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医療用バイオマテリアルの研究開発《普及版》

Research and Development of Biomaterials for Medical Applications(Popular Edition)

2017年刊「医療用バイオマテリアルの研究開発」の普及版。
生体適合性高分子材料の開発の歴史から、臨床応用を目指した研究やその実用例までを紹介した1冊。

※こちらの商品は弊社電子書籍専用販売サイト「CMCeBook」にて電子版(DL版)を販売しております。電子版(DL版)のご注文はコチラ(別サイトに移動します)

商品コード:
B1424
監修:
青柳隆夫
発行日:
2023年12月7日
体裁:
B5判・258頁
ISBNコード:
978-4-7813-1715-1
価格(税込):
4,290
ポイント: 39 Pt
関連カテゴリ:
バイオテクノロジー
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)
バイオテクノロジー > バイオマテリアル・バイオミメティクス

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キーワード:

生体親和性/生体吸収性/生体接着性/埋植型医療/手術用接着剤/抗血栓性/バイオマテリアルインフォマティクス/生体適合性高分子材料/ポリアリルエーテルケトン/ポリエーテルエーテルケトン/ハイドロキシアパタイト/骨再生/綿形状人工骨/ポリ乳酸/人工骨/人工臓器/リビング重合/防御反応/血管ステント/シリコーンハイドロゲル/内視鏡的粘膜下層剥離術/徐放性/角膜再生/医療用不織布/心臓修復パッチ/酸素透過性/医療機器部材

刊行にあたって

 今回、シーエムシー出版からの生体適合性材料に関する書籍を出版したいので協力して欲しい旨の要請があった。私自身振り返ってみると、三十数年前に大学の研究室に配属になって、血液適合性材料研究に加わる機会を得て以来、生体関連への応用を目指した高分子材料の設計と合成および評価に関わってきている。当時は未知の生体への挑戦というワクワク感を持ったことを今でも記憶している。生体適合性を如何に獲得するか、様々なアプローチが行われてきた。細胞生物学、分子生物学、生化学などのバイオ関連の研究領域の急速な発展は、生体と人工材料との界面で起こる現象の理解を助けたのは事実である。出版の話をお聞きした時は、正直、何でいまさら成書が必要かと思うと同時に、バイオマテリアル学会をはじめ関係学会に参加して、既に議論されてしまったテーマを蒸し返したような研究を若い世代の研究者や学生さんが発表する場面を思い出し、これから研究に携わる人が生体適合性研究の歴史を理解し、それを克服するような研究をさらに展開して欲しいという思いから、出版に協力させて頂くことにした。
 自身が大学の研究室に入室した当時は、セグメント化ポリウレタン、親水性‐疎水性ミクロ相分離構造など、いわゆる多相系材料をベースとした生体適合性高分子材料研究が行われていた。多数の研究者の興味を大いに引き、界面における水の構造の理解、高分子合成分野における精密重合法の積極的な応用など本分野を支える理工学側材料研究の進展も、優れた生体適合性材料の開発に大きな後押しになったと思う。本分野の黎明期は医学と理工学との境界領域の研究として、取り上げられていた。昨今、境界領域という言葉は死語であろう。再生医療の発展と材料研究はいわば車の両輪であり切っても切れない関係にあることは、この分野の研究者のすでに共通認識である。
 本書では、生体適合性を獲得の歴史から最先端の材料やデバイスまで、臨床応用されるまでの審査や規制も含めて一冊でカバーできるような内容になっている。長年の多くの研究を理解し、これまで想像できなかったような研究を開拓するためのハンドブックとして多くの若い研究者の参考にして頂きたいと切に願う次第である。(本書「刊行にあたって」より)

本書は2017年に『医療用バイオマテリアルの研究開発』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

著者一覧


青柳隆夫   日本大学
中岡竜介   国立医薬品食品衛生研究所
迫田秀行   国立医薬品食品衛生研究所
植松美幸   国立医薬品食品衛生研究所
宮島敦子   国立医薬品食品衛生研究所
野村祐介   国立医薬品食品衛生研究所
蓜島由二   国立医薬品食品衛生研究所
伊佐間和郎  帝京平成大学
岩崎清隆   早稲田大学
梅津光生   早稲田大学
田中 賢   九州大学;山形大学
蟹江 慧   名古屋大学
成田裕司   名古屋大学医学部付属病院
加藤竜司   名古屋大学
石原一彦   東京大学
馬場俊輔   大阪歯科大学
橋本典也   大阪歯科大学
笠原真二郎  日本特殊陶業㈱
築谷朋典   国立循環器病研究センター研究所
伊藤恵利   ㈱メニコン;名古屋工業大学
荒雅 浩   ㈱ジェイ・エム・エス
大矢裕一   関西大学
水田亮    筑波大学;物質・材料研究機構
田口哲志   物質・材料研究機構;筑波大学
鈴木 治   東北大学

穴田貴久   東北大学
小山義之   結核予防会 新山手病院
伊藤智子   結核予防会 新山手病院
江里口正純  結核予防会 新山手病院
松村和明   北陸先端科学技術大学院大学
玄丞烋    京都工芸繊維大学
伊藤壽一   滋賀県立成人病センター研究所
岩井聡一   大阪大学
石原雅之   防衛医科大学校
新山瑛理   物質・材料研究機構;筑波大学
宇都甲一郎  物質・材料研究機構
荏原充宏   物質・材料研究機構;筑波大学;東京理科大学
小林尚俊   物質・材料研究機構
玉田 靖   信州大学
武岡真司   早稲田大学
木村俊作   京都大学
辻本洋行   同志社大学
高木敏貴   同志社大学
萩原明於   同志社大学
岡村陽介   東海大学
中澤靖元   東京農工大学
牧田昌士   ORTHOREBIRTH㈱
西川靖俊   ORTHOREBIRTH㈱
春日敏宏   名古屋工業大学

執筆者の所属表記は、2017年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

【第1編 生体適合性高分子材料の基礎】
第1章 生体適合性高分子材料の種類と特徴
1 はじめに
2 生体適合高分子材料の開発の歴史
3 水の構造に着目したバイオインターフェース
4 ポリマーの精密重合と表面の構築
5 炎症反応に着目した血液適合性材料開発
6 最後に

第2章 生体適合性材料の評価方法とその標準化
1 はじめに
2 医用材料の種類
 2.1 金属材料
 2.2 セラミックス材料
 2.3 ポリマー(高分子)材料
3 医用材料の生体適合性
 3.1 生体安全性について
 3.2 生体適合性について
4 国際標準化
5 おわりに

第3章 生体内劣化評価法の開発
1 はじめに
2 人工関節における超高分子量ポリエチレンのガンマ線照射に伴う劣化
3 超高分子量ポリエチレンの生体脂質による劣化
4 生体吸収性材料
5 まとめ

第4章 血液適合性評価法の開発
1 はじめに
2 ホリゾンタル試験法
 2.1 溶血性試験
  2.1.1 現行公定法
  2.1.2 簡易溶血性試験法
  2.1.3 陽性対照材料
 2.2 血栓性試験
  2.2.1 血液側からの評価法
  2.2.2 材料側からの評価法
3 分子動力学的シミュレーションを利用した材料評価
4 Engineering-based Medicineに基づく血液適合性試験
 4.1 左心補助人工心臓用脱血管のin vitro血栓性試験法
 4.2 持続的血液濾過器のin vitro血栓性試験法
5 おわりに

【第2編 医療機器部材用材料の開発】
第1章 Poly(ω-methoxyalkyl acrylate)類の抗血栓能
1 はじめに
2 医療機器の表面で起こる現象
3 タンパク質の吸着現象-吸着と構造変化
4 材料に含水した水の状態の解析
5 材料表面に存在する中間水の役割
6 抗血栓性高分子の設計
7 おわりに

第2章 インフォマティクスを活用した細胞選択的ペプチド被覆型医療機器材料の設計
1 背景〜体内埋め込み型医療機器材料の現状〜
2 医療機器材料としてのペプチド
 2.1 細胞接着ペプチド被覆型医療材料
 2.2 細胞を用いたペプチドアレイ探索
 2.3 細胞選択的ペプチド
3 細胞選択的ペプチドの探索と医療機器材料開発に向けて
 3.1 クラスタリング手法を用いたEC選択的・SMC選択的ペプチドの探索
 3.2 BMPタンパク質由来の細胞選択的骨化促進ペプチドの探索
 3.3 ペプチド-合成高分子の組み合わせ効果による細胞選択性
4 まとめ

第3章 スーパーエンジニアリングプラスチック表面への生体親和性修飾
1 エンジニアリングプラスチックとしてのポリアリルエーテルケトン
2 PEEKの化学構造に着目した自己開始光グラフト重合法
3 自己開始光グラフト重合法によるPEEK表面へのポリマー層の構築
 3.1 自己開始光グラフト重合
 3.2 各種のグラフトポリマー層を有するPEEKの表面特性
4 ポリマーグラフト層を持つPEEK表面の生体親和性
 4.1 医療デバイスを作るバイオマテリアルの生体親和性の必要性
 4.2 リン脂質ポリマーをグラフトしたPEEK表面の生体親和性
  4.2.1 血漿からのタンパク質吸着
  4.2.2 血小板多血漿からの血小板粘着
  4.2.3 細菌付着性の評価
5 おわりに

第4章 ポリエーテルエーテルケトン多孔体の骨造成能
1 はじめに
2 ポリエーテルエーテルケトンとは
3 PEEKへの骨結合性の付与
4 表面発泡PEEKの開発
5 PEEK製 歯槽骨再建材のコンセプト
6 PEEK多孔体の作製
7 ウサギ大腿骨骨欠損モデルを用いた表面発泡 PEEK多孔体の骨造成
8 おわりに

第5章 心不全治療と人工心臓
1 はじめに
2 補助人工心臓の目的
3 補助人工心臓システムの構造とマテリアル
4 空気圧駆動式補助人工心臓システム(ニプロVAS)
5 体内植込み型補助人工心臓(EVAHEART)
6 体内植込み型補助人工心臓の課題
7 まとめ

第6章 脂質付着抑制能をもつ両親媒性高分子材料の開発
1 はじめに
2 シリコーンハイドロゲル素材の主成分
 2.1 シリコーン成分
  2.1.1 変性ポリシロキサン
  2.1.2 シリコーンモノマー
 2.2 親水性成分
3 シリコーンハイドロゲル素材の特徴
 3.1 酸素透過性
 3.2 水溶性物質透過性
 3.3 タンパク質付着
4 シリコーンハイドロゲル素材の課題
 4.1 脂質付着
 4.2 透明性
 4.3 透明性と脂質付着抑制の系譜
  4.3.1 DMAAの活用とその課題
  4.3.2 相分離サイズスケールの原因追跡とNMMPの活用
5 おわりに

第7章 Legacoat技術による人工心肺回路の血液適合性向上
1 はじめに
2 血液適合性コーティング「Legacoat」
 2.1 MPCポリマーについて
 2.2 コーティング技術に求められる要求事項
3 「Legacoat」の効果
4 まとめ

【第3編 ゲル材料の開発と応用】
第1章 温度応答性インジェクタブルポリマー
1 はじめに
2 生分解性インジェクタブルポリマー:その用途
3 生分解性インジェクタブルポリマーの課題
4 分子形態制御:強度向上と温度応答性制御
5 薬物放出制御
6 粉末化と即時溶解による利便性向上
7 共有結合ゲル
8 おわりに

第2章 疎水化タラゼラチンシーラント
1 はじめに
2 生体組織接着性を向上させる高分子ゲルの設計
3 疎水化タラゼラチンを用いた外科用シーラント
 3.1 タラゼラチンへの生体組織接着性の付与
 3.2 疎水化タラゼラチンを用いた外科用シーラントの機能評価
 3.3 疎水化タラゼラチンシーラントと細胞・生体組織との相互作用評価
4 結論

第3章 リン酸八カルシウム/ゼラチン複合体
1 序論
2 OCPの骨伝導の特徴
 2.1 OCPの細胞応答性
 2.2 OCPの生体反応性
  2.2.1 タンパク質吸着
  2.2.2 骨形成と生体内吸収性
3 OCP骨補填材
 3.1 Gelについて
 3.2 Gel単体の生体応答性
 3.3 OCP/Gel複合体
  3.3.1 OCP/Gelの生体材料学的設計論
  3.3.2 生体応答
  3.3.3 骨再生を促進するメカニズム
4 まとめ

第4章 生体接着性水和ゲルを形成する可溶性止血材・癒着防止材
1 生体接着性材料
 1.1 生体接着性材料の医療機器への応用
2 生体組織接着性ポリマー
 2.1 シアノアクリレート系接着剤
 2.2 フィブリン糊
 2.3 ポリアクリル酸(PAA)
3 PAA/PVP水素結合ゲル
 3.1 PAA/PVP水素結合錯体
 3.2 膨潤性PAA/PVP複合体
  3.2.1 固体/液体界面での複合体形成
  3.2.2 膨潤性PAA/PVP複合体の組織接着性
  3.2.3 膨潤性PAA/PVP複合体の生体内での解離・再溶解
4 膨潤性PAA/PVP複合体の止血材への応用
 4.1 止血効果
 4.2 臨床研究と商品化
  4.2.1 外傷,穿刺後の止血
  4.2.2 口腔内・抜歯後の止血
  4.2.3 商品化
5 膨潤性PAA/PVP複合体の癒着防止材への応用
6 生体接着性材料の今後

第5章 生分解性多糖類ハイドロゲルの医療応用
1 はじめに
2 分解性多糖類を用いた医療用接着剤
3 アルデヒド導入多糖類のゲル化とその分解メカニズム
4 アルデヒド導入セルロースの生体内分解性
5 おわりに

第6章 ゼラチンハイドロゲルを利用した難聴治療
1 はじめに
2 耳の構造と聞こえのしくみ
3 難聴の種類
4 現在の最先端技術を応用した新しい感音難聴治療
5 内耳への薬物局所投与方法
6 ゼラチンハイドロゲルを利用した薬物内耳局所投与
7 ゼラチンハイドロゲルIGF-1による臨床試験
 7.1 第I-II相臨床試験
 7.2 第II相臨床試験(ステロイド鼓室内投与とのランダム化比較試験:多施設臨床試験)

第7章 ハイドロキシアパタイトアガロースゲルを用いた骨再生医療
1 はじめに
2 ハイドロキシアパタイトアガロースゲル
3 臨床研究の概要
4 結果
5 結論

第8章 内視鏡手術用の粘膜下注入剤
1 はじめに
2 光硬化性キトサンゲル
3 光硬化性キトサンゲルを使用した内視鏡的消化器粘膜下層剥離術
4 おわりに

【第4編 シート・繊維材料の開発と応用】
第1章 ナノファイバーシートによるがん治療
1 はじめに
2 皮膚癌用ナノファイバーメッシュ
3 肺癌用ナノファイバーメッシュ
4 悪性中皮腫用ナノファイバーメッシュ
5 肝癌用ナノファイバーメッシュ
6 結言

第2章 絹フィブロインナノ繊維構造体の角膜再生足場材としての応用
1 緒言
2 医療用材料としてのシルク
3 シルクタンパク質の加工
 3.1 多様な形状への加工
 3.2 化学修飾
 3.3 遺伝子組換えカイコ技術
4 シルクナノファイバー不織布の作製
5 角膜再生材料としての評価
6 おわりに

第3章 生体適合性高分子ナノシートの物性と医療応用
1 諸言
2 ナノシートの作製
 2.1 交互積層法(LbL)
 2.2 キャスト法
3 ナノシートの密着性
4 ナノシートの分子透過性
5 ナノシートの分解特性
6 多孔質ナノシートとマイクロディスク型ナノシートの構築
7 ナノシートの医療応用
 7.1 創傷被覆材(ナノ絆創膏)として
 7.2 薬物徐放材として
8 ナノ医療のプラットフォームとしての将来展望

第4章 ポリプロピレン不織布へのペプチドナノシート表面修飾
1 体外循環デバイス
2 バイオマテリアル表面と免疫応答
3 繊維表面のラフネス
4 水中でのself-standingな自己組織化単分子膜
5 PP不織布繊維表面のペプチドナノシートによる被覆

第5章 PGA不織布の繊維径などの構造の検討
1 はじめに
2 PGA不織布の構造など
 2.1 臨床使用可能なPGA不織布の概要
 2.2 生体内分解性と臨床的特性
  2.2.1 シートタイプPGA不織布
  2.2.2 チューブタイプPGA不織布
  2.2.3 新規開発タイプPGA不織布
 2.3 不織布の構造と生体の反応性
  2.3.1 シートタイプPGA不織布
  2.3.2 チューブタイプPGA不織布
  2.3.3 新規開発PGA不織布
3 近年の臨床使用の方向性を示すPGA不織布の研究
 3.1 シートタイプPGA不織布
  3.1.1 膵損傷と膵液漏出の予防効果
  3.1.2 内視鏡的粘膜下層剥離術における潰瘍の処置
  3.1.3 肝臓切除手術における切離断面の被覆
 3.2 チューブタイプPGA不織布
  3.2.1 膵切離時の補強
  3.2.2 消化管断端の補強
  3.2.3 血管の縫合切離時の補強
4 おわりに

第6章 裁断化超薄膜の調製と水性表面改質材としての医用展開〜熱傷創の改質・抗血栓性界面の提供〜
1 はじめに
2 センチメートルサイズの高分子超薄膜
3 サブミリメートルサイズの裁断化超薄膜
 3.1 裁断化超薄膜の調製法と物性
 3.2 裁断化超薄膜の水性表面改質材としての応用:熱傷創の表面改質
 3.3 裁断化超薄膜の水性表面改質材としての応用:抗血栓性界面の提供
4 おわりに

第7章 シルクフィブロイン複合材料の心臓修復パッチ材料への応用
1 はじめに
2 心臓修復パッチ
3 生体吸収性心臓修復パッチの開発
4 おわりに

第8章 綿形状人工骨充填材
1 はじめに
2 綿形状人工骨充填材
 2.1 成分
 2.2 繊維化
 2.3 使用方法
3 おわりに