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月刊BIOINDUSTRY 2014年12月号

【特集1】香りの生理作用-健康維持・疾患予防に向けて-
【特集2】最新 食品機能性研究

商品コード:
I1412
発行日:
2014年12月12日
体裁:
B5判
ISBNコード:
0910-6545
価格(税込):
4,950
ポイント: 45 Pt
関連カテゴリ:
雑誌・定期刊行物 > 月刊バイオインダストリー

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【特集1】香りの生理作用-健康維持・疾患予防に向けて-


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サイプレス材精油の吸入が脂肪分解および交感神経活動に及ぼす効果
Effects of Inhaling Cypress Essential Oil on Lipolysis and Sympathetic Nerve Activity

光永 徹(岐阜大学)

 サイプレス心材精油 (CEO) の吸入が, 高脂肪食で飼育したマウスにおいて肥満抑制作
用を示した。メカニズムを明らかにするために,麻酔下ラットの褐色脂肪組織支配の交感
神経活動(BSNA)を電気生理化学手法で測定した。CEO からシトロネル酸 (CA), グア
イオール・α-,β-,γ-オイデスモール混合画分 (GE),グアイオール (G) およびβ-オイ
デスモール(E)に分画・単離した。これらを匂い刺激試験に供したところ,CEO,GE,
G,E でBSNA の増加が認められたが, CA では全く変化しなかった。よって, CEO の
BSNA 活性化に寄与する主要成分はG およびE であると判断できる。

【目次】
1.はじめに
2. サイプレス材精油(CEO)吸入によるマウスの肥満抑制効果
2.1 脂質代謝に与える影響
2.2 CEO 分画物の脂質代謝に及ぼす影響
3. 香り成分を吸入した麻酔下ラットの交感神経活動
3.1 麻酔下ラットの交感神経活動測定
3.2 CEO の吸入が交感神経活動におよぼす影響
3.3 交感神経活動を高めるCEO 成分
4.おわりに


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植物精油の抗真菌・抗炎症効果および真菌感染症治療への応用の可能性  
The Anti-fungal and Anti-inflammatory Effects of Essential Oils and its Potential for the Treatment of Superficial Mycoses 

丸山奈保(帝京大学 / 帝京平成大学)
安部 茂(帝京大学)

 精油は直接的な抗真菌作用だけではなく,抗炎症作用も併せ持ち,さらに皮膚への浸透
性など既存薬にはない特徴を有する。これらの点から,筆者らは精油での治療が適切な真
菌症は,白癬や粘膜カンジダ症などの表在性真菌症と考える。ここでは,表在性真菌症に
関する筆者らの取り組みとともに,治療法開発への可能性について述べる。

【目次】
1.はじめに
2.精油の抗真菌効果
2.1 抗真菌作用とは
2.2 作用メカニズムの違い
3.精油の抗炎症効果
4.精油の安全性と薬物学的特性
4.1 安全性
4.2 薬物学的特性
5. 精油を用いた真菌症治療研究からわかったこと
5.1 口腔カンジダ症治療に対する可能性
5.2 白癬治療に対する可能性
6.おわりに


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アロマテラピーによる認知症予防の可能性
Possible Role of Aromatherapy for Prevention of Dementias

谷口美也子(鳥取大学医学部附属病院)
浦上克哉(鳥取大学)

 アロマテラピーは,認知症患者の方々の不安を取り除いたり,リラックスを促しQOL
の改善を目的として用いられてきた。筆者らは,アロマテラピーがこれらの効果にとどま
らず認知機能障害自体の改善に効果をもたらす可能性を見出しており,発症予防・進行予
防に効果があるのではと考えている。認知症に対するアロマテラピー応用の可能性につい
て研究成果等を交えて紹介する。

【目次】
1.はじめに
2.認知症の現状
3.アルツハイマー型認知症の病態と症状
4.認知症に対する治療・対処方法
4.1 認知症に対する治療薬
4.2 認知症に対する非薬物療法
5.アルツハイマー型認知症患者に対するアロマテラピーの効果
6.アロマテラピーを行う上での注意点〜認知症患者に対して用いるが故に〜
7.おわりに


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乳酸菌と酵母で発酵した発酵乳の香りの癒し効果
Relaxant Effect of the Odor of Milk Fermented with Lactic Acid Bacteria and Yeast

川口恭輔(カルピス(株))
小谷 恵(カルピス(株))
永井克也((株)ANBAS)

 近年,香りがもつ生理作用の科学的な解明が進み,精油や飲食品等の香りが有する効果
に着目した研究が盛んになっている。本稿では,乳酸菌と酵母で発酵した発酵乳の香りに
ついて,動物実験にて癒し効果を示唆する研究成果が得られたので,本内容について詳述
する。

【目次】
1.はじめに
2.発酵乳の調製
3.自律神経調節作用
4.抗不安作用
5.日周リズム改善作用
6.おわりに


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天然バラに含まれる香気成分の生理作用について
Physiological Effect of Various Odorant Materials Found in Natural Rose Flower

森山未央((株)資生堂)
加治屋健太朗((株)資生堂)

 我々人間は古来より香りの持つ不思議な力に気づき,生活のなかに取り入れてきた。嗅
覚の受容経路が明らかになってきた現代では,それら効果の機序を知るべく様々な研究が
なされている。植物の中でも特に人々と密接な関係にある「バラ」に着目し,その香りに
含まれる各種香気成分の生理効果について調べた研究について報告する。

【目次】
1.はじめに
2.香りの受容と2 つの作用経路
3.バラに含まれる香気成分の各種生理作用
4.皮膚のリンパ管の機能と老化の関係
5.シトロネリルアセテートのVEGFC 産生への効果
6.おわりに


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【特集2】最新 食品機能性研究


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ホップ抽出物のアルツハイマー病発症抑制効果
Oral Administration of Hop Flower Extracts Mitigates Alzheimer Phenotypes in Mice

笹岡紀男(京都大学大学院)
垣塚 彰(京都大学大学院)

 少子高齢化の問題を抱える現代社会において,認知症患者はこれから増々増加すること
が予想されており,その中でも認知症の半数以上を占めるアルツハイマー病に対する治療
薬,および予防薬の早急な開発が求められている。本稿では,マウスの実験で,アルツハ
イマー病の発症抑制効果を示したホップエキスを中心に,筆者らの研究成果を紹介する。

【目次】
1.はじめに
2.植物エキスのスクリーニング
3.ホップエキス中の有効成分の同定
4.病態モデルマウスにおける薬理学的効果の検証
5.おわりに


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食品ポリフェノールによる腸管コレステロール吸収抑制メカニズム
The Effects of Flavonoids on the Inhibition of Intestinal Cholesterol Transport

小林彰子(東京大学大学院)

食事からのコレステロール吸収抑制は高コレステロールに由来する疾患の予防につなが
る。ポリフェノールには“フレンチパラドックス”が示唆するような動脈硬化を防ぐ疫学
的知見があるが,そのメカニズムについては不明な点が多い。筆者らは,小腸においてコ
レステロール吸収を阻害するポリフェノールをスクリーニングし,選抜したルテオリンお
よびケルセチンのコレステロール腸管吸収阻害機構を明らかにした。本稿では,これらの
フラボノイドの作用メカニズムについて述べる。

【目次】
1.はじめに
2.エゼチミブの開発とNPC1L1 の発見
3.小腸におけるコレステロール吸収機構の速度論的解析
4.コレステロール腸管吸収阻害成分の探索
5.ルテオリンおよびケルセチンによるコレステロール腸管吸収阻害機構の解明
6.ラットにおけるルテオリンおよびケルセチンの高コレステロール血症改善効果
7.まとめ


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イサダ(ツノナシオキアミ)由来の新たな抗肥満成分8-HEPE
8-HEPE:A New Anti-obesity Compound from Pacific Krill

山田秀俊((公財)岩手生物工学研究センター)

これまで(機能性)食品としてはあまり利用されてこなかったオキアミであるが,オキ
アミには豊富な栄養素とともに,エイコサペンタエン酸(EPA),ドコサヘキサエン酸
(DHA),アスタキサンチン,キチン・キトサンなどの機能性成分も含有されている。筆
者らは,三陸で水揚げされるイサダ(ツノナシオキアミ)から,新たな抗肥満成分として
8-HEPE(ヒープ)を同定した。本稿では8-HEPE の抗肥満効果について解説するとと
もに,新たな機能性食品素材としてのイサダの可能性についても紹介する。


【目次】
1.はじめに
2.肥満と代謝疾患
3. ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)
4.エイコサペンタエン酸(EPA)
5.イサダ成分による肥満抑制効果
6.8-HEPE によるPPAR 活性化作用
7.8-HEPE を活用した生活習慣病の予防と改善
8.機能性素材原料としてのオキアミの可能性
9.おわりに


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植物乳酸発酵エキスOM-X(R) によるI型アレルギー抑制作用
Inhibitory Effect of OM-X(R), Fermented Syrup makes from Fruits and Plants on
Antigen-stimulated Degranulation in Rat Basophilic Leukemia RBL-2H3 Cells

伊藤智広(近畿大学)

野菜, 果物, 海藻, 茸などを原料に乳酸発酵させた植物発酵エキス「OM-X(R)」は,アミ
ノ-カルボニル(Maillard)反応により褐色物質メラノイジンを熟成期間中に生成する。
I型アレルギーモデル細胞および動物実験系を用いてOM-X(R) のI型アレルギー抑制効果
とその作用機序について検討したところ,抗原刺激後のカルシウム流入を制御する活性酸
素の消去機構が脱顆粒抑制に深く関与していることがわかった。


【目次】
1.はじめに
2.メラノイジンとは
3.植物発酵エキス「OM-X(R)」について
4.植物発酵エキス「OM-X(R)」の脱顆粒抑制作用
5.植物発酵エキス「OM-X(R)」の脱顆粒抑制機構について
6.マウス受動皮膚アナフィラキシー反応を用いた植物発酵エキス「OM-X(R) 」の即時型アレルギー抑制効果について
7.おわりに