キーワード:
レシチン/ホスファチジルセリン/DHA/EPA/ココナッツオイル/中鎖脂肪酸/α-GPC/ミルクセラミド/テアニン/カルニチン/ナットウキナーゼ/イチョウ葉エキス,ノビレチン/γ-オリザノール/アミセノン/ジオスゲニン/レスベラトロール/ポリフェノール/フェルラ酸/トコトリエノール/GABA/酸乳
刊行にあたって
「脳機能改善食品素材の開発と応用」というタイトルでの本を出したいという、シーエムシー出版の編集部の方にご相談を受けた折、間違いなく頭の働きがよくなる食べ物があるなら、ここにいる人だけの秘密にして勉強も仕事も大成功が可能なはずだとの笑い話からスタートした。受験生は当然のこと、高齢化が進んでいるなかで、65歳以上では4人に1人は認知症やその予備軍との怖い話も耳にする。高齢者のみの世帯数の推移も2005年に851万世帯、2015年に1,161万世帯、2025年には1,267万世帯とうなぎ登りである。このような環境の下では脳の働きをよくしたい、退化を防ぎたいという欲求はすべての人に共通していると思う。
私は、健康食品を上手に活用できれば三方一両得が成り立つと考えている。国も企業も国民も大岡越前の「三方一両損」ならぬ近江商人の「三方得」のようなメリットが享受できるはずだ。健康食品関連の産業は知的集約型、情報集約型であり資源の乏しい我が国向きの産業であり、かつ我が国は品質管理も進んでいるので国内だけでなく有望な輸出産業になれるだろう。他国に遅れをとることのないよう、技術と制度、両面をさらに磨いていく必要がある。(「巻頭言」より)
本書は2016年に『脳機能改善食品素材の開発と応用』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。
著者一覧
太田明一 元キリンホールディングス㈱ 茂木正樹 愛媛大学 家森幸男 武庫川女子大学 武田英二 徳島健祥会福祉専門学校 佐藤美智子 徳島健祥会福祉専門学校 池住祐哉 徳島健祥会福祉専門学校 幾田一哉 ㈱J-オイルミルズ 佐藤俊郎 ㈱J-オイルミルズ 加藤豪人 ㈱ヤクルト本社 日比野英彦 日本脂質栄養学会 矢澤一良 早稲田大学 水野慎一郎 DSMニュートリションジャパン㈱ 田平 武 順天堂大学大学院 青山敏明 日清オイリオグループ㈱ 加藤智彦 エイチ・ホルスタイン㈱ 山田貴史 中部大学 日暮聡志 雪印メグミルク㈱ 春田裕子 雪印メグミルク㈱ 横越英彦 中部大学;静岡県立大学 衛藤英男 静岡大学 勝又美紀 ILS㈱ 高岡晋作 ㈱日本生物.科学研究所 | 前渕元宏 不二製油グループ本社㈱ 中村裕道 タマ生化学㈱ 大泉 康 静岡県立大学 木村純子 静岡県立大学 橋本博之 築野食品工業㈱ 澤田一恵 築野食品工業㈱ 松木 翠 築野食品工業㈱ 中村智子 ㈱サン・メディカ 栗山雄司 ㈱アンチエイジング・プロ;順天堂大学 市川剛士 サンブライト㈱ 瀬戸美沙枝 サンブライト㈱ 佐藤充克 山梨大学 柳町明敏 ㈱エイワイシー 倉重(岩崎)恵子 ㈱明治フードマテリア 大澤俊彦 愛知学院大学 渡邉知倫 ㈱ファンケル 池本一人 三菱瓦斯化学㈱ 阿部皓一 エーザイフード・ケミカル㈱ 青木由典 エーザイフード・ケミカル㈱ 外薗英樹 三和酒類㈱ 大澤一仁 アサヒグループホールディングス㈱ |
執筆者の所属表記は、2016年当時のものを使用しております。
目次 + クリックで目次を表示
第1章 脳のアンチエイジング
1 脳のアンチエイジングが目指すところ
2 脳神経構成成分
3 脳神経伝達物質成分
4 抗酸化ストレス成分
5 ビタミン成分
6 血流改善成分
7 おわりに
第2章 大豆栄養の健康長寿への貢献
1 日本人の長寿と日本食
2 世界の栄養と健康
3 女性の健康と大豆食
4 大豆摂取と心臓死・癌
5 大豆による介入研究
6 栄養改善のポピュレーションアプローチ
7 環境に優しい大豆食で人類の健康長寿を
第3章 脳機能に対する栄養と食生活
1 子どもの環境と脳機能
2 オキシトシンと脳機能
3 高齢者の認知機能
4 認知機能と食生活
5 認知機能と栄養
5.1 炭水化物
5.2 脂質
5.3 タンパク質
5.4 抗酸化栄養素
6 まとめ
【第2編 素材】
第1章 リン脂質,脂肪酸
1 大豆レシチン
1.1 はじめに
1.2 製法・組成
1.3 生理機能
1.3.1 コリン供給源としての働き
1.3.2 脳に対する機能
1.3.3 認知症に対する大豆レシチンの効果
1.3.4 健常者の記憶に対する大豆レシチンの効果
1.3.5 子供の認知力に対する効果
1.4 安全性
1.5 おわりに
2 大豆ホスファチジルセリンと記憶障害の研究・評価
2.1 はじめに
2.2 大豆PS
2.3 大豆PSの記憶障害改善効果
2.3.1 動物実験
(1) 薬物誘発健忘モデル動物による効果検証
(2) 老齢ラットを用いた記憶障害改善効果の検証
2.3.2 ヒト試験による効果検証
(1) パイロット試験
(2) プラセボ対照二重目隠し試験
2.4 規制関連
2.5 おわりに
3 DHA結合リン脂質とその含有油脂の機能と開発
3.1 概要
3.1.1 原料の選択
3.1.2 魚卵の原料組成
3.1.3 魚卵油の脂質
3.1.4 魚卵油の酸化安定性
3.2 素材の作用機序,効果
3.2.1 作用機序の提案
3.2.2 作用機序の解明の手段
3.3 応用
3.3.1 試験素材
3.3.2 生理機能の証明
(1) 脂質代謝改善効果
(2) レム睡眠増加効果
(3) 接触性皮膚炎モデルラットによる評価
3.4 おわりに
4 DHA/EPA
4.1 序論―魚食の疫学研究―
4.2 「ブレインフード」と「ムードフード」
4.3 エイコサペンタエン酸の血小板凝集抑制作用と医薬品化
4.4 ドコサヘキサエン酸(DHA)の中枢神経系作用
4.5 ω3系脂肪酸による炎症性脂質メディエイター産生の制御
4.6 ω3系脂肪酸と血流改善と血圧コントロール
4.7 新型ω3「クリルオイル」
4.7.1 脳の老化防止
4.7.2 高脂血症の改善
4.7.3 肝機能の改善
4.7.4 生殖機能の向上
4.7.5 心筋梗塞の予防
4.7.6 関節症にも有効
5 藻類由来DHAの特徴と脳機能向上効果
5.1 藻類由来DHAの特徴
5.2 藻類由来DHAの開発と経緯
5.3 藻類の培養と藻類由来DHAの製造
5.4 DHAが足りなくなる日
5.5 藻類由来DHAを使用した臨床試験
5.6 藻類由来DHAの使用の実際
6 ココナッツオイル
6.1 はじめに
6.2 脂肪と脂肪酸の代謝
6.3 ココナッツオイル
6.4 難治性てんかんとケトン食療法
6.5 糖尿病とアルツハイマー病
6.6 アルツハイマー病のココナッツオイル療法
6.7 アルツハイマー病と中鎖脂肪酸
6.8 MCTオイル(AC-1202)のアルツハイマー病患者での治験
6.9 日本人アルツハイマー病患者に対するAC-1202のパイロット試験
6.10 その他の神経疾患
7 中鎖脂肪酸の脳機能への影響
7.1 概要
7.2 素材の作用機序,効果
7.2.1 中鎖脂肪酸の消化吸収と代謝
7.2.2 中鎖脂肪酸の安全性
7.2.3 脳の非常用エネルギー源ケトン体
7.2.4 アルツハイマー病は第3の糖尿病
7.2.5 アルツハイマー病患者への中鎖脂肪酸投与効果
7.3 応用
7.3.1 ケトン体生成源としての中鎖脂肪酸
7.3.2 中鎖脂肪酸の社旗的意義
8 αGPC(グリセロホスホコリン)のメンタルパフォーマンスへの作用
8.1 はじめに
8.2 構造
8.3 GPCの製造
8.4 グリセロホスホコリンの栄養学的役割
8.5 GPCの安全性について
8.6 GPCの体内動態
8.7 GPCの生理機能について
8.8 結論
8.9 日本におけるアルファGPCの市場
9 ミルクセラミド(MC-5)
9.1 はじめに
9.2 ミルクセラミド(MC-5)
9.3 スフィンゴミエリンと脳機能
9.4 MC-5摂取による記憶学習行動試験
9.5 MC-5の記憶学習能に対する作用機序
第2章 アミノ酸・ペプチド
1 機能性アミノ酸・テアニン―緑茶に含まれるテアニンの栄養生理的な効果―
1.1 緑茶特有アミノ酸のテアニンとは
1.2 テアニンと脳との関わり
1.2.1 テアニンのドーパミン放出促進作用
1.2.2 ラットを用いたテアニンによる脳神経作用(記憶学習能)
1.2.3 ヒトを用いたテアニンによる脳神経作用
(1) テアニンはリラクゼーションを誘導する
(2) 女性のイライラ解消:月経前症候群(PMS: Premenstrual syndrome)
(3) テアニンの睡眠改善効果
1.3 環状テアニンについて
1.3.1 緑茶中の環状テアニン量
1.3.2 環状テアニンの合成
1.3.3 環状テアニンの味について
1.4 環状テアニンの機能性について
1.5 おわりに
2 「L-カルニチン」の脳機能改善について
2.1 はじめに
2.2 L-カルニチンとは
2.2.1 L-カルニチンの供給源
2.2.2 L-カルニチンと脳機能のメカニズム
2.3 L-カルニチンの老齢脳機能改善効果
2.3.1 実験方法
2.3.2 結果
(1) 血清および脳内カルニチン濃度
(2) 大脳皮質シナプス活性への効果
2.3.3 結論
2.4 超高齢者へのL-カルニチン摂取試験
2.4.1 実験方法
2.4.2 結果
2.4.3 結論
2.5 おわりに
3 ナットウキナーゼ
3.1 起源および由来
3.2 構造および特性
3.3 ナットウキナーゼ活性測定法
3.4 安全性
3.5 血栓症とナットウキナーゼの生理活性
3.6 おわりに
4 大豆ペプチド
4.1 はじめに
4.2 大豆ペプチド摂取による認知機能改善効果
4.3 大豆ペプチド摂取による脳内神経伝達物質変化
4.4 大豆ペプチド摂取による神経保護効果
4.5 おわりに
第3章 植物エキス
1 イチョウ葉エキスの認知機能について
1.1 はじめに
1.2 GBEの成分組成
1.3 GBEの作用機序
1.4 GBEの臨床試験
1.4.1 認知症患者を対象とした試験
1.4.2 健常者を対象とした試験
1.4.3 大規模臨床試験
1.5 GBEの機能性表示食品
1.6 おわりに
2 柑橘類成分ノビレチンの抗認知症機能性食品開発研究に必要な薬理学的エビデンス
2.1 緒言
2.2 素材の効果および作用機序
2.2.1 ノビレチンの一般薬理作用
2.2.2 記憶障害モデル動物におけるノビレチンによる改善効果の薬理学的検証
(1) マウス
(2) ラット
2.2.3 分子・細胞レベルにおけるノビレチンの作用解析
(1) ラット海馬初代培養神経細胞および海馬CA1領域スライス
(2) ラット副腎褐色細胞腫由来細胞株PC12およびその亜種PC12D
(3) ヒト神経芽細胞腫由来細胞株SK-N-SHなどの細胞
(4) ヒトiPS細胞由来ADモデル神経細胞
2.3 応用開発研究
3 γ-オリザノール
3.1 γ-オリザノールとは
3.2 γ-オリザノールの生理機能
3.3 γ-オリザノールの脳機能改善効果
3.4 γ-オリザノールの食嗜好性の制御作用(脳内報酬系の正常化)
3.5 おわりに
4 アミセノン(ヤマブシタケ抽出素材)
4.1 概要
4.2 作用機序,効果
4.3 応用
4.3.1 認知症と軽度認知機能障害
4.3.2 意欲向上への応用
4.3.3 睡眠の質改善
4.3.4 その他
5 山芋ジオスゲニンの認知症予防に対する効果
5.1 はじめに
5.2 ジオスゲニンとは
5.3 アミロイドβタンパク質の増加抑制ならびに軸索の変性改善による認知症予防
5.4 ホルモン産生促進による認知症予防
5.5 抗炎症による認知症予防
5.6 まとめ
6 VINEATROL 20Mの脳機能改善について
6.1 概要
6.2 素材の作用機序,効果
6.2.1 抗アミロイド作用
6.2.2 抗酸化作用
6.2.3 アポトーシス因子の抑制作用
6.2.4 SIRT-1活性化によるアンチエイジング作用
6.3 まとめ
7 レスベラトロールと脳機能
7.1 概要
7.1.1 RSVの発見と構造
7.1.2 RSVの分析とブドウにおける分布
7.2 素材の作用機序,効果
7.2.1 赤ワインの疫学データ
7.2.2 アルツハイマー病について
7.2.3 RSVの脳神経保護効果
7.3 応用
7.4 おわりに
8 ANM176(R)はアルツハイマー病の改善と予防に役立つ可能性がある
8.1 概要
8.2 ANM176(R)の作用機構
8.3 応用
9 水抽出型(膜濃縮)カシスポリフェノール(AC10)
9.1 はじめに
9.2 カシスとは
9.3 水抽出型 カシスポリフェノール(AC10)とは
9.4 水抽出型 カシスポリフェノール(AC10)の特長と機能性
9.5 水抽出型 カシスポリフェノール(AC10)による脳血流改善機能
9.6 水抽出型 カシスポリフェノール(AC10)による脳末梢血管拡張作用機序
9.7 水抽出型 カシスポリフェノール(AC10)によるアミロイド斑形成抑制作用
9.8 水抽出型 カシスポリフェノール(AC10)の安全性
9.9 おわりに
10 抗酸化ポリフェノールによる脳機能改善効果
10.1 はじめに
10.2 ゴマリグナンによるin vitro系での脳機能改善効果
10.3 ショウジョウバエを用いた個体レベルでの老化予防研究
10.4 高カカオチョコレートを用いた大規模ヒト臨床試験
11 フェルラ酸
11.1 概要
11.2 フェルラ酸の作用機序,作用
11.2.1 抗酸化作用,抗炎症作用
11.2.2 アミロイドβに対する作用
11.2.3 脳機能保護作用
11.2.4 リン酸化タウ低下作用
11.3 応用
第4章 その他
1 PQQ
1.1 概要
1.2 PQQの作用機序,効果
1.2.1 化学的性質と作用
1.2.2 PQQの効果
1.3 応用(ヒト試験)
1.3.1 認識力・認知力改善
1.3.2 コエンザイムQ10との併用効果
1.3.3 気分あるいは睡眠に対する効果
2 トコフェロール,トコトリエノール
2.1 はじめに
2.2 ビタミンEの発見と種類と作用
2.3 脳神経系におけるα-トコフェロール
2.4 脳神経系におけるγ-トコフェロール,トコトリエノール
3 GABA
3.1 はじめに
3.2 GABA摂取による脳機能改善効果
3.3 方法
3.3.1 被験品
3.3.2 被験者
(1) 選択基準
(2) 除外基準
3.3.3 試験スケジュールおよび摂取方法
3.3.4 検査方法
(1) 即時記憶領域
(2) 視空間・構成領域
(3) 言語領域
(4) 集中力領域
(5) 遅延記憶領域
3.3.5 統計処理
3.4 結果
3.4.1 被験者背景
3.4.2 アーバンス神経心理テスト:下位テストの評価点推移
3.4.3 アーバンス神経心理テスト:5認知領域の評価点推移
3.5 考察
3.6 おわりに
4 Lactobacillus helveticus発酵乳
4.1 はじめに
4.2 酸乳の動物に対する有効性
4.2.1 記憶障害予防作用(単回投与)
4.2.2 学習記憶力向上作用(単回投与)
4.2.3 学習記憶力向上作用(長期投与)
4.3 メカニズム
4.4 乳酸菌飲料のヒトに対する有効性
4.4.1 日本語版アーバンス神経心理テストを用いた記憶力・集中力評価
4.4.2 コグヘルスを用いた記憶力・集中力評価
4.5 まとめ
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