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成形回路部品

Molded Interconnects Device

商品コード:
B0748
監修:
中川威雄・湯本哲男・川崎・
発行日:
2005年5月
体裁:
A5判・231頁
ISBNコード:
978-4-88231-855-2
価格(税込):
3,520
ポイント: 32 Pt
関連カテゴリ:
エレクトロニクス

Review

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刊行にあたって

MID (Molded Interconnects Device(成形回路部品)) は三次元成形品上に配線パターンを設けたものであって,あえて言うなら射出成形品に限定されたものではない。MID化を図ることで,これまで不可能だった電気部品と機構部品との融合化を実現した。
 これにより部品点数が削減できるばかりか配線パターンの三次元化が図れることで最適設計が可能となり,機器の小型化,組み立ての自動化を可能にした。また,部品のアッセンブリーコストも30%~40%低減できることになった。こうした特徴から,その用途は電子機器,自動車部品をはじめとする電子デバイスとして,さらにバイオテクノロジー分野などへの利用と広範なものになっていくと予想されている。
 そもそもMIDはどのような背景のもとに考え出されたのであろうか? この本の監修にあたられた中川先生の言葉を借りれば次のような経緯となっている。
 『最近の技術発展の多くが,半導体とそれを使った応用に基づいていることは誰しもが認めるところである。この半導体自体はエネルギー源ではなく,したがって何らかの動的機能をわれわれに直接与えるわけではないので,必ず電気的な回路配線を行って周辺デバイスとの結合が必要となる。半導体素子以外にも電子デバイスが数多く使われており,このような各種デバイスが高密度化することは同時に配線回路もそれに応じて高密度化することを意味している。これら配線の高密度化に対して,平面的な配線間隔を狭くする高密度配線により対処していたが,それでも不十分な場合には多層化などによる立体配線によって解決が図られてきた。また,動力用の電力配線については,電気容量も大きいこともあり明らかにその高密度化は遅れている。制御用の信号伝達の配線に比べれば,高密度の要求はそれほど大きくないが,それでも自動車用などでは,多くの動作がモーターを使って電動化され,ワイヤーハーネスの電線本数が増えていると同時に,重量も増しその配線作業も複雑化している。このような配線の高密度化と多層立体配線は,半導体素子からプリント配線さらにワイヤーハーネスに至るまで広範囲の回路形成分野で行われている。このような流れの中にプラスチック成形体に直接立体配線を行うMID法が誕生し,その活用が拡大している。』
 1997年8月に発行された『MID(射出成形回路部品)』は未来を見据えた内容が盛り込まれており,本普及版ではその内容が改定されているわけではないが,その多くは現在でも通用する内容となっている。この普及版発行により,各メーカー研究者の方々にとってMIDに対する理解を深めることができれば甚だ幸いである。
2005年4月 日本MID協会 湯本哲男

著者一覧

中川威雄 東京大学 生産技術研究所 教授
(現) ファインテック湯本哲男(株) 代表取締役
塚田憲一 シプレイファーイースト
(現)ティ・オー・テック 社長
三共化成(株) 技術部 部長
二宮隆二 三井金属鉱業(株) 総合研究所
野口裕之 東京大学 生産技術研究所
(現)日本工業大学 先端材料技術研究センター 助教授
関高宏 菱電化成(株) ファインデバイス製造部
森川哲也 菱電化成(株) ファインデバイス製造部
樋口努 新光電気工業(株) 開発統括部
萩原健治 日本航空電子工業(株) コネクタ開発本部
馬場文明 三菱電機(株) 先端技術総合研究所
今西康人 三菱電機(株) 通信システム統括事業部
新矢敏 三菱電機(株) 通信システム統括事業部
山路俊一 松下産業機器(株) 溶接システム事業部
川崎徹 (有)カワサキテクノリサーチ 代表取締役社長
シーエムシー編集部
(執筆者の所属は,注記以外は1997年当時のものです。)

目次 +   クリックで目次を表示

第1編 MIDの開発と周辺技術

第1章 総論
1. はじめに

2. MID(回路付き射出成形品)とは

3. 各種MID法
3.1 2回成形PCK法
3.2 2回成形SKW法
3.3 1回成形メッキ法
3.4 ホットエンボス法
3.5 プリント回路箔のインサート成形
3.6 導電性樹脂による2回成形法

4. MIDの将来

第2章 欧州でのMID製品の応用
1. はじめに

2. シーメンスとフーバー社とシプレイの関係

3. 欧州におけるMIDプラスチック材料

4. フーバー社におけるめっきシステム

5. FUBAにおける回路形成システム
5.1 スズをレジストとするレーザー法の応用例
5.2 自動車のシートベルトスイッチハウジング
5.3 トランシーバーハウジング

6. シーメンス-FUBA・HANS社の特徴

7. ヨーロッパでは,2色成形・ネットスタンプ

第3章 2ショット法によるMID
1. はじめに

2. 2ショットプロセス
2.1 SKW法
2.2 PCK法
2.3 プロセスの相違点
2.4 構造上の相違点

3. 2ショット法によるMIDの利点と問題点
3.1 利点
3.2 問題点
3.3 その他

4. 成形材料に対する要求特性
4.1 1次側成形材料
4.2 2次側成形材料
4.3 代表的な使用材料

5. めっき
5.1 めっきの種類
5.2 エッチング液の種類

6. 用途
6.1 実用化された2ショットMID
6.2 今後期待できる用途

7. 今後の開発動向

第4章 鉛フリーはんだの最新動向
1. はじめに

2. 鉛フリーはんだに要求される特性

3. 各合金系の特徴
3.1 スズ-銀系
3.2 スズ-ビスマス系
3.3 スズ-インジウム系
3.4 スズ-亜鉛系

4. 鉛フリーはんだ付けプロセス

5. 国内における学協会での取り組み

6. 海外の動向

7. 今後の残された課題

第5章 導電性プラスチックによるMID
1. プリント配線の立体化
2. 導電性プラスチック
3. 射出成形による立体回路の形成
4. ハンダ分散型導電性プラスチック
5. 導電性
6. 射出成形性
7. ハンダ分散型導電性プラスチックの将来

第6章 チップLED基盤の開発
1. はじめに

2. MIDの製造法

3. チップLED基板

4. チップLED基板の必要性能

5. チップLED基板の製造法
5.1 サブトラクティブ法
5.2 セミアディティブ法
5.3 使用材料

6. MIDのデザインルール

7. 当社のMID体制

8. 今後の展開

 
第2編 MIDの応用展開

第7章 光通信機器へのMIDの応用
1. 緒言

2. ONUモジュール機能と低コスト化へのアプローチ
2.1 ONU用光送受信モジュールの基本機能
2.2 モジュール低コスト化へのアプローチ

3. 機能から見たパッケージのコスト要因
3.1 伝送路・構造設計
3.2 放熱設計
3.3 光結合
3.4 気密性

4. 低コスト化パッケージモデル
4.1 中空構造
4.2 封止法
4.3 電気的接続

5. アセンブリーからみた低コストパッケージの提案
5.1 要素技術と諸特性
5.2 パッケージへのアセンブリー自動化
5.3 モジュール本体の基板実装自動化

6. MIDの応用と可能性

7. おわりに

第8章 MIDを応用した高速伝送用コネクター
1. はじめに

2. コネクター構造
2.1 レセプタクルコネクター
2.2 プラグコネクター

3. 高周波特性評価
3.1 特性インピーダンス分布
3.2 伝送波形,立ち上がり時間変化
3.3 クロストーク特性

4. まとめ

第9章 携帯電話用MID内蔵アンテナと耐熱プラスチックシールドケースの開発
1. はじめに

2. 内蔵アンテナのMID化

3. 耐熱プラスチックシールドケース
3.1 シールドケース用プラスチックの選定
3.2 シンジオタクチックポリスチレン

4. 携帯電話への応用

5. おわりに

第10章 非接触熱源によるMIDのはんだ付け施工技術
1. 緒言
1.1 MIDの概要と動向
1.2 「MID」の目的と種類
1.3 「MID」の課題-「接合」
1.4 MID接合方法の選択
1.5 MIDの接合方法・「はんだ付け」の課題

2. 局部はんだ付け法・非接触型熱源によるはんだ付け法
2.1 従来の局部はんだ付け法(はんだゴテ法)の問題点
2.2 非接触・局部加熱装置の概要
2.3 光ビーム加熱装置の特徴
2.4 光ビームによるはんだ付け施行方法

3. MIDの「光ビーム」によるはんだ付け
3.1 クリームはんだによるMIDのはんだ付け
3.2 糸はんだによるMIDのはんだ付け
3.3 内部モールド型MIDの「光ビーム」によるはんだ付け
3.4 MIDの「光ビーム」によるはんだ付け結果

4. 結論

 
第3編 MID市場と今後の展開

第11章 世界的規模で拡大するMID市場
1. はじめに

2. MCB時代の世界的用途開発動向
2.1 実績のある用途例
2.2 回路形成法の概要とMIDメーカーの提携関係
2.3 代表的工法のプロセス

3. MID時代の世界的用途開発動向
3.1 米国の用途例
3.2 ヨーロッパ用途例
3.3 欧米その他の用途例

4. アプリケーションの変遷から読み取れるもの

5. 市場規模推移と今後の見通し

第12章 MIDの欧州での市場
1. はじめに
2. PSGA
3. PSGAの素材
4. PSGAの製造工程
5. PSGAの設計
6. センシル・キャタリスト

第13章 MIDの日本における市場展望
1. 実績のあるMID工法とその特徴比較
1.1 MID有力工法の特徴
1.2 SKW法とPCK法
1.3 2ショット法の特許
2. 日本のMID用途開発動向
2.1 先行するMIDメーカーの事例要約
2.2 1ショット法の用途例
2.3 2ショット法の用途例
2.4 その他(MID類似用途例)
3. 日本の市場動向
3.1 国内の伸び予想
3.2 伸び予想の前提条件

第4編 MIDの特許動向

第14章 日本の特許動向
1. 素材,形成部品に関する特許
2. 回路のパターニング及びプリント回路基板に関する特許
3. プロセスに関する特許
4. メッキに関する特許
 
第15章 世界の特許動向
1. MIDの特許
2. MIDの適用製品の機能・特徴一覧