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アンモニアを用いた水素エネルギーシステム《普及版》

Hydrogen Energy System Using Ammonia(Popular Edition)

2015年刊「アンモニアを用いた水素エネルギーシステム」の普及版。
水素含有量率、水素密度が高く、分解時には水素、窒素、水のみが発生するカーボンフリーなアンモニアのエネルギー利用と水素キャリアとして燃料電池への応用から直接燃焼までを紹介している。

商品コード:
B1373
監修:
小島由継
発行日:
2022年2月7日
体裁:
B5判・239頁
ISBNコード:
978-4-7813-1585-0
価格(税込):
4,730
ポイント: 43 Pt
関連カテゴリ:
地球環境
テクニカルライブラリシリーズ(普及版)
ファインケミカル > 触媒・酵素・天然物
エレクトロニクス > 自動車
地球環境 > 省エネルギー・クリーンエネルギー
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キーワード:

ISプロセス/熱化学水素製造/ハーバー・ボッシュ法/合成触媒/常温・常圧合成/人工光合成/熱化学/電気化学/乾式アンモニア発酵/液体アンモニア輸送システム/コンパクトタンク/固体アンモニア材料/家畜排泄物利用/ルテニウム系/直接燃焼/アンモニアエンジン/韓国での開発動向

刊行にあたって

< CO2フリーの水素社会を目指して >
 人類は、地球規模で、エネルギー問題(化石燃料の枯渇)と環境問題(エネルギー消費による環境汚染)に直面している。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2014年11月2日、地球温暖化の悪影響を避けるために、今世紀末には温室ガスの排出量をほぼゼロにする必要がある報告書を発表している。報告書によると人類に許される二酸化炭素排出量は残り一兆トンである。国際エネルギー機関(IEA)によると、年間317億トン(2012年)の二酸化炭素が排出されており、約30年で限界に達する。原子力発電は二酸化炭素を削減するための切り札として考えられてきた。ところが、2011年3月11日に発生した東日本大震災にともなう原子力発電所の事故により、現在(2015年2月)、その割合は30%(2010年)からゼロとなっている。一方、再生可能エネルギー(太陽熱・光 、風力、地熱、水力、バイオマス等)は、エネルギー密度が低い上に自然を相手にするため、時間的な変動が大きく扱いにくいといった課題を有しているものの、次世代クリーンエネルギーとして注目されている。これまで、再生可能エネルギーを大量に貯蔵し輸送するために水素が考えられてきた。しかし水素は常温、常圧では気体であり、液化するためには極低温あるいは数10MPa以上の高圧を要する。従って、水素を安全かつ多量に貯蔵・輸送することは困難である。
 これに対して、水素を貯蔵・輸送が容易なアンモニア(NH3)に変換し、水素エネルギーキャリアをアンモニアに代える水素社会が考えられる。エネルギー基本計画2014や水素・燃料電池戦略ロードマップ(経済産業省)にアンモニアが盛り込まれることによって、水素エネルギーキャリアとしてのアンモニアに注目が集まってきている。
 本書では再生可能エネルギーからの水素・アンモニア製造、アンモニア貯蔵・輸送、アンモニア利用技術の現状について説明した。現在、国内では石油換算5億トン/年でエネルギーが使用されている。アンモニアのエネルギー量は単位重量当たり石油の約50%であり、アンモニアを国内で消費するエネルギーとして利用する場合、CO2フリーのアンモニアが10億トン/年必要である。アンモニア製造、貯蔵・輸送、利用技術の開発が進み、22世紀には化石燃料に依存しないアンモニアを用いた水素社会の到来が望まれる。
 最後に、ご多忙の中をご執筆いただいた皆様方および本書刊行のためにご尽力いただいたシーエムシー出版の門脇孝子氏に感謝申しあげます。

2015年3月
広島大学 先進機能物質研究センター長    小島由継

本書は2015年に『アンモニアを用いた水素エネルギーシステム』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。

著者一覧


小島由継   広島大学
稲垣嘉之   国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構
宮岡裕樹   広島大学
児玉竜也   新潟大学
郷右近展之  新潟大学
松本広重   九州大学
秋鹿研一   放送大学;東京工業大学名誉教授
李星国    北京大学
原 亨和   東京工業大学
北野政明   東京工業大学
細野秀雄   東京工業大学
田辺資明   東京大学
西林仁昭   東京大学
押切友也   北海道大学
上野貢生   北海道大学

三澤弘明   北海道大学
伊藤靖彦   アイ’エムセップ㈱
中島田豊   広島大学
西尾尚道   広島大学
花田信子   筑波大学
市川貴之   広島大学
Martin Owen Jones  STFC,ISIS
高橋潤一   帯広畜産大学;同齊大学
永岡勝俊   大分大学
松井敏明   京都大学
小林秀昭   東北大学
壹岐典彦   国立研究開発法人産業技術総合研究所
青木芳尚   北海道大学
首藤登志夫  首都大学東京
Youngmin Woo  Korea Institute of Energy Research

執筆者の所属表記は、2015年当時のものを使用しております。

目次 +   クリックで目次を表示

総論 水素エネルギーキャリアとしてのアンモニア
1 はじめに
2 アンモニアの特性
 2.1 水素キャリア(水素貯蔵材料)の研究開発
 2.2 アンモニアの熱力学的構造安定性
3 アンモニアの価格と安全性
 3.1 アンモニアの価格
 3.2 アンモニアの安全性
4 アンモニアを用いた水素社会と水素エネルギーシステム
 4.1 アンモニアを用いた水素社会
 4.2 アンモニアを用いた水素エネルギーシステム
5 まとめ

〔第1編 水素・アンモニア製造〕
第1章 熱化学法ISプロセスによる水からの水素製造
1 はじめに
2 熱化学水素製造法の原理
3 ISプロセスの原理
4 ISプロセスの研究開発状況
5 ISプロセスのエネルギー源
6 まとめ

第2章 低温熱化学水素製造
1 はじめに
2 熱化学水素製造
3 低温型熱化学サイクル
4 アルカリ金属系熱化学サイクル
5 おわりに

第3章 高温熱化学水素製造
1 はじめに
2 太陽集光システム
3 水熱分解サイクル
4 天然ガス(メタン)のソーラー改質
5 石炭・バイオマスのソーラーガス化
6 総括と展望

第4章 水蒸気電解
1 はじめに
2 水・水蒸気電解とその熱力学的特徴
 2.1 水・水蒸気電解の手法
 2.2 水・水蒸気電解の熱力学的特徴
3 水蒸気電解
 3.1 プロトン伝導体および酸化物イオン伝導体を用いた水蒸気電解
 3.2 プロトン伝導性酸化物
 3.3 水蒸気電解に向けたプロトン伝導体の開発
 3.4 プロトン伝導性酸化物を用いた水蒸気電解
4 まとめと今後の展望

第5章 ハーバーボッシュ法とルテニウムを触媒とするアンモニア合成
1 アンモニアが支える社会,合成触媒の発明とプロセスの変転
2 金属触媒による合成反応の機構と鉄触媒の特長
3 各種金属元素によるアンモニア合成活性の特長と一般則
4 鉄触媒とルテニウム触媒の特長比較
5 「ルテニウムが電子供与性促進剤を特別に感受する」ことの発見と工業化の道

第6章 水素化物ナノ粒子を用いたアンモニアの合成
1 ナノ粒子の研究
2 アークプラズマによるナノ粒子の作製
3 希土類金属ナノ粒子の作成
4 アンモニアの触媒合成
 4.1 CeH3ナノ粒子によるアンモニアの室温大気圧合成
 4.2 Sm3H7ナノ粒子によるアンモニアの室温大気圧合成

第7章 高活性なアンモニア合成触媒
1 はじめに
2 アンモニア生成と触媒
3 12CaO・7Al2O3エレクトライド(C12A7:e-)
4 Ruナノ粒子を担持したC12A7:e-(Ru/C12A7:e-)
5 C12A7:e-の水素吸蔵・放出能
6 おわりに

第8章 常温常圧でのアンモニアの合成
1 はじめに
2 遷移金属錯体を用いた化学量論的アンモニア合成
3 遷移金属窒素錯体を用いた触媒的アンモニア合成
4 触媒的シリルアミンの合成
5 おわりに

第9章 可視光を用いた空気中の窒素からの人工光合成によるアンモニア合成
1 はじめに
2 プラズモン誘起水分解
3 プラズモン誘起アンモニア合成
4 おわりに

第10章 水と窒素からの常圧アンモニア電解合成
1 はじめに
2 アンモニアの電解合成
3 水素と窒素からの常圧アンモニア電解合成
4 水と窒素からの直接常圧アンモニア電解合成
5 本電解合成法の将来展望
6 おわりに

第11章 有機廃棄物を原料としたアンモニア製造の可能性
1 はじめに
2 再生可能有機資源からの水素・アンモニア製造
3 有機資源の水素発酵
4 有機資源からの間接的水素製造(メタン発酵)
5 アンモニア回収型メタン発酵(AM-METプロセス)の開発
6 AM-METプロセスによる脱水汚泥からのアンモニア,メタン回収
7 まとめ

〔第2編 アンモニア貯蔵・輸送〕
第1章 液体アンモニアを媒体とする水素貯蔵・輸送
1 液体アンモニア輸送
2 液体アンモニア電気分解による水素生成
3 アンモニアと金属水素化物を用いた水素貯蔵システム
4 おわりに

第2章 アンモニア吸蔵材料を用いた安全なコンパクトタンク
1 はじめに
2 アンモニア吸蔵材料
3 可搬式アンモニアガスボンベ用材料
4 おわりに

第3章 Investigating and Understanding Solid-State Ionic Ammine Materials
1 Introduction
2 A Historical Perspective
3 Understanding the Physical Properties of Ionic Ammines
 3.1 Underlying properties –Materials Characterisation
 3.2 Underlying properties – Understanding Properties

〔第3編 アンモニア利用〕
第1章 家畜排泄物からのアンモニア生産と燃料電池への応用
1 畜産分野におけるアンモニアの発生と利用について
2 エネルギー輸送媒体としてのアンモニア
3 エネルギー源としてのアンモニアの利用
4 家畜糞尿アンモニア燃料電池

第2章 ルテニウム(Ru)系分解触媒
1 エネルギーキャリアとしてのアンモニアの利用
2 種々の金属触媒を用いたアンモニア分解
3 アンモニア分解のメカニズム
4 Ru触媒を用いたアンモニア分解反応
5 今後の展望

第3章 直接利用技術(燃料電池)
1 はじめに
2 アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池
3 低温・中温で作動するアンモニア燃料電池
4 おわりに

第4章 直接燃焼・ガスタービン
1 アンモニア直接燃焼によるエネルギー利用
 1.1 アンモニア燃焼の基礎特性
 1.2 NOx生成過程
2 アンモニア直接燃焼ガスタービンによる発電
 2.1 ガスタービン発電
 2.2 アンモニア直接燃焼ガスタービンの試作
 2.3 アンモニア供給設備
 2.4 アンモニア直接燃焼ガスタービンの試験概要

第5章 直接アンモニア形水素膜燃料電池の可能性
1 背景
2 水素膜燃料電池(HMFC)
3 水素膜燃料電池の作製
4 直接アンモニア形水素膜燃料電池の性能
5 おわりに

第6章 アンモニアを利用したエンジンシステム
1 エンジン燃料としてのアンモニア
2 排気熱を利用したアンモニア分解により水素を生成する水素エンジンシステム
 2.1 アンモニアの熱分解による水素生成
 2.2 水素エンジンの排気熱を利用したアンモニア分解による水素生成と排熱回生
 2.3 アンモニアが残存する水素の燃焼と排気特性
3 アンモニアによる低温酸化抑制効果を利用したHCCI燃焼エンジンシステム
 3.1 アンモニアによる低温酸化抑制効果を利用した着火時期制御
 3.2 アンモニアがジメチルエーテルの自己着火に与える影響についての素反応解析
4 まとめ

第7章 Recent progress on the Ammonia-Gasoline and the Ammonia-Diesel Dual Fueled Internal Combustion Engines in Korea
1 Ammonia Fuel
2 Ammonia Fueled Spark Ignition Engine
3 Ammonia Fueled Compression Ignition Engine
5 Conclusion

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