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毛髪再生の最前線《普及版》

Advanced Technology of Hair Follicle Regeneration(Popular Edition)

2013年刊「毛髪再生の最前線」の普及版!
毛髪再生研究、発毛剤、育毛剤、発毛促進剤の開発動向と毛髪再生医療の治療法について、第一線の研究者、臨床医が解説!!

商品コード:
B1324
監修:
前田憲寿
発行日:
2020年4月10日
体裁:
B5判・226頁
ISBNコード:
978-4-7813-1454-9
価格(税込):
4,510
ポイント: 41 Pt
関連カテゴリ:
ファインケミカル
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)
ファインケミカル > 香粧品素材

Review

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キーワード:

毛髪周期の休止期を維持する分子機構/毛包幹細胞/毛乳頭血管発生のメカニズム/iPS細胞/人工毛植毛術/自家植毛術/脂肪由来幹細胞タンパクを利用した毛髪再生治療(HARG)/塩化カルプロニウム/ミノキシジル/t-フラバノン

刊行にあたって

 加齢とともに男性も女性も髪の毛が薄くなる。男性には男性ホルモンの影響で女性よりも早期に髪の毛が薄くなる人もいる。髪の毛が薄くなることは非常につらいもので、薄くなる髪の毛に何かしようとして、育毛料や経口育毛薬、カツラを試み、多額のお金をつぎ込むことになる。薄毛や脱毛は恋愛や出世にも影響することがあり、誰にも相談できない悩みのひとつである。誇大広告の育毛料・ヘアケア製品がインターネット上に氾濫している現実を目の当たりにして、より本質的なそして効果のある発毛・育毛・毛髪再生治療法について、学術的・体系的に書かれた書籍を探したが、見当たらなかった。本書籍では各分野ですばらしい研究成果を収めた先生方に最先端の毛髪再生研究に執筆していただいた。内容は、毛髪再生研究から毛髪再生医療、発毛・育毛・発毛促進剤の研究開発まで、第一人者による最新の研究成果を中心に体系的に構成されている。
 毛髪再生といえば、現実的には毛髪の植毛技術であるが、毛髪再生技術が進歩し、損傷治療に用いる生体成分を使うことで毛髪再生を行うことが報告されている。毛包は一度消失すると、再生することは難しいが、創傷治癒の過程で毛髪を再生させることも可能であり、これは血管新生が促進し、細胞が増殖、分化するための足場(細胞外マトリックス)を作ることで毛髪の再生をもたらすものである。また、脱毛症の部位に毛包細胞を移植すると、毛髪を再生することが見込まれるので、患者自身の健康な毛包細胞を採取して培養する細胞移植技術も試みられている。さらに、頭皮に幹細胞を注入することにより、毛髪が成長しなくなった頭皮に、新たにたくさんの毛包を作り出すことも成功している。これは、これまでに多くの毛髪研究者が目指してきたことで、革新的なことである。
 毛髪培養で課題となっているのは、毛乳頭細胞を継代培養するうちに毛包を作り出す能力を失ってしまうことである。この要因のひとつには、毛乳頭細胞が毛包を作り出す能力を維持させたまま培養するには、周囲の細胞との相互作用が必要だと推察されている。したがって、毛乳頭細胞を周囲の細胞と一緒に培養するといった研究もなされている。毛髪再生の技術的革新が起こり、薄毛の部位に成長する毛包を増やすことに成功し、自毛移植された毛髪の成長速度を促進することも可能になれば、自毛移植の手術がよりメスのいらないものになり、有効な治療の選択肢になるのだろう。
 本書籍が毛髪関連の研究者・技術者の一助となれば幸いである。

(本書「はじめに」より)

本書は2013年に『毛髪再生の最前線』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

著者一覧


前田憲寿   東京工科大学
今村 亨   (独)産業技術総合研究所
大河内仁志  国立国際医療研究センター
毛利泰彰   東京医科歯科大学
西村栄美   東京医科歯科大学
王寺幸輝   奈良県立医科大学
石坂重昭   奈良県立医科大学
中村(内山)ふくみ  奈良県立医科大学
吉川正英   奈良県立医科大学
久保田義顕  慶應義塾大学
辻 孝    東京理科大学
天羽康之   北里大学
大沢匡毅   岐阜大学
松崎 貴   島根大学
小暮健太朗  京都薬科大学
原島秀吉   北海道大学
大多茂樹   慶應義塾大学
河上 裕   慶應義塾大学

柳生邦良   紀尾井町クリニック
今川賢一郎  医療法人 横美会
脇坂長興   医療法人 翠奏会
福岡大太朗  桜花クリニック;杏林大学
菅 浩隆   杏林大学
瀧川恵美   防衛医科大学校病院
東 隆一   防衛医科大学校病院
清澤智晴   防衛医科大学校病院
吉田益美   ㈱日本バイオリサーチセンター
山田恭史   ㈱日本バイオリサーチセンター
開発啓之   第一三共ヘルスケア㈱
飯塚泰貴   第一三共ヘルスケア㈱
小友 進   埼玉県立がんセンター
芹澤哲志   ライオン㈱
笹嶋美知代  花王㈱
仲西城太郎  ㈱資生堂
木曽昭典   丸善製薬㈱
栗田 啓   ライオン㈱

執筆者の所属表記は、2013年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

【第I編 毛髪再生研究の最先端】
第1章 発毛・毛髪再生総論
1 日本のヘアケア市場
2 主な発毛料(発毛剤)
 2.1 ミノキシジル
 2.2 フィナステリド
 2.3 その他
3 主な育毛料(育毛・発毛促進有効成分)
 3.1 t-フラバノン
 3.2 6-ベンジルアミノプリン
 3.3 アデノシン
4 発毛・育毛メカニズムの研究
 4.1 毛髪成長因子
 4.2 Wnt
 4.3 BMP他
5 他の育毛剤・発毛剤の研究開発
6 今後の発毛・毛髪再生の研究開発

第2章 毛髪周期の休止期を維持する分子機構-GF18やBMPなどのシグナル分子が休止期を維持する-
1 はじめに
2 毛成長休止期の二段階
3 FGF18による休止期毛包制御の特異性―他のFGF群因子との明白な機能分担
4 FGF18は休止期の毛包幹細胞ニッチで強く発現している
5 FGF18ノックアウト毛包では休止期が顕著に短縮する
6 FGF18とBMP群による休止期の維持
7 休止期維持に関わる他の因子
8 ヒト脱毛症治療や創薬の標的分子としてのFGF18

第3章 毛乳頭細胞培養法とスフェロイドの毛包誘導能維持作用
1 はじめに
2 毛乳頭細胞培養法
3 スフェロイドの形成法
4 毛包誘導能の検討
5 今後の課題と展望

第4章 毛包幹細胞とそのニッチ
1 はじめに
2 毛髪再生と毛包幹細胞
3 毛包幹細胞
 3.1 毛包幹細胞の同定
 3.2 毛包幹細胞のマーカー
4 毛包幹細胞とそのニッチ
 4.1 毛包幹細胞におけるcompanion layerと毛乳頭の役割
 4.2 毛包幹細胞のニッチとしての脂肪前駆細胞
 4.3 毛包幹細胞のニッチとしての末梢神経終末
5 ニッチとしての毛包幹細胞
 5.1 毛包幹細胞の基底膜は立毛筋細胞のニッチである
 5.2 色素幹細胞のニッチとしての毛包幹細胞
6 おわりに

第5章 毛包再生に関わるシグナル伝達-Wnt-10bによる毛乳頭細胞の毛包誘導維持-
1 はじめに
2 発毛と毛乳頭細胞
3 Wntシグナル
4 発毛におけるWntシグナル
5 毛乳頭細胞の単離と培養
6 初期培養毛乳頭細胞におけるWnt-10bの影響
7 長期培養毛乳頭細胞におけるWnt-10bの影響
8 おわりに

第6章 毛包血管発生・リモデリングのメカニズム
1 はじめに
2 毛包血管リモデリングと毛周期
3 毛包血管研究の題材としてのマウス頬髭
4 マウス頬髭における毛包血管リモデリング
5 胎仔期毛乳頭血管発生のダイナミクス
6 おわりに

第7章 毛包原基再生からアプローチした毛包器官再生
1 はじめに
2 発生プログラムからの毛包再生の戦略
3 毛包器官原基再生のための細胞操作技術の開発
 3.1 毛包再生に向けた従来の取り組み
 3.2 器官原基法の開発
4 成体内における機能的な毛包器官再生
 4.1 再生毛の萌出
 4.2 毛種の制御
 4.3 持続的な毛周期を有する毛包の再生
 4.4 毛色の制御
 4.5 立毛筋と神経接続による立毛機能の回復
5 臨床応用化に向けた再生技術の高度化
 5.1 毛包密度の制御
 5.2 成熟毛包の再生と移植
6 今後の課題と展望

第8章 毛包幹細胞の多分化能と再生医療への臨床応用
1 はじめに
2 皮膚毛包の多分化能を有する幹細胞研究の歴史
3 ヒト頭部毛包由来幹細胞の再生医療への臨床応用の可能性
4 抗腫瘍剤の成長期脱毛は毛包幹細胞と真皮血管網に対する増殖抑制作用
5 毛包幹細胞の微小環境(ニッチ)の重要性
6 おわりに

第9章 毛包形成のメカニズムの解明と毛包再生への応用
1 はじめに
2 上皮・間葉相互作用と器官形成
3 毛包形成における間葉系細胞の優位性
4 毛乳頭の起源
5 毛包形成のメカニズム
 5.1 毛包原基形成のメカニズム
 5.2 毛乳頭形成および毛包の成長を制御するメカニズム
6 毛髪再生の可能性
7 おわりに

第10章 真皮毛根鞘細胞の機能と毛包再生技術
1 はじめに
2 毛包間充織細胞の毛包誘導能
3 DSにおけるα平滑筋アクチンの発現
4 DS細胞の毛包誘導能
5 培養下での毛包誘導能の維持
6 毛包間充織細胞の機能分化
7 毛包間充織の双方向移動モデル
8 DS細胞と創傷治癒
9 DS細胞を用いた毛髪疾患の治療
10 おわりに

第11章 人工遺伝子デリバリーシステムMENDによる毛孔内へのBMPR1A遺伝子の送達
1 はじめに
2 新しいパッケージングコンセプトProgrammed Package
3 多機能性エンベロープ型ナノ構造体MEND
4 オクタアルギニンR8修飾MEND
5 おわりに

第12章 ヒトiPS細胞からのメラノサイトの作製―iPS細胞からの色素細胞の作製、iPS細胞による毛髪再生の可能性―
1 はじめに
2 毛包における幹細胞とその制御
3 ヒトiPS細胞から色素細胞の誘導
4 ヒトiPS細胞からケラチノサイトの誘導
5 iPS細胞を用いた毛髪再生の可能性
6 iPS細胞を用いた細胞治療について
7 おわりに

【第II編 毛髪再生医療の最先端】
第1章 脱毛症の頭髪移植治療:最近の進歩と課題
1 はじめに
2 頭髪移植の原理
3 頭髪移植の手術手技
 3.1 FUT法
 3.2 FUE法
4 移植株の保存
5 FUT法とFUE法の比較
 5.1 FUT法とFUE法のドナー傷跡
 5.2 ドナー株数の採取量
 5.3 毛根切断率
 5.4 ドナー採取時間
 5.5 手術時間
 5.6 その他の比較
6 まとめ

第2章 人工毛植毛術
1 はじめに
2 問題点とその評価
 2.1 AHの現状
 2.2 AHの適応
 2.3 医学的問題点
  2.3.1 感染:infection
  2.3.2 人工毛周囲の皮膚の陥没:follicular seborrhoeic deposit
  2.3.3 瘢痕化:scar pitting
  2.3.4 断裂と縮れ現象:breakage and frizz
  2.3.5 束毛現象:tufting
 2.4 経済的な問題点
 2.5 法的な問題点
 2.6 AHをどう評価するのか?
3 合併症の治療法
 3.1 術前診断と症例の分類
 3.2 治療指針と手技
4 まとめ

第3章 男性型脱毛症の治療
1 はじめに
2 脱毛症の臨床
3 男性型脱毛症
4 ミノキシジル
5 フィナステリド
6 遺伝子検査
7 おわりに

第4章 脂肪由来幹細胞分泌蛋白を利用した毛髪再生治療
1 はじめに
2 治療対象
3 使用薬剤
 3.1 脂肪由来幹細胞分泌蛋白(AAPE(R))
 3.2 その他の使用薬剤
4 治療方法
5 評価方法
 5.1 写真撮影
 5.2 トリコグラム
6 治療経過
7 症例

第5章 多血小板血漿(Platelet rich plasma:PRP)の育毛効果
1 はじめに
2 対象と方法
3 結果
4 考察

【第III編 発毛剤・育毛剤・発毛促進剤の研究開発】
第1章 動物での育毛素材の評価
1 はじめに
2 C3Hマウスを用いた2種の評価系
 2.1 C3Hマウスを用いた発毛作用の評価(成長期モデルによる評価)
 2.2 C3Hマウスを用いた育毛作用の評価(休止期モデルによる評価)
3 C57BLマウスを用いたホルモン型育毛作用の評価系
4 おわりに

<医薬品>
第2章 カルプロニウム塩化物の発毛効果とそのメカニズム
1 カルプロニウム塩化物の医薬品外用剤としての開発経緯
 1.1 カルプロニウム塩化物
 1.2 医療用医薬品としての開発
 1.3 一般用医薬品への転用-カロヤン?の誕生-
 1.4 育毛生薬の配合-カロヤンアポジカ?の開発-
 1.5 一般用医薬品のMTB濃度倍増-カロヤンガッシュ?の開発-
2 MTBの作用機序
 2.1 MTBの血管拡張作用
 2.2 MTBの血管拡張作用機序
  2.2.1 大動脈標本の作製
  2.2.2 MTBの血管弛緩作用
  2.2.3 血管弛緩作用の機序検討
3 MTBの発毛作用
 3.1 血管拡張作用と発毛
 3.2 マウスを用いた発毛作用の検討方法
 3.3 マウスを用いた発毛作用の検討結果
4 MTB2%含有製剤の発毛効果(臨床試験結果)
5 まとめ

第3章 ミノキシジルの発毛効果とそのメカニズム
1 はじめに
2 男性型脱毛症治療薬の効果
3 日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドラインによるミノキシジルの評価
4 ミノキシジルの臨床試験成績
 4.1 男性の男性型脱毛症
 4.2 女性の男性型脱毛症
5 毛組織
6 毛周期
7 男性型脱毛と毛母細胞アポトーシス
8 ミノキシジル発見と開発の経緯
9 ミノキシジルの代謝と降圧効果
10 ミノキシジルの発毛作用
 10.1 ミノキシジルの毛乳頭細胞におけるVEGF産生作用
 10.2 ミノキシジルの毛母細胞におけるアポトーシス抑制と細胞保護作用
11 追記

<医薬部外品の有効成分>
第4章 薄毛に関する遺伝子解析と6-ベンジルアミノプリンの育毛効果
1 はじめに
2 男性型脱毛症の原因究明
 2.1 男性型脱毛症とその原因
 2.2 DNAアレイによる男性型脱毛症の遺伝子発現の解析
 2.3 BMP、ephrinを介した男性型脱毛症発症メカニズム
3 6-BAの育毛作用
 3.1 6-BAとは
 3.2 発毛促進シグナルと脱毛シグナルに対する6-BAの作用
 3.3 6-BAの育毛作用のまとめ
4 6-BA配合育毛剤の開発
 4.1 C3Hマウスによる育毛評価試験
 4.2 ヒト使用テスト
5 女性の薄毛原因解析と6-BAの作用検討
 5.1 女性の薄毛について
 5.2 女性ホルモンの減少に着目した薄毛原因解析
 5.3 BMP2とIL1Aに対する6-BAの作用
6 おわりに

第5章 t-フラバノンの育毛効果とそのメカニズム
1 はじめに
2 開発経緯
3 t-フラバノンの男性型脱毛に対する使用試験成績
4 t-フラバノンの女性薄毛に対する使用試験成績
5 t-フラバノンの円形脱毛症に対する使用試験成績
6 t-フラバノンの毛成長メカニズム
 6.1 t-フラバノンによる活性型TGF-β2の減少
 6.2 表皮細胞でのTGF-β2活性化に対するt-フラバノンによる抑制
 6.3 t-フラバノンによる表皮細胞表面のuPA活性抑制
7 t-フラバノンの抜け毛抑制メカニズム
8 考察

第6章 アデノシンの育毛効果とそのメカニズム
1 はじめに
2 男性型脱毛症について
3 ミノキシジルの作用メカニズム
4 アデノシンの作用メカニズム
5 アデノシンの男性型脱毛症に対する育毛効果
6 女性の薄毛に対する育毛効果
7 まとめ

<その他>
第7章 β-グリチルレチン酸の育毛・脱毛予防に関する作用
1 はじめに
2 β-グリチルレチン酸について
3 β-グリチルレチン酸の育毛・脱毛予防に関連する有効性について
 3.1 5α-リダクターゼ活性阻害作用
 3.2 皮脂分泌抑制作用
4 おわりに

第8章 男性ホルモンによる脱毛シグナル(NT-4)亢進メカニズムとオキナワモズクによる抑制作用
1 男性型脱毛症について
2 男性型脱毛症由来の毛乳頭細胞に対するDNAアレイ解析
3 退行期を誘導するタンパク質:神経栄養因子-4(NT-4)
4 毛乳頭細胞における男性ホルモン依存的なNT-4発現亢進
5 男性ホルモンによるNT-4転写活性促進作用
6 男性ホルモンによるNT-4を介した毛成長阻害仮説
7 男性ホルモン誘導性のNT-4発現亢進に対する抑制物質の探索
8 おわりに

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