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食品機能性脂質の基礎と応用

Fundamentals and Application of Functional Lipids in Fo

★近年、生活習慣病の予防などの健康効果を持つ脂質や脂肪酸が注目されています!
★様々な種類の脂質・脂肪酸について、機能や効能、企業の製品化への取り組みなどを解説!
★市場の拡大が期待される食品脂質研究の最新の動向を取り上げた一冊!

商品コード:
T1078
監修:
池田郁男
発行日:
2018年5月28日
体裁:
B5判・212頁
ISBNコード:
978-4-7813-1331-3
価格(税込):
79,200
ポイント: 720 Pt
関連カテゴリ:
食品
食品 > 保健機能食品
食品 > 美容食品

Review

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キーワード:

脂質/共役脂肪酸/DHA/EPA/リノレン酸/ω3脂肪酸/短鎖脂肪酸/中鎖脂肪酸/リン脂質/プラズマローゲン/トランス脂肪酸/酸化/製品化/生活習慣病/肥満/脂質異常症/アレルギー/脳医学/腸内細菌

刊行にあたって

 脂質は、一般的に有機溶剤に可溶性の物質として定義されるが、さまざまな成分を含んでおり、その機能性も多様である。食品から最も多量に摂取している脂質は、いわゆる中性脂肪(トリアシルグリセロール)であり、その主要構成成分は飽和、モノ不飽和および多価不飽和脂肪酸などの脂肪酸である。本書では食品に含まれる主要な脂肪酸の機能性に関する最新情報の執筆をいただいた。中性脂肪や脂肪酸は栄養素として重要であり、特に必須脂肪酸は摂取する必要がある。健康によいといわれる脂肪酸が知られている一方で、よくないと考えられる脂肪酸もある。しかし、健康によい脂肪酸でも多量摂取すると弊害が生じ、健康に悪い影響を与えるといわれる脂肪酸でも摂取量によっては問題のない場合もある。いろいろな食品を摂取すると健康によい脂肪酸のみを摂取するわけにはいかず、多様な脂肪酸を摂取することになる。脂肪酸は栄養学的に問題のないバランスで摂取することが重要となるが、どのようなバランスが最適なのかは議論の最中であり、結論は出ていない。個々の食品には多様な脂肪酸がいろいろな量や割合で含まれており、どのような組み合わせで食品を摂取すれば最適かという答えを得ることは簡単ではない。機能性脂質をサプリメントと捉える考え方もあるが、栄養学的バランスが崩れるような摂取は好ましいものではなく、あくまでのバランスの中で考えることが肝要である。このような議論をする上で不可欠なのは、個々の脂肪酸のよくも悪くも機能性を正確に把握することである。そういう意味で、本書は、脂肪酸摂取のバランスを考える際の重要な手引きとなる最新の情報を含んでいる。
 脂質は、中性脂肪だけでなくリン脂質、プラズマローゲンを始め、微量成分を含めて多様な物質を含む。これらの物質の機能性についても広く知られるようになってきたことから本書ではそれらのいくつかについて最新情報を執筆いただいた。これらの成分がヒトにおいてどれくらい重要な生理作用を発揮するかは、まだ十分な情報が得られていないかもしれないが、今後の研究の進展が待たれるところである。
 本書が、研究者や産業界にとって機能性を有する食品の開発のための手引、参考書となれば幸いである。
 最後に、ご多忙中にもかかわらず執筆いただいた諸先生方に、厚くお礼を申し上げます。

著者一覧


池田郁男   東北大学
宮下和夫   北海道大学
笠井通雄   日清オイリオグループ㈱
辻野祥伍   日清オイリオグループ㈱
河原 聡   宮崎大学
渡辺志朗   富山大学
玉井忠和   マルハニチロ㈱
髙橋義宣   マルハニチロ㈱
加藤綾華   日本水産㈱
柳本賢一   日本水産㈱
小川 順   京都大学
岸野重信   京都大学
米島靖記   日東薬品工業㈱
山崎正夫   宮崎大学
大植隆司   東京農工大学
平 さつき  東京農工大学
木村郁夫   東京農工大学
竹内弘幸   富山短期大学

原 博    北海道大学
日比野英彦  日本脂質栄養学会
宮本崇史   筑波大学
島野 仁   筑波大学
有田 誠   慶應義塾大学;(国研)理化学研究所;横浜市立大学
丸山千寿子  日本女子大学
武山 藍   九州大学
城内文吾   九州大学
佐藤匡央   九州大学
稲田 仁   東北大学
大隅典子   東北大学
山田耕路   崇城大学
阿久津光紹  青葉化成㈱
仲川清隆   東北大学
遠藤泰志   東京工科大学
平野麻里奈  オリザ油化㈱
下田博司   オリザ油化㈱
高橋正和   福井県立大学

目次 +   クリックで目次を表示

第1章 食品
1 機能性脂質の探索研究
 1.1 はじめに
 1.2 脂肪酸の機能探索
 1.3 脂質の吸収と機能性
 1.4 分子レベルでの機能性脂質の探索研究
 1.5 おわりに
2 植物油の健康への機能性
 2.1 はじめに
 2.2 日本の油脂供給量
 2.3 脂質摂取の現状
 2.4 植物油の健康機能成分
  2.4.1 脂肪酸
  2.4.2 ビタミンE
  2.4.3 植物ステロール
  2.4.4 特有な微量有効成分
 2.5 おわりに
3 畜産物に含まれる機能性脂肪酸
 3.1 はじめに
 3.2 共役リノール酸(CLA)
  3.2.1 抗発がん作用
  3.2.2 抗動脈硬化作用と脂質代謝改善作用
 3.3 フィタン酸
 3.4 トランス脂肪酸について
 3.5 おわりに

第2章 脂肪酸
1 ω3系脂肪酸としてのα-リノレン酸の位置づけ:エイコサペンタエン酸との比較
 1.1 はじめに
 1.2 日本人のω6系ならびにω3系脂肪酸摂取の現状と摂取基準量
 1.3 生体内でのω6系脂肪酸とω3系脂肪酸の競合的な代謝とその疾患との関わり
 1.4 ω3系脂肪酸の摂取の目安量の設定における問題点
 1.5 α-リノレン酸とエイコサペンタエン酸の効力差
 1.6 α-リノレン酸の効力を考慮したω3系脂肪酸の摂取
 1.7 ヒトでのα-リノレン酸の疾患に対する予防・治療効果
 1.8 終わりに
2 DHAについて
 2.1 はじめに
 2.2 構造,製法,性状
  2.2.1 構造
  2.2.2 製法,性状
 2.3 安全性
 2.4 機能・効能
  2.4.1 血清脂質代謝改善
  2.4.2 中枢神経系
  2.4.3 その他の機能性
 2.5 応用・食品例
3 EPA
 3.1 はじめに
 3.2 EPAの近年の研究結果
  3.2.1 腹部大動脈瘤の破裂リスク低下作用
  3.2.2 運動時の持久力向上効果
  3.2.3 筋損傷抑制効果
 3.3 おわりに
4 腸内細菌の生産する新規脂肪酸
 4.1 はじめに
 4.2 腸内細菌・乳酸菌が産生する新規機能性脂肪酸HYAの開発
  4.2.1 HYA発見の経緯
  4.2.2 HYAの宿主における存在
  4.2.3 発酵食品におけるHYAの存在
  4.2.4 HYAの食後血糖抑制作用
  4.2.5 HYAの実用化検討
 4.3 腸内細菌による食事由来脂肪酸の代謝と代謝産物の多様性
 4.4 食事脂質の腸内細菌代謝物の生理機能
  4.4.1 オキソ脂肪酸による肥満に伴う代謝異常症の改善
  4.4.2 エノン脂肪酸の脂肪組織における抗炎症活性
  4.4.3 α-リノレン酸由来腸内細菌代謝産物が腸管粘膜免疫系に及ぼす影響
 4.5 おわりに
5 共役脂肪酸の機能性
 5.1 共役脂肪酸の構造
 5.2 機能性脂質としての共役脂肪酸
 5.3 共役脂肪酸の分析
 5.4 共役脂肪酸の抗ガン活性と免疫調節作用
 5.5 共役脂肪酸の抗肥満作用
 5.6 共役脂肪酸の安全性
 5.7 共役トリエン酸の機能
6 短鎖脂肪酸の産生機序と生理機能調節
 6.1 はじめに
 6.2 短鎖脂肪酸と食品
 6.3 短鎖脂肪酸―食物繊維由来の腸内細菌代謝物―
 6.4 短鎖脂肪酸の吸収・認識機構
 6.5 短鎖脂肪酸―GPCRsを介した生体調節作用
  6.5.1 内分泌・代謝機能の制御
  6.5.2 免疫機能の制御
 6.6 短鎖脂肪酸によるエピゲノム制御
 6.7 おわりに
7 中鎖脂肪酸
 7.1 はじめに
 7.2 中鎖脂肪酸とは
 7.3 吸収と代謝
 7.4 健康機能
  7.4.1 体脂肪低蓄積機能
  7.4.2 食後血中中性脂肪上昇抑制機能
  7.4.3 食事誘発性体熱産生機能
  7.4.4 低栄養改善機能
  7.4.5 脳機能改善機能
 7.5 今後の期待
8 トランス脂肪酸
 8.1 はじめに
 8.2 トランス脂肪酸について
 8.3 食品中に含まれるトランス脂肪酸
  8.3.1 トランス脂肪酸の生成
  8.3.2 トランス脂肪酸含量
  8.3.3 摂取状況
 8.4 トランス脂肪酸の健康への影響
  8.4.1 吸収および代謝特性
  8.4.2 血中脂質への影響
  8.4.3 心疾患への影響
  8.4.4 その他
 8.5 おわりに
9 プラスマローゲンとその機能
 9.1 緒言:プラスマローゲンとは
 9.2 プラスマローゲンの体内分布
 9.3 体内プラスマローゲンの合成と代謝
 9.4 プラスマローゲンの役割
 9.5 プラスマローゲンと病態
  9.5.1 アルツハイマー病との関連
  9.5.2 動脈硬化症との関連
 9.6 おわりに
10 機能性リン脂質の加工と生理作用
 10.1 はじめに
  10.1.1 食品用リン脂質の名称
  10.1.2 食品用リン脂質の原料
 10.2 食品用リン脂質の構造
 10.3 天然リン脂質の加工
 10.4 リン脂質の生理機能
  10.4.1 集合体としての機能
  10.4.2 リン脂質およびその分解物・関連化合物の物理・生理機能
 10.5 おわりに

第3章 医学的な効果
1 食品機能性脂質による肥満の予防と軽減
 1.1 肥満の定義と現状
 1.2 肥満の予防や治療
  1.2.1 食事と運動
  1.2.2 薬物療法
 1.3 肥満の予防・軽減に有効な機能性脂質
  1.3.1 n-3系脂肪酸
  1.3.2 共役リノール酸(CLA)
  1.3.3 中鎖脂肪酸
  1.3.4 その他の機能性脂質
 1.4 肥満の予防・軽減を目的とした保健機能食品
 1.5 まとめ
2 ω3脂肪酸の代謝と抗炎症作用
 2.1 はじめに
 2.2 ω3脂肪酸の抗炎症作用
 2.3 ω3脂肪酸の心臓リモデリング抑制作用
 2.4 ω3脂肪酸のアレルギー抑制作用
 2.5 ω3脂肪酸の機能性発現に関わる代謝経路
 2.6 おわりに
3 ω3系多価不飽和脂肪酸摂取と疾病予防
 3.1 ω3系多価不飽和脂肪酸について
 3.2 脂質異常症
 3.3 心血管疾患
 3.4 2型糖尿病
 3.5 高血圧
 3.6 メタボリックシンドローム
 3.7 認知症
 3.8 ω3系多価不飽和脂肪酸摂取における注意事項
4 血清脂質異常症の改善
 4.1 はじめに
 4.2 血清コレステロール濃度
  4.2.1 リノール酸(18:2n-6)
  4.2.2 n-3系脂肪酸{α-リノレン酸(18:3n-3),エイコサペンタエン酸(EPA,20:5n-3),ドコサヘキサエン酸(DHA,22:6n-3)}
  4.2.3 オレイン酸
  4.2.4 トコトリエノール
  4.2.5 リン脂質
  4.2.6 リコピン(リコペン)
 4.3 血清トリアシルグリセロール濃度
  4.3.1 中鎖脂肪酸
  4.3.2 EPA
 4.4 おわりに
5 脳の発生・発達・機能と脂肪酸〜n-3およびn-6多価不飽和脂肪酸を中心に〜
 5.1 脳と脂肪酸
 5.2 脳の発生・発達期におけるPUFAの影響
 5.3 脳機能とPUFAの関係
 5.4 おわりに
6 脂肪酸の抗アレルギー活性
 6.1 アレルギー発症機構
 6.2 脂肪酸の分類と機能
 6.3 脂肪酸の抗体産生およびケミカルメディエーター放出調節機能
 6.4 魚油の抗アレルギー効果
 6.5 共役リノール酸の抗アレルギー効果
 6.6 不飽和脂肪酸と抗酸化成分の相乗効果

第4章 応用と製品開発の動向
1 油脂の粉末化による酸化安定性・品質向上
 1.1 粉末油脂の構造と特性
 1.2 酵素架橋ゼラチンの粉末油脂への応用
 1.3 酵素架橋ゼラチンを賦形剤とした粉末魚油の特性
2 トランス脂肪酸低減法
 2.1 はじめに
 2.2 トランス酸の定義
 2.3 トランス酸の生成
  2.3.1 工業的水素添加(硬化)
  2.3.2 生物学的水素添加
 2.4 トランス酸の機能
 2.5 トランス酸の低減方法
  2.5.1 パーム油・パーム分別油
  2.5.2 水素添加
  2.5.3 エステル交換
  2.5.4 微生物によるトランス酸の資化
3 米油の特徴とその精製過程で得られる機能性成分
 3.1 はじめに
 3.2 米油の特徴と製法
 3.3 γ-オリザノール
 3.4 トコトリエノール
 3.5 ステロール
 3.6 グルコシルセラミド(スフィンゴ糖脂質)
 3.7 スクワラン
 3.8 おわりに
4 エゴマ油の機能と製品開発の動向
 4.1 はじめに
 4.2 エゴマ油とは
 4.3 エゴマ油の健康機能
 4.4 ALAに富む機能性油脂製品の開発状況
 4.5 エゴマ油製品の開発動向
 4.6 さいごに