キーワード:
廃プラスチック / 再資源化 / ケミカルリサイクル / マテリアルリサイクル / サーマルリサイクル / SDGs / サーキュラーエコノミー / 物理選別 / 化学選別 / ガス化 / 油化 / 解重合 / 再生プラスチック / 事業化
刊行にあたって
海洋プラスチックごみやマイクロプラスチック問題、さらには中国をはじめとしたアジア諸国での廃プラスチックの受入れ制限を契機として、プラスチックに関わる多くの課題が環境問題の枠を超えて大きな社会課題になっている。
(中略)
我が国においては、従来のリデュース、リユース、リサイクルの3Rに加えて、再生利用とバイオマスプラスチックの導入を視野に入れた「3R + Renewable」を基本原則とした「プラスチック資源循環戦略」を2019年5月に策定した。(中略)さらに、2021年6月には「プラスチック資源循環促進法」が成立し、プラスチック製品全般にわたって、設計からプラスチック廃棄物の処理に関わるあらゆる主体に「3R + Renewable」を促進する基本方針が示された。具体的な措置としては、環境配慮設計指針、使用の合理化、排出・回収・リサイクルの仕組みづくりを目指し、資源循環の高度化に向けた環境整備と循環経済への移行を推し進めるものとなっている。
本書は、このようなプラスチックリサイクルを取り巻く大きな社会変化を鑑みて、これまでに取組んできた、あるいはまた現在取組んでいる技術やプロセスの内容、さらには基礎研究も含めた開発状況について紹介するものである。今後の資源循環の高度化に少しでも本書が役立つことを期待したい。
(本書「はじめに」より抜粋)
著者一覧
喜多川和典 (公財)日本生産性本部
半場雅志 (一社)プラスチック循環利用協会
藤井 実 (国研)国立環境研究所
大和田秀二 早稲田大学
佐伯暢人 芝浦工業大学
河済博文 近畿大学
井関康人 三菱電機㈱
浅沼 稔 ㈲稲稔商事
石井 純 JFEスチール㈱
井原貴行 荏原環境プラント㈱
井上正典 宇部興産㈱
野間 毅 東芝プラントシステム㈱
熊谷将吾 東北大学
加茂 徹 早稲田大学
藤元 薫 (一社)HiBD研究所
谷 春樹 環境エネルギー㈱
行本正雄 中部大学
寺門 修 函館工業高等専門学校
葛原俊介 仙台高等専門学校
波岡知昭 中部大学
吉川邦夫 東京工業大学
附木貴行 金沢工業大学
西田治男 プラス-N
伊藤真由美 北海道大学
渡邉 賢 東北大学
岡島いづみ 静岡大学
佐古 猛 静岡大学
柴田勝司 溶解技術㈱
齋藤優子 東北大学
上村明男 山口大学
池永和敏 崇城大学
髙尾正樹 日本環境設計㈱
内藤 研 日本大学
角田雄亮 日本大学
福田勇治 ㈱日本製鋼所
本九町卓 長崎大学
目次 + クリックで目次を表示
第1章 プラスチックリサイクルの意義と社会実装に向けた将来展望
1 はじめに
2 プラスチックリサイクルの現状
3 プラスチックリサイクルの開発動向
3.1 マテリアルリサイクル
3.2 ケミカルリサイクル
4 活発なケミカルリサイクル
5 廃プラスチックリサイクルの新しい道筋
6 石油精製プロセスを使ったプラスチックのリサイクルの可能性
7 おわりに
第2章 プラスチックリサイクルの国際動向-欧州のプラスチックリサイクルを中心に-
1 はじめに
2 欧州におけるプラチックリサイクルをめぐる動き
2.1 輸出困難で行き場を失う廃プラスチック
2.2 再生プラスチックの利用拡大を要求する法整備の動向
3 欧州におけるケミカルリサイクルに関わる全般的な取り組み
3.1 欧州ケミカルリサイクル連盟の発足
3.2 ドイツ民間研究機関のケミカルリサイクル技術に関するレポートの概要
3.3 ケミカルリサイクルに関わる技術開発及びプロジェクトの実施例
4 おわりに
第3章 プラスチックの循環利用の国内状況と事業動向
1 はじめに
2 廃プラスチックの処理処分方法とその状況
3 プラスチックリサイクルの現状と事業動向
3.1 マテリアルリサイクル(MR)
3.2 ケミカルリサイクル(CR)
3.3 サーマルリサイクル(TR)【エネルギー回収】
4 まとめ
第4章 リサイクル分野でのIoT,AI導入の展望
1 リサイクル分野での情報技術の必要性
2 リサイクルの各段階における情報技術の活用
2.1 廃棄物発生段階
2.2 廃棄物収集段階
2.3 選別・前処理段階
2.4 輸送段階
2.5 利用段階
2.6 全段階の管理と最適化
3 ケーススタディ(焼却熱の高度な利用)
4 情報技術の導入に関わる国の政策
5 情報技術の導入に関わる民間の活動
【第Ⅱ編 乾式法】
<選別>
第1章 廃棄物の粉砕技術と素材別分離技術
1 はじめに
2 粉砕
3 物理選別技術総論
3.1 バルク物性と表面物性
3.2 乾式法と湿式法
4 粉砕・選別技術の位置づけと選別回路の設定
5 選別結果の評価方法
5.1 総合分離効率
5.2 部分分離効率曲線
6 おわりに
第2章 プラスチック・金属の振動選別および静電選別
1 はじめに
2 摩擦帯電と誘導帯電
3 混合プラスチックの静電選別
3.1 摩擦帯電
3.2 基本的な選別手法
3.3 振動輸送による静電選別
3.4 衝撃吸収シートを用いた静電選別
4 プラスチックと金属の静電選別
5 おわりに
第3章 光学識別法
1 はじめに
2 分光測定
3 いろいろな光での光学識別
3.1 光学識別装置の構成
3.2 近赤外および中赤外吸収による識別
3.3 透過X線吸収
3.4 その他の光学識別法
4 データ解析
5 まとめ
第4章 家電破砕混合プラスチック選別技術
1 はじめに
2 家電破砕混合プラスチック
2.1 家電リサイクル処理の基本構成
2.2 微破砕処理
3 混合プラスチック高度選別技術
3.1 代表組成
3.2 選別プロセス
4 選別における品質管理
4.1 選別純度
4.2 RoHS適合検査
5 まとめ
<原料化>
第5章 高炉還元材化法
1 はじめに
2 高炉プロセスの概要と特徴
3 高炉での使用済プラスチック利用の考え方
4 使用済みプラスチック高炉原料化プロセスの概要
4.1 粗粒プラスチック高炉原料化技術
4.2 使用済みプラスチック微粉化技術
5 まとめ
第6章 加圧二段ガス化法(EUP®プロセス)
1 はじめに
2 技術開発の背景
3 プロセスの概要
4 プロセスの特徴
4.1 プラスチックのリサイクル手法における原料分別の簡素化
4.2 低ダイオキシンのガス化技術
4.3 副産物のマテリアルリサイクル
4.4 化石資源の節約とCO2排出削減の実現
4.5 固形廃棄物の加圧系へのドライフィード
5 運転状況
5.1 原料の性状
5.2 ガス化条件と製品ガスの性状
5.3 副産物
6 安定運転のための技術開発状況
6.1 溶融スラグの融点制御技術の開発
6.2 高温ガス化炉の運転安定化技術の開発
7 製品ガスの用途
8 おわりに
第7章 廃棄プラスチックの油化
1 ケミカルリサイクルによるプラスチック再生の動向
2 熱分解プロセスを用いたプラスチック再生技術について
2.1 熱分解プロセスの分類
2.2 廃棄プラスチックからのモノマー生成プロセス事例について
2.3 廃棄プラスチックからの熱分解油生成プロセスについて
3 廃棄プラスチックのケミカルリサイクルによるプラスチック再生の展望
3.1 マスバランス方式によるリサイクルプラスチック製造
3.2 石油精製所へのフィードストックリサイクルの取組
3.3 既存の石油精製設備を活用した廃プラスチックのケミカルリサイクル
第8章 熱分解法によるプラスチックのケミカルリサイクルの研究開発動向
1 はじめに
2 PE,PP,PS
3 PET
4 おわりに
第9章 使用済み工業製品のガス化反応による資源回収
1 はじめに
2 エポキシ基板の熱分解における鉄粉の添加効果
3 溶融炭酸塩を用いたエポキシ基板の水蒸気ガス化
4 おわりに
第10章 接触分解油化技術の基礎から実用プラントまで
1 プラスチックス分解の基礎反応と技術
1.1 プラスチック接触分解の基礎化学
1.2 FCCプロセスとFCC廃触媒
1.3 プラスチック類と触媒の反応器内挙動,化学反応
2 連続油化法HiCOPプロセスの開発
2.1 HiCOPプロセスのフローと連続運転
2.2 一般廃棄物系RDFの分解実験
2.3 実証プラントの運転
3 HiCOPプロセスの実用化に向けて
3.1 環境エネルギー株式会社
3.2 株式会社エコ・エナジー
第11章 高炉水砕スラグを用いた廃プラスチックの油化技術
1 はじめに
2 油化事業の経緯と最近の開発動向
3 高炉スラグを用いた油化プロセスの開発
4 鉄鋼スラグのキャラクタリゼーション
5 FCC廃触媒と高炉水砕スラグの油化実験
6 脱塩素効果の比較と連続油化実験
7 まとめ
第12章 プラスチック加熱プロセスにおける酸性化合物の固定化と利用
1 ポリ塩化ビニルの熱分解における金属酸化物添加
2 金属化合物による難燃剤由来臭素化合物の固定化
3 塩基性酸化物によるPET由来テレフタル酸の固定化
第13章 二段ガス化による廃プラスチックからの水素リッチガス製造
1 水素製造の熱力学―廃プラスチックから水素を製造する意義―
2 水素リッチガス化と燃料電池の組み合わせによる熱化学再生と高効率発電
3 プラスチックの低温水蒸気改質特性と水素リッチガス化・燃料電池発電の実現に向けた課題
3.1 二段ガス化と熱分解条件
3.2 改質炉温度の影響
4 おわりに
第14章 ポリ乳酸のケミカルリサイクル技術
1 はじめに
2 PLLAのモノマー還元型リサイクルの触媒の作用と反応メカニズム
3 PLLAのモノマー還元型リサイクルの動力学解析
3.1 n次分解とランダム分解の素反応の動力学解析法
3.2 多段階複合反応解析
4 ケミカルリサイクルの実証
4.1 リアクティブプロセッシングの有効性
4.2 マテリアルリサイクルとの共存
5 まとめ
【第Ⅲ編 湿式法】
<選別>
第1章 比重選別および浮遊選別
1 リサイクル処理の流れと物理選別
2 比重選別・重液選別
2.1 重液選別
2.2 湿式比重選別
2.3 水中での沈降挙動の差を利用する湿式比重選別法
3 浮選
第2章 異種ポリマーまたは金属との複合プラスチック製品の化学的素材分離
1 はじめに
2 PET/PVCターポリンの化学的資源化手法
2.1 溶解再沈殿法によるPVCおよびPET繊維の分離回収
2.2 PETのアルカリ加水分解によるテレフタル酸およびPVCの分離回収
3 ワイヤーハーネスから塩ビ被覆材および銅線を回収する湿式ミルプロセス
3.1 使用済みWHの組成分析および膨潤率測定
3.2 1ステップボールミルプロセスによる分離回収
3.3 2ステップボールミルプロセスによる分離回収
4 おわりに
第3章 高温高圧水技術によるプラスチックの分解反応
1 緒言
2 高温高圧水技術
3 高温高圧水中の有機化合物の反応性
4 高温高圧水の相平衡
5 高温高圧水を用いたプラスチック・リサイクルプロセス
第4章 超臨界/亜臨界流体を用いるCFRPのケミカルリサイクル
1 はじめに
2 超臨界/亜臨界流体とは
3 超臨界/亜臨界流体を用いるCFRPのリサイクル
3.1 超臨界/亜臨界水を用いるCFRPのリサイクル
3.2 超臨界アルコールを用いるCFRPのリサイクル
3.3 その他の超臨界/亜臨界流体によるCFRPのリサイクル
4 おわりに
第5章 常圧溶解法による熱硬化性樹脂の解重合
1 はじめに
2 常圧溶解法の概要
3 ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)
4 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)
5 プリント配線板(PWB)
6 変圧器用モールドコイル
7 他のリサイクル技術との比較
8 おわりに
<原料化>
第6章 湿式法を用いたハロゲン含有プラスチックの化学リサイクル
1 はじめに
2 脱ハロゲン技術開発
2.1 PVCの生産・廃棄およびリサイクルの現状
2.2 湿式脱塩素法
2.3 湿式脱臭素処理への展開
3 塩素回収および塩素循環システム
4 スケールアップ実験および環境影響評価
5 おわりに
第7章 超臨界流体とイオン液体を用いたプラスチック解重合
1 はじめに
2 超臨界アルコールを用いた解重合反応
2.1 不飽和ポリエステルの解重合反応
2.2 ポリアミドの高選択的解重合反応
3 イオン液体を用いた解重合反応
4 まとめ
第8章 ポリエステル-綿混紡織物の選択的なマイクロ波ポリエステル分解法
1 はじめに
2 マイクロ波加熱について
3 ポリエステル-綿混紡織物中のポリエステル繊維に対する選択的マイクロ波加水分解
4 ポリエステル-綿混紡織物中での選択的なポリエステル繊維のアルコール加溶媒分解
5 まとめと展望
第9章 PETケミカルリサイクル技術BRING Technology
1 はじめに
2 石油由来PET樹脂の課題:不安定なコスト構造と増加しつづけるCO2排出
2.1 石油由来PET樹脂のコスト構造
2.2 石油由来PET樹脂のCO2排出
3 課題解決のためのアプローチ
3.1 石油に依存せずかつ焼却させない
3.2 再生PET樹脂の製造
4 再生PET樹脂製造の事業化
4.1 PETのケミカルリサイクル技術:BRING Technology TM
4.2 事業事例1:ペットボトルの水平循環を実現するペットリファインテクノロジー株式会社
4.3 事業事例2:ポリエステル繊維の循環工場の事業化
5 今後の展開
5.1 循環がスタンダードになるために
5.2 原料の多様化
5.3 プロセスの最適化
5.4 固定費の削減
6 おわりに
第10章 ポリカーボネートの加溶媒分解によるモノマー化
1 はじめに
2 ポリカーボネートのリサイクル方法の選択
3 固体塩基触媒を用いたポリカーボネートの加フェノール分解
4 おわりに
第11章 PMMA廃棄物の押出機による解重合
1 はじめに
2 アクリル樹脂のケミカルリサイクルの特徴
3 アクリル樹脂のケミカルリサイクルの方法
4 二軸押出機を用いたアクリル樹脂の連続式ケミカルリサイクルプロセスの特長
4.1 二軸押出機を用いたリサイクルプロセスの原理と特徴
4.2 二軸押出機を用いたリサイクルプロセスの適用例
4.3 本リサイクルプロセスのプラントスケールへの展開
5 おわりに
第12章 炭酸を用いたポリウレタンとポリウレアの加水分解反応によるケミカルリサイクル
1 緒言
2 触媒を添加したポリウレタンの加水分解
3 炭酸について
4 ポリウレアの炭酸による加水分解
5 ポリウレタンの炭酸による加水分解
6 ポリウレタンフォームの炭酸による加水分解
7 ポリウレア,ポリウレタンの炭酸による加水分解反応の反応機構
8 おわりに
関連商品
プラスチックの資源循環に向けたグリーンケミストリーの要素技術
価格(税込): 68,200 円
生分解性プラスチックの環境配慮設計指針
価格(税込): 72,600 円
バイオミメティクス・エコミメティクス
価格(税込): 72,600 円
バイオプラスチックの開発と資源循環
価格(税込): 88,000 円
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の開発と市場 2020
価格(税込): 88,000 円
この商品を買った人はこちらの商品も購入しています。
レドックスフロー電池の開発動向
価格(税込): 81,400 円
セルロースナノファイバー製造・利用の最新動向
価格(税込): 92,400 円
ダイヤモンドエレクトロニクスの最前線 《普及版》
価格(税込): 5,720 円
食品素材のナノ加工を支える技術《普及版》
価格(税込): 4,510 円
エレクトロスプレー/スピニング法とその応用
価格(税込): 62,700 円
マイクロバブル・ナノバブルの技術と市場 2021
価格(税込): 88,000 円
AI・ナノ・量子による超高感度・迅速バイオセンシング
価格(税込): 72,600 円
カーボンニュートラル/脱炭素・低炭素白書2021年版
価格(税込): 132,000 円