キーワード:
保湿/毛穴/美白/アンチエイジング/抗酸化/メラノサイト/ケラチノサイト/UVA/UVB/コラーゲン/ポリマー/ナノファイバー/活性酸素/糖化/過酸化水素/ニキビ/毛髪/動物代替法
刊行にあたって
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、いわゆる旧薬事法では、「化粧品とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚もしくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。」というように定義されている。
この定義では、化粧品には物理化学的な機能性は承認されているが、生理的な機能性、有用性は認められていない。しかしながら、化粧品開発に携わる技術者の研究、技術開発、皮膚科学の進歩を基盤とした皮膚トラブルの原因究明のたゆまぬ努力は、現在の化粧品に確固たる機能性、有用性を付与している。健康な皮膚を維持するための機能性、有用性は、皮膚科医にも予防医療の一角を担う療法として認知されている。
化粧品に課せられた機能性、有用性には、最も基本的な皮膚の水分量を適切に維持するための保湿効果、限局的な色素沈着を予防改善するための美白効果、シワやタルミの予防改善を目的とする抗老化効果がある。さらに、このような皮膚トラブルの原因あるいは加速させる紫外線防御のための日焼け止め効果がある。
このような化粧品の機能性や有用性の具現化には、化粧品へ配合される素材の効果が重要な役割を果たしていることは紛れもない事実である。
そこで、今回、『機能性化粧品素材―素材開発と安全性―』と題して、皮膚トラブルの原因と考えられるスタンダードなメカニズムや化粧品の安全性について明快に理解するための総論と、その皮膚トラブルや化粧品の機能を高めるための素材を紹介する各論で構成される本書を企画する運びとなった。各論では、化粧品を構成する骨格原料と皮膚への効果を発現する機能性原料の最新の情報を掲載した。
本書が、化粧品開発に携わる企画者、処方開発者、原料開発者の化粧品開発、今後の化粧品の機能性、有用性のさらなる展開のきっかけとなることを期待する。(本書「はじめに」より抜粋)
本書は2016年に『機能性化粧品素材』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。
著者一覧
正木 仁 東京工科大学 平尾哲二 千葉科学大学 安藤秀哉 岡山理科大学 小口 希 ㈱資生堂リサーチセンター 畑尾正人 ㈱資生堂リサーチセンター 岩渕徳郎 東京工科大学 水野 誠 和歌山県立医科大学;㈱コーセー 古川福実 和歌山県立医科大学 小島肇夫 国立医薬品食品衛生研究所 橋本 悟 ニッコールグループ コスモステクニカルセンター 鈴木敏幸 ニッコールグループ コスモステクニカルセンター 堀越俊雄 日本ルーブリゾール㈱ 柴田雅史 東京工科大学 伊藤雅章 ㈱ダイセル 有機合成カンパニー 馬奈木裕美 岩瀬コスファ㈱ 土井萌子 大東化成工業㈱ 後居洋介 第一工業製薬㈱ 勝間田祐貴 日本精化㈱ 宮村孝夫 テイカ㈱ 伊福伸介 鳥取大学 佐伯夕子 昭和電工㈱ 平 徳久 ㈱成和化成 Reymermier Corinne BASF Beauty Creations Cenizo Valerie BASF Beauty Creations Degrave Veronique BASF Beauty Creations Saget Julie BASF Beauty Creations Gaillard Christelle BASF Beauty Creations Boher Aurelie BASF Beauty Creations | Grenier Stephane BASF Beauty Creations Bonnet Sebastien BASF Beauty Creations Bechetoille Nicolas BASF Beauty Creations Andre.Frei Valerie BASF Beauty Creations 三瓶春代 江崎グリコ㈱ 横田真理子 ニッコールグループ コスモステクニカルセンター 丹羽 誠 片倉コープアグリ㈱ 下島響子 片倉コープアグリ㈱ 柴崎 吏 片倉コープアグリ㈱ 河原塚悠 日油㈱ 吉崎舟洋 日油㈱ 林多恵子 丸善製薬㈱ 三谷茂樹 香栄興業㈱ 福田政彦 ㈱アイエスピー・ジャパン Jean.Marie Botto Ashland Specialty Ingredients 坪井 誠 一丸ファルコス㈱ 勝山雄志 ㈱成和化成 伊藤雅之 ビタミンC60バイオリサーチ㈱ 島田邦男 東京農業大学 客員教授 宮本敬子 ニッコールグループ コスモステクニカルセンター 福原寛央 太陽化学㈱ 南律安 太陽化学㈱ 磯部 満 ホーユー㈱ 山崎直幸 花王㈱ 長井宏樹 オリザ油化㈱ 森 美雪 オリザ油化㈱ 岡部繁直 オリザ油化㈱ |
執筆者の所属表記は、2016年当時のものを使用しております。
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第1章 機能性化粧品開発の方向性
1 保湿化粧品
1.1 はじめに
1.2 角層の成り立ち
1.3 角層の構造と機能
1.4 保湿メカニズム
1.5 保湿剤のメカニズム
1.6 角層内水分勾配
1.7 保湿剤とは異なる視点での保湿機能の向上
1.8 おわりに
2 美白化粧品
2.1 はじめに
2.2 しみ予防有効成分(医薬部外品主剤)のメカニズム
2.3 おわりに
3 抗老化化粧品
3.1 はじめに
3.2 加齢に伴う皮膚の変化
3.3 光老化皮膚の特徴
3.4 基底膜断裂のメカニズム
3.5 線維芽細胞の形態変化と機能低下
3.6 コラーゲン線維の減少メカニズム
3.7 コラーゲン線維の分解を守るデコリン
3.8 エラスチン線維について
3.9 光老化皮膚と血管とリンパ管の状態
3.10 おわりに
4 サンケア化粧料
4.1 サンケア化粧料の重要性
4.2 サンケア化粧料の構成
4.3 サンケア化粧料に求められる要件
4.4 サンケア化粧料の効果の測定法と表示法
4.5 まとめ
5 毛髪用化粧品
5.1 はじめに
5.2 ヘアケア製品
5.3 頭皮ケア商品
5.4 育毛製品
5.5 男性の薄毛の特徴と対応する育毛剤
5.6 女性の薄毛の特徴と対応する育毛剤
5.7 育毛研究の現状と今後の方向性
5.8 おわりに
第2章 化粧品開発に関わる安全性評価
1 化粧品および化粧品原料の安全性評価
1.1 はじめに
1.2 化粧品および化粧品原料に求められる安全性水準
1.3 化粧品ならびに化粧品原料の安全性に関する規制
1.4 化粧品および化粧品原料の安全性評価指針
1.5 化粧品原料の安全性評価
1.6 化粧品製品の安全性評価
1.7 製造販売後の安全管理
1.8 おわりに
2 医薬部外品申請における安全性評価方針
2.1 医薬部外品
2.2 安全性資料
2.3 昨今の動向
2.4 有効性試験
2.5 製造販売後安全管理
2.6 おわりに
【第Ⅱ編 化粧品骨格材料】
第3章 化粧品骨格原料総論
1 両親媒性脂質の自己組織化と機能発現
1.1 はじめに
1.2 脂質の自己組織化と角層バリアの構築
1.3 両親媒性物質の自己組織化
1.4 両親媒性脂質の皮膚外用剤への応用
1.5 おわりに
2 界面活性剤総論
2.1 界面活性剤と化粧品
2.2 界面活性剤の分子構造,種類と基本的な性質
2.3 化粧品における界面活性剤の変遷と用途
2.4 機能性素材としての界面活性剤
第4章 油脂・ポリマー
1 酸化亜鉛を含む顔料を配合したO/W乳化物の機能を高めるAvalureTM Flex-6Polymer
1.1 はじめに
1.2 AvalureTM Flex-6 Polymer
1.3 Carbopol® Aqua SF-1 OS Polymer
2 肌への密着性を高める新規アミドプロパンジオール型シリコーンポリマー
2.1 開発の背景
2.2 CELAMPHI® C02MDU(開発品)について
2.3 CELAMPHI® C02MDU(開発品)の機能性
2.4 おわりに
3 超高分子サクランの化粧品への展開
3.1 はじめに
3.2 スイゼンジノリとサクラン
3.3 サクラン水溶液の効果
3.4 サクランとポリオールの相互作用
3.5 おわりに
4 セルロースナノファイバーからなる増粘剤「レオクリスタ」
4.1 はじめに
4.2 セルロースの新たな利用方法,セルロースナノファイバー
4.3 レオクリスタの特長
4.4 おわりに
5 植物性シリコーン代替素材の開発とその応用
5.1 はじめに
5.2 植物性シリコーン代替素材について
5.3 ヘアケア化粧品への応用
5.4 メイクアップ,スキンケア化粧料への応用
5.5 おわりに
第5章 粉体
1 近赤外線カット材料
1.1 はじめに
1.2 酸化チタンの性質
1.3 近赤外線カット材料の設計
1.4 赤外線反射酸化チタンの近赤外線反射特性
1.5 化粧品への応用
1.6 おわりに
2 カニ殻由来の機能性素材「キチンナノファイバー」の製造と美容効果
2.1 はじめに
2.2 カニ殻より単離される「キチンナノファイバー」
2.3 キチンナノファイバーの特徴
2.4 美容と健康を促進するキチンナノファイバー
2.5 おわりに
【第Ⅲ編 皮膚への機能性原料】
第6章 肌荒れ改善剤・抗炎症剤
1 スリミングとスキンケア機能を併せもつ化粧品原料~新規カルニチン誘導体Hi-カルニチンの開発~
1.1 はじめに
1.2 Hi-カルニチンとは
1.3 Hi-カルニチンの生理機能
1.4 おわりに
2 新コンセプトの製剤開発を可能にするビタミンC誘導体
2.1 はじめに
2.2 Amitose VCシリーズについて
2.3 各種グリセリルアスコルビン酸の有用性について
2.4 おわりに
3 植物抽出物によるリシルオキシダーゼの再活性化並びに,表皮角化細胞の接着及び分化プロセスにおける有用性の研究と報告
3.1 はじめに
3.2 創薬手法と結果
3.3 Ⅰ型コラーゲンの産生に関する追補in vitro評価
3.4 結論
4 表皮・角層ケアのための馬鈴薯澱粉由来機能性素材「リン酸化オリゴ糖カルシウム(POs-Ca®)」
4.1 はじめに
4.2 培養ヒト表皮ケラチノサイトを用いた有用性評価試験
4.3 培養ヒト皮膚3次元モデルを用いた皮膚浸透性試験
4.4 ヒト皮膚への連用塗布試験
4.5 おわりに
5 環境ストレス(表皮-免疫クロストーク)にアプローチする新規ビタミンB5誘導体NIKKOLパントベール
5.1 はじめに
5.2 環境ストレスの原因
5.3 環境ストレスによる皮膚への影響
5.4 環境ストレスに対するNIKKOLパントベール(新規ビタミンB5誘導体)の有用性
5.5 おわりに
6 無刺激化粧品への挑戦〜ロイヤルビオサイトの作用〜
6.1 はじめに
6.2 ロイヤルビオサイトについて
6.3 刺激緩和作用
6.4 おわりに
第7章 美白剤
1 柑橘類に含まれるポリメトキシフラボン(PMF)の美白作用・抗炎症作用
1.1 はじめに
1.2 PMFとは
1.3 PMFの美白作用
1.4 PMFの抗炎症作用
1.5 PMFの基礎化粧品への応用
1.6 おわりに
2 セラミド含有酵母エキスCERAVURE®の有用性
2.1 はじめに
2.2 酵母の選択とエキス化
2.3 CERAVURE®のセラミド
2.4 CERAVURE®の機能性評価
2.5 安全性
2.6 おわりに
3 天然由来エルゴチオネインによる美白作用
3.1 はじめに
3.2 活性酸素と色素沈着
3.3 抗酸化物質エルゴチオネイン
3.4 タモギタケエキスの抗酸化能を美白素材として評価(in vitro)
3.5 おわりに
第8章 老化防止
1 太陽照射,温度変化ストレスから肌を防御するアンチエイジング原料GP4G
1.1 地球上の生命体の進化と,厳しい致死的な条件を生き抜くための適応
1.2 皮膚,ストレス及び環境への適応
1.3 結果
1.4 結論
2 プロテオグリカンの肌若返り効果
2.1 はじめに
2.2 生体機能
2.3 皮膚構造とプロテオグリカン
2.4 化粧品用のプロテオグリカン
2.5 ヒトモニター試験
2.6 まとめ
3 新規両親媒性ビタミンC誘導体VC-3LG
3.1 はじめに
3.2 VC-3LGの生理活性機能①:細胞内抗酸化システム活性化を介した抗酸化作用
3.3 VC-3LGの生理活性機能②:セラミド産生促進作用
3.4 おわりに
第9章 抗酸化剤
1 新しい分散法によるフラーレン化粧品用原料「ヴェールフラーレン®」「モイストフラーレン®」
1.1 はじめに
1.2 ヴェールフラーレン®/Veil Fullerene®:粉末タイプのフラーレン原料
1.3 モイストフラーレン®/Moist Fullerene®:フラーレン内包リポソーム前駆体原料
1.4 おわりに
第10章 防腐剤/防腐成分
1 防腐と微生物試験
1.1 はじめに
1.2 パラベン配合濃度
1.3 防腐剤フリー
1.4 微生物の迅速診断
2 相乗効果を利用した防腐剤フリー処方設計
2.1 はじめに
2.2 NIKKOL ニコガード88の溶解性
2.3 NIKKOL ニコガード88の抗菌作用
2.4 NIKKOL ニコガード88の水系処方への配合
2.5 NIKKOL ニコガード88のスティンギング刺激
2.6 おわりに
3 カプリル酸グリセリルの抗菌特性を活用した新規抗菌製剤の設計
3.1 はじめに
3.2 カプリル酸グリセリル(サンソフトNo.700P-2-C)の抗菌効果
3.3 ポリグリセリン脂肪酸エステルの可溶化特性
3.4 サンピュアラGC(カプリル酸グリセリルの可溶化製剤)の設計
3.5 サンピュアラGCの抗菌効果
3.6 おわりに
第11章 毛髪用素材
1 染毛剤総論
1.1 はじめに
1.2 最近10年の酸化染毛剤の開発動向
1.3 酸化染毛剤の製品開発および有用性評価におけるポイント
1.4 酸化染毛剤の今後の課題
2 毛髪表面親和基剤によるダメージケア技術の開発
2.1 はじめに
2.2 KAO SOFCARE GP-1の分子設計
2.3 ダメージ毛に対する親和性評価
2.4 毛髪表面への吸着状態観察
2.5 サロンテスト
2.6 キューティクルへの作用
2.7 ダメージ毛の強度向上,及び切れ毛防止効果
2.8 まとめ
3 米ポリアミンの毛髪およびまつ毛への美容効果
3.1 はじめに
3.2 オリザポリアミンの発毛促進作用
3.3 毛髪のキューティクル修復作用
3.4 髪質改善効果(ヒトモニター試験)
3.5 おわりに
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