カテゴリ

  • 近日発売の新刊情報
  • CMCeBOOK

月刊ファインケミカル 2023年5月号

【特集】農薬の動向と研究開発2023

★農薬は、農産物の収穫量や品質を維持していく上で必要不可欠であるものの、数年も経つと、突然変異による耐性菌の出現が懸念される。継続的に病害防除ができるよう、また食糧生産を持続可能なものとするためにも、新規な農薬を探索・合成することは非常に重要である。本特集では,農薬の動向と研究開発について取り上げる。

商品コード:
F2305
発行日:
2023年5月15日
体裁:
B5判
ISSNコード:
0913-6150
価格(税込):
7,700
ポイント: 70 Pt
関連カテゴリ:
ファインケミカル
雑誌・定期刊行物
雑誌・定期刊行物 > 月刊ファインケミカル
ファインケミカル > 農薬

Review

この商品に対するご感想をぜひお寄せください。

著者一覧

堀越 亮 三井化学クロップ&ライフソリューション(株)
竹田 遼 BASFジャパン(株)
稲垣 準 日本曹達(株)
伊藤寛之 三井化学クロップ&ライフソリューション(株)
小原敏明 三井化学クロップ&ライフソリューション(株)
小林方美 クミアイ化学工業(株)
玉井隆二 クミアイ化学工業(株)
寺島健仁 東京農業大学
岡田 至 東京農業大学
冨澤元博 東京農業大学
青木大輔 千葉大学

目次 +   クリックで目次を表示

-------------------------------------------------------------------------

【特集】農薬の動向と研究開発2023

-------------------------------------------------------------------------

殺虫剤アフィドピロペンの創製
Discovery of a Novel Insecticide Afidopyropen

 アフィドピロペンは,学校法人 北里研究所とMeiji Seikaファルマ(株)((株)MMAGを経て,現在は三井化学クロップ&ライフソリューション(株)。以下MMAG と記す。)が糸状菌Penicillium coprobiumの発酵産物であるピリピロペンA(以下PP-A)をリード化合物とした誘導体合成研究の中から創出した新規殺虫剤であり(図1),BASF社が商標登録名InscalisⓇとしてグローバルに開発,登録を進め,各国で販売が開始されている。国内では,BASFジャパン(株)が2022年10月に農薬登録を取得し,2023年からアフィドピロペンを含有するセフィーナⓇDCの小麦,ばれいしょ,てんさいのアブラムシ類の防除用途で上市された。アブラムシ類以外にも,同じカメムシ目害虫であるコナジラミ類,キジラミ類,カイガラムシ類など難防除吸汁性害虫に対し卓効を示し,また,哺乳動物,天敵,セイヨウミツバチなど非標的生物への影響が低く,各国での開発普及が進んでいる。

【目次】
1.はじめに
2.アフィドピロペンの創薬経緯
2.1 PP-Aの発見
2.2 側鎖構造の最適化
2.3 母核構造の変換
3.殺虫スペクトラム
4.作用機作
5.農業害虫に対する作用特性
6.ウイルス病媒介抑制効果
7.非標的生物に対する影響
8.おわりに

-------------------------------------------------------------------------

新規殺菌剤キノプロールⓇ(一般名:イプフルフェノキン)の創製
Discovery of a Novel Fungicide,KINOPROLⓇ(Ipflufenoquin)

 キノプロールⓇ(ISO名;Ipflufenoquin:商品名;ミギワⓇ)は,日本曹達(株)が発明・開発したフェニルプロパノール構造を有する新規殺菌剤であり,果樹や野菜などの作物に発生する各種病害に優れた防除効果を示す。2020年7月に国内で農薬登録が認可された。本稿では,キノプロールⓇの創製経緯とその特徴について報告する。

【目次】
1.はじめに
2.キノプロールⓇの創製
2.1 リード化合物の発見
2.2 アミド型からイミン型へ
2.3 ベンゾオキサゼピン骨格の発見と最適化
2.4 ベンゾオキサゼピン骨格の見直しとフェノキシタイプの発
2.5 フェノキシタイプの活性向上と最適化
2.6 フェノキシタイプの構造活性相関
3.生物効果
3.1 有効病害例
3.2 圃場における防除効果
3.3 作用機構
4.おわりに

-------------------------------------------------------------------------

殺菌剤キノフメリンの創製
Molecular Design and Biological Activity of quinofumelin

 キノフメリンは,三井化学クロップ&ライフソリューション(株)が開発中の新規作用性を有する殺菌剤である。本剤は,イネいもち病,灰色かび病およびリンゴ黒星病などの子嚢菌による病害に対し卓効を示すだけでなく,治療効果を有することが特長である。また,イソキノリン環とキノリン環が直接結合する,独自性の高い構造を有している。本稿では,キノフメリンの創薬経緯とその特長について報告する。

【目次】
1.はじめに
2.キノフメリンの発見と誘導体展開
2.1 リード化合物の選定
2.2 シクロヘキサン環の1 位の置換基の展開
2.3 シクロヘキサン環とキノリン環の間の部分の検討
2.4 仮説に基づいた閉環化合物の合成とその活性
2.5 イソキノリン環の置換基の検討
3.キノフメリンの合成
4.キノフメリンの作用部位と作用特性
4.1 キノフメリンの作用部位
4.2 キノフメリンの作用部位における選択性
4.3 キノフメリンの作用特性
5.キノフメリンの性状
6.おわりに

-------------------------------------------------------------------------

新規水稲用除草剤フェンキノトリオン(EFFEEDAⓇ)の創製       
Discovery of a Novel Rice Herbicide,Fenquinotrione
 
 フェンキノトリオンはクミアイ化学工業(株)が創製し,開発した4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼを作用点1,2)とするトリケトン系除草剤である。本剤は,イヌホタルイ,コナギ,一年生広葉雑草,オモダカなどに対する高い効果と,水稲に対する高い安全性を有し,様々な防除体系に適用できる。本稿はフェンキノトリオンの創製の経緯と水稲用除草剤としての特徴を述べる。

【目次】
1.はじめに
2.フェンキノトリオンの創製研究
2.1 リード化合物の発見
2.2 構造活性相関と最適化
3.フェンキノトリオンの水稲用除草剤としての特徴
3.1 殺草スペクトラム
3.2 作用症状と生育期の除草効果
3.3 残効性
3.4 水田環境における除草効果
3.5 水稲安全性
4.フェンキノトリオンの水稲安全性機構
4.1 フェンキノトリオンの水稲安全性要因の解明
4.2 水稲安全性とCYP81A6との関連
5.おわりに

-------------------------------------------------------------------------

[シリーズ]世界の新農薬

1.殺虫剤 umifoxolaner(ウミホキソラネル)
2.除草剤 pyriflubenzoxim(ピリフルベンゾキシム)
3.除草剤 fluchloraminopyr(フルクロラミノピル)
4.除草剤 iptriazopyrid(イプトリアゾピリド)

-------------------------------------------------------------------------

[連載]ピリダジン系機能性化学品(染料,農薬,医薬品など) 

第1回:二置換ピリダジン誘導体
Disubstituted Pyridazine Derivatives

 染料,農薬,医薬品などの中にはピリダジン環を有する化合物がある。それらの原料であるピリダジン系中間体の工業的製法および用途について述べる。天然物については2.ピリダジン化学発展の歴史の項で概説する。なお,ベンゾピリダジンであるフタラジンは,9項で述べる。

【目次】
1.はじめに
2.ピリダジン化学発展の歴史
3.二置換ピリダジン系
3.1 1,2-ジヒドロピリダジン-3,6-ジオン(マレイン酸ヒドラジド)(2)
3.2 3,6-ジクロロピリダジン(3)
3.3 3-アミノ-6-クロロピリダジン(4)
3.4 3-クロロ-6-メトキシピリダジン(5)
3.5 3-クロロ-6-メルカプトピリダジン(6)
3.6 3-アミノ-6-メチルピリダジン(11)
3.7 3,6-ジブロモピリダジン(12)
3.8 3-アミノ-6-メトキシピリダジン(14)

-------------------------------------------------------------------------

[R&D Report]

プラスチックから植物肥料を与えるリサイクルシステム 
Recycling System that Gives Fertilizer from Plastic Waste
 
 生産量がきわめて大きく「誰もがその有用性を理解している」プラスチックを禁止・制限することは不可能に近く,地球環境の保全とプラスチック利用を両立させる革新的なリサイクルシステムの開発が望まれている。本稿では,カーボネート結合からなる植物由来のプラスチックをアンモニア水で処理することで肥料へと変換する新しいリサイクルシステムについて紹介する。

【目次】
1.はじめに
2.ポリカーボネートのリサイクル
3.プラスチックから肥料を作るリサイクルシステムの実証
4.分解生成物を肥料として用いた植物の生育実験
5.糖由来ポリカーボネートの機能化
6.展望

-------------------------------------------------------------------------

[マーケット情報]
農薬工業の市場動向

 2021年農薬年度(2020年10月から2021年9月)の農薬出荷実績は,18万969トン(前年比0.2%増),出荷金額は3,453億円で同1.8%増であった(表2)。国内においては,輸入農産物の増加,農地面積の減少,農業従事者の高齢化,減農薬志向など,農薬メーカーにとっては厳しい状況が続いている。そのため,国内農薬メーカー各社は,人工増加に伴う食糧需要の拡大が期待できるアジアをはじめとする海外市場への展開に注力している。

【目次】
1.需要概要
2.輸出入動向
3.生産動向
4.業界動向
5.開発動向

-------------------------------------------------------------------------

[ケミカルプロフィル]

インドール(Indol)
2,6-ジクロロピリジン(2,6-Dichloropyridine)
臭化ブチル(n-Butylbromide)

-------------------------------------------------------------------------

[ニュースダイジェスト]

・海外編
・国内編

この商品を買った人はこちらの商品も購入しています。