刊行にあたって
ゴム膜に選択透過性があることが報じられてから160年以上を経た現在、膜研究は様々な学問、応用分野に拡がっており、分離機能をはじめ、センサ(認識)機能膜、リアクター機能(物質変換機能)をもつ膜などや、導電性膜を代表とする電気的機能を有する膜までその対象となっている。本書はこのうち物質分離に焦点をあて、工業化の進んでいる多孔性膜から、実用化に着々と向かっている非多孔性膜まで、分離膜の全てに亘って述べている。
著者一覧
(現)明治大学 理工学部 工業化学科
山田純男 工業技術院 製品科学研究所 機能材料課
(現)明治大学 理工学部(兼任講師)
佐田俊勝 徳山曹達(株) 技術研究所
西田 治 旭メディカル(株) 技術部
植村忠廣 東レ(株) フィルム研究所 機能膜研究室
(現)東レ(株) 先端研究所
栗原 優 東レ(株) フィルム研究所 機能膜研究室
(現)東レ(株) 水処理事業部門・技術センタ-(水処理担当)・
研究本部(水処理担当)
神山義康 日東電気工業(株) メンブレン事業部 滋賀工場 開発課
橋本光一 (有)ニュー・テック 代表取締役
岩原弘育 鳥取大学 工学部 資源循環化学科
寺本正明 京都工芸繊維大学 工芸学部 工業化学科
梶山千里 九州大学 工学部
(現)九州大学大学院 工学研究院 応用化学部門
宮木義行 東ソー(株) 科学計測事業部
赤沢道博 東ソー(株) 科学計測事業部
(現)(社)日本化学工業協会 化学標準化センター
岡畑恵雄 東京工業大学 工学部 高分子工学科
斎藤幸廣 松下技研(株) 研究開発部門
(現)松下通信工業(株) 品質改革推進部 実証グループ
浅川史朗 松下技研(株) 研究開発部門
中村明日丸 宇部興産(株) 研究開発本部 企画開発グループ
吉竹正実 三井造船(株) 技術開発本部 千葉研究所 機能材開発室
(現)三井造船(株) 技術本部 環境エネルギー 技術開発センター
須磨靖徳 旭メディカル(株) 技術部
真鍋征一 旭化成工業(株) BMMプロジェクト
(現)福岡女子大学 人間環境学部
鶴見隆 旭化成工業(株) BMMプロジェクト
(現)旭化成(株) 知的財産部
村上瑛一 帝人(株) 生物医学研究所
加茂 純 三菱レイヨン(株) 中央研究所
(現)三菱レイヨン(株) 商品開発研究所 アクアテクノセンター
(執筆者の所属は、注記以外は1987年当時のものです。)
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1.膜研究を取り巻く環境
2.分離機能膜
2.1 気体分離膜
2.2 有機液体分離膜(パーベイパレーション膜)
2.3 透析膜
2.4 逆浸透膜
2.5 電気透析膜
3.薄層を有する高分子分離膜の分類
3.1 “ロエブ” 型膜
3.2 ラミネート膜
3.3 塗布膜
3.4 塗布化学反応膜
3.5 プラズマ重合膜
第2章 機能と応用
1.気体分離膜-酸素富化膜,水素分離膜-
1.1 はじめに
1.2 酸素/窒素分離膜
1.2.1 40%以上の酸素濃度を目的とした分離膜
1.2.2 30%以上の酸素濃度を目的とした分離膜
1.2.3 高速気体透過膜
1.3 水素分離膜
1.3.1 水素分離膜の特異性
1.3.2 水素分離膜の選択
1.3.3 工業的に用いられている水素分離膜
2.有機液体分離膜
2.1 はじめに
2.2 一般的な液分離プロセスと浸透気化法
2.3 液分離プロセスの理論式の誘導-Leeの理論-
2.4 浸透気化法と逆浸透法,気体浸透法との関係
2.5 浸透気化法における設定圧力条件の分離性能への影響
2.6 最近の浸透気化分離膜の開発研究
2.7 おわりに
3.イオン交換膜の機能と応用
3.1 はじめに
3.2 イオン交換膜の種類
3.2.1 一価イオン選択透過性イオン交換膜
3.2.2 耐有機汚染性イオン交換膜
3.2.3 耐薬品性イオン交換膜
3.3 イオン交換膜の性質
3.4 イオン交換膜の物性
3.5 イオン交換膜の製法
3.5.1 両性イオン交換膜
3.5.2 バイポーラーイオン交換膜
3.5.3 モザイクイオン交換膜
3.6 イオン交換膜の応用分野
3.6.1 拡散透析への利用
3.6.2 逆浸透
3.6.3 ドナン透析
3.6.4 圧透析
3.6.5 その他の分離への利用
3.6.6 電池への利用
3.6.7 その他の利用
3.7 おわりに
4.透析膜とその応用
4.1 はじめに
4.2 透析膜と透過原理
4.3 透析膜の性能評価
4.3.1 水の透過性能
4.3.2 総括物質移動係数
4.3.3 クリアランス
4.3.4 膜構造を表わす指標
4.4 透析膜の用途
4.4.1 工業用用途の実用例
4.4.2 医療用用途の実用例
4.5 人工腎臓用透析膜
4.5.1 透析膜の製造方法
4.5.2 透析効率の向上
5.逆浸透膜
5.1 はじめに
5.2 逆浸透膜の用途展開と技術指向
5.3 低圧逆浸透膜の研究開発の背景
5.4 市販段階の低圧逆浸透膜と膜素材
5.4.1 全芳香族ポリアミド
5.4.2 アリル-アルキルポリアミド/ポリ尿素
5.4.3 ポリピペラジンアミド
5.4.4 最近発表された逆浸透膜
5.5 低圧逆浸透膜の膜性能
5.5.1 低圧高脱塩膜
5.5.2 低圧高造水量膜
5.6 おわりに
6.精密濾過膜
6.1 はじめに
6.2 MF膜の素材,製法,構造
6.3 MF膜モジュール(MF膜フィルター)
6.4 MF膜の孔径評価方法
6.4.1 顕微鏡観察法
6.4.2 水銀圧入法
6.4.3 バブルポイント法
6.4.4 エアーフロー法
6.4.5 細菌濾過法
6.4.6 均一粒子濾過法
6.5 微粒子捕捉メカニズムと濾過式
7.限外濾過膜
7.1 はじめに
7.2 膜の種類,製法とそのモジュール
7.3 限外濾過の利用と問題
7.3.1 酪農製品への利用
7.3.2 大豆タンパク質の改質
7.3.3 酵素の取り扱い
7.3.4 動物血液の食用化
7.4 技術の拡大
第3章 キャリア輸送膜の開発
1.固体電解質
1.1 はじめに
1.2 ガス分離の原理
1.2.1 直流通電法
1.2.2 濃淡電池短絡法
1.2.3 混合導電体を用いる方法
1.2.4 気相電解法
1.3 固体電解質を用いたガス分離法の特徴
1.4 ガス分離のための固体電解質
1.4.1 酸素イオン導電体
1.4.2 水素イオン導電体
1.4.3 ハロゲンイオン導電体
1.4.4 混合導電体
1.5 固体電解質法の問題点と今後の展望
2.液膜
2.1 はじめに
2.2 液膜における透過機構
2.3 膜透過速度,選択性
2.4 乳化液膜による分離濃縮
2.4.1 乳化液膜による分離
2.4.2 W/O/W型乳化液膜による分離,濃縮
2.4.3 O/W/O型乳化液膜による液状炭化水素の分類
2.5 含浸液膜による溶液系の分離濃縮
2.5.1 含浸液膜プロセスの構成
2.5.2 含浸液膜による分離例
2.5.3 含浸液膜モジュールの開発
2.5.4 膜抽出と流動液膜
2.6 支持液膜によるガス分離
2.7 おわりに
3.液晶膜
3.1 はじめに
3.2 自己支持型液晶膜の特徴
3.3 キャリヤー輸送機能をもつ液晶膜
3.4 液晶膜を利用した光駆動によるイオンの促進輸送および能動輸膜
3.5 キャリヤーを利用した熱スイッチ型液晶膜
3.6 おわりに
4.モザイク荷電膜
4.1 はじめに
4.2 イオン濾過のしくみ
4.3 モザイク荷電膜の作製方法と性状
4.4 溶質透過特性
4.4.1 有機酸,アミノ酸,オリゴペプチド
4.4.2 タンパク質の脱塩
4.5 おわりに
5.機能性カプセル膜
5.1 はじめに
5.2 ポリマーグラフトカプセルによる透過制御
5.2.1 ph応答性
5.2.2 レドックス応答性
5.2.3 温度応答性
5.2.4 生体分子認識を用いた透過制御
5.3 カプセル膜のリアクターとしての利用
5.3.1 触媒固定化カプセル
5.3.2 酵素固定化カプセル
5.4 おわりに
第4章 装置化と応用
1.酸素富化膜
1.1 はじめに
1.2 酸素富化膜の特徴
1.3 酸素富化膜用高分子材料
1.3.1 シリコーン系酸素富化膜
1.4 製膜および装置化
1.4.1 製膜方法および複合膜特性
1.4.2 膜ユニットとその性能
1.4.3 酸素富化システム
1.5 応用
1.5.1 酸素富化膜を利用した排水処理システム
1.5.2 メタン発酵過程におけるメタン濃縮
1.6 おわりに
2.水素分離膜
2.1 はじめに
2.2 水素分離用膜の種類
2.3 膜モジュール
2.4 分離プロセス
3.イオン交換膜電気透析の装置化と応用
3.1 はじめに
3.2 電気透析の原理
3.3 電気透析の装置と方法
3.3.1 電気透析槽
3.3.2 電解透析槽
3.3.3 電気透析方法および電解方法
3.4 電気透析の利用例
3.4.1 海水濃縮製塩
3.4.2 かん水の脱塩
3.4.3 食品工業への利用
3.4.4 環境保全のための利用
3.4.5 その他の利用例
3.5 電極反応の隔膜への利用例
3.5.1 イオン交換膜食塩電解
3.5.2 有機電解への利用
3.5.3 水電解への利用
3.5.4 その他の電極反応への利用
3.6 おわりに
4.浸透気化法による有機混合物の分離
4.1 はじめに
4.2 浸透気化法の透過理論
4.3 浸透気化法の応用
4.3.1 水優先型PV膜
4.3.2 アルコール優先型PV膜
4.3.3 その他
4.4 モジュール構造
4.5 浸透気化法における経済性
4.6 今後の課題
5.人工腎臓
5.1 はじめに
5.2 人工腎臓の概要
5.2.1 現状および種類
5.2.2 膜材質とその特長
5.2.3 膜の要求特性
5.3 透析療法の動向と膜改質
5.3.1 低分子タンパク質除去療法
5.3.2 生体適合性
5.3.3 省ヘパリン透析
5.3.4 短時間透析
5.3.5 持続的血液濾過法
5.3.6 遺伝子工学の透析療法への応用
6.ウィルス分離膜
6.1 はじめに
6.2 ウィルスとは
6.2.1 ウィルス粒子の発見
6.2.2 ウィルスの構造と性質
6.3 膜によるウィルスの分離・除去・濃縮
6.3.1 研究分野(A-ⅰ,ⅱ)
6.3.2 工業分野 (B-ⅰ,ⅱ)
6.3.3 医療用途
6.4 Bemberg Microporous Membrane について
6.4.1 BMMの製造方法と膜構造
6.4.2 BMMのウィルス除去性能とタンパク透過性能
7.人工肝臓
7.1 はじめに
7.2 肝不全と肝性昏腫
7.3 人工肝臓の研究の回顧
7.4 膜型人工肝臓補助装置
7.5 血漿分離膜の性質と問題点
7.5.1 血漿分離膜の微細構造
7.5.2 モジュール形態と血漿濾過速度
7.5.3 血漿成分分離膜の性状
7.5.4 補体の活性化
7.6 おわりに
8.人工肺
8.1 はじめに
8.2 膜型人工肺の現状
8.2.1 膜の材料
8.2.2 膜型人工肺の構造
8.3 膜型人工肺の理論
8.4 新しい膜型人工肺
8.5 今後の課題
索引
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