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ハプティクスとその応用 ―力触覚の伝送・記録・再現・表示―

Haptics and Its Applications: Transmission, Record, Reproduction, and Display of Haptics Sensation

★あたかも実際にモノに触れているような力触覚を再現する技術「ハプティクス」!
★さまざまな産業分野において、より高精度な遠隔操作・無人操作を実現可能に!
★ハプティクスの原理、力触覚センサ、力触覚提示技術、応用事例について詳述!

商品コード:
T1222
監修:
大西公平,内村 裕
発行日:
2022年12月23日
体裁:
B5判・340頁
ISBNコード:
978-4-7813-1686-4
価格(税込):
73,700
ポイント: 670 Pt
関連カテゴリ:
エレクトロニクス
エレクトロニクス > ウェアラブル・ヘルスケア

Review

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キーワード:

ハプティクス / 力覚 / 触覚 / センサ / ディスプレイ / 遠隔操作 / 無人操作 / 非接触 / 遠隔医療 / 産業用ロボット / ピッキング作業 / 品質管理 / モニタリング / バーチャルリアリティ / XR / メタバース / 感染症対策

刊行にあたって

 ハプティクス(haptics)という言葉自体はギリシア語(ἅπτικός)由来であり,接触学あるいは触覚学と訳されている。もともと,人間は言語情報とは別に非言語コミュニケーションによる豊かな情報伝達手段を有しており,様々な文化や行動の背景をなしている。特に身体の接触動作による感情の伝達(例えばハグや撫で動作など)は人間の感情を相互表現するコミュニケーション手段として注目されるようになった。これは人間同士の接触による通信であるとも解釈できるので,聴覚,視覚の通信に続くメディアとしてこの接触による感覚を利用する研究が始まった。ハプティクスという言葉自体は当初は心理学の分野等で用いられていたが,そのうちに工学的な応用を含むようになってきており,現在では人への機械的な接触による信号伝達とその応用をハプティクスと考える広い解釈がなされるようになっている。
 もとよりハプティクスは現在進行形の技術であり,これから大きな発展が予想される分野である。その技術を多面的に捉えて紹介するのが本書の目的である。もしご興味がある分野があれば,更に専門書や論文等を参照されることで深い知識を得られるであろう。本書を手元に置かれて俯瞰的に利用されることが監修者の希望である。
(本書「はじめに」より一部抜粋)

著者一覧

大西公平   慶應義塾大学
内村 裕   芝浦工業大学
野崎貴裕   慶應義塾大学
斉藤佑貴   慶應義塾大学
辻 俊明   埼玉大学
安藤潤人   立命館大学
竹囲年延   弘前大学
望山 洋   筑波大学
吉元俊輔   東京大学
澤田秀之   早稲田大学
寒川雅之   新潟大学
野間春生   立命館大学
丸山尚哉   タッチエンス㈱
下ノ村和弘  立命館大学
溝口貴弘   モーションリブ㈱
浅井 洋   慶應義塾大学
北村知也   慶應義塾大学
横倉勇希   長岡技術科学大学
川合勇輔   一関工業高等専門学校
大石 潔   長岡技術科学大学
境野 翔   筑波大学
名取賢二   千葉大学
長谷川晶一  東京工業大学
広田光一   電気通信大学
黒木帝聡   慶應義塾大学
前田太郎   大阪大学
岩田洋夫   筑波大学
本多健二   アラクノフォース㈱
赤羽克仁   東京工業大学
竹下俊弘   (国研)産業技術総合研究所
小林 健   (国研)産業技術総合研究所
岡本正吾   東京都立大学
篠田裕之   東京大学
嵯峨 智   熊本大学
莇生田整治  慶應義塾大学
河奈裕正   神奈川歯科大学
下野誠通   横浜国立大学;神奈川県立産業技術総合研究所
八木 満   慶應義塾大学
髙野俊也   神奈川県立産業技術総合研究所
松永卓也   神奈川県立産業技術総合研究所
山之内健人  慶應義塾大学
田中由浩   名古屋工業大学
藤原道隆   名古屋大学
齊藤貴文   令和健康科学大学
行形 毅   鷺沼診療所;聖マリアンナ医科大学病院
宇井恵美   医療法人社団日米会
二宮和則   シブヤ精機㈱
中尾泰三   日鉄エンジニアリング㈱
川口秀喜   日鉄エンジニアリング㈱
江沢迪和   ㈱大林組
栗田雄一   広島大学

目次 +   クリックで目次を表示

【第Ⅰ編 ハプティクスの原理】
第1章 力触覚の定量化
1 刺激
2 力触覚刺激信号
3 力触覚量の定義

第2章 ハプティクス技術論
1 Hapticsとは
2 力か振動か
3 人への作用か,対象物への作用か
4 人への作用と対象物への作用とが同時に求められる遠隔操作システム

第3章 力触覚量の標準化
1 力触覚量
2 力触覚量の複素数表現
3 さまざまな力触覚値の標準表現

【第Ⅱ編 力触覚センサ】
第1章 力触覚信号の獲得技術
1 力触覚を獲得する領域
2 力信号と速度信号の獲得
3 リアルハプティクス技術

第2章 センサレスセンシング
1 センサレスセンシングのためのモータモデリング
2 外乱オブザーバ
3 反力推定オブザーバ

第3章 力覚センサに基づく力検知

第4章 面状走査型触覚センサ
1 はじめに
2 関連技術
3 センサ構造
4 評価実験
 4.1 センサ感度
 4.2 微小面歪検出
 4.3 検出位置の推定
5 おわりに

第5章 トモグラフィ式触覚センサ
1 はじめに
2 接触抵抗とEITを利用した接触圧力分布計測手法
 2.1 接触圧力と電気接触抵抗の関係
 2.2 励起方法と計測回路
 2.3 再構成手法
 2.4 接触圧力推定
3 提案手法の実装例と性能
 3.1 実装例
 3.2 計測性能
4 提案手法の特徴と高性能・多機能化
 4.1 提案手法の特徴
 4.2 高性能化
 4.3 多機能化
5 おわりに

第6章 SMAワイヤを用いた触覚センサ
1 はじめに
2 SMAの物理特性
3 SMAワイヤを用いた触覚センサ
4 SMA触覚センサを用いた触動作におけるテクスチャの弁別
5 まとめ

第7章 MEMS触覚センサ
1 触覚センサとMEMS技術による小型低コスト化・汎用性向上
2 マイクロカンチレバー・ヒータ・測温抵抗をチップ上に集積したMEMS触覚センサ
3 MEMS触覚センサの基本的特性
4 MEMS触覚センサアレイを目指したデジタル信号出力と信号処理

第8章 必要な触覚機能を網羅したセンサラインアップ
1 はじめに
2 ショッカクキューブ
 2.1 原理と特徴
 2.2 ショッカクキューブの強み
3 ショッカクチップ
 3.1 原理と特徴
 3.2 ショッカクチップの強み
4 ショッカクプローブ
 4.1 原理と特徴
 4.2 ショッカクプローブの強み
5 ショッカクシューズ
6 今後の展開
7 おわりに

第9章 触覚画像センサ
1 触覚画像センサの基本的構造と特長
2 触覚画像の取得方式
3 ローラ型触覚画像センサの異物検査への応用
4 今後の展望

【第Ⅲ編 力触覚提示技術】
第1章 双方向力触覚提示技術
1 双方向力触覚提示
2 リアルハプティクスとAbcCore
3 多自由度ロボットを用いた実装例
 3.1 実験
 3.2 双腕多自由度装置を用いたタスク実行
4 双方向力触覚提示の展望
5 まとめ

第2章 単方向力触覚提示技術

第3章 ギア付き電気アクチュエータによる力触覚提示
1 はじめに
2 力触覚提示のための負荷側加速度制御
 2.1 従来の加速度制御
 2.2 負荷側加速度制御の基本コンセプト
 2.3 負荷側加速度制御の構成
3 負荷側加速度制御の解析
 3.1 負荷側加速度制御の応用
4 ギア付き電気アクチュエータによる力触覚提示を実現する力積制御
 4.1 環境接触に適した制御対象(モデル)
 4.2 等価共振比制御
 4.3 2剛性共振系に基づく等価共振比制御と力積制御
 4.4 シミュレーション
5 おわりに

第4章 油圧アクチュエータによる力触覚提示
1 はじめに
2 斜交座標制御
 2.1 タスクの記述
 2.2 制御系設計
3 開回路型油圧回路
4 閉回路型油圧回路
5 おわりに

第5章 遠隔操作における力触覚提示のための通信遅延補償
1 はじめに
2 通信遅延による制御システムの性能劣化・不安定化
3 スミス法による通信遅延補償
4 通信外乱オブザーバ(CDOB)による通信遅延補償
 4.1 通信外乱(ND)の概念
 4.2 NDの推定と通信遅延補償
 4.3 CDOBによる通信遅延補償法の課題
5 バイラテラル遠隔操作システムへの適用
6 おわりに

第6章 通信遅延下における遠隔システムの制御
1 はじめに
2 時間遅れ系の安定性と制御系設計
 2.1 時間遅れ系の安定性
 2.2 時間遅れ系の安定解析
 2.3 時間遅れ系における制御器設計
3 モデルを含む制御器による時間遅れの補償
4 環境との接触を有する時間遅れ系のモデル予測制御による制御
5 おわりに

第7章 力覚レンダリング
1 形のレンダリング
2 Penalty法
3 God Object法
4 バーチャル物体の操作―6自由度力覚レンダリングの基本:ツールとバーチャルカップリング
5 バーチャルカップリングの係数と制御周期
6 ツールとバーチャル物体の接触計算
7 マルチレートシステム

第8章 ピンアレイ型触覚デバイス
1 はじめに
2 触覚刺激とヒトの感覚
3 触覚刺激の生成手法
4 空気圧デバイスの実装
5 触覚レンダリング
6 おわりに

第9章 誘電エラストマーアクチュエータを用いた触覚提示技術
1 はじめに
2 原理
3 DEAを用いた触覚ディスプレイ
 3.1 振動刺激を提示する触覚ディスプレイ
 3.2 熱刺激を提示する触覚ディスプレイ
4 実用化に向けた課題
 4.1 高電圧
 4.2 耐久性
5 おわりに

第10章 爪上からの触覚提示装置:スマートフィンガー
1 はじめに
2 スマートフィンガーの動作原理
3 なぞり表面のテクスチャ感重畳提示の再現性
4 なぞり表面形状の凹凸感提示の再現性
5 スマートフィンガーの利点
6 おわりに

第11章 歩行感覚提示デバイス
1 なぜ歩行か
2 ロコモーション・インタフェース
3 歩行感覚提示手法
 3.1 Virtual Perambulator
 3.2 トーラストレッドミル
 3.3 GaitMaster
 3.4 ロボットタイル
4 ロコモーション・インタフェースの応用とその未来

第12章 ワイヤ駆動型力覚提示装置とその応用
1 はじめに
2 力覚提示装置
3 ワイヤ駆動型力覚提示装置SPIDAR
4 高更新周波数制御の実現
 4.1 力覚補間レンダリング
 4.2 位置・姿勢計算
 4.3 アクチュエータ発生トルク計算
5 評価実験
 5.1 高更新周波数制御の実現
 5.2 結果と考察
6 むすび

第13章 極薄ハプティックMEMSフィルムの開発と応用
1 はじめに
2 極薄ハプティックMEMSデバイス
 2.1 作製
 2.2 構造
 2.3 基礎評価
3 付け爪型ハプティックデバイスへの応用
 3.1 構造
 3.2 性能評価
4 おわりに

第14章 タッチパネル用触感ディスプレイ技術
1 タッチパネル用触感ディスプレイ
2 振動触覚刺激を用いるタッチパネル用触感ディスプレイ
 2.1 原理・実装方法・特徴
 2.2 振動触覚刺激によるコンテンツ例:仮想的な押しボタンの触感
3 摩擦可変機構を有するタッチパネル用触感ディスプレイ
 3.1 静電吸引力を用いて摩擦を増加させるタッチパネル用触感ディスプレイの原理・特徴
 3.2 超音波振動を用いて摩擦を低下させるタッチパネル用触感ディスプレイの原理・特徴
 3.3 摩擦刺激によるコンテンツ例:テクスチャ刺激
4 タッチパネル用触感ディスプレイのコンテンツ
 4.1 コンテンツ例
 4.2 アクティブ型刺激とパッシブ型刺激
5 結び

第15章 空中超音波触覚ディスプレイ
1 はじめに
2 力分布の再現
3 VR物体を把持した際の圧力分布生成
4 人間の知覚特性の利用~LM刺激の活用
5 圧覚の提示
6 冷覚の提示
7 おわりに

第16章 熱放射による形状提示手法
1 概要
2 背景
3 ハロゲンランプによる熱放射を利用した触覚ディスプレイ
 3.1 要素技術
 3.2 ハロゲンランプを用いたシステム設計
4 ハロゲンランプによる熱放射を用いた触覚ディスプレイシステムの触覚提示実験
 4.1 熱放射による触覚生起実験
 4.2 熱放射による形状提示実験
5 レーザ光源による熱放射を利用した触覚ディスプレイ
 5.1 要素技術
 5.2 レーザ光源を用いたシステム設計
6 レーザ光源による熱放射を用いた触覚ディスプレイシステムの触覚提示実験
 6.1 深度および掌位置情報計測実験
 6.2 掌への温度提示実験
7 結論

【第Ⅳ編 ハプティクスの応用】
第1章 マイクロサージャリー支援システム
1 マイクロサージャリーとは
2 研究開発の目的
3 マイクロサージャリー縫合糸牽引システム
4 マイクロサージャリー縫合シミュレータ

第2章 脊椎手術用力触覚ドリル
1 はじめに
2 脊椎手術用力触覚ドリル
3 ドリルシミュレータ
4 おわりに

第3章 術者の感覚運動制御を活用した触診システム
1 触診の情報化における技術的課題
2 腹腔鏡下触診システム
 2.1 腹腔鏡下手術における触診
 2.2 反射音を用いた触覚センシング
 2.3 触覚フィードバックの導入
3 拘縮用触診システム
 3.1 ウェアラブル皮膚振動センサの活用
 3.2 触覚フィードバックによる感覚増強
 3.3 遠隔化
4 おわりに

第4章 PCR検査用ロボット
1 コロナ禍で大きく変わる医療現場
2 接触して直接検体採取が一番危険な作業
3 検体採取後の検査方法
4 遠隔で検体採取と診断に挑戦
5 リアルハプティクス(RH)
6 非接触で人体への検体採取が可能
7 遠隔検体採取で3つのメリットが期待
8 現在の問題点
9 リアルハプティクスで遠隔診療が変わる
10 第四次産業革命

第5章 農産物や食品を扱うロボットハンド
1 はじめに
2 ハンドリングロボット
3 農産物や食品を対象としたロボットハンドの開発
 3.1 リアルハプティクス・インテリジェント・ロボットハンド
 3.2 農産物や食品を把持するRHIハンドの仕組み
 3.3 選別・移載ロボット
 3.4 RHIハンドによるワークハンドリング試験
 3.5 RHIハンドによる各種計測機能
4 腐敗果実ピッキングロボット
 4.1 選果システム
 4.2 腐敗果を除去する選果ロボット
5 おわりに

第6章 ごみ溶融施設 酸素洗浄作業の高度化
1 緒言
2 シャフト炉式ガス化溶融炉における酸素洗浄作業
 2.1 シャフト炉式ガス化溶融炉の概要
 2.2 従来の酸素洗浄作業とその課題
3 リアルハプティクス技術を適用した酸素洗浄装置
 3.1 リアルハプティクス技術適用の狙い
 3.2 酸素洗浄装置の構成
 3.3 酸素洗浄装置の操作状況
 3.4 力触覚検出の改善
 3.5 操作性の評価
4 リアルハプティクス技術の適用拡大
 4.1 汎用ロボット連携アタッチメント/出湯口清掃ロボットの開発
 4.2 今後の展望
5 結言

第7章 リアルハプティクス技術を利用した建設技能作業の遠隔操作~左官作業に対する遠隔通信の実証実験~
1 はじめに
2 リアルハプティクス技術
3 左官作業ロボットの設計・製作
 3.1 左官作業ロボットの設計条件
 3.2 左官作業ロボットの基本構造
 3.3 左官作業ロボットの概略構造
4 遠隔操作実証実験(Part 1:同一敷地内)
 4.1 全体システムの概要
 4.2 実験結果
5 遠隔操作実証実験(Part 2:東京・大阪間)
 5.1 通信システムの検討
 5.2 映像システムの検討
 5.3 制御のアルゴリズムの検討
 5.4 実験結果
6 おわりに

第8章 双腕型ロボット「GP-Arm」
1 2017年,General Purpose Arm(GP-Arm)に関する研究開発成果を発表
2 研究開発の背景
3 リアルハプティクス技術
4 位置と力とは仲が悪い
5 リアルハプティクスの特徴とGeneral Purpose Arm
6 リアルハプティクスがもたらすブレークスルー
 6.1 行為が空間を超える
 6.2 行為の見える化
 6.3 行為の超人化
 6.4 行為のコンテンツ化
 6.5 対象の見える化
7 まとめ

第9章 触感評価技術と触感デジタルデザイン
1 はじめに
2 表面高さと粒径パラメータを利用した触感評価と触感デザイン支援ツール
3 テクスチャの空間情報と触感のモデル化
 3.1 Subband Height Mapを利用した特徴量解析
 3.2 触感データセットの作成と触感サンプルを用いた官能評価実験
 3.3 回帰モデルの作成と触感予測
4 予測モデルにもとづく触感デザイン支援ツールの開発
5 おわりに

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