし原稿と,弊社で発行している『半月刊 ファインケミカル』誌にこの数年の間に掲載した論文に必要に応じて加筆・訂正していただき,企画・編集したものであることをお断りしておく。

2001年9月                                    (株)シーエムシー 出版部

著者一覧

大橋 武久  鐘淵化学工業(株) 取締役 ライフサイエンスRDセンター長
藤尾 達郎  協和発酵(株) 研究本部 理事
村上 尚道  元・山川薬品工業(株) 顧問
檀上 博史  千葉大学 理学部 化学科 助手
今本 恒雄  千葉大学 理学部 化学科 教授
丸岡 啓二  京都大学大学院 理学研究科 化学専攻 教授
村田 邦彦  関東化学(株) 中央研究所 第一研究室
柴崎 正勝  東京大学大学院 薬学系研究科 教授
齊藤 隆夫  高砂香料工業(株) 総合研究所 副部長
井澤 邦輔  味の素(株) アミノサイエンス研究所 ファインプロセス部長
長崎 文彦  日本曹達(株) 研究・技術本部 研究企画部 主席
伊藤 信彦  曽田香料(株) 開発研究部 有機合成研究室 室長
清水 正毅  京都大学大学院 工学研究科 材料化学専攻 助手
檜山為次郎  京都大学大学院 工学研究科 材料化学専攻 教授
難波 弘憲  鐘淵化学工業(株) 精密化学品研究グループ 研究員
八十原良彦  鐘淵化学工業(株) 精密化学品研究グループ 基幹研究員
長谷川淳三  鐘淵化学工業(株) 精密化学品研究グループ グループリーダー
小林 良則  ダイセル化学工業(株) 筑波研究所 所長
松山 彰収  ダイセル化学工業(株) 筑波研究所 主席研究員
大西  敦   ダイセル化学工業(株) 筑波研究所 主任研究員
坂本 恵司  富士薬品工業(株) 研究部 主幹
森川 忠則  富士薬品工業(株) 取締役 研究部長
阪本  剛   三菱化学(株) 横浜総合研究所 ライフサイエンス研究所
上田  誠   三菱化学(株) 横浜総合研究所 ライフサイエンス研究所
向山 正治  日本触媒(株) 基盤技術研究所 主任研究員
廣瀬 芳彦  天野エンザイム(株) 岐阜研究所 主任研究員
菊池 克明  三菱レイヨン(株) 化成品開発研究所 有機合成研究開発グループ グループリーダー
遠藤 隆一  三菱レイヨン(株) 化成品開発研究所 有機合成研究開発グループ  主席技師
浦上 貞治  三菱ガス化学(株) 天然ガス化学品カンパニー 生物化学部長

目次 +   クリックで目次を表示

[総論編]
第1章  グリーンケミストリーへの期待

第2章 ミニマム・ゲノム・ファクトリー(MGF)     
  ―プロセス革新による環境問題解決への取り組み― 
 1 はじめに 
 2 ゲノム科学の急展開 
 3 地球環境問題とバイオテクノロジー 
  3.1 深刻化する環境問題
  3.2 バイオテクノロジーへの期待
 4 バイオプロセス開発の現状 
 5 ゲノム時代のバイオプロセス開発 
  5.1 スクリーニングに代わる手段
  5.2 レーディーメードの遺伝子発現の場・汎用宿主
 6 ミニマム・ゲノム・ファクトリー(MGF)とは 
 7 MGFの創製と期待効果 
  7.1 MGFの創製
  7.2 MGFの期待される効果
 8 MGFの種類 
 9 MGFを用いるプロセス開発の利点 
10 バイオプロセスの競争力強化のための技術基盤構築 

第3章 光学活性医薬品と光学分割      
 1 はじめに 
 2 光学活性な医薬品の開発状況 
  2.1 最近15年間の変化
  2.2 1991年以降の傾向
 3 光学活性な医薬品の製造と中間体 
  3.1 光学活性体の製法
  3.2光学活性医薬中間体
  3.3 最近の光学活性医薬品の製法
 4 ジアステレオマー法光学分割 
  4.1 光学分割の原理と概要
  4.2 不要鏡像体のラセミ化と不斉転換
 5 医薬品製造における光学分割の実例 
  5.1 Naproxen
  5.2 Sertraline
  5.3 Indinavir
  5.4 CI-1008
 6 おわりに

[合成技術編]
第1章 p-キラルホスフィン配位子の開発と触媒的不斉合成への利用  
 1 はじめに 
 2 p-キラルホスフィン配位子の合成 
 3 p-キラルトリアルキルジホスフィン-遷移金属錯体を触媒として用いる不斉合成 
 4 光学活性ジホスフィン-ロジウム錯体触媒による不斉水素化の機構 
 5 おわりに 

第2章 環境調和型キラル相間移動触媒を用いる実用的不斉合成プロセスの開発  
 1 はじめに 
 2 相間移動触媒としての第四級アンモニウム塩 
 3 キラル相間移動触媒を用いる光学活性α-モノアルキルアミノ酸の合成 
 4 キラル相間移動触媒を用いる光学活性α,α-ジアルキルアミノ酸の合成 
 5 パーキンソン病の治療薬,L-ドーパの化学合成 
 6 スピロ型キラル相間移動触媒の単純化 
 7 おわりに  

第3章 単純ケトン類の実用的水素化触媒の開発       
 1 はじめに 
 2 三成分系触媒によるケトンの水素化反応 
 3 二成分系触媒によるケトンの水素化反応 
  3.1 ホスフィンとジアミンを配位子とするルテニウム(?U)錯体の合成
  3.2 二成分系触媒を用いる水素化反応
  3.3 二成分系触媒による水素化反応の特長,留意点など

第4章 希土類-アルカリ金属-BINOL錯体の創製と実践的不斉合成への展望   
 1 はじめに 
 2 光学活性希土類錯体の開発と触媒的不斉ニトロアルドール反応 
 3 錯体構造の決定 
 4 触媒的不斉ニトロアルドール反応の応用 
 5 第2世代LLB触媒 
 6 触媒的不斉マイケル反応 
 7 反応メカニズム―多機能複合金属不斉触媒とは―  
 8 触媒的不斉ヒドロホスホニル化反応 
 9 アルカリ金属を含まない希土類-ビナフトール錯体 
  9.1 触媒的不斉マイケル反応
  9.2 エノンの触媒的不斉エポキシ化反応
10 おわりに  

第5章 カルバペネム系抗生物質中間体の合成法開発    
 1 はじめに 
 2 カルバペネム系抗生物質中間体〔2〕の合成研究 
  2.1 動的速度論分割に基づくα-置換β-ケトエステル類の立体的選択的水素化反応
  2.2 ルテニウム触媒を用いるβ-ラクタム類の過酸化物酸化
  2.3 ルテニウム触媒を用いるβ-ラクタム類の酸素酸化
 3 1β-メチルカルバペネム系抗生物質中間体〔12〕の合成研究 
  3.1 グリニャール試薬を用いるアルドール型縮合反応を鍵反応とする合成プロセス
 4 精密触媒開発:新規軸不斉配位子SEGPHOSの創製 
 5 おわりに 

第6章 核酸系抗ウイルス剤の製法開発              
 1 はじめに 
 2 ビダラビン(Ara-A)の合成 
 3 アシクロビルの合成 
 4 ファムシクロビルの合成 
 5 ddl,ddAの製法開発 
 6 スタブジン(d4T)の合成
 7 おわりに 
 
第7章 抗HIV薬中間体の開発                   
 1 はじめに 
 2 抗HIV薬 
 3 プロテアーゼ阻害剤 
 4 indinavirの合成法 
 5 Boc-ピペラジンアミド(BBP)の合成法 
  5.1 DAMN
  5.2 ピラジン中間体
  5.3水添反応
  5.4光学分割
  5.5 ラセミ化
  5.6 Boc化
 6 他社のBBP合成法 
  6.1 ピペラジン環の出発原料
  6.2 光学分割法
  6.3 不斉合成法
 7 生産体制 
 8 今後の展開 
 9 おわりに 

第8章 光学活性γ,δ-ラクトンの開発と応用           
 1 はじめに 
 2 光学活性ラクトンの香料素材への応用 
 3 光学活性γ,δ-ラクトン取得法の開発動向 
 4 おわりに 
 
第9章 ファインケミカルズを指向する含フッ素・ケイ素標的分子の効率合成の最前線 
                                       
 1 はじめに 
 2 有機フッ素化合物の簡便合成 
  2.1 酸化的脱硫フッ素化
  2.2 ハロンから調製したカルベノイドを活用する有機フッ素化合物の簡便合成
  2.3 光学活性トリフルオロメチル基含有ヘミアセタールの調製と反応
  2.4 フッ素置換不斉炭素二つを有するジキラル液晶の合成
 3 環状ケイ素化合物の効率合成 
  3.1 硫黄原子で安定化した(リチオメチル)シランを用いる(ポリシラン)シクロアルカン合成
  3.2 ビス(2-スタニルエチル)シランを用いる1-シラ-4-スタナシクロヘキサンの合成
  3.3 含ケイ素かご型化合物の簡便合成
 4 おわりに 


[バイオ技術編]
第1章 キラルインダストリーにおけるバイオ活用の最新の進展  
                                  
 1 はじめに 
 2 D-アミノ酸製法革新 
  2.1 デカルバミラーゼの探索
  2.2 進化工学的酵素改変による高度耐熱化
  2.3 組替え大腸菌による酵素の大量生産
  2.4 固定化酵素によるバイオリアクター化
 3 抗真菌剤の有用鍵中間体の合成 
  3.1 1,3-ジアシルオキシグリセリン誘導体の酵素的不斉加水分解検討
  3.2 有用中間体への誘導
 4 おわりに 

第2章 ATP再生系を用いた有用物質の新規生産法   
 1 はじめに 
 2 静止菌体を用いるATP再生反応系 
 3 C.ammoniagenes菌体を用いる自己共役反応法
  3.1 ATP
  3.2 GMP
 4 異菌体間共役反応系の構築 
  4.1 GMP
  4.2 5'-イノシン酸(IMP)
  4.3 CDPコリン
 
第3章 生体触媒法とHPLC法による光学活性化合物の製法開発
                                         
 1 はじめに 
 2 生体触媒による光学活性化合物の製法開発 
  2.1 不斉還元・酸化反応を利用した光学活性1,3-ブタンジオールの工業生産
  2.2 光学活性2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸誘導体の製法開発
  2.3 エナンチオ選択的な脱炭酸反応を利用したアミノアルコールの製法開発
 3 HPLC用キラル固定相による光学活性化合物の工業分離 
  3.1 多糖誘導体系キラル固定相
  3.2 分割対象化合物
  3.3不斉識別のメカニズム
  3.4 疑似移動床法(SMB法)
 4 おわりに  

第4章 新酵素法によるD-パントラクトンの工業生産        
 1 はじめに 
 2 D-パントラクトンについて  
  2.1 D-パントラクトンおよびその製造法
  2.2 D-パントラクトンの酵素的不斉合成法
 3 D-パントラクトン加水分解酵素について 

  3.1 D-パントラクトン加水分解酵素のスクリーニング
  3.2 D-パントラクトン加水分解酵素の諸性質
 4 F.oxysporumの固定化 
 5 固定化菌体による反応 
 6 新酵素法と従来化学法との比較
 7 おわりに 
 
第5章 微生物反応による複素環誘導体の変換検討          
 1 はじめに 
 2 微生物反応による3CPからCHP製造技術の開発 
  2.1 CHP生産菌のスクリーニング
  2.2 MCI-2848株の培養条件の検討
  2.3 MCI-2848による3CPからCHPの生産
 3 ニコチン酸の2位水酸化反応 
 4 ニコチン酸の脱炭酸を伴う水酸化 
 5 ラセミ体N-tert- ブチル-ピペラジン-2-カルボキサミド(t-BAP)の光学分割 
  5.1 (S)-体特異的加水分解
  5.2 (R)-体選択的加水分解
 6 おわりに 
 
第6章  L-アスパラギン酸のグリーンプロセス開発          
 1 はじめに 
 2 従来のL-アスパラギン酸の製造工程 
  2.1 従来のフマル酸とアンモニアからL-アスパラギン酸を合成する反応方法
  2.2 従来のフマル酸アンモニウム溶液からL-アスパラギン酸分離・精製方法
 3 日本触媒のL-アスパラギン酸生産プロセス
  3.1 反応性の高い固定化酵素触媒の製造
  3ィ? 生産性の高い,新しい反応形式の開発(断続連続反応方法)
  3.3 廃棄物のでないL-アスパラギン酸の分離方法の確立
 4 おわりに

第7章  キラルテクノロジーとしてのリパーゼを用いるファインケミカルズの開発   
 1 はじめに 
 2 化学分野における産業用酵素の市場について 
 3 古典的酵素分割反応について 
 4 光学分割に望まれる条件
 5 おわりに 

第8章 環境適合性キレート剤とバイオプロセスの応用     
 1 はじめに 
 2 モノアミン系生分解キレート剤 ASDA 
  2.1 ASDAの特徴,物性
  2.2 ASDAの利用
  2.3 製造法と製品形態
 3 ジアミン系生分解性キレート剤 S,S-EDDS 
  3.1 S,S-EDDSの特徴,物性
  3.2 自然界におけるS,S-EDDSの存在
  3.3 S,S-EDDSの利用
  3.4 製造法
 4 今後の展望 

第9章 天然ガス(メタン)とメタノールおよびメタノールを用いるバイオグリーンケミストリー
    ――微生物生産生分解プラスチックスビオグリーンR (天然物)――         
 1 はじめに  
 2 化石燃料 
 3 地球環境 
  3.1 CO2排出量
  3.2 ゴミ問題
  3.3 生分解性プラスチック
 4 天然ガス 
 5 メタノール 
  5.1 合 成
  5.2メタノールケミストリー
  5.3 燃料電池
  5.4 CO2削減方法とメタノール
 6 メタノール資化性微生物 
 7 メタノールバイオケミストリー 
 8 MGCのPHB研究の考え 
 9 PHB 
10 ビオグリーン(MGC・PHB)の製造方法 
11 ビオグリーンの物性 
12  安全性および生分解性 
13  耐熱性 
14  ビオグリーンの特徴 
  14.1 熱可塑性の生分解性樹脂
  14.2微粉末
  14.3 天然物
  14.4生分解性
  14.5 防細胞接着性
  14.6 脱窒作用
15 ビオグリーン/PCLブレンドボトル 
  15.1 成形ボトルの酸素透過性
  15.2 成形ボトルの熱安定性
  15.3成形ボトルの落下試験
16 ビオグリーンの今後の展開 
  16.1他の生分解性高分子の改質
  16.2 天然ゴムの改質
  16.3 コーティング剤
  16.4 天然物製の食品容器
  16.5 環境浄化