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次世代蛍光体材料/単粒子診断法/結晶サイト工学/メルト合成/マイクロリアクターUHDTV広色域表色系ディスプレイ/広色域 LCD/量子ドット/フッ化物赤色蛍光体/第一原理計算/YAG 単結晶蛍光体/放射線検出用蛍光体/近赤外蛍光イメージング/超残光YAG蛍光体/レアアースフリー/ゼオライト蛍光体/遷移金属蛍光体/Cdフリー量子ドット/ドープ型量子ドット/ナノシート蛍光体/酸窒化物・窒化物ナノ蛍光体
刊行にあたって
本書籍では、「次世代蛍光体材料の開発」というタイトルのもと、近年の蛍光体材料の開発動向を取り扱うことにいたしました。青色LEDや近紫外LEDで励起できる新しい蛍光体材料を見つけ出すことは、大きなテーマであります。そこで、第1編では、新たな提案として注目される探索法として、単粒子診断法、サイト工学的な手法、メルト合成による手法、マイクロリアクターを活用した手法、理論的探索法を取り上げました。第2編では、エレクトロニクス分野で求められる蛍光体に注目しました。とくに、広色域ディスプレイを実現するために、バックライト用LEDの開発が進んでいます。緑色と赤色の蛍光体の色純度を高めることが大きな課題となっています。そこで、急速に普及の進んでいるKSF蛍光体(K2SiF6:Mn4+)や注目されている量子ドット蛍光体などを用いたLEDのディスプレイ特性を取り上げました。第3編では、新しい分野で期待の高まる蛍光体やレアアースフリーの蛍光体に注目しました。医療分野ではイメージングが広く普及しておりますが、検出器で用いられるシンチレータと、生体組織を可視化する量子ドットを取り上げました。また、青色LED用の超残光蛍光体や構造物の状態を可視化する蛍光体も取り上げました。第4編では、ナノ蛍光体の進展としてCuInS2量子ドットおよびドープ型量子ドットの近年の状況を取りまとめるとともに、2次元形態をもつ新規なナノシート蛍光体および酸窒化物・窒化物ナノ蛍光体を紹介しました。(「刊行にあたり」より一部抜粋)
本書は2016年に『次世代蛍光体材料の開発』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。
著者一覧
磯部徹彦 慶應義塾大学 武田隆史 物質・材料研究機構 佐藤泰史 岡山理科大学 冨田恒之 東海大学 小林 亮 東北大学 加藤英樹 東北大学 垣花眞人 東北大学 金善旭 新潟大学 長谷川拓哉 新潟大学 戸田健司 新潟大学 佐藤峰夫 新潟大学 大倉 央 メルク㈱ 石垣 雅 鳥取大学 大観光徳 鳥取大学 三上昌義 ㈱MCHC R&Dシナジーセンター 正岡顕一郎 日本放送協会 楠木常夫 デクセリアルズ㈱ 伊藤 靖 デクセリアルズ㈱ 宮永昭治 NSマテリアルズ㈱ | 和泉 真 シャープ㈱ 吉村健一 シャープ㈱ 小笠原一禎 関西学院大学 島村清史 物質・材料研究機構 Encarnación G Víllora 物質・材料研究機構 猪股大介 ㈱タムラ製作所 飯塚和幸 ㈱タムラ製作所 吉川 彰 東北大学 神 隆 理化学研究所 上田純平 京都大学大学院 田部勢津久 京都大学大学院 徐超男 産業技術総合研究所 立山 博 産業技術総合研究所 松枝直人 愛媛大学大学院 松嶋雄太 山形大学 磯 由樹 慶應義塾大学 王浩浩 東京工業大学 和田裕之 東京工業大学 |
執筆者の所属表記は、2016年当時のものを使用しております。
目次 + クリックで目次を表示
第1章 単粒子診断法
1 はじめに
2 新蛍光体母体を用いた新蛍光体開発
3 単粒子診断法
4 単粒子診断法を用いた新蛍光体開発の実際
4.1 Ba3N2-Si3N4-AlN擬三元系
4.2 Ba3N2-Si3N4-AlN-Li3N擬四元系
5 まとめと展望
第2章 結晶サイト工学を用いた蛍光体の物質探索法―Eu2+賦活オルソシリケート蛍光体を例として―
1 はじめに
2 「結晶サイト工学」の概念と蛍光体物質探索への適用
3 試料の合成手順と評価方法
4 結晶サイト工学を用いた新規酸化物蛍光体の探索と発光特性の評価
4.1 Ca2SiO4系における結晶多形とその制御
4.2 Eu2+賦活Ca2SiO4でのβ→α′L相転移と発光波長の長波長シフト
4.3 高濃度Eu2+賦活α′L–Ca2SiO4における赤色発光の発現
4.4 Eu2+を高濃度に賦活したα′L–Ca2SiO4の赤色発光とEu2+が占有する結晶サイトとの関係
4.5 Eu2+を高濃度に賦活したα′L–Ca2SiO4の赤色発光の起源
4.6 Sr2SiO4:Eu2+における結晶サイトと発光波長の長波長化
5 おわりに
第3章 メルト合成法による白色LED用新規蛍光体の高速探索法
1 はじめに
2 メルト法
3 集光炉(光溶融アークイメージ炉)
4 メルト法による新規蛍光体の高速探索
第4章 マイクロリアクター法による組成・合成条件の最適化法
1 はじめに
2 MR・コンビナトリアル合成装置の特徴
3 MR・コンビナトリアル合成装置を利用した新規多元化合物蛍光体の探索例
4 MR法によるYAG:Ceの合成と粒子サイズの制御
5 MR法によるYVO4:Bi,Euナノ粒子蛍光体の合成
6 まとめ
第5章 理論的探索法
1 はじめに
2 Ce3+/Eu2+4f・5d準位の決定要因
3 母体硬さと温度特性に関する再考
4 Eu2+/Ce3+付活モデル計算によるアプローチ
4.1 Ba3Si6O12N2:Eu2+とBa3Si6O9N4:Eu2+の場合
4.2 La3Si6N11:Ce3+とLaSi3N5:Ce3+の場合
5 今後の方向性に関する私見
【第2編 次世代エレクトロニクス用蛍光体】
第1章 UHDTV広色域表色系とディスプレイの設計
1 はじめに
2 UHDTV表色系
2.1 要求条件
2.2 広色域化の方法選定
2.3 設計
2.3.1 現行映像システムの色域包含
2.3.2 等色相条件
2.3.3 デバイス実現可能性
2.4 標準化
3 広色域ディスプレイの開発
3.1 非単波長RGB光源の色度シミュレーション
3.2 実在する色の包含
4 色域包含率計算基準
5 まとめ
第2章 広色域LCDを実現する蛍光体シート
1 はじめに
2 広色域を実現する為の蛍光体シートの活用
3 硫化物蛍光体シートとその特性
4 色域と輝度効率の両立
5 蛍光体シート用硫化物蛍光体について
6 硫化物蛍光体合成方法
7 硫化物蛍光体光学特性
7.1 発光特性
7.2 温度特性
8 信頼性
9 おわりに
第3章 次世代ディスプレイを実現する量子ドット蛍光体
1 はじめに
2 量子ドットとは
3 QDの作製と設計
4 液晶ディスプレイ(LCD)向け白色バックライトへのQD応用
5 量子ドットを用いた直接発光型ディスプレイQLED(量子ドットLED)について
6 課題とまとめ
第4章 フッ化物赤色KSF蛍光体:バックライトLEDへの適用
1 はじめに
2 KSF蛍光体(K2SiF6:Mn4+)
3 KSF蛍光体の液晶バックライトLED応用
4 Sharp βサイアロン蛍光体とKSF蛍光体を組み合わせたバックライトLED
4.1 Sharp βサイアロンの合成
4.2 ディスプレイ特性の試算
4.3 KSF蛍光体とSharp βサイアロン蛍光体を用いたバックライトLEDの試作
5 おわりに
第5章 新規Mn4+賦活酸化物蛍光体の材料設計に向けた多重項エネルギーダイアグラムの第一原理計算に基づく構築
1 はじめに
2 d3イオンのエネルギー準位構造
3 第一原理計算によるダイアグラムの作成
4 DVME法
5 CrO6クラスターのダイアグラム
6 共有結合性と電子相関の効果
7 MnO6クラスターのダイアグラム
8 おわりに
第6章 高輝度白色照明用の単結晶蛍光体
1 はじめに
2 単結晶蛍光体という新しいコンセプト:単結晶蛍光体
3 黄色の単結晶蛍光体
4 緑色の単結晶蛍光体
5 赤色の単結晶蛍光体を目指して
6 粉末状単結晶蛍光体
7 高強度青色照射下での温度安定性
8 まとめ
【第3編 次世代機能性蛍光体】
第1章 放射線検出用無機シンチレータ
1 はじめに
2 シンチレータ(scintillator)
2.1 無機シンチレータの発光原理
2.2 X線、γ線用シンチレータ
2.2.1 NaI、CsI単結晶
2.2.2 CWO、PWO単結晶
2.2.3 BGO単結晶
2.2.4 希土類5d-4f遷移Ce系、Pr系、Eu系単結晶
2.2.5 高速応答する無機シンチレータ結晶
2.2.6 セラミックス
第2章 近赤外蛍光イメージング用量子ドット
1 はじめに
2 近赤外発光量子ドットの合成法
2.1 CdSeTe/CdS量子ドット
2.2 PbS量子ドット
3 生体蛍光イメージングへの応用1(生体の第1光学窓)
4 生体蛍光イメージングへの応用2(生体の第2光学窓)
4.1 リンパ節
4.2 脳血管
4.3 免疫細胞
5 おわりに
第3章 青色蓄光可能なCe3+添加ガーネット長残光蛍光体
1 長残光蛍光体とは
2 長残光蛍光体の課題
2.1 蓄光可能励起波長の長波長化
2.2 残光色のバリエーション
2.3 長残光輝度と残光時間の向上
2.4 化学的耐久性
3 Ce3+添加ガーネット蛍光体
4 電子トラップ中心
5 Y3Al5-xGaxO12:Ce3+-Cr3+長残光蛍光体
6 おわりに
第4章 応力発光体の誕生からその応用展開
1 はじめに
2 応力発光のメカニズム
3 紫外光から近赤外光まで発光する応力発光体の多色性
4 応力発光センサの測定原理
5 応力発光センサの種類
6 応力発光センサを用いた応力発光計測システムの構築
7 金属構造体の破壊予知のための応力発光計測システムを用いた疲労亀裂の可視化
8 トンネル内岩盤崩落予知を目的とした応力発光計測システムによる安全管理
9 応力計測システムを用いた供用中の橋梁リアルタイム監視
10 地震に対する応力発光計測システムを用いた構造体の損傷評価
11 今後の展開
第5章 レアアースフリー銀含有ゼオライト蛍光体
1 はじめに
2 ゼオライトの構造および性質
3 銀担持ゼオライトの発光挙動
3.1 銀クラスターの発光
3.2 銀担持ゼオライトの発光
第6章 レアアースフリー3d遷移金属蛍光体
1 3d遷移金属蛍光体と希土類蛍光体
2 代表的な3d遷移金属蛍光体
2.1 d-d遷移に基づく3d遷移金属蛍光体:発光中心 Cr3+,Mn2+,Mn4+,Fe3+
2.2 バナジン酸塩化合物蛍光体:発光中心 VO43-,V2O74-,VO3-
2.3 酸化亜鉛蛍光体
3 青色光(450 nm)励起への応用
4 最後に
【第4編 次世代ナノ蛍光体】
第1章 CdフリーCuInS2量子ドット
1 CIS量子ドットの蛍光メカニズム
2 CIS量子ドットの液相合成
3 CIS量子ドットの高耐光性化
4 まとめ
第2章 ドープ型量子ドット
1 はじめに
2 成長ドーピング法
3 核生成ドーピング法
4 まとめ
第3章 ナノシート蛍光体
1 はじめに
2 ナノシート蛍光体の作製方法
2.1 ボトムアップ法
2.2 トップダウン法
3 ナノシート蛍光体を利用した波長変換膜の作製事例
4 ナノシート蛍光体の展望
第4章 酸窒化物・窒化物ナノ蛍光体 Oxynitride and Nitride Nanophosphor
1 はじめに
2 Ca2Si5N8:Eu2+,Tm3+ナノ粒子
2.1 ナノ粒子生成
2.2 光学特性
3 Ca-α-SiAlON:Eu2+ナノ粒子
3.1 ナノ粒子生成
3.2 光学特性
4 AlN:Eu2+ナノ粒子
4.1 ナノ粒子生成
4.2 光学特性
5 応用
6 まとめ
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