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水溶性高分子の最新動向《普及版》

The Latest Trends of Water Soluble Polymers(Popular Edition)

2015年刊「水溶性高分子の最新動向」の普及版。
環境対応素材として世界規模で需要拡大中の水溶性高分子の代表的な用途例や応用技術を多数掲載し、基礎から丁寧に解説した1冊!

商品コード:
B1384
監修:
野田公彦
発行日:
2022年7月7日
体裁:
B5判・261頁
ISBNコード:
978-4-7813-1638-3
価格(税込):
5,170
ポイント: 47 Pt
関連カテゴリ:
新材料・新素材
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)
新材料・新素材 > 高分子・プラスチック

Review

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キーワード:

水溶性ポリマー/天然系水溶性高分子/合成系水溶性高分子/構造と機能/物性測定/医薬品/化粧品/トイレタリー用品/食品/塗料・印刷インキ/リチウムイオン2次電池/土木・建設/水処理/医療/水系硬化材料/難水溶性薬物/DDS/水溶性ポリセスキオキサン/導電性高分子/らせん高分子/ゲル/シェールガス・オイル掘削薬剤/レジスト材料/3Dプリンター用サポート材

刊行にあたって

 水の惑星と言われる地球に住む我々にとって、水に溶ける高分子、すなわち、水溶性高分子は、極めて重要な物質の一つであり、産業上も不可欠の存在になっている。
 水溶性高分子に関わる技術については、これまで、シーエムシー出版社から多くの情報発信が行われ、比較的最近では、「水溶性高分子の新展開」(2004年発行)、および、その普及版の「水溶性高分子の基礎と応用技術」(2009年発行)が刊行されているが、初版から約10年が経過し、その間の技術的進展にも見るべきものがあるため、今般、「水溶性高分子の最新動向」として、まとめることになった。
 本書では、水溶性高分子の基本的事項とともに、各種用途での水溶性高分子の技術の現状と動向を紹介すると同時に、最近注目されているいくつかの応用技術についても取り上げる。
水溶性高分子の技術は広い裾野を持ち、典型的な水溶性高分子の範疇外でも、例えば、通常条件下では水溶性を示さず、ある条件を与えることで水溶性になるものや、水に半ば溶解して機能する高分子などもよく知られている。また水性ゲル、水系エマルションなども、水溶性高分子と深く関連する。そのため、本書では、これらの関連技術の一部についても触れることにする。
 本書が、水溶性高分子関連技術に関わる多くの技術者の参考に資すれば、幸いである。

本書は2015年に『水溶性高分子の最新動向』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

著者一覧


野田公彦   野田公彦技術士事務所
佐藤恵一   Officeさとう
島田邦男   東京農業大学
三宅深雪   ライオン㈱
西成勝好   湖北工業大学
山本明史   DIC㈱
金村聖志   首都大学東京
清水倫和   三洋化成工業㈱
佐藤 茂   栗田工業㈱
生駒俊之   東京工業大学
田中利明   東京工業大学
天生聡仁   富士フイルム㈱
安田浩司   富士フイルム㈱
北川浩隆   富士フイルム㈱
中村一平   富士フイルム㈱
藤原淑記   富士フイルム㈱
檜垣勇次   九州大学
高原 淳   九州大学
植田圭祐   千葉大学

東顕二郎   千葉大学
森部久仁一  千葉大学
金子芳郎   鹿児島大学
宇井幸一   岩手大学
宮本 豪   綜研化学㈱
舩岡正光   三重大学大学院
月川健士   崇城大学
前田 浩   崇城大学
織田ゆか里  九州大学
田中敬二   九州大学
井改知幸   金沢大学
前田勝浩   金沢大学
金田 勇   酪農学園大学
橋爪章仁   大阪大学
原田 明   大阪大学
幾島賢治   愛媛大学
幾島嘉浩   IHテクノロジー㈱
幾島將貴   IHテクノロジー㈱
竹井 敏   富山県立大学
當間隆司   武藤工業㈱

執筆者の所属表記は、2015年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

【基礎編】
第1章 水溶性高分子概説
1 はじめに
2 水溶性高分子の種類と技術動向
 2.1 天然系水溶性高分子
  2.1.1 多糖類
  2.1.2 ポリペプチド
  2.1.3 リグニンスルホン酸ソーダ
  2.1.4 その他の天然系水溶性高分子
 2.2 合成系水溶性高分子
  2.2.1 非イオン性合成水溶性高分子
  2.2.2. アニオン性合成系水溶性高分子
  2.2.3 カチオン性水溶性高分子
  2.2.4 両性水溶性高分子
3 水溶性高分子の構造と機能
 3.1 主に水との高い親和性によって得られる機能
  3.1.1 水溶性高分子の持つ親水基とその特徴
  3.1.2 選択的溶解性
  3.1.3 刺激応答性
  3.1.4 保湿・湿潤性
  3.1.5 導電・帯電防止性
  3.1.6 界面活性・分散性
 3.2 主として巨大分子であることによって得られる機能
  3.2.1 増粘・ゲル化性
  3.2.2 凝集性・分散性
  3.2.3 賦形性,造膜性
  3.2.4 EPR効果(Enhanced permeability and retention of macromolecules and lipids in solid tumor)
  3.2.5 TOMS効果(流体抵抗低減効果)
 3.3 水溶性高分子に関連するその他の機能
  3.3.1 キレート性
  3.3.2 その他の関連機能
4 水溶性高分子の構造・物性測定
 4.1 水溶性高分子の分子量測定
 4.2 水溶性高分子の溶解状態の解析
 4.3 荷電量の測定
 4.4 立体規則性の解析
5 おわりに

【応用編】
第2章 用途展開
1 医薬品
 1.1 はじめに
 1.2 医薬品と水溶性高分子
 1.3 主薬と水溶性高分子
 1.4 医薬製剤と水溶性高分子
  1.4.1 固形製剤
  1.4.2 半固形製剤
  1.4.3 液状製剤
 1.5 医薬・医療材料用途と水溶性高分子
  1.5.1 ポリビニルピロリドンヨード
  1.5.2 マイクロカプセル
  1.5.3 DDS(Drug Delivery System)
  1.5.4 腸溶性フィルムコーティング
  1.5.5 義歯安定剤
  1.5.6 歯磨剤
  1.5.7 保冷剤・蓄冷剤
  1.5.8 介護食
 1.6 おわりに
2 化粧品
 2.1 既存の高分子
  2.1.1 生体高分子(ヒアルロン酸)
  2.1.2 高分子量シリコーン
  2.1.3 繊維入り化粧品
 2.2 製造工程による使用感
  2.2.1 高分子の剪断性
  2.2.2 剪断性と使用感
 2.3 複合エマルション
  2.3.1 皮膜構造
  2.3.2 高分子量と化粧品応用
3 トイレタリー用品
 3.1 はじめに
 3.2 複合体形成能の利用
  3.2.1 カチオン高分子とアニオン界面活性剤の複合体形成挙動
  3.2.2 複合体による増泡
  3.2.3 複合体の析出挙動とすすぎの感触
  3.2.4 複合体のキャリアー機能
 3.3 増粘作用の利用
  3.3.1 分散安定化に寄与する水溶性高分子
  3.3.2 水溶性高分子による粘結作用
4 食品
 4.1 水溶性高分子の液体状態,半固体状態,固体状態の粘弾性の特徴
 4.2 ペーストやゲル状態における食品での利用
 4.3 ゲル
  4.3.1 タンパク質
  4.3.2 多糖類ゲル
  4.3.3 混合系
 4.4 水溶性高分子固体
5 塗料・印刷インキ
 5.1 はじめに
 5.2 水性樹脂の形態による分類
 5.3 水系と溶剤系の比較
  5.3.1 溶剤の比較
  5.3.2 エマルジョンの特徴
  5.3.3 中和剤
 5.4 水性樹脂の化学構造による分類
  5.4.1 アクリル樹脂
  5.4.2 ウレタン樹脂
  5.4.3 ポリエステル樹脂
 5.5 水系における架橋システム
  5.5.1 ケト―ヒドラジド架橋
  5.5.2 金属架橋システム
  5.5.3 エポキシ―アミン架橋,酸―エポキシ架橋
  5.5.4 イソシアネート架橋
 5.6 塗料分野における水性化動向
  5.6.1 建築・建材用塗料,防食塗料
  5.6.2 自動車用
  5.6.3 自動車補修用
  5.6.4 工業用
 5.7 印刷インキ分野における水性化動向
 5.8 水性塗料,印刷インキ用添加剤
 5.9 おわりに
6 エレクトロニクス・電池
 6.1 電池材料
 6.2 水溶性高分子バインダー
 6.3 SBR+CMC
 6.4 その他の水溶性バインダー
 6.5 今後の展開
7 土木・建築
 7.1 はじめに
 7.2 土木建築用途における水溶性高分子の役割
  7.2.1 NATM工法用粉塵低減剤
  7.2.2 水中不分離コンクリート用分離低減剤
  7.2.3 左官モルタル用増粘剤
  7.2.4 セメント用分散剤
  7.2.5 高流動コンクリート用増粘剤
  7.2.6 押出セメント用添加剤
  7.2.7 掘削安定液用添加剤
 7.3 おわりに
8 水処理
 8.1 はじめに
 8.2 高分子凝集剤
  8.2.1 対象市場と国内需要
  8.2.2 素材の種類と物性
  8.2.3 処理技術の実際
  8.3 スケール防止剤
  8.3.1 スケール種とスケール防止剤
  8.3.2 処理技術の実際
 8.4 今後の課題,方向性
9 医療
 9.1 医療に向けた天然高分子
 9.2 コラーゲンの種類と構造特異性
 9.3 I型コラーゲンの抽出方法とその材料特性
 9.4 コラーゲンの多様性と安全性
 9.5 医療応用への展開
 9.6 おわりに

第3章 応用技術
1 環境・安全に配慮した水系硬化材料〜水溶性多官能アクリルアミドモノマーの開発〜
 1.1 緒言
 1.2 目標性能と既存技術の関係
 1.3 新規技術の開発
 1.4 モノマーの開発
 1.5 各種性能の詳細評価
  1.5.1 硬化性の評価
  1.5.2 水溶性の評価
  1.5.3 安定性の評価
  1.5.4 安全性の評価
 1.6 その他の化合物情報
  1.6.1 硬化収縮率の測定
  1.6.2 物性
 1.7 期待される効果・性能
 1.8 想定される用途
2 光を当てると接着するカテコール系水溶性ポリマーの分子設計
 2.1 はじめに
 2.2 MAP模倣高分子による接着
 2.3 MAP模倣高分子によるコーティング
 2.4 ポリアクリルアミドを主鎖骨格とするMAP模倣高分子
  2.4.1 MAP模倣ポリアクリルアミドの設計と合成
  2.4.2 MAP模倣ポリアクリルアミド溶液のゲル化
  2.4.3 MAPポリアクリルアミド水溶液による材料の接着
  2.4.4 MAP模倣ポリアクリルアミド中のカテコール基とアミノ基の影響
 2.5 光で活性化するMAP模倣ポリアクリルアミド
  2.5.1 ケージドMAP模倣高分子水溶液の光活性化によるゲル化
  2.5.2 ケージドMAP模倣高分子水溶液の光活性化による接着
 2.6 おわりに
3 水溶性高分子による難水溶性薬物の溶解性改善
 3.1 はじめに
 3.2 可溶化製剤および過飽和製剤
 3.3 ナノ結晶製剤
 3.4 おわりに
4 水溶性ポリシルセスキオキサンの合成
 4.1 はじめに
 4.2 水溶性ラダー状ポリシルセスキオキサンの合成
  4.2.1 アンモニウム基含有ラダー状ポリシルセスキオキサンの合成
  4.2.2 カルボキシレート基含有ラダー状ポリシルセスキオキサンの合成
  4.2.3 スルホ基(スルホネート基)含有ラダー状ポリシルセスキオキサンの合成
 4.3 水溶性かご型オリゴシルセスキオキサン(POSS)誘導体の合成
  4.3.1 アンモニウム基含有POSSの高収率・短時間合成
  4.3.2 2種のアンモニウム側鎖置換基を有する低結晶性POSSの合成
  4.3.3 POSS連結型水溶性ポリマーの一段階合成
 4.4 おわりに
5 リチウムイオン二次電池への水溶性高分子の応用
 5.1 はじめに
 5.2 天然黒鉛電極の作製方法
 5.3 バインダーの種類が天然黒鉛電極の初回充放電特性に及ぼす影響
 5.4 バインダーの種類が初回充電時における天然黒鉛電極の表面状態の変化に及ぼす影響
 5.5 おわりに
6 水系導電性高分子型塗料「VERAZOL」
 6.1 導電性高分子
 6.2 PEDOT/PSSの塗料化
 6.3 導電性高分子の帯電防止用塗料への適用
 6.4 新規コンデンサ電極用導電性高分子
 6.5 おわりに
7 天然リグニン誘導体リグノフェノールの高機能化
 7.1 はじめに
 7.2 樹木を経由する炭素の流れ
 7.3 構造セグメント複合系としてのリグニン
 7.4 樹木を機能性分子セグメントにほぐす―新素材を誘導する新しい仕掛け―
 7.5 新素材リグノフェノールの機能制御
 7.6 リグニン系工業原料プラットフォームを創る
 7.7 森林と化学工業を繋ぐ―新しいグリーンケミカルスの誘導―
8 水溶性高分子によるがん組織への薬物ターゲティング
 8.1 はじめに
 8.2 ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System,DDS)と水溶性高分子
 8.3 各種水溶性高分子について
  8.3.1 合成高分子の代表例:ポリエチレングリコール(polyethylene glycol,PEG)
  8.3.2 その他の合成高分子
  8.3.3 デンドリマー
  8.3.4 合成水溶性高分子を用いたブロック共重合体
  8.3.5 天然高分子
  8.3.6 水溶性高分子からの抗がん剤放出性とターゲティング
 8.4 おわりに
9 界面構造制御に向けた高分子材料設計
 9.1 はじめに
 9.2 側鎖構造と界面における分子鎖凝集状態
 9.3 分子形態と界面における濃縮挙動
 9.4 動的因子による親水性表面の創製
 9.5 おわりに
10 水溶性らせん高分子の合成と応用
 10.1 はじめに
 10.2 ポリアセチレン誘導体
 10.3 ポリイソシアニド誘導体
 10.4 その他のポリマー
 10.5 フォルダマー
 10.6 おわりに
11 サクシノグリカンの溶液物性と応用
 11.1 はじめに
 11.2 サクシノグリカンの二重らせん構造
  11.2.1 実験材料の調製
  11.2.2 溶液物性パラメータ
  11.2.3 熱変性前後での溶液物性パラメータの変化
 11.3 サクシノグリカンの二重らせん構造形成は可逆的か?―準希薄溶液のレオロジー
 11.4 工業用サンプルを用いた検討
 11.5 おわりに
12 シクロデキストリンと水溶性高分子の複合材料開発
 12.1 緒言
 12.2 環動ゲル
 12.3 巨視的分子認識
 12.4 伸縮性材料
 12.5 自己修復材料
 12.6 形状記憶材料
 12.7 結言
13 シェールガス・オイル掘削への水溶性高分子の応用
 13.1 シェールガス・オイルとは
 13.2 薬剤を使用するシェールガス・オイル掘削
  13.2.1 水平掘削
  13.2.2 水圧破砕
  13.2.3 シェールガス・オイル掘削薬剤の環境保全対策
 13.3 シェールガス・オイル掘削に使用する水溶性高分子
  13.3.1 逸泥防止剤
  13.3.2 ゲル化剤
  13.3.3 粘土分散剤
  13.3.4 消泡剤
  13.3.5 摩擦低減剤
  13.3.6 殺生物剤
  13.3.7 凍結防止剤
  13.3.8 スケール防止剤
  13.3.9 その他薬剤
 13.4 まとめ
14 水溶性高分子のレジスト材料への応用
 14.1 はじめに
 14.2 水溶液塗布と水現像を同時に実現するグリーンリソグラフィプロセス
 14.3 水溶液塗布と水現像を同時に実現する水溶性高分子のレジスト材料
 14.4 今後の展開
15 3Dプリンター用水溶性サポート材
 15.1 3Dプリンターについて
 15.2 3Dプリンターの種類
  15.2.1 熱溶融方式3Dプリンター
  15.2.2 光造形方式3Dプリンター
  15.2.3 インクジェット方式3Dプリンター
  15.2.4 パウダー方式3Dプリンター
  15.2.5 ビーム加熱溶着方式3Dプリンター
 15.3 3Dプリンターとサポート材
  15.3.1 同種材料
  15.3.2 異種材料
 15.4 水溶性サポート材(PVAフィラメント)
  15.4.1 造形特性
  15.4.2 吸湿特性
  15.4.3 サポート特性(造形樹脂との接合性)
  15.4.4 除去特性
 15.5 まとめ