刊行にあたって
資源の少ないわが国は「科学技術創造立国」以外に繁栄を維持する道がないことは明白である。科学技術創造立国とは,新技術の創出・実用化・事業化,すなわち新産業の創出を継続して実現していくことにある。そうした科学技術の中でも,情報・通信・半導体・ディスプレイ分野などのIT分野は,今後わが国がもっとも力を入れていかねばならない分野である。
わが国が得意としてきた携帯機器,情報通信家電分野の国際競争力を確固たるものにするためにも,産官学連携のもと,設計・製造技術を一大革新する開発研究・開発技術が求められている。
めまぐるしく変化・進歩するエレクトロニクス分野,スピードを要求される多品種少量生産に対応するには,これまでの製造方式では困難であり,新しい半導体プロセスの確立,それを支える技術・材料の開発が急務である。
本書はこの分野では,国内のみならず世界的にも最先端を歩んでおられる大見忠弘教授のご監修のもとに,大学・および産業界の第一線の研究者30名により,半導体製造に係わるプロセスと技術・材料,それを支える周辺技術を可能な限り網羅した。半導体製造に係わるすべての研究開発担当者,企画担当者の方々のお役に立てば幸いである。
なお,本書は2000年に『新しい半導体製造プロセスと材料』として刊行したものである。普及版の刊行にあたり,内容は当時のままであることをご了承願いたい。
2005年9月 (株)シーエムシー出版 編集部
著者一覧
有門経敏 (株)東芝 セミコンダクター社 プロセス技術推進センター プロセス技術開発第四部 部長
(現)東京エレクトロン(株) 技術開発戦略担当 理事
奥村勝弥 (株)東芝 セミコンダクター社 プロセス技術推進センター センター長
(現)東京大学 先端科学技術研究センター 客員教授
龜山雅臣 (株)ニコン 精機カンパニー 半導体露光装置事業部 開発統括部 第一開発部
上野巧 (株)日立製作所 日立研究所 材料第一研究部 主任研究員
(現)日立化成 デュポン マイクロシステムズ(株) 山崎開発センター 研究開発部長
服部孝司 (株)日立製作所 中央研究所 ULSI研究部
市村國宏 東京工業大学 資源化学研究所 光機能化学部門 教授
(現)東邦大学 理学部 特任教授
中川勝 東京工業大学 資源化学研究所 光機能化学部門 助手
(現)東京工業大学 資源化学研究所 光機能化学部門 助教授
杉田和之 千葉大学 工学部 物質工学科 情報記録材料分野 教授
(現)千葉大学名誉教授
宮下雅之 ステラケミファ(株) 研究部 マネージャー
海原竜 東北大学 大学院 工学研究科 電子工学専攻 大見研究室
金本啓 東北大学 大学院 工学研究科 電子工学専攻 大見研究室
横井生憲 東北大学 未来科学技術共同研究センター
(現)栗田工業(株) 開発本部 装置開発第一グループ 超純水チーム
グン ・ ミン ・ チョイ 東北大学 大学院 工学研究科 電子工学専攻 大見研究室
(現)Senior C&C Manager Fab. Technology Memory Reserch & Development Division Hynix Semiconductor Inc, Korea
森田博志 (現)栗田工業(株) プラント事業部 設計部 ウェットプロセス技術課 課長
野路伸治 (株)荏原製作所 精密・電子事業本部 精密機器事業部 開発部長
平山昌樹 東北大学 大学院 工学研究科 助手
(現)東北大学 未来科学技術共同研究センター 助教授
犬石昌秀 三菱電機(株) ULSI技術開発センター 先端デバイス開発部 高誘電体膜開発グループ 部長
伊藤博巳 三菱電機(株) ULSI技術開発センター 先端デバイス開発部 高誘電体膜開発グループ グループマネージャ
柏原慶一朗 三菱電機(株) ULSI技術開発センター 先端デバイス開発部 高誘電体膜開発グループ 主事
常峰美和 三菱電機(株) ULSI技術開発センター 先端デバイス開発部 高誘電体膜開発グループ 主事
奥平智仁 三菱電機(株) ULSI技術開発センター 先端デバイス開発部 高誘電体膜開発グループ 主事
油谷明栄 三菱電機(株) ULSI技術開発センター 先端デバイス開発部 高誘電体膜開発グループ 担当
石丸泰 真空冶金(株) 技術統括営業本部 取締役
斎藤茂 真空冶金(株) 営業本部
須川成利 東北大学 大学院 工学研究科 助教授
(現)東北大学 大学院 工学研究科 技術社会システム専攻 教授
辰巳徹 日本電気(株) シリコンシステム研究所 主管研究員
(現)日本電気(株) システムデバイス研究所 主席研究員
河野正彦 ダウ・ケミカル日本(株) 電子材料事業本部 市場開発部長
関根克行 東北大学 大学院 工学研究科 電子工学専攻 大見研究室
一石武宏 キャボット・マイクロエレクトロニクス・コーポレーション 電子材料事業部
(現)日本キャボット・マイクロエレクトロニクス(株) 生産技術プロセス・エンジニア
白井泰雪 東北大学 大学院 工学研究科 電子工学専攻 大見研究室
(現)東北大学 未来科学技術共同研究センター 助教授
(執筆者の所属は,注記以外は2000年当時のものです。)
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―半導体固有の製造技術創出:半導体技術はまさにこれから―
1. はじめに
2. ウルトラクリーンテクノロジー提唱と確立
3. 新しいプロセスの創出:狙いすましたラジカル発生
4. ラジカル発生:シリコン表面の低温超高品質直接酸化・直接窒化
4.1 原子状酸素による低温高速高品質酸化
4.2 原子状酸素による(111)面酸化
4.3 NH*ラジカルによるシリコン表面直接窒化
5. 半導体製造プロセス技術の展望
6. おわりに
第2章 半導体製造プロセスと材料
1. はじめに
2. リソグラフィ技術
3. トランジスタ技術
3.1 ゲート絶縁膜
3.2 メタルゲート
3.3 極浅拡散層形成
3.4 ダマシンゲートプロセス
4. キャパシタ技術
5. 多層配線技術
5.1 配線材料
5.2 低誘電率層間絶縁膜
6. 地球環境技術
7. おわりに
第3章 リソグラフィ技術
1. リソグラフィ技術
1.1 はじめに
1.2 リソグラフィ概論
1.3 リソグラフィ技術
1.4 光リソグラフィ
1.4.1 ArF露光装置
1.4.2 F2露光装置
1.4.3 F2以短の光露光装置
1.5 電子線リソグラフィ
1.5.1 EBDW:電子ビーム直接描画方式
1.5.2 EPL
1.6 等倍X線リソグラフィ
1.7 EUVリソグラフィ
1.8 イオンビームリソグラフィ
1.9 おわりに
2. フォトレジスト
2.1 微細化に向けたレジスト材料
2.1.1 はじめに
2.1.2 リソグラフィの動向とレジスト
2.1.3 g線(436nm)i線(365nm)リソグラフィ
2.1.4 Deep-UV(く300nm)用リソグラフィ
2.1.5 ArF(193nm)リソグラフィ
2.1.6 F2レーザ(157nm)リソグラフィ
2.1.7 X線リソグラフィ
2.1.8 電子線リソグラフィ
2.1.9 おわりに
2.2 酸増殖型フォトレジストの開発
2.2.1 はじめに
2.2.2 レジストと感度
2.2.3 増幅と増殖
2.2.4 酸増殖剤
2.2.5 固体高分子中における強酸の挙動
2.2.6 酸増殖型フォトレジスト
2.2.7 おわりに
2.3 表層イメージング-波長より微細なパターン形成を目指して-
2.3.1 パターンの微細化とフォトレジストの解像限界
2.3.2 3層レジストと化学増幅
2.3.3 2層レジスト
2.3.4 表層イメージング
2.3.5 2層レジストと表層イメージングの問題点
2.4 集積回路の作製を目指した単分子膜レジストによる微細加工
2.4.1 はじめに
2.4.2 単分子膜レジスト
2.4.3 水系での単分子膜パターンニング
2.4.4 おわりに
第4章 エッチング技術
1. 酸化膜精密エッチング技術
1.1 はじめに
1.2 ウェットエッチングを支配するパラメーター
1.3 シリコン酸化膜の精密エッチング
1.4 次世代のエッチング剤
1.5 おわりに
2. BEDマグネトロンプラズマエッチング技術
2.1 はじめに
2.2 BEDマグネトロンプラズマ
2.3 ダメージフリーエッチング技術
2.4 おわりに
第5章 ウルトラクリーンイオン注入技術
1. イオン注入と低温アルコール
2. ベアシリコン表面イオン注入-酸化膜スルーイオン注入は使えない-
3. ウルトラクリーンイオン注入-徹底的な汚染の低減-
4. 新たなリーク電流の原因-基板のドーパントに絡んだ欠陥-
5. おわりに
第6章 洗浄技術
1. 低環境負荷型シリコン基板洗浄技術
1.1 はじめに
1.2 RCA洗浄とその問題点
1.3 次世代洗浄技術の条件
1.4 全4工程室温洗浄技術
1.5 ガス溶解洗浄水供給技術
1.6 おわりに
2. 超純水および機能水の製造供給技術
2.1 はじめに
2.2 超純水製造供給技術
2.3 機能水製造供給および洗浄技術
第7章 低環境負荷型真空排気システム
1. はじめに
2. ドライ真空ポンプ
2.1 作動原理
2.2 省エネルギー型ドライ真空ポンプ
2.3 省排気管型ドライ真空ポンプ
2.3.1 背圧制御型
2.3.2 高背圧型
3. バルブ付きターボ分子ポンプ
4. ポンプ前トラップ
4.1 構成と運転方式
4.2 生成物の捕捉効率と洗浄効率
4.3 シールの耐久性
5. おわりに
第8章 マイクロ波励起高密度プラズマ直接酸化技術
1. はじめに
2. Kr/O2 マイクロ波プラズマを用いた低温酸化技術
3. (111)面上への高品質酸化膜形成
4. シャロートレンチアイソレーションへの応用
5. おわりに
第9章 次世代DRAM用ペロブスカイト誘電体キャパシター
1. はじめに
2. DRAMキャパシター用ペロブスカイト誘導体
3. ペロブスカイトキャパシターの集積化
4. スケーラビリティー
5. まとめと今後の課題
第10章 電極・配線形成技術
1. 高純度スパッタリングターゲット
1.1 はじめに
1.2 スパッタリング材料の動向
1.2.1 Cu配線用材料動向
1.2.2 電極材動向
1.2.3 スパッタリング材料と周辺技術の動向
1.3 高純度ターゲット材料と周辺技術
1.3.1 Cu配線用材料
1.3.2 電極材料
1.3.3 防着処理技術
1.4 ターゲット材料の今後の課題
2. 高信頼性配線技術 須川成利
2.1 はじめに
2.2 マイグレーション耐性に優れた低抵抗高信頼性Cu配線
2.3 温度上昇を抑制する熱スルーホールの導入
2.4 おわりに
第11章 絶縁膜形成技術
1. プラズマCVDによる低誘電率絶縁膜堆積技術
1.1 はじめに
1.2 実験
1.2.1 a-C:F膜の各分極成分の算出
1.2.2 a-C:Fを用いた多層配線の形成
1.3 結果および考察
1.3.1 a-C:H膜の比誘電率
1.3.2 a-C:F膜の比誘電率
1.3.3 a-C:Fを用いた多層配線の作製
1.4 おわりに
2. 塗布系低誘電率層間絶縁膜と材料
2.1 はじめに
2.2 半導体用低誘電率材料
2.3 ダウ・ケミカルの低誘電率材料
2.3.1 サイクロテン(BCB)樹脂
2.3.2 半導体用絶縁材料SiLK
2.3.3 k≦2.0材料の開発
2.4 おわりに
3. マイクロ波励起高密度プラズマ直接窒化技術
3.1 はじめに
3.1.1 ゲート酸化膜の薄膜化限界と新しいゲート絶縁膜材料導入の必要性
3.2 バッファ層としての極薄絶縁膜の必要性
3.3 次世代ゲート絶縁膜およびバッファ層としてのシリコン窒化膜の可能性
3.4 結論
第12章 CMP用研磨液(スラリー)
1. はじめに
2. ILD用スラリー
3. メタルCMP用スラリー
3.1 概要
3.2 W CMP用スラリー
3.3 AI CMP用スラリー
3.4 Cu用スラリー
4. まとめと今後の課題
第13章 超高純度半導体ガス供給技術
1. はじめに
2. 酸化クロム不働態処理技術
3. 小型・集積化ガスシステム
4. フィードフォワード制御を可能とするガス供給システム
5. おわりに
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