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日本食およびその素材の健康機能性開発《普及版》

Research and Development of Wellness Functions of "Japanese Food" and its Food Materials(Popular Edition)

2016年刊「日本食およびその素材の健康機能性開発」の普及版。
健康食として世界的に注目を集める日本食の素材別および総合的な健康機能を、歴史的文化的背景を交えつつ科学的に紐解いた1冊!

商品コード:
B1398
監修:
矢澤一良
発行日:
2023年2月9日
体裁:
B5判・277頁
ISBNコード:
978-4-7813-1652-9
価格(税込):
5,500
ポイント: 50 Pt
関連カテゴリ:
食品
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)
食品 > 保健機能食品

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キーワード:

機能性食品/和食/日本食/文化/京料理/精進料理/うまみ/出汁/大豆加工品/味噌/醤油/みりん/酢/清酒/緑茶/蒲鉾/漬け物/魚/海藻/貝/エビ/カニ/米/大豆/小豆/ゴマ/ゴボウ/キノコ/ワサビ/ショウガ/ユズ/疫学調査/遺伝子解析

刊行にあたって

 我が国においては、すでに生きるために食べる時代から進化して、健康のために、また疾病予防のために、さらにはQOL 向上のために食品を上手に選択して摂取するようになってきている。ただ単なる寿命を延ばすのではなく、健康でいながら寿命を楽しむ「健康寿命」とは、世界保健機関(WHO)による「健やかに過ごせる人生の長さ」であり、平均寿命と10 年間の開きをもつ健康寿命を引き伸ばして平均寿命に近づけることが「食による予防医学」の一つの目的となる。
 文明の発祥には、「体の健康・脳の機能性・心の健康」が必要要件であり、「日本食」にはそれを担うことのできる科学的根拠と食素材の存在がある。
 「食品の三次機能」を有する機能性食品は六大栄養素のみでは必ずしもヒトの健康を維持できるものではない現代や、その環境の背景において必要とされるプラスアルファの栄養素と定義づけられる。しかもこれまでは第三次機能にあまり関連がないと言われてきた「食品の第二次機能(感性)」も、実際には大きく脳機能を介して健康機能に関与していることが立証されてきている。日本発祥の「うまみ(UMAMI)」の詳細も解明されてきた。うまい、美味しいことが健康に深く関連する。
 「日本食」の多くにその健康機能性が立証され、世界でも認知されてきている。2013 年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことの背景にも、「日本食」の健康機能の高さが無縁ではあるまい。
 この機能性食品を、その予防・改善すべきターゲット別に分類してみると、脳機能の維持や改善、抗加齢(アンチエイジング)、ストレス・過労・過激なスポーツなどにより生ずる活性酸素の消去、血流の改善や心筋機能の維持、骨粗鬆症や関節痛・痛風の予防、便秘改善や腸内細菌のバランス維持、白血球機能の維持や免疫力低下の抑制、アレルギー疾患や炎症の抑制、視力低下や眼精疲労の改善、体力維持(抗疲労や持久力向上)、有害菌の排除、がん予防など、多岐にわたる機能を有する成分や食品素材が存在する。
 日本において伝統的に食されてきた、食品の歴史と食文化をひも解き、その中でエビデンス蓄積のある機能性成分について、今後さらなる科学的研究と開発を願うものである。
 2015年4月に新たな制度として施行された「機能性表示食品」制度においても、食素材としての生鮮食品の登録がなされており、今後の一般消費者の選択肢のより広い「食による予防医学」の実践による、国民の健康福祉・疾病予防・QOL 改善が、医療費の抑制に繋がり、さらに関連産業の振興や市場イノベーションにも繋がることが予測される。
 本書は「日本食」の健康機能性の根拠や味覚などに止まらず、それぞれの日本食素材に、科学的エビデンスを求めてきた方達に執筆をお願いした。(本書「はじめに」より抜粋)

本書は2016年に『日本食およびその素材の健康機能性開発』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

著者一覧


矢澤一良   早稲田大学
宮澤陽夫   東北大学
都築 毅   東北大学大学院
奥田奈賀子  人間総合科学大学
髙村仁知   奈良女子大学
近藤高史   味の素㈱
渡邊敦光   広島大学
古林万木夫  ヒガシマル醤油㈱
髙倉 裕   宝酒造㈱
土田雅士   タマノイ酢㈱
西川 泰   タマノイ酢㈱
上中居和男  タマノイ酢㈱
秦 洋二   月桂冠㈱
山本(前田)万里  (国研)農業・食品産業技術総合研究機構
小野伴忠   岩手大学
鈴木博晶   全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会
松岡寛樹   高崎健康福祉大学大学院
西川正純   宮城大学

福永健治   関西大学
宮下和夫   北海道大学
長阪玲子   東京海洋大学
久保田真敏  新潟大学
門脇基二   新潟大学
村本光二   東北大学
加藤 淳   (地独)北海道立総合研究機構
勝崎裕隆   三重大学大学院
橋本 啓   宇都宮大学
井上淳詞   ㈱あじかん
江口文陽   東京農業大学
奥西 勲   金印㈱
松田久司   京都薬科大学
沢村正義   高知大学
古西正史   NPO法人国連支援交流協会
堀 知佐子  ㈲コウズホーリー;㈱菊の井
林 由佳子  京都大学

執筆者の所属表記は、2016年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

【第I編 総論】
第1章 日本食の遺伝子解析で見た栄養特性
1 はじめに
2 日本食を食事全体で評価したい
3 からだに優しく脂肪がつきにくい日本食
4 伝統的な日本食の良さを生かす

第2章 伝統的日本食の長寿・健康維持効果~現在と過去の日本食の比較試験~
1 はじめに
2 日本食と米国食の比較
3 現代日本食と過去の日本食との比較
4 現代日本食と過去の日本食との比較(老化や寿命に着目して)
5 考察とまとめ

第3章 疫学研究からみた日本人の食生活の特徴と長寿の要因:国際比較とコホート研究の知見から
1 はじめに
2 日本人の食生活の特徴を知るための疫学研究手法:横断研究とコホート研究
3 栄養と血圧に関する国際共同研究INTERMAP
4 国民栄養調査受検者を対象としたコホート研究NIPPON DATA
5 日本人の食習慣の特徴と健康,長寿
 5.1 主要栄養素の摂取と肥満
 5.2 ナトリウム摂取とカリウム摂取
 5.3 脂肪酸,コレステロール摂取
 5.4 米国の高血圧予防食(DASH食)との比較
 5.5 魚介類の摂取
 5.6 野菜の摂取と循環器疾患死亡および食塩摂取との関連
 5.7 牛乳・乳製品摂取と循環器疾患死亡
 5.8 肉の摂取
6 日本人と塩と長寿

第4章 食品の加工・調理過程における食品成分や機能性の変化
1 水分
2 たんぱく質
 2.1 熱による変化
 2.2 pHによる変化
 2.3 その他の変化
3 糖質
 3.1 低分子糖類の変化
 3.2 多糖類の変化
 3.3 食物繊維の変化
4 脂質
5 ビタミン
 5.1 脂溶性ビタミン
 5.2 水溶性ビタミン
6 ミネラル
 6.1 カルシウム
 6.2 鉄
7 嗜好成分
 7.1 色素成分
 7.2 呈味成分
 7.3 におい成分

【第II編 加工食品別機能】
第1章 かつおだし
1 はじめに
2 疲労改善/ストレス緩和に関わる効果
 2.1 運動負荷後の身体疲労回復効果
 2.2 肩こりの改善効果
 2.3 精神作業負荷時の作業効率に対する効果
 2.4 眼精疲労の改善効果
 2.5 日常の気分・感情状態(とくに疲労感)の改善効果
 2.6 肌状態改善効果
 2.7 血流および血液流動性の改善効果
 2.8 抗酸化作用
 2.9 フリーラジカル補足活性
 2.10 高血圧の抑制
3 減塩効果/塩味増強効果
4 最近発見されたかつおだしの機能性
 4.1 健康人の胃腸機能に対する効果
 4.2 心(情動)に対する効果
5 おわりに

第2章 昆布出汁,昆布加工食品(とろろ昆布)の健康機能
1 昆布出汁の食品の第二次機能「旨味」を介する健康機能
2 昆布の主成分と「とろろ昆布」
3 昆布の血糖値上昇抑制作用
4 昆布の脂質代謝改善作用
5 とろろ昆布の他の健康機能
6 おわりに

第3章 味噌
1 はじめに
2 味噌による放射線防御作用ならびにがん予防効果
3 味噌の塩分について
4 昔ながらの味噌造り
5 有効成分の検討
6 日本人のがんについて
7 まとめ

第4章 醤油
1 はじめに
2 醤油原料のアレルゲン分解
3 ピロリ菌増殖抑制効果
4 抗酸化作用
5 淡口醤油の減塩調理機能
6 抗アレルギー作用
 6.1 醤油多糖類SPS
 6.2 醤油乳酸菌
7 鉄分吸収促進作用
8 中性脂肪低下作用
9 血圧降下作用
 9.1 γ-アミノ酪酸
 9.2 大豆ペプチド
10 おわりに

第5章 本みりん
1 はじめに
2 本みりんの原料
 2.1 もち米
 2.2 米麹
 2.3 焼酎またはアルコール
 2.4 その他の原料
3 本みりんの製造
 3.1 製造方法
 3.2 成分
4 本みりんの調理機能
 4.1 てりつやの付与
 4.2 味の浸透性の向上
 4.3 消臭
 4.4 煮崩れ防止
 4.5 エキス成分の溶出抑制
 4.6 その他の調理効果
5 本みりんの調理機能強化

第6章 酢
1 はじめに
 1.1 酢の歴史
 1.2 食酢の製法
 1.3 酢酸菌
 1.4 表示
2 食酢の調理効果
 2.1 呈味作用
 2.2 静菌・殺菌作用
 2.3 pH低下作用
 2.4 中和作用
 2.5 溶解作用
3 食酢の機能
 3.1 黒酢
 3.2 りんご酢
 3.3 ぶどう酢
 3.4 豆酢
 3.5 柿酢
 3.6 きび酢
 3.7 紅酢
 3.8 スイカ酢
4 おわりに

第7章 清酒
1 はじめに
2 醸造食品の機能性
3 清酒の機能性研究
4 酒粕ペプチド
5 フェリクリシン
6 最後に

第8章 緑茶
1 緑茶
2 茶葉中成分
3 機能性
 3.1 抗酸化作用
 3.2 抗がん作用
 3.3 生活習慣病予防作用
 3.4 抗アレルギー作用
 3.5 その他の機能性

第9章 大豆加工食品
1 大豆加工の意義
 1.1 加熱
 1.2 塩類の添加
 1.3 発酵
2 各種大豆食品
 2.1 枝豆
 2.2 炒り豆,きな粉
 2.3 煮豆
 2.4 豆乳
 2.5 豆腐
 2.6 湯葉
 2.7 凍り豆腐
 2.8 納豆
 2.9 発酵豆乳
 2.10 豆腐よう

第10章 かまぼこなど練り製品
1 はじめに
2 かまぼこなど練り製品の栄養性
3 かまぼこの健康機能性
 3.1 抗酸化活性
 3.2 血圧上昇抑制作用
 3.3 脂質代謝改善
 3.4 糖尿病予防
 3.5 抗がん作用
 3.6 脳機能活性化
4 かまぼこの消化性
5 おわりに

第11章 漬物
1 漬物の歴史
2 漬物の定義
3 漬物の分類
4 漬物の機能性
 4.1 漬物の食物繊維とその機能
 4.2 発酵漬物の機能
 4.3 浅漬の機能
 4.4 たくあん漬けの黄変化に関わる辛味成分の変化と抗酸化機能
 4.5 たくあん漬け製造時におけるGABA蓄積

【第III編 素材別機能】
第1章 魚(脂肪酸)
1 はじめに
2 魚の脂質
3 EPAとDHAの効果効能
4 EPAとDHAの作用メカニズム
5 EPAとDHA研究の新たな展開
6 おわりに

第2章 魚(魚肉タンパク質)
1 はじめに
2 魚肉タンパク質の特性
3 魚肉タンパク質の栄養価
4 魚肉タンパク質の機能性
 4.1 魚肉タンパク質の血清コレステロール低下作用
 4.2 プロタミンの血清コレステロール濃度低下作用
 4.3 魚肉タンパク質の血圧低下作用
 4.4 魚肉タンパク質の血液凝固抑制,血栓溶解作用
 4.5 魚肉タンパク質を原料にした機能性物質の創生
 4.6 魚肉濃縮タンパク質
 4.7 魚肉タンパク質の糖修飾
 4.8 不凍タンパク質
 4.9 その他
5 おわりに

第3章 海藻
1 海藻とは
2 日本食の中での海藻
3 海藻の食物繊維とミネラル
4 海藻のタンパク質と脂質
5 海藻の食素材としての活用

第4章 貝・エビ・カニ
1 はじめに
2 貝の栄養とその機能
3 エビ・カニの栄養とその機能

第5章 米
1 はじめに
2 米胚乳タンパク質とは
3 脂質代謝改善作用
4 糖尿病および糖尿病性腎症進行遅延作用
5 その他の生理学的機能性
6 おわりに

第6章 大豆
1 はじめに
2 大豆の栄養性
3 特定保健用食品と大豆
4 大豆イソフラボン
5 長寿食とポリアミン
6 大豆に含まれるフィトケミカル
7 抗栄養素の多面的な活性
8 加工や調理によって変化する栄養・機能成分
9 育種や遺伝子改変による成分の変化
10 大豆食品の消費拡大にむけて

第7章 小豆・インゲン豆
1 はじめに
2 一般成分
3 食物繊維
4 抗酸化活性
5 小豆の生理機能
6 インゲン豆の生理機能
7 おわりに

第8章 ゴマリグナン類の機能性
1 ゴマについて
2 ゴマの機能性研究のはじまり
3 ゴマリグナンとは
4 セサミンの生物機能
 4.1 多価不飽和脂肪酸バランスへの効果
 4.2 脂肪酸の合成と分解への効果
 4.3 コレステロール低下作用
 4.4 アルコール代謝改善効果
 4.5 抗高血圧
 4.6 ビタミン増強調節作用
5 ゴマ食や他のゴマリグナンの機能
6 ゴマリグナン類の抗酸化機能
 6.1 ゴマリグナンの抗酸化機能
 6.2 ゴマリグナン配糖体の抗酸化機能
7 最後に

第9章 ダイコン
1 はじめに
2 ダイコンの成分
3 イソチオシアナート
 3.1 グルコシノレート
 3.2 ミロシナーゼ
 3.3 グルコシノレートやミロシナーゼの分布
 3.4 グルコシノレートとイソチオシアナートの機能性
4 糖・有機酸
 4.1 糖・有機酸がダイコンの味に及ぼす影響
 4.2 ジアスターゼ
5 抗酸化成分
 5.1 アントシアニン
 5.2 ヒドロキシケイ皮酸
6 葉,種子の成分
7 最後に

第10章 ごぼう
1 はじめに
2 食物繊維
3 ごぼうの機能性成分
4 ごぼうの素材開発とその利用
 4.1 焙煎ごぼう
 4.2 発酵ごぼう
5 おわりに

第11章 きのこ
1 はじめに
2 からだに役立つきのこの成分を利用する
3 きのこの機能を引き出したアイデア商品
4 えのき氷の多機能性
5 健康維持のために摂食したいきのこの量とは
6 おわりに

第12章 ワサビ
1 はじめに
2 ワサビの主要な機能性成分
3 ワサビの機能性
 3.1 AITCの機能性
 3.2 6-MSITCの機能性
 3.3 ワサビ葉成分の機能性
 3.4 6-MTITCの機能性
4 おわりに

第13章 ショウガの生体機能
1 はじめに
2 含有成分と乾燥過程における成分変化
3 薬理学的研究
 3.1 鎮嘔作用
 3.2 消化管に対する作用
 3.3 解熱作用,鎮痛作用,抗炎症作用
 3.4 TRPV1刺激作用
 3.5 その他

第14章 ユズ
1 来歴
2 分類
3 部位と成分
4 搾汁
5 利用・加工
6 機能性
 6.1 果汁
 6.2 精油
7 資源の有効利用
 7.1 果皮
 7.2 種子
8 海外展開

【第IV編 将来展望】
第1章 「和食文化」が海外の食生活に影響を及ぼし生み出す健康未来像
1 はじめに
2 「和食」のユネスコ無形文化遺産登録
3 「和食」における「出汁」の役割
4 一汁三菜の完成
5 江戸のパブリックリレーション
6 健康コンテンツ「和食」の海外発信
 6.1 インバウンド観光客へ提案
 6.2 和食文化を世界に広げるトマト
7 「和食文化」が生み出す海外の食生活の健康未来像
8 国連支援交流協会

第2章 京料理と健康機能

第3章 「うまみ(UMAMI)」の世界への発信
1 はじめに
2 欧米での鰹節輸入への対応
3 だしの機器測定
4 茶のうま味

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