キーワード:
マイクロバブル/ナノバブル/ファインバブル/ウルトラファインバブル/ゼータ電位/ナノ粒子計測/安定化/超音波/精密洗浄/衣類洗浄/有機合成/工作機械加工液/殺菌・酵素失活/食品加工/医療/超音波造影/植物栽培促進/水産養殖/陸上養殖システム/排水処理/入浴/シャワーヘッド/洗濯機/国際標準化/市場動向/発生方式/計測法/用途別市場・参入メーカー動向/発生・計測装置メーカー動向
刊行にあたって
2000年に広島でカキを養殖するとき,海中に微細な気泡を散気するとカキの生育が促進するという成果が報道された。この細かい気泡を「マイクロバブル」と呼んだことから,この呼び方が定着した。マイクロバブルは,水産養殖業だけでなく,農業,医療,食品,化学工学などにも応用されるようになってきた。
さらに,2007年頃になると,マイクロバブルをより微細にした「ナノバブル」による有害物質の分解事例が注目された。
その後,2017年に国際標準化機構(ISO)において基本規格が発行され,粒子径100μm未満の気泡を「ファインバブル」として総称しつつ,1μm以上100μm未満を「マイクロバブル」,1μm未満を「ウルトラファインバブル」と定義された。
弊社ではこれまでに『マイクロバブル・ナノバブルの最新技術』(2007年),『マイクロバブル・ナノバブルの最新技術Ⅱ』(2010年)を発行し,マイクロバブルとナノバブルの技術動向に焦点を当ててきた。
今回,洗浄,化学工学,機械加工,食品加工,医療,農水産など多岐にわたる活用が始まっているマイクロバブル,ナノバブルそしてファインバブル,ウルトラファインバブルについて最新技術動向は勿論,拡大を続ける市場の動向についても分かりやすくまとめたいとの考えから本書を企画した。
本書【技術編】では,第一線でご活躍中の専門家の方々にお願いし,マイクロバブル,ナノバブル,ファインバブル,ウルトラファインバブルの特性,粒子径・粒子濃度計測,有機物付着による安定化,精密洗浄技術,衣類洗浄,有機合成,工作機械の水溶性加工液,食品の殺菌・酵素失活,食品加工,医療,植物の栽培促進,水産養殖,排水処理,入浴効果,シャワーヘッドや洗濯機への利用など最新のトピックスを中心に執筆して頂いた。
【市場編】では,マイクロバブル,ナノバブル,ファインバブル,ウルトラファインバブルについてその定義,市場動向,発生方式,計測法,用途別市場・参入メーカー動向,発生・計測装置メーカー動向について調べあげた。
本書がマイクロバブル,ナノバブル,ファインバブル,ウルトラファインバブルの技術開発,製品販売,応用利用されている方々へ向けて,マーケティング活動の一助となれば幸いである。
著者一覧
入江文子 日本カンタム・デザイン㈱
菅野 恒 パナソニック㈱
三由裕一 パナソニック㈱
稲里幸子 パナソニック㈱
斉木和幸 超音波システム研究所
山口庸子 共立女子短期大学
間瀬暢之 静岡大学
二ノ宮進一 日本工業大学
小林史幸 日本獣医生命科学大学
佐合 徹 三重県工業研究所
鈴木 亮 帝京大学
小俣大樹 帝京大学
宗像理紗 帝京大学
丸山一雄 帝京大学
南川久人 滋賀県立大学
渡邊 崇 一関工業高等専門学校
豊岡正志 エンバイロ・ビジョン㈱
西村直記 日本福祉大学
市澤順一 ㈱micro-bub
目次 + クリックで目次を表示
第1章 ファインバブルの特性とその利用
1 ファインバブルの定義
2 ファインバブルの歴史
3 ファインバブルの特性
3.1 マイクロバブルの溶解挙動
3.2 マイクロバブルの観察:マイクロバブルの収縮挙動を抑えるためには
3.3 ファインバブルが持つゼータ電位
3.4 ウルトラファインバブルの測定および安定性
3.5 ファインバブルからのフリーラジカルの発生
4 最後に
第2章 ナノ粒子計測装置ナノサイトNS300―ナノサイトシステム,及びファインバブル測定例の紹介―
1 はじめに
2 背景
3 ナノサイトシステムとは
4 測定原理
4.1 粒子の可視化
4.2 粒子径の算出
4.3 送液測定~シリンジポンプの利用~
4.4 蛍光フィルターの利用
4.5 解析ソフトウエアNTA・取得データ
5 ナノサイトシステムを用いたファインバブル計測例
6 まとめ
第3章 有機物付着によるウルトラファインバブルの安定化
1 はじめに
2 安定化メカニズムのモデル
3 UFB生成方法
4 実験と結果
4.1 UFB生成回数依存性
4.2 有機物添加によるUFB濃度への影響
4.3 TEMによるUFBの直接観察
4.4 共振式質量測定と超音波照射によるUFB確認
5 UFB安定化機構に関する考察
6 おわりに
第4章 超音波とファインバブルによる洗浄技術―超音波とファインバブルのダイナミック制御による精密洗浄技術―
1 はじめに
2 どのようにして解決するのか?
2.1 脱気ファインバブル発生液循環装置による,洗浄液(洗剤濃度,溶剤濃度,溶存酸素濃度)の均一化により,超音波(音圧レベル,周波数分布)を安定して制御可能な状態にする
2.2 均一な洗浄液と適切な液循環に基づいて,対象物に有効な超音波(キャビテーションと音響流のダイナミック特性)を測定・確認する
2.3 音圧データの測定・解析・確認
2.4 上記の問題に対する実用的な対応
2.4.1 超音波伝搬状態の測定・解析技術
2.4.2 超音波専用水槽の設計・製造技術
2.4.3 液循環技術
3 どうして新しい超音波システムなのか?
4 具体例
4.1 超音波発振制御(超音波プローブの製造技術)
4.2 超音波溶接
4.3 超音波めっき
4.4 超音波加工
4.5 流水式超音波洗浄機
4.6 【発明の名称】超音波処理装置及び超音波処理方法
5 まとめ
第5章 ファインバブル水の衣類洗浄への応用
1 はじめに
2 粒子径サイズと性能の比較
3 マイクロバブル水の洗浄効果
3.1 モデル汚れと汚染試料の作成
3.2 マイクロバブル水の洗浄力評価
3.3 界面活性剤添加の影響
4 ウルトラファインバブル水の衣類洗浄
4.1 ウルトラファインバブル水の安定性
4.2 オゾンウルトラファインバブル水
4.3 オゾンウルトラファインバブル水の除去効果
5 おわりに
第6章 グリーンものづくり:ファインバブル有機合成手法の開発
1 はじめに
2 グリーンものづくりにおけるFB有機合成
3 FB有機合成用FB発生装置の開発
4 バッチ反応系におけるFB有機合成手法の開発
5 フロー反応系におけるFB有機合成手法の開発
6 FB有機合成におけるFBの効果
7 おわりに
第7章 工作機械の水溶性加工液へのファインバブルの利用
1 はじめに
2 切削・研削におけるファインバブル含有加工液に期待する効果
3 マイクロバブルクーラント
3.1 加工特性の向上作用
3.2 加工液の清浄化作用
3.2.1 マイクロバブルクーラントの消菌作用
3.2.2 マイクロバブルクーラントの消臭作用
3.2.3 マイクロバブルによる液中懸濁物質の浮選除去作用
3.2.4 超音波振動重畳マイクロバブルによる浮選浄化
4 ウルトラファインバブルクーラント
5 おわりに
第8章 二酸化炭素ファインバブルによる食品の殺菌・酵素失活
1 はじめに
2 低加圧二酸化炭素ファインバブル(CO2FB)装置
3 食品の殺菌・酵素失活
3.1 清酒
3.2 ビール
3.3 牛乳
3.4 カット野菜
4 殺菌・酵素失活メカニズム解析の現状
4.1 殺菌・酵素失活効果
4.2 微生物の細胞膜損傷および細胞内酸性化
4.3 酵素失活と構造変化
5 おわりに
第9章 ファインバブルの食品加工への利用
1 はじめに
2 食品加工におけるファインバブル技術の利用方法
3 食品加工での利用事例紹介
4 三重県工業研究所等での取組事例
4.1 アイスクリーム
4.2 水中の植物性脂肪の分散挙動
4.3 大豆飲料
4.4 カンキツ果汁飲料
5 今後の展開に向けて―課題と期待―
第10章 ファインバブルの医療への応用
1 はじめに
2 超音波造影用マイクロバブルについて
3 マイクロバブルの種類と形態
4 マイクロバブル製剤の特徴
5 マイクロバブルによる超音波造影効果
6 標的指向型超音波造影剤の開発
7 マイクロバブル製剤の製造方法
8 機能性マイクロバブルの開発
9 マイクロバブルを利用したドラッグデリバリーシステム(DDS)開発
10 超音波セラノスティクスの構築
11 おわりに
第11章 ファインバブルを用いた植物の栽培促進
1 はじめに
2 ホウレンソウの発芽と生育に関する実験
2.1 ホウレンソウ発芽の実験方法および装置
2.2 ホウレンソウの栽培実験の実験方法および装置
2.3 発芽実験の結果
2.4 栽培実験の結果
3 水耕コマツナの生育に関する実験(ゼータ電位に関する検討)
3.1 培養液中に発生させたマイクロバブルのゼータ電位
3.2 水耕栽培実験の装置と方法
3.3 培養液中に発生させたマイクロバブルのゼータ電位と気泡径
3.4 水耕栽培実験結果
4 おわりに
第12章 ファインバブルを活用した水産養殖への展開
1 水産養殖におけるファインバブルの成功事例と課題
2 検証に推奨される魚介類
3 セパレート型閉鎖循環式陸上養殖システムの構築
3.1 閉鎖循環式陸上養殖システム
3.2 セパレート型閉鎖循環式陸上養殖システムとその特徴
4 ファインバブル発生装置と各システムへの収容
5 飼育槽内のファインバブルのサイズ,濃度
6 検証試験の実際
6.1 諸条件
6.2 検証結果
6.3 成長促進効果等のメカニズム
7 課題と展望
第13章 ファインバブルを応用した先進的排水処理技術「OZAC(オーザック)排水処理システム」
―汚泥減容(削減),薬品(薬注)削減,臭気対策,油処理,ノルヘキ対策,能力アップ(増強・強化),省エネ,脱色等に現状設備に後付けで対応!―
1 はじめに
2 システムの概要
3 活性汚泥法とオーザック処理の比較
4 従来型,活性汚泥法の問題点
5 オーザック排水処理システムフロー
6 オーザック処理システム構成機器
6.1 ファインバブル(マイクロバブル・ウルトラファインバブル)発生装置「YJノズル」
6.2 高出力オゾン発生装置「オゾナイザー EVO3G」
6.3 活性炭含有スポンジ担体「ACBキャリア」
7 オーザック処理メリット
7.1 汚泥発生量の大幅な減少
7.2 既存施設への設置が可能,省スペース
7.3 臭気のない処理設備,脱色効果
7.4 油分処理,SS処理に絶大な効果
7.5 メンテナンス・コストの軽減
8 最後に―オーザック(OZAC)排水処理システムの比類なき特長―
第14章 ファインバブルを用いた入浴時の温熱効果
1 はじめに
2 ファインバブルを用いた入浴試験
2.1 試験方法
2.2 ファインバブルの作成方法およびバブル性状
3 ファインバブル浴の温熱効果
3.1 体温および平均皮膚温
3.2 局所発汗量の変化
3.3 皮膚血流量の変化
3.4 熱流量の変化
3.5 熱的快適性
4 おわりに
第15章 民生品でのファインバブルの利用(シャワーヘッドや洗濯機など)
1 はじめに
2 概要と測定
2.1 マイクロバブルとナノバブル(マイクロファインバブルMFB)
2.2 マイクロファインバブルMFBの発生方法
2.3 当社のマイクロファインバブルMFBの評価
3 民生品への展開
3.1 MFBシャワーヘッドの開発について
3.2 マイクロファインバブル(MFB)シャワーヘッドの効果と使い方
3.3 理美容室用のマイクロファインバブルシャワーヘッド
4 洗濯機での効果
4.1 洗濯機用マイクロファインバブル(MFB)発生器について
4.2 洗濯槽への効果
4.3 洗濯槽だけではなく,洗濯した衣類の洗浄・消臭効果も大きい
4.4 全自動洗濯機と2槽式洗濯機への取り付け方
4.5 節水と洗濯時間の短縮と洗浄力アップにつながる運転方法
4.6 浴槽の残り湯を利用されている場合
4.7 洗濯槽の汚れが落ちる原理としては
4.8 衣類の汚れが落ちる原理としては
4.9 海外での洗濯機について
5 その他のマイクロファインバブル製品について
6 マイクロファインバブル(MFB)の名称について
【市場編】
第1章 マイクロバブル・ナノバブルとは
1 マイクロバブル・ナノバブルの定義
1.1 マイクロバブル
1.2 ナノバブル
2 マイクロバブル・ナノバブルの効果
2.1 洗浄効果
2.2 触媒効果
2.3 殺菌・消毒効果
2.4 脱臭効果
2.5 微粒子吸着効果
2.6 生体活性効果
2.7 摩擦力低減効果
2.8 気体溶解効果
2.9 気体封入効果
3 マイクロバブル・ナノバブルの国際標準化
第2章 市場動向
1 市場概況
2 マイクロバブル・ナノバブル発生装置・計測装置の市場動向
3 マイクロバブル・ナノバブル利用製品・サービスの市場動向
第3章 マイクロバブル・ナノバブル発生方式
1 マイクロバブル発生方式
1.1 旋回液流式
1.2 スタティックミキサー式
1.3 微細孔式
1.4 エゼクター・ベンチュリー式
1.5 加圧溶解式(減圧析出式)
1.6 加温析出式(冷却溶解式)
1.7 スパイラルキャビテーション式
1.8 超音波キャビテーション式
1.9 混合蒸気直接接触凝縮式
2 ナノバブル発生方式
2.1 高速旋回液流式
2.2 スタティックミキサー式
2.3 加圧溶解式
2.4 界面活性剤添加微細孔式
2.5 超音波キャビテーション式
2.6 旋回流キャビテーション式
第4章 マイクロバブル・ナノバブルの計測法
1 動的光散乱法(Dynamic Light Scattering:DLS)
2 レーザー回折・散乱法
3 粒子軌跡解析法(PTA法)
4 共振式質量測定法
5 電気的検知帯法
6 動的画像解析法
7 蛍光顕微鏡
第5章 用途別市場・参入メーカー動向
1 産業分野
1.1 精密剥離
1.2 シリコンウエハー
1.3 生産ライン洗浄
1.4 燃焼改善
1.5 分離操作
2 環境分野
2.1 水質浄化
2.2 土壌浄化
2.3 地下水浄化
2.4 工場排水浄化
2.5 汚泥減容化
2.6 有害物分解
2.7 藻類除去
3 食品・飲料水分野
3.1 食品殺菌
3.2 鮮度保持
3.3 酸化防止
3.4 風味・食感・香り付与
4 農業分野
4.1 成長促進・収量増加・品質向上
4.2 鮮度保持
4.3 液肥
5 水産業分野
5.1 成長促進・収量増加・品質向上
5.2 鮮度保持
5.3 養殖環境改善
6 医療・薬品分野
6.1 造影剤
6.2 薬品
7 美容分野
7.1 お風呂
7.2 シャワーヘッド
8 その他
8.1 洗濯機
8.2 トイレ
8.3 船舶
8.4 エネルギー
第6章 発生・計測装置メーカー動向
1 発生装置メーカー
1.1 アースリンク
1.2 IDEC
1.3 エンバイロ・ビジョン
1.4 OKエンジニアリング
1.5 オーラテック
1.6 関西オートメ機器
1.7 サイエンス
1.8 シグマテクノロジー
1.9 西華産業
1.10 大生工業
1.11 多自然テクノワークス
1.12 田中金属製作所
1.13 テックコーポレーション
1.14 戸上電機製作所
1.15 トスレック
1.16 ナック
1.17 ナノクス
1.18 ナノプラネット研究所
1.19 西研デバイズ
1.20 西日本流体技研
1.21 ニッタ
1.22 ノリタケカンパニーリミテド
1.23 HACKUFB
1.24 ヒロセ・ユニエンス
1.25 富喜製作所
1.26 フジキン
1.27 本多電子
1.28 micro-bub
1.29 増田研究所
1.30 丸八ポンプ製作所
1.31 ミナミ産業
1.32 Ligaric
1.33 リガルジョイント
1.34 ワイビーエム
2 計測装置メーカー
2.1 大塚電子
2.2 キーエンス
2.3 島津製作所
2.4 スペクトリス
2.5 日本カノマックス
2.6 日本カンタム・デザイン
2.7 堀場製作所
2.8 マイクロテック・ニチオン
2.9 リオン
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