キーワード:
乳酸菌の機能性/青果物の発酵/畜産食品/バクテリオシン/食品保蔵/イムノバイオティクス/抗炎症作用/バイオ医薬品/腸細菌叢変化/消化管定着/脂肪酸変換機能/メタボローム解析/乳酸菌発酵ギャバ/発酵乳/発酵食品/植物由来乳酸菌
刊行にあたって
乳酸菌は安全性が高く様々な機能を持つ有用菌の一つである。現在ではヨーグルト,チーズ,漬物等の発酵食品のみならず,培養後粉末化され様々な食品・飲料に直接添加されるなど,その利用範囲が拡大している。また,家畜の飼料やペットフードにも機能性を付与する動きが強まり,乳酸菌が活用されている。
乳酸菌には,整腸作用(腸内細菌叢のバランス改善),免疫賦活化・免疫調節作用,抗癌作用,血中コレステロールの低減作用など様々な生理効果が報告されている。また,皮膚,胃,小腸,大腸,膣,その他の組織,脳などにも影響を与えており,全身の健康に寄与している。そのような中,乳酸菌に関する多くの書籍が出版されているが,産業利用に特化した書籍は意外と少ない。
そこで本書では乳酸菌の機能を整理すると共に,より商業利用面を意識した内容を多く掲載した。本書はその道のスペシャリストである大学,国の研究所,企業の研究者や企業で商品開発に携わる開発者の皆様に乳酸菌の機能や特徴,そして,自社の商品について分かりやすく解説いただいた。
第1 章「乳酸菌の機能と特徴」では,乳酸菌の産業利用のために必要となる機能と特徴について基礎知識から最新の知見に至るまで幅広く解説されている。
第2 章「乳酸菌を活用した食品開発」では,基礎よりも応用面に重きを置き,実際に商品化されているものを中心に掲載した。
第3 章「乳酸菌のユニークな食品開発事例」では,全国の様々な企業や農家が趣向を凝らして開発した乳酸菌を用いた特徴的な商品について紹介した。
本書は,乳酸菌の基礎知識から最新の活用法まで幅広く網羅されており,乳酸菌のことを全く知らない方からある程度知識を持たれている方までご満足頂ける内容になっている。また,最新のトピックスや実際の応用面に関する内容には,農家の六次産業化や企業の商品開発のヒントがちりばめられている。商品開発とは無縁の方も,乳酸菌に関する知識は健康的な生活を送る上で大いに役に立つと確信している。本書が,読者の皆様に少しでもお役に立てれば幸いである。(「はじめに」より抜粋)
著者一覧
井越敬司 チーズ・乳酸菌研究所
中島勇貴 東海大学
覚張孝大 東海大学
竹田志郎 麻布大学
春日元気 日本大学
川井 泰 日本大学
北澤春樹 東北大学
島津朋之 宮城大学
重盛 駿 信州大学
下里剛士 信州大学
荻田 佑 信州大学
西山啓太 慶應義塾大学
萩 達朗 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構
後藤弥生 フジッコ㈱
渡辺真通 フジッコ㈱
鈴木利雄 フジッコ㈱
浮辺 健 雪印メグミルク㈱
中川勇志 スノーアイティエヌ㈱
本田洋之 八戸工業大学
荒川千夏 カゴメ㈱
鈴木重德 カゴメ㈱
竹下正彦 南日本酪農協同㈱
小松靖彦 スノーデン㈱
米島靖記 Noster㈱
土橋英恵 ㈱明治
淵田 元 ダニスコジャパン㈱
目次 + クリックで目次を表示
1 乳酸菌の機能性と全身の健康
1.1 要旨
1.2 はじめに
1.3 皮膚の保湿性改善効果
1.4 う蝕と歯周病予防
1.5 ピロリ菌の抑制
1.6 整腸作用
1.7 病原菌やウイルスの感染防御作用
1.8 免疫調節作用
1.9 抗アレルギー作用
1.10 血圧降下作用
1.11 脂質代謝改善作用
1.12 ストレス緩和作用
2 乳酸菌の発酵を利用した畜産食品
2.1 はじめに
2.2 乳酸菌による発酵を利用した乳製品
2.3 乳酸菌による発酵を利用した食肉製品
2.4 乳酸菌による発酵を利用した食卵製品 食卵の発酵で使用されている乳酸菌について
3 乳酸菌が産生するバクテリオシンと食品保蔵への応用
3.1 バイオプリザベーションについて
3.2 乳酸菌バクテリオシンの歴史と分類について
3.3 乳酸菌バクテリオシンの食品応用に向けた研究について
4 イムノバイオティクスの畜産への応用
4.1 はじめに
4.2 プロバイオティクスから(パラ)イムノバイオティクス,イムノシンバイオティクス
4.3 (パラ)イムノバイオティクスの選抜評価とイムノシンバイオティクスを含めた畜産への貢献
4.4 おわりに
5 乳酸菌による抗炎症作用
5.1 はじめに
5.2 腸管上皮細胞における乳酸菌の抗炎症効果
5.3 乳酸菌による制御性T細胞の誘導
5.4 終わりに
6 乳酸菌組換え体研究の最前線と将来展望
6.1 乳酸菌組換え体
6.2 乳酸菌粘膜ワクチンを用いた疾患の予防戦略
6.3 炎症性腸疾患への適応
6.4 低分子抗体を産生するgmLABの開発と抗体医薬への展開
6.5 課題と将来展望
7 食成分による腸細菌叢変化が宿主に及ぼす影響
7.1 はじめに
7.2 食成分による腸細菌叢の変化と宿主への影響
7.3 腸細菌Flavonifractor plautii
7.4 F.plautiiのアレルギー免疫応答抑制効果
7.5 今後の展望
8 乳酸菌の消化管定着
8.1 はじめに
8.2 ヒトに共生する細菌の分布と局在
8.3 腸内細菌の消化管への接着
8.4 乳酸菌の消化管への接着
8.5 乳酸菌のムーンライティングタンパク質
8.6 最後に
9 乳酸菌におけるカロテノイドの役割とその利用の可能性
9.1 はじめに
9.2 乳酸菌のカロテノイド生合成経路
9.3 カロテノイドを中心としたストレス応答機構
9.4 乳酸菌におけるカロテノイドの生理的意義
9.5 機能性成分としての4,4’-diaponeurosporeneの利用と可能性
9.6 おわりに
【第2章 乳酸菌を活用した食品開発】
〈プロバイオティクスの産業動向〉
1 プロバイオティクス市場の現状と潮流
1.1 乳酸菌市場の概要
1.2 プロバイオティクス(乳酸菌/ビフィズス菌)に期待される効果
1.3 プロバイオティクス市場の動向
2 プロバイオティクス(乳酸菌)原料の動向
2.1 乳酸菌の特性と種類
2.2 乳酸菌原料の主なサプライヤー
〈発酵乳〉
1 カスピ海ヨーグルトの特徴と機能
1.1 はじめに
1.2 クレモリスFC株が生産する菌体外多糖
1.3 クレモリスFC株の整腸作用
1.4 クレモリスFC株の免疫に対する作用
1.5 クレモリスFC株の運動者に対する効果
1.6 まとめ
2 ガセリ菌SP株の内臓脂肪減少作用および内臓脂肪炎症抑制作用について
2.1 はじめに
2.2 ガセリ菌SP株の内臓脂肪減少作用について
2.3 ガセリ菌SP株の内臓脂肪炎症抑制作用について
2.4 おわりに
〈植物の発酵と応用〉
1 植物原料を用いた乳酸発酵食品と食品開発
1.1 はじめに
1.2 乳酸菌による青果物の発酵
1.3 乳酸菌の効果的な活用法と新しい発酵食品の提案
1.4 商品開発を支援する「種菌構想」
1.5 おわりに
2 植物由来乳酸菌を用いた新しい発酵食品開発への挑戦
2.1 はじめに
2.2 現代の食のニーズにあわせた市場開拓
2.3 2種の混合植物性乳酸菌
〈菌体および産生物の機能〉
1 乳酸菌の細胞外多糖とβ-ガラクトシダーゼの機能
1.1 はじめに
1.2 乳酸菌が生成する細胞外多糖(EPS)
1.3 L.brevisのラクトース資化の特徴によるβ-ガラクトシダーゼの常時発現
1.4 乳酸菌を用いた並行複発酵の可能性
1.5 配糖体を加水分解するβ-ガラクトシダーゼ
2 モンゴル生まれのLP432乳酸菌の多機能性について
2.1 はじめに
2.2 インフルエンザウイルス(IFV)感染抑制作用
2.3 単純ヘルペスウイルス1型感染抑制
2.4 Ⅰ型アレルギー抑制効果
2.5 潰瘍性大腸炎(UC)抑制作用
2.6 おわりに
3 乳酸菌LJ88の胃及び腸における作用
3.1 人の健康と菌の健康
3.2 乳酸菌LJ88の発見の経緯とその耐酸性
3.3 乳酸菌LJ88の胃における作用
3.4 乳酸菌LJ88の腸における作用
3.5 まとめ
4 乳酸菌が産生するPostbioticsの機能と利用
4.1 はじめに
4.2 微生物ライブラリー
4.3 難消化性食物繊維の多糖体ロイコサッカライド
4.4 腸内細菌脂質代謝物HYA
4.5 おわりに
〈スターターカルチャーの特徴〉
1 メタボローム解析から見えたスターター乳酸菌の特徴
1.1 はじめに
1.2 生乳から高頻度で分離される乳酸菌の種類
1.3 生乳由来乳酸菌の代謝産物によるプロファイリング
1.4 生乳由来L.delbrueckiiおよびS.thermophilusの特徴と日本オリジナルヨーグルトの開発
1.5 発酵乳の代謝産物プロファイル
1.6 おわりに
2 プロテクティブカルチャーのチーズへの応用
【第3章 乳酸菌のユニークな食品開発事例】
飲むくず餅乳酸菌
大麦乳酸発酵液ギャバ
糸島めんま
ロイテリお口のサプリメント
豆乳グルト
香TOMATO×乳酸菌 旨辛PASTE
乳酸菌飲料umika®~ウミカ~
Haccoジェラート
関連商品
ヒト常在菌叢と生理機能・全身疾患
価格(税込): 77,000 円
細胞表層工学の進展
価格(税込): 63,800 円
発酵美容成分の開発
価格(税込): 59,400 円
天然系抗菌・防カビ剤の開発と応用
価格(税込): 88,000 円
食品機能性脂質の基礎と応用
価格(税込): 79,200 円
腸内細菌の応用と市場
価格(税込): 99,000 円
この商品を買った人はこちらの商品も購入しています。
フードテックの最新動向
価格(税込): 58,300 円
唾液による健康効果の最前線
価格(税込): 88,000 円
動物細胞の培養システム
価格(税込): 88,000 円
腸内細菌の応用と市場
価格(税込): 99,000 円
近未来のデジタルヘルスを支える酵素バイオ技術
価格(税込): 81,400 円
茶ポリフェノールの生理機能と応用展開
価格(税込): 60,500 円
おいしさの科学とフードテック最前線
価格(税込): 74,800 円
抗疲労・抗ストレス・睡眠改善食品の開発
価格(税込): 58,300 円