キーワード:
機能性食品/トクホ/機能性表示食品/スポーツニュートリション/抗疲労/抗ストレス/睡眠改善/アミノ酸/ペプチド/ビタミン/ポリフェノール/植物由来成分/乳酸菌/酵母
刊行にあたって
本書では,疲労,ストレス応答,睡眠について現在明らかになっている機構,食品による抗疲労,抗ストレス,睡眠改善をどのように評価すべきか,およびこれらに関連する食品/成分について網羅的に解説している。疲労,ストレス,睡眠の相互の関わりを意識し,ユニークかつ多角的な視点での編集がなされたものと考えている。
本書が疲労とその克服に立ち向かう研究ならびに実用的発展に資するものとなれば,甚だ幸いである。
(本書「はじめに」より抜粋)
著者一覧
山崎英恵 龍谷大学
八田秀雄 東京大学
増尾好則 東邦大学
栗山健一 国立精神・神経医療研究センター
倉恒弘彦 大阪市立大学
榊原啓之 宮崎大学
下位香代子 静岡県立大学
柏木香保里 スリープウェル㈱
吉田政樹 スリープウェル㈱
北浦靖之 名古屋大学
小関 誠 太陽化学㈱
海野けい子 静岡県立大学
王堂 哲 ロンザジャパン㈱
外薗英樹 三和酒類㈱
大日向耕作 京都大学
柴田克己 甲南女子大学
鎌倉昌樹 富山県立大学
西 大輔 東京大学
松原主典 広島大学
大久保 剛 仙台白百合女子大学
藤井 力 福島大学
渡邉 貢 ㈱渡辺オイスター研究所
鈴木麻衣子 ㈱常磐植物化学研究所
小林夕希子 ㈱常磐植物化学研究所
菅谷建作 大塚製薬㈱
井上正一郎 大塚製薬㈱
稲垣 隼 ㈱伊藤園
馬場吉武 ㈱伊藤園
小森照久 三重大学名誉教授;医療法人社団橘会 多度あやめ病院
柏谷英樹 鹿児島大学大学院
海貝尚史 理研ビタミン㈱
清水一雄 太陽化学㈱
髙田善浩 サッポロホールディングス㈱
中北保一 元サッポロホールディングス㈱
大石勝隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所
西田憲生 徳島大学
澤田大輔 アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱
佐野朋美 ライオン㈱
目次 + クリックで目次を表示
第1章 筋肉を中心とする運動時の疲労
1 疲労は複合的な現象で原因不明とするのが妥当
2 日常生活で乳酸が溜まることはない
3 糖の貯蔵量から考える
4 グリコーゲンの低下は疲労の大きな原因
5 マラソンの30 kmの壁はまさにグリコーゲン量の低下
6 最後まで糖を持たせる
7 糖の回復
8 筋損傷の蓄積
9 高強度運動の疲労
10 リン酸
11 カリウム
12 乳酸で酸性になって疲労するのではない
13 ATP産生の低下も忘れてはならない
14 多くの要因で起きている
第2章 中枢性疲労
1 中枢性疲労とは
2 中枢性疲労発生機構に関する仮説
2.1 セロトニン仮説
2.2 アンモニア仮説
2.3 サイトカイン仮説
2.4 TGF-β
2.5 κ-オピオイド
2.6 Corticotropin-releasing factor
3 実験動物を用いた中枢性疲労研究法
3.1 動物実験での中枢性疲労負荷
3.1.1 運動負荷
3.1.2 コミュニケーションボックス
3.1.3 拘束負荷
3.2 動物実験での中枢性疲労測定
3.2.1 自発行動
3.2.2 自発運動
3.2.3 運動意欲低下を利用する方法
3.2.4 運動負荷後の自発行動回復速度測定
3.2.5 脳内自己刺激intracranial selfstimulation(ICSS)を利用する方法
4 行動する意欲に影響する食品成分
5 おわりに
第3章 脳のストレス応答
1 ストレス
1.1 ストレスの生い立ち
1.2 ストレス学説
1.3 生体のストレス応答
2 ストレスと脳
2.1 モノアミン作動性神経の変化
2.2 海馬の変化
2.3 神経細胞死
3 心の健康
3.1 ストレスレベル評価
3.2 ストレス抑制
3.3 香りがストレス応答に及ぼす影響
3.3.1 嗅覚情報が脳に達する経路(嗅覚経路)
3.3.2 コーヒー豆
3.3.3 ラベンダー
3.3.4 α-ピネン
第4章 睡眠のメカニズムと睡眠障害
1 睡眠発現メカニズム
1.1 睡眠系神経核および投射経路
1.2 上行性覚醒系神経核および投射経路
1.3 概日時計による睡眠-覚醒制御
1.4 恒常性維持機構による睡眠制御
2 睡眠障害
2.1 不眠症
2.1.1 不適切な睡眠習慣
2.1.2 床上時間の延長
2.1.3 日中の活動量の減少
2.1.4 概日リズムに適応しない就床スケジュール
2.1.5 睡眠状態誤認
2.2 睡眠関連呼吸障害
2.3 中枢性過眠症
2.4 概日リズム睡眠・覚醒障害
2.5 睡眠時随伴症
2.5.1 ノンレム睡眠からの覚醒障害
2.5.2 レム関連睡眠時随伴症
2.5.3 その他の睡眠時随伴症
2.6 睡眠関連運動障害
【第Ⅱ編 食品機能性評価法】
第1章 抗疲労機能の評価法
1 はじめに
2 客観的な疲労評価に役立つ検査法
2.1 自律神経機能評価
2.2 睡眠覚醒リズム評価
2.3 酸化ストレス評価
2.4 その他の客観的評価指標
3 おわりに
第2章 抗ストレス機能の評価法
1 動物モデルを用いた抗ストレス機能の評価法
1.1 ストレス刺激の種類
1.2 指標とする生体応答の種類(ストレスマーカー)
1.3 ストレス刺激を負荷する期間
1.4 その他の注意点
2 ヒト試験における抗ストレス機能の評価法
2.1 ストレス負荷試験を行う前に
2.2 ストレス負荷の種類
2.3 生理的評価
2.4 生化学的評価
2.5 心理的評価
2.6 その他の注意点
第3章 睡眠改善機能の評価法
1 はじめに―市場拡大に向けたこれからの開発戦略―
2 開発のフェーズに応じた戦略
2.1 ゴールに向けた開発全体設計の重要性―マーケティングを意識した開発戦略―
2.2 フェーズⅠ 基礎情報の収集
2.3 フェーズⅡ 探索的試験
2.4 フェーズⅢ 検証試験のチェックポイント―マーケティング戦略の一環としての試験デザイン―
3 睡眠の評価方法―開発フェーズに対応した評価方法の選択―
3.1 開発のアーリーフェーズおよび被験者スクリーニングにおける主観の評価ツール
3.2 差別化の最大要因:脳波による客観的な睡眠評価
4 最後に
【第Ⅲ編 食品成分・素材開発】
第1章 分岐鎖アミノ酸(BCAA)
1 はじめに
2 運動による末梢性疲労に対するBCAAの効果
3 中枢性疲労に対するBCAAの効果
4 慢性ストレス,睡眠に対するBCAAの影響
5 おわりに
第2章 テアニン
1 はじめに
2 L-テアニン
3 抗ストレス効果
4 睡眠改善効果
5 おわりに
第3章 緑茶
1 はじめに
2 緑茶の抗ストレス作用
2.1 低カフェイン緑茶の抗ストレス作用および抗疲労作用
2.2 低カフェイン緑茶の睡眠に対する作用
2.3 抹茶の抗ストレス作用
2.4 カテキン,カフェインの抗ストレス作用
3 まとめと今後の展望
第4章 ストレス対応成分としてのL-カルニチン
1 はじめに―L-カルニチンと基本機能,本稿の位置づけ―
2 嫌気的な筋肉運動による筋損傷ストレスの緩和
3 高齢者がL-カルニチンを摂取した場合の応答
4 薬物副作用の低減効果
5 L-カルニチン摂取による加齢卵子の劣化軽減効果
6 L-カルニチンによる活性酸素低減効果に関する研究
7 遊離脂肪酸によるミトコンドリア膜の損傷およびL-カルニチンによる膜保護
8 中枢神経とL-カルニチンの関係
9 おわりに―ストレス緩和の側面からみたL-カルニチン―
第5章 γ-アミノ酪酸(GABA)
1 はじめに
2 GABAの単回摂取による抗ストレス作用の検証
3 GABAの12週間連続摂取が健常成人に及ぼす影響
3.1 方法
3.2 結果
4 GABAの睡眠の質改善作用
4.1 方法
4.2 結果
5 おわりに
第6章 鰹節(鰹だし)
1 鰹節および鰹だしに含まれる成分
2 アンセリンの抗疲労効果
3 鰹節・鰹だし
第7章 食品タンパク質から派生する情動調節ペプチド
1 はじめに
2 食品タンパク質の酵素消化により生成する生理活性ペプチド
3 情動調節作用の評価
4 構造-活性相関情報の活用による効率的な新規ペプチド探索
5 経口投与で有効な中分子ペプチドの脳-腸連関
6 食品タンパク質から派生する情動調節ペプチド
6.1 牛乳由来ペプチド
6.2 卵白ペプチド
6.3 緑葉ペプチド
7 今後の展望
第8章 「抗疲労」「抗ストレス」「睡眠改善」に必要なエネルギー産生経路を支えるB群ビタミンとバイオファクター
1 B群ビタミン欠乏症
2 B群ビタミンの相互作用
2.1 解糖系に必要な微量栄養素
2.2 β酸化系に必要な微量栄養素
2.3 アミノ酸の異化代謝に必要な微量栄養素
2.4 クエン酸回路に必要な微量栄養素
2.5 電子伝達系に必要な微量栄養素
2.6 抗酸化系に関わる微量栄養素とグルコース
2.7 ビタミンから補酵素への合成に必要な微量栄養素
2.8 脂肪酸の生合成に必要な微量栄養素
3 酵素タンパク質と補酵素との結合
4 代謝亢進時には水溶性ビタミンの必要量が増える
5 食べ物からのビタミン摂取量は把握しにくい
6 体内に補因子を飽和させておくための至適水溶性ビタミン量
6.1 尿中排泄量から求めた至適水溶性ビタミン摂取量
6.2 ビタミンB12依存性酵素活性を最大に発揮するための至適ビタミンB12摂取量
7 ミトコンドリア機能に重大な影響をおよぼすde novo NAD +合成経路
第9章 ローヤルゼリー
1 ローヤルゼリーの生理活性と成分
2 マウスを用いたローヤルゼリーの抗疲労効果の解析
3 ローヤルゼリーの抗疲労作用における臨床効果
4 まとめ
第10章 オメガ3系脂肪酸の精神疾患に対するエビデンス
1 はじめに
2 オメガ3系脂肪酸の抗うつ効果のメカニズム
3 疫学研究のエビデンス
4 介入研究のエビデンス
5 周産期のうつ病に対して
6 その他の精神疾患について
7 終わりにかえて
第11章 グリセロホスホコリン(GPC),S-アデノシルメチオニン(SAM)
1 はじめに
2 グリセロホスホコリン
3 S-アデノシルメチオニン
4 おわりに
第12章 マガキ軟体部由来の新規抗酸化物質3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol(DHMBA)を含有する分画の抗酸化能による疲労感軽減とストレス緩和作用
1 マガキ軟体部抽出上清由来のDHMBA含有ゼリー摂取による健常な中高年男女に対する疲労とストレスへの影響
1.1 方法
1.2 結果
1.3 考察
1.4 まとめ
2 DHMBAの機能性関与成分としての検討試験
2.1 酸化ストレスマウスに対するマガキ軟体部抽出液由来の抗酸化物質DHMBAの抗酸化作用と疲労感軽減の機能性関与成分としての検討
2.2 脳内酸化ストレスに起因するHPA系の亢進マウスに対するマガキ軟体部由来の抗酸化物質DHMBAの抗酸化作用とストレス緩和作用
第13章 ラフマ葉抽出物「ベネトロンⓇ」
1 はじめに
2 伝統生薬ラフマからベネトロンⓇの開発
3 ベネトロンⓇの抗うつ作用
4 ベネトロンⓇの抗不安作用
5 ベネトロンⓇの睡眠改善作用
5.1 ベネトロンⓇによるノンレム睡眠の延長作用
5.2 ベネトロンⓇの睡眠の質改善作用
5.3 ベネトロンⓇの睡眠改善の作用機序
6 ベネトロンⓇの抗ストレス作用
6.1 内田クレペリン作業検査について
6.2 唾液中クロモグラニンAの減少
6.3 作業効率と集中力の改善
6.4 緊張感やいらいらの体感評価改善
7 ベネトロンⓇの安全性
7.1 ベネトロンⓇの薬物相互作用
7.2 ベネトロンⓇの臨床試験における安全性評価
8 おわりに
第14章 アスパラガス由来含プロリン-3-アルキルジケトピペラジン(アスパラプロリン)
1 現代社会の課題;生体リズムの乱れ
2 睡眠や生体リズムの調整に関わるヒートショックプロテイン70(HSP70)
3 アスパラガス由来のアスパラプロリンによるHSP70発現誘導活性
4 アスパラプロリン含有食品を用いた臨床試験①;社会的ジェットラグを有する健康成人において目覚め感や睡眠の質QOLを改善
5 アスパラプロリン含有食品を用いた臨床試験②;夜型の健康成人において睡眠の質を改善
6 実社会の生活リズムの乱れに対するアスパラプロリンの役割
7 おわりに
第15章 黒酢(酢酸)
1 酢と食生活
2 酢と機能性
3 黒酢飲料の疲労感軽減効果検証試験
3.1 研究背景
3.1.1 現代人と疲労感
3.1.2 酢と疲労についての先行調査事例…
3.2 本研究の目的
3.3 方法
3.4 結果と考察
4 まとめと展望
第16章 香り成分
1 香りの作用への着眼
2 香りの抗ストレス作用
3 香りの抗うつ作用
4 うつ病に対する香りの臨床応用
5 香りの抗不安・睡眠改善作用と臨床応用
6 統合失調症のリハビリテーションに対する香りの効果
7 香りの自律神経系に対する作用
8 檜油の香りによるリラクゼーション効果評価試験
9 働く女性のストレス緩和
10 セドロールのリラックス効果と導眠効果の検証のための予備試験
11 宇宙ステーションにおける香りの応用
12 おわりに
第17章 リナロール香気の抗不安作用―機能性香気に基づく機能性食品の開発に向けて―
1 序論
2 リナロール香気の抗不安作用
3 リナロール香気誘発性抗不安の嗅覚依存性
4 リナロール香気誘発性抗不安の脳内機構
5 抗不安作用をもつ新たな香気の探索
6 機能性香気に基づく新たな機能性食品の開発に向けて
7 おわりに
第18章 クロセチン
1 はじめに
2 クロセチンとは
3 吸収
4 睡眠に対する作用
5 疲労に対する作用
6 安全性
7 おわりに
第19章 モリンガ種子抽出物
1 はじめに
2 モリンガの成分とその作用
3 モリンガ種子抽出物の安全性について
4 細胞試験および動物試験での効果確認
5 ヒト摂取試験による身体的疲労感の軽減効果
6 おわりに
第20章 SBL88乳酸菌による睡眠改善機能
1 SBL88乳酸菌とは
2 SBL88乳酸菌のストレス性睡眠障害改善作用(マウス実験)
3 SBL88乳酸菌のヒト睡眠への作用
3.1 少人数による予備試験
3.2 大人数による本試験
4 機能性表示食品への展開
第21章 ラクトバチルス・ガセリCP2305株の疲労軽減効果
1 はじめに
2 ラクトバチルス・ガセリCP2305株の機能
2.1 一般健常者を対象とした研究
2.2 医学生解剖学実習ストレスモデル
2.3 医師国家試験ストレスモデル
2.4 過敏性腸症候群患者に対する効果
2.5 脳腸相関を介した新しい機能
3 ラクトバチルス・ガセリCP2305株の疲労軽減に対する効果
3.1 CP2305のストレス緩和効果
3.2 CP2305の疲労軽減効果
3.3 CP2305の成長ホルモン分泌促進効果
3.4 腸内細菌への影響
3.5 末梢血球遺伝子発現解析から見えてくるもの
3.6 CP2305の作用起点とパフォーマンスへの影響
4 おわりに
第22章 睡眠の質改善素材「清酒酵母」を配合した機能性表示食品の開発
1 はじめに
2 食品素材の探索と清酒酵母GSP6の発見
3 清酒酵母GSP6の睡眠誘発機能と作用メカニズム解析(in vitro,in vivo)
4 ヒトに対する清酒酵母GSP6の睡眠改善機能
5 睡眠ヘルスケアへの展開
5.1 清酒酵母GSP6の疲労改善作用
5.2 清酒酵母GSP6の肌質改善作用
6 おわりに
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